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慶應義塾大学 村田 真 1. はじめに 紙の印刷物を読むことを困難にする障害をプリントディスアビリティという。視覚障害や学習障害はこれに含まれる。 プリントディスアビリティを抱えた人に紙の書籍は読めないが、電子書籍は読める可能性がある。電子書籍なら、その人の特性に応じたやり方で情報を提示することができる。例えば、文字の大きさを変える、色を変える、音声で読み上げることができる。情報の提示方法を工夫すれば読めなかったものが読めるようになることはDAISY教科書などのプロジェクトによって実証されてきた。 アクセシブルな電子書籍によってプリントディスアビリティに対処することは、社会的合意となりつつある。EUが公布したEuropean Accessibility Act(2019)は電子書籍・電子書籍リーダ・電子書店がプリントディスアビリティに対処することを義務付けている。日本の読書バリアフリー法(
聴覚障害者の情報保障について考える 情報保障としての手話と字幕小野康二 「手話通訳者は、あまりがんばらないでほしい」 テレビ番組に手話を付加するとき、私の職場では、手話通訳者にこのようなお願いをします。手話通訳による頸肩腕障害の予防のためではありません。手話通訳者が「がんばる」ことによって、情報保障のレベルが低下することがある、と考えているからなのです。 私の勤務している熊本県聴覚障害者情報提供センターでは、聴覚障害者向けビデオの制作に力を入れており、毎年、自主制作ビデオ、一般の番組に字幕や手話を付加したもの、教材ビデオなど、100タイトル以上のビデオを制作しています。 制作されたビデオは、ビデオライブラリーで貸し出していますが、ライブラリーの利用者に、こんな意地悪な質問をすることがあります。 「情報保障としては、手話と字幕のどっちがいい?」 返ってくる答えの多くは「ろう者には手話、難聴者
公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター 住所:〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 ウェブによるお問い合わせ 日本障害者リハビリテーション協会の会員ブログには、国内外の障害者リハビリテーションに関する記事が多く掲載されています。 Copyright (C) 2007-2023 (公財)日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD) All Rights Reserved.
発達障害のある子に習い事なんて! それよりもまず、日々の生活ができるようにしないと! そう思う人もいるかもしれない。 ユニコは、診断が下る前に、ピアノ教室に行き始めた。 診断が下っていたら、やらせなかったかもしれない。 でも、当時は何も知らず、 習いに行けば、当然できるようになるものと思って、 普通のピアノ教室に入った。 そして大変なことになった。 そもそも手袋を幾重にもつけているような不器用さだから、 指が思うように動かない! つきっきりで、指を1本ずつ、鍵盤に置いてやり、 何度も何度も同じフレーズを繰り返す。 その頃住んでいたマンションの規則で、ピアノの音出しは午後4時から6時までの1日2時間と決まっていたから、 毎日2時間 ひたすらピアノに向かう日々。 ピアノって、親が練習見るものなの? (少なくとも自分は親に教わったことなどない。) でも、できないのだからしかたない。 ユニコは、毎
川崎バス闘争のきっかけをつくったのは私と、私の親友のH氏であった。1970年代後半、私は秋田市に住んでいて、H氏は福島県郡山市に住んでいた。2人とも全国青い芝の会の常任委員を務めていた。川崎にあった全国事務所で、月1回開かれていた常任委員会に出席するため、夜行急行列車で秋田駅と郡山駅から、私とH氏が乗り込んで一緒に行ったものだ。 初めのうちは、全国事務所の近くの駅まで電車を利用していたが、川崎駅から路線バスを利用した方が便利なので2人でバスを利用するようになる。私たちがバスを使っていることが川崎に住む脳性まひ者たちに知られるようになり、みんなでバスを利用するようになっていった。 運転手が車いすの乗客を持ち上げて車内に移動しなければならないので腰を痛めた者もいたのであろう。停留所で待っている車いす使用者がいても、そのまま走り去っていくバスが続出した。車いすの乗車拒否に怒った川崎の脳性まひ者の
障害者の航空機利用の現状と課題今西正義はじめに 障害者の社会参加が広がり旅行や会議へと飛行機を利用する人たちが増えてきています。こうした状況の中で、いままで制限されている飛行機の搭乗人数の見直しの新聞報道がされました。国内の航空会社が万一の時、客室乗務員がすべての乗客の緊急脱出を介助できるよう、健常者よりも手間をとられる歩行や視力に障害がある旅客に対する数を抑えてきたものです。しかし、「搭乗人数制限」の問題は飛行機利用でも氷山の一角で、それ以上に多くの問題を抱えています。飛行機の予約時、空港のチェックインの時、搭乗ゲート、機内で大変な思いを強いられていますが、いままで何も解決されないままきています。 航空機利用時のバリア《車いすの人のバリア》 車いすの人が飛行機を利用する時、通常は航空会社のチェックインカウンターで用意された機内用車いすに乗り移されます。この車いすは、体幹や首の保持が困難な
木島英登 五輪開催の1か月前、トレイル・オリエンテーリング世界選手権に出場するためスコットランドへ。最高気温10度以下の日もあり寒かった。いつも曇り空。太陽が見られたのは1日だけ。それでも現地人は夏が来たと言う。Tシャツになっている人もいて信じられない。 大会を終え、小さなダンディ空港から、ロンドン中心部のシティ空港へ「シティ・ジェット」で飛ぶことにした。宿舎から空港へは歩いて行ける距離。32人乗りの小さな飛行機。設備が無いだろうから、階段を自分で這って乗降することにした。 優先搭乗で最初に案内される。滑走路を歩き飛行機へ。車いすから階段に乗り移り、一段ずつお尻を上げていると、客室乗務員が怪訝(けげん)そうな顔をする。「あなたは乗せられない。歩けない人はダメだ」と言う。手で歩くからいいだろと説明するが、「安全上の理由でダメだ」の一点張り。同行者3人もいるし非常時も大丈夫だろうとも思うが、単
DAISYを開発し、EPUBのアクセシビリティ開発の中心を担う国際DAISYコンソーシアムの理事会を日本DAISYコンソーシアムがホストして東京で開催する機会をとらえて、障害のある児童生徒が使えるアクセシブルなデジタル版教科書について、特に日本に参考になると思われる海外スピーカーから最新の状況の報告を得て、日本においてインクルーシブ教育を推進するための教科書・教材の在り方を探る機会にしたいと思います。 日時:2016年11月18日13:30~16:30 場所:日本財団ビル 大会議室(東京都港区赤坂1丁目2番2号日本財団ビル) 主催:文部科学省委託事業「音声教材の効率的な製作方法等に関する調査研究事業」 日本障害者リハビリテーション協会、日本財団、日本DAISYコンソーシアム 後援:一般社団法人教科書協会、日本電子出版協会、ICT CONNECT 21 会議言語:日本語および英語(日英同時通
星野敏康 デイジーとはシステムのこと デイジーとは「視覚障害者が聞く録音図書のこと」だと思っていませんか? 間違いではありませんが、それではデイジーの一部分しか説明したことになりません。具体的にどんなものなのか、どのような場面で活用されているのか、意外に知られていないデイジーについて紹介しましょう。 デイジー(DAISY)は、「Digital Accessible Information SYstem」(アクセシブルな情報システム)の略です。主に視覚障害者が利用してきた経緯はありますが、より幅広い場面で情報をアクセシブルにする「システム(規格)」として、世界50か国以上で採用されている国際標準規格です。CD-RやUSBメモリといったメディアを指す言葉ではありません。 デイジーは国際共同開発機構デイジーコンソーシアムによって開発と維持が行なわれ、今も進化を続けています。デイジーという規格で作
鈴木雅子 青い芝の会とは、今から55年前に結成され、現在も活動を続けている脳性マヒ者の当事者団体である。この会は、重症児殺し告発運動、優生保護法改定反対運動、川崎駅前バス占拠闘争など、1970年代の激しい差別告発運動により、広く世に知られるようになった。その激しさゆえに「過激集団」と呼ばれることもあったが、近年の研究によって、その運動のプラス面が正当に評価されてきたといえる。しかしその反面、1957(昭和32)年の会結成から1960年代末までの運動は忘れられがちで、その歴史が正しく伝えられてきたとは言い難い。そこで今回は、1960年代以前の運動とその担い手たちを取り上げてみよう。 青い芝の会は、東京都大田区に住む高山久子、金沢英児、山北厚の3人の脳性マヒ者によって、1957年11月に結成された。3人は、1932(昭和7)年に開校された日本最初の公立肢体不自由学校、東京市立光明学校(現・都立
1000字提言「健康な社会」とは何か市野川容孝 つい先日、職場で健康診断があって、「軽度の高脂血症を認めます」という所見を頂戴した。総コレステロールの数値が、正常値「150~219」のところ、「222」だったからだ。私たちが通常、抱いている「健康」のイメージは、境界をもったある域内(たとえば正常値)に行儀よく収まっていること、あるいは1日3回の食事、8時間の睡眠という規則正しい生活を送っていることだろう。その逆に、「病気」とは、境界からはみ出ること、不規則な生活としてイメージされる。 しかし、科学哲学のG・カンギレムは、健康や病気に関する私たちのこうした常識を根本から揺さぶる。カンギレム曰く「健康を特徴づけるものは、一時的に正常と定義されている規範をはみでる可能性であり、通常の規範に対する侵害を許容する可能性、または新しい場面で新しい規範を設ける可能性である」(『正常と病理』法政大学出版会
「青い芝の会」と絶望の哲学 ―横田弘詩集『まぼろしを』― 荒井裕樹 横田弘。主に1970~80年代に、何らかの形で「障害者問題」に関わったことのある者であれば、この名前に特別な感慨を抱くのではないだろうか。特に彼が率いた団体「日本脳性マヒ者協会青い芝の会神奈川県連合会」(以下「青い芝の会」と表記)の強烈な印象と相まって、市民運動の熱い季節の記憶が彷彿(ほうふつ)としてよみがえることだろう。 本誌の読者には、あらためて「青い芝の会」について説明する必要もないだろう。同会は街頭カンパニアや座り込み、また時には実力行使も辞さない強硬な態度によって、社会に多大な衝撃を与えた脳性麻痺者らによる運動団体である。「青い芝の会」は全国各地に支部を持ち、それぞれに主義や主張が異なるため、このように一括りにして説明することに抵抗がないわけではない。しかし60年代には穏健な親睦団体だった同会が、日本の障害者運動
まちづくりから交通アクセスへ 当事者運動の流れ大須賀郁夫1 車いすがまちへ出てきた 障害者の側からまちづくり運動が始まったのは、一九七〇年代初頭からと言ってよいだろう。「まちへ出よう!」と声を上げ始めた障害者や応援するボランティアたちがまちの点検活動を始め、段差解消やスロープ化、車いすトイレの設置などを求める活動が各地で展開されるようになった。 一九七三年仙台で開催され、その後二年ごとに開催されてきた「車いす市民全国交流集会」は、そうした運動の先駆けとなった。 一九六〇年代後半から七〇年代初頭にかけて、プライバシーや自由が制限され、非人間的対応がまかり通る施設での生活、大人になっても一人前に扱われず家族の厄介者として暮らす在宅の生活、憐れみと恩恵の福祉、そうした状況に対して、障害者の自立と人権の確立を求める運動がふつふつとわき上がり、日本での自立生活運動の流れと「まちへ出よう」という行動を
細田満和子 DALYとは「障害調整生存年数(DALY:Disability-Adjusted Life-Years)」は、1990年代初めにハーバード大学のクリストファー・マーレー教授らが開発した、障害の程度や障害を有する期間を加味することによって調整した生存年数のことである。1990年代半ばには、WHOや世界銀行が、これまでの平均寿命とは異なる、疾病や障害に対する負担を総合的に勘案できる指標としてDALYを公表し、近年、世界的に注目されてきつつある。 それではいったいDALYは、どのように導き出されているのだろうか。DALYは、「早死にすることによって失われた年数(YLL:The Years of Life Lost)」と、「障害を有することによって失われた年数」(YLD:The Years Lost due to Disability)」を足すことで算出される(図1)。 図1 この場合
図書館における合理的配慮 -障害者差別解消法施行に向けて- 河村 宏 1.障害者差別解消法と図書館の障害者サービス 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)の実施日である2016年4月1日が近づくにつれて,同法が規定する差別の解消をそれぞれの図書館で具体化するための検討が慌ただしくなっています。 この法律は突然外からやってきた「黒船」ではなく,「“図書館利用に障害のある人たち”に対するサービス」を全国的な調整のもとにすすめるため1)に設置された日本図書館協会障害者サービス委員会等の活動を通じて,日本の図書館も間接的にその成立に貢献しています。 40年近い歴史を持つ障害者サービス委員会は,障害者サービスの実践に関わる図書館員が館種を越えて参加し,好事例と解決すべき課題について情報を共有すると共に,著作権法改正やDAISYの国際共同開発など,顕著な成果を
「障害者の権利に関する条約」批准と今後の図書館サービス -障害当事者が参加する図書館サービスに向けて- 太田順子 1.はじめに 障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約)は,「障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し,障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として,障害者の権利の実現のための措置等について定める条約」で,2006年12月13日に国連総会において採択され,2008年5月3日に発効している。日本は2014年1月20日に批准書を寄託したため,30日目にあたる2014年2月19日に日本について効力を生じている。 日本は,障害者権利条約の批准に向けて,障害者基本法の改正(2011年8月),障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(略称:障害者総合支援法)の制定(2012年6月27日公布,2013年4月1日施行),障害者雇用促進法の改正(2013年6月19日公
目次 第1 趣旨 1 障害者差別解消法の制定の経緯 2 法の基本的な考え方 3 本指針の位置付け 4 留意点 第2 不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 1 不当な差別的取扱い (1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方 (2)正当な理由の判断の視点 (3)具体例 2 合理的配慮 (1)合理的配慮の基本的な考え方 (2)過重な負担の基本的な考え方 (3)具体例 第3 関係事業者における相談体制の整備 第4 関係事業者における研修・啓発 第5 文部科学省所管事業分野に係る相談窓口 第1 趣旨 1 障害者差別解消法の制定の経緯 我が国は、平成19 年に障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)に署名して以来、障害者基本法(昭和45 年法律第84 号)の改正をはじめとする国内法の整備等を進めてきた。 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25 年法律第65 号。以
高橋正雄 1870年から1872年にかけて書かれたドストエフスキーの『悪霊』1)は、当時のロシア社会を震撼させたネチャーエフ事件という、革命組織を名乗る学生グループの中で起きた殺人事件を素材にした小説であるため2)、革命思想との関係で論じられることが多いが、主人公の青年スタヴローギンには幻覚患者としての側面も見られるため、ドストエフスキーの精神障害観を考える上でも興味深い作品である。 1 幻覚患者としてのスタヴローギン将軍の息子として生まれたスタヴローギンは、父親と別居後の母親の寵愛を一身に受けて育った一人息子である。スタヴローギンは極めて優秀な美青年で物腰も洗練されていたが、しかし彼には「何となく嫌悪を感じさせるようなところ」があった。彼は、客観的には恵まれた状況にありながら、毎日を物憂げに気難しそうな様子で暮らしていただけでなく、競走馬に乗って人を踏み倒すとか、衆人環視の前で貴婦人を侮
発達障害のある大学生・ユニコさんを育ててきたお母さんが、 これまでの子育てを振り返り、想いをつづる、全25回のシリーズです。 「はじめに」より 発達障害のある子どもとの暮らしには、さまざまな苦労や悩みがつきもの。 誰にも言えない、わかってもらえないと、つらい思いをしている家族の皆さん、そして、そんな子どもたちと家族を支えてくれている皆さんに向けて、発達障害の子どもを持つ母親が、これまでの子育てを振り返り、想いをつづります。 「先が見えない子育てですが、発達障害があっても、必ず子どもは育ちます。ユニコのように」
文学にみる障害者像落語『一眼国』にみる障害者観小野隆 落語は文学なのかな、という問いに対して碩学の花田春兆氏が「書かれたものだけが文学ではないよ」と応じられた。そんなことから落語の演題の中から『一眼国』を捜した。もちろん、林家正蔵(のちの彦六)のものはラジオ時代に聞いたことはある。話の顛(てん)末は覚えているが、細部を、という段になると、これがやはり書物に頼らざるを得ない。筑摩書房から『古典落語正蔵・三木助集』が出ていた。 噺(はなし)は文化文政頃に作られたもののようで、この頃には、「大入道」「三本足の女」「首なし」などが盛んに高座で演じられていたというから、科学と合理主義で固められたような今日では、考えられない新奇の眼と好奇心で、江戸の住人衆は接したことだろう。 当時、すでに隅田川に両国橋が架けられていて、橋のたもとの両国広小路には芝居小屋、軽業小屋、見世物小屋、講釈場などが建ち並び、食
野邑 健二 (名古屋大学 発達心理精神科教育センター 准教授) 辻井●では、引き続き、野邑先生お願いします。 野邑●名古屋大学の野邑です。よろしくお願いします。 僕のお題は、親御さん、特にお母さんの精神的健康についての問題で、特に抑うつ状態 について調査をさせていただいています。それについてご報告したいと思います。 パンフレットの2 ページをご覧下さい。1990 年くらいから、広汎性発達障害の子どもの ご家族、特に親御さんに、かなり高い率で気分障害、うつ病が発症するということが言わ れています。広汎性発達障害の子どもを出産する以前から発症することもあるなどいろい ろ言われています。もう一つは、僕は児童精神科医ですので、発達障害の子どもさんのケ ースをずっと見ていますけれども、ほかの、統合失調症とかADHD とか、いろいろなほかの 精神障害の子どもさんも今まで見てきましたけれども、特に広汎性
ギュンター・グラス著『ブリキの太鼓』 ―太鼓によって語られる「過去」杉山雅彦 『ブリキの太鼓』は1959年に発表された、ギュンター・グラスの処女作である。1927年、ダンツィヒ(現在のポーランド領ダグニスク)に誕生した作者の自伝的要素が強く、後の『猫と鼠』、『犬の年』と合わせて「ダンツィヒ3部作」と呼称されている。ダンツィヒは、第一次世界大戦以後、ドイツから分離され、国際連盟の管轄下にあった国際都市であり、ロシア人、ドイツ人、ポーランド人、そしてさまざまな少数民族の混在する自由都市であった。 グラスはドイツ人の父と少数民族の一つ、カシューブ人の母を持ち、親戚にはポーランド人が多かった。この生い立ちは主人公オスカル・マツェラートにそのまま踏襲されている。発表当時には、人物造形、難解な構成、性を含むグロテスクな描写などの要素から、ドイツの文壇では否定的な見解が多かったが、その後見直され、海外に
ホーム > 情報アクセス > 世界の図書館の障害のある人へのサービス > 矯正と図書館サービス連絡会・第1回研究会 「少年院・少年鑑別所の読書環境~全国調査から見えてきたこと~」の概要報告 矯正と図書館サービス連絡会・第1回研究会 「少年院・少年鑑別所の読書環境~全国調査から見えてきたこと~」の概要報告 井上奈智 矯正と図書館サービス連絡会1)は,矯正施設と図書館との連携充実や,矯正施設内の読書環境整備を目的として,2010年9月に発足した任意団体である2)。図書館員や矯正施設関係者のほか,出版関係者や刑事政策の研究者等で構成されている3)。現時点でおよそ70名の会員が所属している。 最近の活動としては,2014年11月1日に,明治大学において,第100回全国図書館大会公募型分科会「試してみよう!絵本の「読みあい」:「読みあい」が生み出す不思議なチカラを体験する」を開催した。ノートルダム清
日時:2014年10月18日(土)13時~14時30分 場所:調布市教育会館 テーマ:デジタル教科書の固定レイアウトについて 講演者:JEPA 村田 真 スライド掲載:http://www.slideshare.net/JEPAslide/murata-fxl (スライド1 テキスト) 村田 まず、私はどんな人かというのを最初にお話ししておきます。私は皆さんと違って、アクセシビリティの専門家ではありません。聞きかじり程度です。偉そうな顔をして教育に関わっていますけど、教育の専門家でもありません。実は家内は英語の先生をしていまして、今日もデジタル教育なんかいかに役に立たないか、1時間ぐらい説教されました。私はXMLに基づく、文書フォーマットの標準化の専門家です。今、特に皆さんが興味をお持ちのところでいうと、EPUBおよびEDUPUBの制定に関与しています。特にIDPFでAdvanced Hy
小特集/著作権法改正と障害者サービス 『愛のテープは違法』から35年-ついに認められた図書館での録音図書サービス- 望月 優 2010年1月施行(2009年6月公布)の著作権法改正により,図書館等施設において録音図書の製作等の障害者サービスが著作権者の許諾なしに大幅に行えるようになりました。これは,図書館において障害者の読書権が一般の人たちと平等に扱われるようになったことを意味する画期的な出来事です。 1.著作権問題の発覚と解決に向けた取り組み 1975年1月に『愛のテープは違法の波紋』と題する読売新聞の記事で,日本文芸著作権保護同盟が文京区立小石川図書館の録音サービスにクレームをつけたことが報じられ,当時始まったばかりの公共図書館における視覚障害者向けの録音サービスに衝撃が走りました。 図書館における録音図書製作による障害者サービスは,1970年以後に始まりました。戦前に制定された旧著作
*掲載者注:国際図書館連盟(IFLA)が年次大会において発表 2014年8月に出されたリヨン宣言は、英語で記されている。したがって、英語版を普及させることとする。 国際連合は、ミレニアム開発目標に続く新たな開発課題の策定を進めている。この課題は、人々の生活を向上させるアプローチについて、すべての国に指針を示し、2016年から2030年までに達成すべき一連の新しい目標の概要を説明するものとなる。 我々、下記署名者は、情報通信技術(ICT)の利用可能性に支えられた、社会全体における情報および知識へのアクセス増進が、持続可能な開発を支援し、人々の生活を向上させると信じている。 それゆえ我々は、国際連合の加盟国に対し、すべての人が持続可能な開発と民主的な社会の促進に必要な情報へのアクセスを持ち、これを理解し、共有できるようにすることを目的とした、2015年以降の開発課題の採用という国際的なコミット
アゴタ・クリストフ著 『悪童日記』三部作桐山直人 作者アゴタ・クリストフは1935年ハンガリー生まれ。子ども時代をオーストリア国境に近いクーセグ市で過ごし、1956年ハンガリー動乱の折に西側に亡命し、スイスのヌーシャテルに住む女性である。 『悪童日記』は、場所・時代・登場人物の名などを外して書かれている。状況から読み取ると、時代は第二次世界大戦末期から戦後、場所はオーストリア国境がすぐ近くにせまる老女の家である。そこに双子の男の子がブタペストから疎開してくる。二人は老女の下で農作業を覚え、盗みや恐喝で金を得る。殺人未遂、放火などを行い、一方で貧しい隣家の障害母娘に食物を届けて生活を助ける。戦時下・占領下、過酷な状況で二人で力と知恵を合わせて生き延びるための行動であった。9歳から15歳までの数年間の物語である。 第二作『ふたりの証拠』で名前が示される。前作で双子の一人クラウスは地雷が埋まる国
平成14年に文部科学省が実施した全国実態調査においては、小学校及び中学校の通常の学級において、知的発達に遅れはないものの学習面で著しい困難を示すと担任教師が回答した児童生徒の割合は、4.5%あると報告されています。 *文部科学省のホームページより(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/018/toushin/030301i.htm) その中でも通常の教科書では読むことが困難な児童、生徒に、2008年の9月よりマルチメディアデイジー教科書を提供を始めました。 現時点では以下のような提供生徒数となっております。(随時更新は行なっていきます。) このDAISY教科書が少しで読むことに関しての負担軽減、関心、興味をもつといったことの一助なればと思っています。 <2014年9月11日現在>
改正障害者基本法<わかりやすい版> 内閣府 障がい者制度改革推進会議 平成23年12月発行 1 障害者基本法の改正 障害者基本法は、障害のある人に関係する一番大切な法律です。障害者基本法は、障害のある人の法律や制度について基本的な考え方 を示しています。 その障害者基本法を新しくして、改正障害者基本法をつくることを決めたのは、障がい者制度改革推進本部(つぎからは「推進本部」といいます)です。推進本部は、内閣総理大臣をトップにすべての大臣をメンバーとして内閣(国の行政を行うところ)に平成21年(2009年)12月につくられました。推進本部の目的は、日本の法律や制度 を国連の「障害者の権利条約」の考え方に合わせて変えていき、日本の障害のある人が暮らしやすくすることです。 国連の障害者の権利条約とは、障害のある人の権利を守るという国の約束です。障害者の権利条約は、「私たちに関係することを決める時
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