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1. 「単独親権」から「共同親権」への法の進化 民法818条は「父母の共同親権」を定めている。家父長的「家」制度をとっていた戦前の民法が「家に在る父」(一次的)または「家に在る母」(二次的)の単独親権制を定めていたのと比較すると、革命的転換であった。その根拠になったのは、「個人の尊厳と両性の本質的平等」を謳った日本国憲法24条である。「個人の尊厳」という点から親権に服する子は未成年者に限定され、親権は未成熟子の監護教育を目的とする子のための制度であることが明らかにされた。また、「両性の本質的平等」という点で「父母の共同親権」とされている。すなわち、戦後の日本の出発点は、家父長的「家」制度を廃止し、「単独親権」から「父母の共同親権」へ進化したのである。換言すれば、「父母の共同親権」は、まさに「法の理想」であったのだ。 一方、民法には同時に、「父母の共同親権」の例外も定められていた。その1つが
1. ジャニー喜多川の死亡 ジャニーズ事務所の創設者であり代表者であったジャニー喜多川が、2019年6月に死亡した。 ジャニーズ事務所という芸能界における一大勢力を創り上げ、数多くの才能豊かな男性アイドルを世に輩出したジャニー喜多川の力量は、まさに敬服に値するというべきであろう。この人物には確かに、偉大なる慧眼があった。 しかし他方で、ジャニーズ事務所に所属する未成年者の少年に対して、ジャニー喜多川がその権力を背景に「セクハラ行為」すなわち淫行行為を働いていたという話は、週刊誌などでまれに取り上げられることがあったものの、大手新聞社や放送局などが取り上げて報道することはほとんどない。少なくとも私はそのような報道を見たことがない。 確かに、大きな仕事をした人物の訃報において、その負の側面をあえて取り上げるべきではないとの考え方もあるだろう。 しかし、これが事実だとすればそれは明らかに未成年者
1.離婚前の監護権紛争と法的手続 夫婦間で離婚紛争が起きると、未成年の子の親権・監護権が深刻な法的紛争になる。たとえば、子を連れ去った妻が、単独の監護者となるために「監護者指定」の調停・審判を申し立てる。一方、夫は、自らを監護者と指定し、子の引渡しを求める「監護者指定」「子の引渡し」の調停・審判さらに保全処分を申し立てる。この「監護者指定」や「引渡し」は、未だ離婚が成立していない共同親権者の一方から監護権を全的に剥奪するものであり、それは親権を喪失させるのと異ならない。すなわち、離婚後の「単独親権者指定」を前倒しするのである。 しかしながら、現行民法は、離婚後は父母のどちらか一方の単独親権としているだけで、離婚前の共同親権が否定されるわけではない。したがって、仮に「監護者指定」の申立てがされても、裁判所が審判で一刀両断に「単独監護者指定」をするのは違法というほかない。 この点に関し、私は、
--1-- 民法は、未成年の子の父母は婚姻中は共同して親権を行うものとし(818条)、離婚するときはその一方を親権者と定めなければならないとする(819条1,2項)。この離婚の際の、共同親権から単独親権への移行を規定した民法の立法趣旨については、離婚後の共同親権は「理想論としてはともかくも、実際論としては、実行が困難であろう。父母が離婚すれば、住居を異にするだろうし、子はそのいずれかに引取られているだろうから、その父母が協議しなければ、親権を行使し得ないということは、子にとって甚だしく不利益であろう」という説明が今日まで繰り返されている。 しかしながら、論理的にも、親権の共同行使が困難になるからといって、単独親権への移行により他方の親の権利義務まで消滅させる必然性がないのみならず、そのことが子の利益にかなうともいえない。まして、交通・通信手段が飛躍的に発達した現代において、もはや実際面でも
1.民法で強制される「単独親権制」 民法818条1項は「成年に達しない子は、父母の親権に服する。」と規定し、同条3項は「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。」と規定している。これに対し、離婚後は「父母のどちらか一方」を親権者と定めることが強制され(同法819条1項2項5項)、父母の協議で共同親権とすることはできないのである。このような絶対的単独親権制は、家族生活における個人の尊重と両性の本質的平等を規定した憲法24条に違反する。このことは、親権を失う側からすれば、当然の論理であろう。 ところが、現在の単独親権制は、むしろ憲法24条が規定する「個人の尊重と両性の本質的平等」に適うものとして、戦後の民法改正によって生まれたのである。すなわち、戦前の民法では、離婚後も「家ニ在ル父」が親権を行使するとされていて家父長的性格が濃厚であったところ、それが憲法24条に反するというので、「父母のど
1. 徴用工の韓国大法院判決に対する論調 韓国の大法院(最高裁判所)が、新日鐵住金を被告としたいわゆる「徴用工」による損害賠償請求事件で、この10月30日に下した判決について、日本国内から激しい批判の声が噴出している(大法院は11月29日にも、三菱重工に対し同趣旨の判断を下した)。その内容はほとんどすべてが、この判決の判示が1965年に日韓で締結された「請求権協定」に反するもので、安倍首相に言わせれば「国際法に照らしあり得ない判断」だと指摘するものである。 しかし、この問題に以前から取り組んできた私の立場からすれば、この判決は意外でも何でもない。むしろ法律論的観点からするとこの判決は、日本の最高裁判決での論理と、それほど相違のない判断が前提となっている。以下、この判決批判についてその誤りを指摘することとしたい。 なお、このような国内の論調が誤っていることについては、11月5日付で弁護士有志
1. 伝説のスキャンダル雑誌『噂の眞相』 あの伝説的スキャンダル雑誌『噂の眞相』に私が出会ったのは、大学生のときだった。「反権力・反権威スキャンダルマガジン」を標榜し、マスメディアには絶対に出ない過激な記事が充満していた。 最初にこれに触れたときの印象は、「見てはいけない危険なものを見てしまった」というものだった。普段の日常生活では絶対に接点のないアングラな世界。ここに足を踏み入れることは、引き返せない道に進む羽目になることは直感的にわかっていた。だがその強烈な吸引力には逆らえず、書店でつい手にとって購入してしまったのだ。 それ以来、この雑誌の完全に虜になり、『噂の眞相』と名の付くものはすべて購入してきた。今でも最初の1冊、1987年6月号からすべてのバックナンバーが揃っている。創刊号が1979年11月号だから、創刊してから7年半後の時期から読み始めたことになる。毎月10日の雑誌の発売日が
1. 慰安婦問題に関する「日韓合意」 昨年末の12月28日、岸田外務大臣が韓国の尹炳世外交部長官と会談を行い、共同記者会見にて慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的解決」を表明した。 その内容としては、日本政府として ①「軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた」事実と責任を認め、安倍首相が「心からおわびと反省の気持ち」を表明すること、 ②韓国政府が設立した財団に日本政府が10億円を拠出して元慰安婦に対する支援活動を行うこと、これにより日韓両政府が慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」解決を確認する、というものである。 私はこの報道が速報で流れたとき、これはなにかの悪い冗談ではないかと思った。こんなもので慰安婦問題が解決することなど金輪際あり得ず、むしろさらにこじれるだけになることが容易に想像できたからである。案の定、韓国国内の元慰安婦たちが抗議の声を上げるにつれ、韓国国内の世論はこの「最終
2012年12月の総選挙の結果、予想どおりではあったが自民党が大勝し、衆議院で300議席に迫る圧倒的多数を獲得した(全480議席)。これによって、自民党の安倍晋三総裁が内閣総理大臣に就任した。 もっともその内閣の陣容は、まさしく「極右内閣」とでも言うべきものとなっている。「保守」などという生やさしいものではない。「反動極右」という以外に、私には適切な言葉を思いつくことができない。 安倍首相は就任直後から、早速いわゆる「従軍慰安婦」問題に関する1993年の「河野談話」(「慰安婦」とされた女性らに対し、日本政府として「お詫びと反省の気持ち」を表明したもの)を見直すと言い出した。また閣僚には、下村博文文部科学相を始め、「南京大虐殺は存在しなかった」と主張する閣僚が多数含まれている。 その中でも突出しているのが、行政改革相に就任した稲田朋美議員であろう。この人物は、まさしく札付きである。稲田議員は
平成25年3月25日に、ビアンキ自転車事故訴訟(東京地裁平成22年ワ第12475号 原告中島寛、同中島典子、被告サイクルヨーロッパジャパン株式会社)、(東京地裁平成22年ワ第17038号 原告東京海上日動火災保険株式会社、被告サ社)の判決が出されましたので、概要をお知らせ致します。 事件番号が2つあるのは、原告中島寛さんの損害の一部を、東京海上が人身傷害保険特約によって肩代わり弁済していたため、東京海上が当該肩代わり分をサ社に対して請求する訴訟を提起し、両事件が併合されたものです。 判決書を添付しておきましたが、裁判所の判断が記載されているのは30頁からになりますので、そこから読んで頂くのがよいと思います。下記概要の判決引用部分はかなり簡略化した平易な形にしてあり、厳密には判決文の表記とは異なること、裁判の当事者以外の人名は伏字にし、敬称も略してあることを、ご了解下さい。 ※当職の補
本年2月20日(水)午後1時10分(変更となりました:こちらを参照)より、東京地裁806号法廷において、私の依頼者である中島寛さんほか1名と、被告サイクルヨーロッパジャパン株式会社との間の損害賠償請求事件の判決が言い渡されます。 この事件は、平成20年8月22日、当時60歳であったつくば市在住の中島寛さんが、サイクルヨーロッパジャパンが輸入したビアンキ社製のクロスバイク「バックストリート」に乗車中、突如自転車のサスペンションが分離して前方に転倒し、顔面を地面に強打し、首から下が全麻痺になってしまったという痛ましい事件です。 事故の原因は、サスペンション内に水が溜まり、それによりスプリングが腐食・破断し、走行中にサスペンションが分離してしまった、という点にあります。 このビアンキ社製の自転車のサスペンションは、台湾の大手メーカーであるRST社製でしたが、①キャップに溝がついており、水や
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