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僕が総合演出と共同脚本を務めました「舞妓さんちのまかないさん」は2023年1月12日に配信がスタートしました。ご覧頂いた皆様、ありがとうございます。ドラマ制作に向けて本格的に取材を開始したのが2020年の夏でしたからもう2年半が経ちました。簡単ではありますが、その制作のプロセスで考えたことを少しまとめてみたいと思います。 ドラマ化を川村元気さんから依頼されるまでの僕の花街についての知識は、微々たるものでした。映画でいえば溝口健二の『祇園の姉妹』『祇園囃子』成瀬巳喜男の『流れる』程度。書籍も何冊か読んで準備はしていましたが、初めて祇園に足を踏み入れた時の僕のスタンスはドラマの4話に登場するすみれの父と大差の無い、否定的、懐疑的なものでした。ただ、取材を始めてわかったのは、この「伝統」を歌舞伎のような文化として次世代に継承していくために変わろうとしている人たちが花街の内外にいるということでした
もう何年前になるだろうか…知り合いの樋口景一さんという電通のクリエイターの方と世田谷公園で春夏秋冬と4度対談したことがある。(その後、対談は本になって出版された。『公園対談』(廣済堂出版 2016)) 1回目は確か、オリンピックの東京招致が決まった頃で街中に横断幕が掲げられていた。「今、ニッポンにはこの夢の力が必要だ」というキャッチコピーというかスローガンへの違和感について、「本来は、スポーツがニッポンに何をしてくれるのかではなく、スポーツの発展のために何が出来るのかを考えるべきなんじゃないか?」と僕が話すと、彼は「その通り。だからこそ今度のオリンピックが日本にスポーツを文化として定着させるラストチャンスだと考えているんです」と話された。頑張って欲しいなぁと思う半面、無理なんじゃないかなと思う気持ちのほうが強かった。今彼がどのようなポジションでこのオリンピックに関わられているのかは分からな
僕が希林さんとご一緒したのは、彼女の長いキャリアの中で最後の10年ちょっとに過ぎませんが、監督と役者という関係を超えて、とても濃密な、楽しい時間を共有させて頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。 今年の3月に癌の骨への転移を知らされたのですが、言葉を失う僕たちスタッフを逆に気遣いながら本人はすぐに終活に入られたようでした。ご一緒した映画祭や公開初日の舞台挨拶では、ご自身の中に残ったエネルギーと冷静に向き合い、コントロールされながら、それでも役者の仕事を全うされようとしているその姿勢に頭が下がりました。 ただ、ご自身のことは役者、女優という側面とは別に、タレント、芸能人と捉えられているところがあり、自分が芸能人として、同時代にどんな価値を持つのか?テレビに出てその反射神経を確かめている、といった趣旨の発言も度々されていて、テレビ出身の僕としては、その「雑味」をあえて捨てようとしないところも希林さ
6月5日にブログで発表した『「invisible」という言葉を巡って』には思った以上に沢山の感想が寄せられました。ありがとうございました。 あれで終わりにしようと思っていたのですが、まぁ僕が語った趣旨がすぐにその通りに浸透するわけもなく…。 国会の参院文科委員会で野党の議員が「(是枝に)直接祝意を表しては?現場をとても鼓舞する。総理に進言を」と文科相に問いただしているやりとりを目にし、更にその後「林文科相が文科省に招いて祝福したいという意向を示した」と伝えられたとNHKのニュースで目にしました。他に多くの重要な案件がありながら、このような私事で限られた審議や新聞の紙面やテレビのニュースの時間を割いて頂くのも心苦しく、もう一言だけ(笑)僕なりの考えを書いておくことにしました。 実は受賞直後からいくつかの団体や自治体から今回の受賞を顕彰したいのだが、という問い合わせを頂きました。有り難いのです
2人の監督 「インビジブル ピープル」と審査員長のケイト・ブランシェットは授賞式の冒頭で口にした。その存在に光を当てることが今回の映画祭の大きなテーマだった、と。隣に座った通訳を介して日本語に翻訳してもらいながらだったので内容は大まかにしか把握できなかったが、その「invisible」という言葉だけはずっと頭に残った。確かに『万引き家族』で僕が描こうとしたのも普段私たちが生活していると、見えないか、見ないふりをするような「家族」の姿だ。その生活と感情のディティールを可視化しようとする試みが今回の僕の脚本の、そして演出の柱だったとケイトさんの言葉に触れて改めて思い出した。そして、そのスタンスは14年前の『誰も知らない』とも通底している——と、自分では今回の作品を分析していた。なので名前を呼ばれて壇上に向かいながら、このスピーチでは「invisible」なものについて触れようと考えていた。 僕
特別な日に 閣僚やら議員のトンデモ発言が続いたことにより、一旦は沈静化しかけた「放送」と「公権力」を巡る議論が、高市総務相のいわゆる「停波」発言を巡って主に新聞紙面上では議論が再燃しているような状況です。 一昨年の秋あたりから始まったこの論争については、昨年11月にこのホームページ上で発表した私見①と②で1950年前後の放送法の制定にまで遡って自分なりに検証してみました。 この私見についてはおかげさまで想像以上の反響がありました。 読んで頂いた方々、改めてありがとうございます。 そこで今回は、好評に気を良くしてというか、お約束通りというか、ちょっとお約束した流れに至る前にもう一度、この放送と公権力の間での放送法を巡る「対立」が何故、どのように生じており、歴史的に見てどちらにより分ぶがあるのか?検証してみたいと考えています。 個人的なことですが『海街diary』の受賞式や新作の映画『海よりも
倫理規範なのか 法規範なのか? BPOの意見書発表から10日ほど時間が過ぎ、不当な「介入」「圧力」を指摘された公権力からの反論も一義的にはおおよそ出そろった感があります。 代表的なものをいくつか拾ってみましょう。 BPOが放送法の4条を「倫理規範」としたことに対して異論が目立ちます。 「放送法には規範性があり、違反があれば3ヶ月以内の業務停止命令ができる」(高市総務相) 「単なる倫理規定ではなく法規であり、これに違反しているのだから、担当官庁が法に則って対応するのは当然」「予算を国会で承認する責任がある国会議員が果たして事実を曲げているかどうかについて議論するというのは当然のこと」(10日の予算委員会での安倍首相発言) 「BPOは放送法を誤解している。NHKの調査報告書に放送法に抵触する点があったので必要な対応を行った」(菅官房長官) お互いの主張は一件平行線をたどっているように見え、日頃
「放送」と「公権力」の関係について ~NHK総合「クローズアップ現代」“出家詐欺”報道に関するBPO(放送倫理検証委員会)の意見書公表を受けての私見~ 少々長いサブタイトルになったことをまずご了承ください。 以下、本文もちょっと長いですが、出来るだけわかりやすくまとめますので、我慢して最後まで読んでいただけると嬉しいです。これは主には放送に携わる皆さんへ向けての文章になります。 はじめに 11月6日にBPOの委員長及び委員による記者会見が開かれ意見書が公表されました。僕の予想が正しければおそらく当事者であるNHKはともかく、他局のニュースの多くは意見書の中で述べられた「重大な放送倫理違反があった」という委員会の判断について大半の時間を割いているのではないでしょうか。(といっても2、3分のことだとは思いますが) ここぞとばかりにNHKを叩き、「クロ現」はつぶしてしまえと声高に叫ぶ人たちの顔も
今日は一日取材もなくオフだったので、パリの蚤の市などをぶらぶらと歩きながらふと考えてみました。こうやって自分が監督した映画を持って異国の地を訪れ映画祭や公開へ向けてのプレミア上映会に参加するのは、果たして「文化外交」なのだろうか、と。 普段あまり考えないそんなことをしたのは先日「『日本の美』総合プロジェクト懇談会」という壮大なネーミングの有識者会議の会合が開かれたというニュースに触れたからです。 首相はこの席上で「国際社会での存在感を高めていくため日本の文化芸術の魅力を発信する文化外交を積極的に展開していくことが必要だ」と述べた、と報じられていました。 2020年に開催予定の東京オリンピック招致へ向けたキャッチコピーに、「今、ニッポンにはこの夢の力が必要だ」というのがありました。あれを読んだ時に感じた違和感はそもそもオリンピックというのはスポーツという文化のために私たちに何が出来るのか?を
怪物 大ヒット上映中 舞妓さんちのまかないさん Netflixにて独占配信中 ベイビー・ブローカー Blu-ray & DVD 好評発売中! 真実 Blu-ray & DVD 好評発売中! 万引き家族 Blu-ray & DVD 好評発売中! 三度目の殺人 Blu-ray & DVD 好評発売中! 海よりもまだ深く Blu-ray & DVD 好評発売中! 海街diary Blu-ray & DVD 好評発売中! そして父になる Blu-ray & DVD 好評発売中! 奇跡 Blu-ray & DVD 好評発売中! 空気人形 DVD 好評発売中! 歩いても歩いても DVD 好評発売中! 誰も知らない DVD 好評発売中!
今日発売の週刊文春に『是枝監督がカンヌ、くまモンパーティーに怒った!』と題された記事が掲載されました。 記者の片岡さんという方から取材申し込みの連絡を事務所のスタッフが受け、いったんお断りしたのですが、僕のメールアドレスに直接、再度依頼が届きました。映画への公的助成を考える趣旨の内容だったので、次のようなメールを返信しました。以下全文です。 ==================== 片岡さま。 メールありがとうございました。 確かに、あのパーティには違和感を感じて参加はしておりません。 それは、映画が中心にあるべき映画祭という場所にふさわしくないと思ったからです。ただし、参加していないので実際どうだったのか?僕は語れません。 むしろ、参加した方々への取材をされたほうが良いのではないですか? あと、映画祭という、本来的には私たちが映画という文化の為に何が出来るのか?を考える場所を、日本のコン
選挙時期だろうがなかろうが、報道に関わっていようがいまいが、局員であろうが、制作会社のスタッフであろうが、放送を業(なりわい)にするものは、そして真摯に自らの職業と向き合ったことが一度でもあるならば、公平中立公正であるとはどういうことか?その難解な問いを前にして悩み、立ちすくみ、怖れた経験が一度はあるに違いない。そして、真摯に考えれば考えるほど、それが、今回自民党筆頭副幹事長と報道局長の連名で在京テレビキー局各社に宛てて出された『お願い』にあるような、出演者の発言回数や時間を機械的に同じにしたり街角インタビューの賛成反対を同数にしたりといった小手先の姑息な技術によっては決して獲得できないものであることに気付くはずである。にもかかわらずそのような態度を放送人に求め、または、そのような態度を甘んじて受け入れようとするのは、真の公平さとは何かを考え続けることを放棄し、訴えられた時に裁判で負けない
是枝 裕和 (これえだ ひろかず) 映画監督・テレビディレクター 1962年、東京生まれ。87年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。主にドキュメンタリー番組を演出、現在に至る。 主なテレビ作品に、水俣病担当者だった環境庁の高級官僚の自殺を追った「しかし…」(91年/フジテレビ/ギャラクシー賞優秀作品賞)、一頭の仔牛とこども達の3年間の成長をみつめた「もう一つの教育~伊那小学校春組の記録~」(91年/フジテレビ/ATP賞優秀賞)、新しい記憶を積み重ねることが出来ない前向性健忘症の男性と、その家族の記録「記憶が失われた時…」(96年/NHK/放送文化基金賞)などがある。 95年、初監督した映画『幻の光』(原作 宮本輝、主演 江角マキコ・浅野忠信・内藤剛志)が第52回ヴェネツィア国際映画祭で金のオゼッラ賞等を受賞。2作目の『ワンダフルライフ』(98)は、各国で高い評価
第58回毎日映画コンクール 脚本賞(西川美和)・スポニチグランプリ新人賞(宮迫博之・西川美和) 第25回ヨコハマ映画祭 新人監督賞・最優秀新人賞(宮迫博之) 第28回報知映画賞 助演男優賞(宮迫博之) 2002年新藤兼人賞 優秀新人監督 銀賞 第3回東京フィルメックス コンペティション部門正式出品 第32回 New Directors / New Films 正式出品 第9回サラエボ映画祭 Mr.Howeerd Feinstein's Panorama program 正式出品 第22回バンクーバー国際映画祭 Dragon and Tiger Award for Young Cinema 正式出品 第7回みちのく国際ミステリー映画祭2003 in 盛岡 新人監督奨励賞 製作 : 2002 『蛇イチゴ』 製作委員会 (バンダイビジュアル / エンジンフィルム / テレビマンユニオン / シィ
2004年8月7日公開 是枝裕和監督作品『誰も知らない』オフィシャル・サイト
『幻の光』 でヴェネチア映画祭 金のオゼッラ賞をはじめ数々の賞を受賞した是枝裕和監督の第2作 『ワンダフルライフ』 は、人が死んでから天国へたどりつくまでの7日間というファンタジックな設定の中で、"人にとって思い出とは何か?"という普遍的なテーマを描いた作品です。 死者役として一般の人々が多数登場しているのも大きな見どころの一つ。映画制作の準備を本格的にスタートさせた97年の夏からクランクイン直前までの6ヶ月、スタッフがそれぞれビデオカメラを持ち、老人ホームやとげぬき地蔵、オフィス街の公園、大学のキャンパスなど、様々な場所を訪れ、「ひとつだけ思い出を選ぶとしたら…?」というインタビューを行いました。集めた"思い出" は500。その中から選ばれた10人が本人として映画に登場し、実際の思い出を語っています。 「映画の前半、思い出を語るシーンには、台詞を語る役者、実体験を話す役者、実体験を話す一
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