河出書房の「世界の大思想」や「世界文学全集」、中央公論の「世界の名著」は当時、かなりよく読まれていたシリーズであり、発行部数が数十万になる場合 もあったようだ。それに当時の常識からいえば、480円、690円というのは決して高くはなかった(次項を参照)。当時はいまなら6,000円もするよう な本がよく売れていたのである。 文庫をみると、100頁ほどの薄いものでいまの880円、分厚いものだといまの2,200円にあたる金額だったのだから、ほぼ2倍だったことになる。 『広辞苑』は現在、普及版で8,400円だから、当時は3倍に近かったことになる。 以上から、いまは本が随分安くなっていることが分かる。 書籍の平均価格の推移 出版科学研究所が毎年発行している『出版指標年報』に、「部門別平均価格」の表があり、そのうち「書籍」をみると、新刊、重版、注文品を合計した「出回 り」の平均価格が分かる。たとえば、1