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今年の「かわいい」
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中国の昨年2023年の出生人口は902万人。今世紀以降のピークだった2016年の1786万人から、わずか7年間で約半分に減った。 この事実が与える影響は甚大だ。中国社会ではこれから数十年かけて幼稚園から小・中学校、高校・大学への進学、新卒就職、結婚・出産など、人の生活にかかわる、さまざまなイベントが順番に「7年で半分」のペースで縮小していくことになる。 出生数急減の背景には、出産や子育て、進学などの費用の高さに加え、子供を育てやすい社会・労働環境の不足などの問題がある。しかし、それ以上に大きいのは、政府の人口政策に対する庶民の不信感だ。ついこの間まで非人道的と思われるまでの措置を講じて子供の数を減らしてきたのに、いつの間にか「出生数の減少は国家的危機」と、多産奨励の方向に転じた。国策としての「計画生育」は破綻したのに、政策の過ちを認める様子もない。過去に泣く泣く出産を断念した親たちの思いは
田中 信彦 氏 ブライトンヒューマン(BRH)パートナー。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科(MBA)講師(非常勤)。前リクルート ワークス研究所客員研究員 1983年早稲田大学政治経済学部卒。新聞社を経て、90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング活動に従事。(株)リクルート中国プロジェクト、ファーストリテイリング中国事業などに参画。上海と東京を拠点に大手企業等のコンサルタント、アドバイザーとして活躍している。近著に「スッキリ中国論 スジの日本、量の中国」(日経BP社)。 中国越境EC「四小龍」 中国には越境ECの「出海四小龍」(以下、「四小龍」という)という言い方がある。 中国EC最大手のピンドゥオドゥオ(拼多多)が手がけるTemu(“Tee-moo”と発音する)、アリババグループのAliExpress(全球速賣通)、女性ファッションが主力のSHEIN
水素自動車の普及に中国が本腰を入れ始めた。 その背景には、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及が進んできたことがある。発電量が自然条件に左右されやすい再生可能エネルギーの弱点を補うため、発電した電気を水素に変えて貯蔵する。その手法の有効性が認知されてきたことで、再生可能エネルギー利用の「出口」としての水素自動車の存在感が高まってきた。 政府の後押しを受け、中国各地では商用車を中心に水素自動車の関連産業が続々と立ち上がり始めている。個々の技術レベルでは先進諸国とは差があるとされるが、国内市場の大きさを背景に、さまざまな企業が果敢に新製品を開発し、市場が急拡大する中国的「野蛮な成長」のパワーはEVでも実証済みだ。 中国の自動車関連SNSでは昨今、「EV派」と「水素派」がクルマの将来像をめぐって激論を闘わせている。中国社会の水素自動車に対する視線は大きく転換しつつある。 今回はそんな話をしたい
「どうして中国にはこんなにカネがあるのか」。これは多くの人から受ける質問である。その答えはひとつではないが、最も大きな理由は、国家そのものの仕組みの違い、中でも土地に関する制度の違いにある。 中国の土地は事実上、すべて国家のものである。つまり国や地方政府は、いわば全土の大地主であり、その土地の「使用権」を売ることで莫大な利益を上げてきた。あらゆる権能を手にした「一党専政」の政府が自ら不動産デベロッパーになったのと同じで、儲からないはずがない。いわば無尽蔵のカネが湧いてくる「打ち出の小槌」を手にしたようなものだ。 その利益で中国政府は立派な高速道路や鉄道網などのインフラを造り、それらをテコにもう一段、経済を成長させ、さらなる土地の値上がりが実現する。そういうサイクルを実現し、成長してきたのが中国である。 しかし、広い中国とはいえ、土地は詰まるところ有限である。切り売りには必ず終わりが来る。過
車載バッテリーの世界市場でトップのシェアを握り、昨年度の純利益は対前年比9割増と急成長する中国企業、CATL(寧徳時代新能源科技、福建省寧徳市)に注目が集まっている。時価総額でも一時、アリババや国有銀行などを追い抜いて中国最大に上り詰め、「どこまで成長するか見当もつかない」との声が上がるほどの圧倒的な存在感を示している。 しかし、基本的にB to B(企業間取引)の業態であること、表舞台で脚光を浴びることを好まない社風もあって、その成り立ちや成長の背景はあまり広く知られていない。EV車載電池の主戦場が中国国内からグローバルに広がる中、政府との関係を明確にする必要にも迫られている。 CATLの成長プロセスは、実は日本企業との因縁も深い。今回はCATLの成長にまつわるストーリーから企業と国家との関係などについて考えてみたい。 田中 信彦 氏 ブライトンヒューマン(BRH)パートナー。亜細亜大学
対話型AI(人工知能)、ChatGPTに世界の注目が集まっている。中国もその例外ではないが、多くの国々と異なるのは、中国には、自らが米国と肩を並べるAI大国「である」もしくは「になる」との自負があり、ChatGPTのニュースに無関心ではいられないからだ。 見方は立場によって人それぞれだが、現時点でのChatGPTに対する中国国内の受け止め方は、ビジネス面での期待は強いものの、すぐに大きな商売になる感じは薄く、今ひとつ盛り上がりに欠ける。また「AI大国」としては、ChatGPTの予想以上の進化ぶりに、米国(というよりグローバル社会)との実力差を実感させられ、衝撃を受けているかにみえる。 その背景には、中国のAI企業が主に国内の中国語環境を念頭に事業を構想しているのに対し、ChatGPTは当然のごとく、中国語も含む世界全体を前提にしているという現実の違いがある。ChatGPTの登場を期に、ます
中国の民営企業に対する政治主導の色彩がにわかに強まりつつある。 もともと中国は「一党専政」の執政党である中国共産党がすべてを指導する体制の国ではある。しかし、経済発展を最優先する改革開放政策のもと、これまで民営企業に対する政治的指導は基本的に間接的な形にとどまってきた。 しかし、ここへ来て「党による政治的指導」が直接的な形で制度化され、民営企業のガバナンスに直接の影響を与える政策が実施され始めている。 加えて、そこには「中国版ESG」の概念の導入という形で、国有、民営を問わずすべての企業の経営を国家の政策に沿う形に誘導、監督していこうという政治の意志が働いている。 「中国版ESG」とは何を目指し、民営企業のガバナンスはどのような形になろうとしているのか。今回はこのあたりの話をしたい。 田中 信彦 氏 ブライトンヒューマン(BRH)パートナー。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科(MB
田中 信彦 氏 ブライトンヒューマン(BRH)パートナー。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科(MBA)講師(非常勤)。前リクルート ワークス研究所客員研究員 1983年早稲田大学政治経済学部卒。新聞社を経て、90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング活動に従事。(株)リクルート中国プロジェクト、ファーストリテイリング中国事業などに参画。上海と東京を拠点に大手企業等のコンサルタント、アドバイザーとして活躍している。近著に「スッキリ中国論 スジの日本、量の中国」(日経BP社)。 アリババ、京東(JD)を圧倒する伸び率 コロナ禍の行動制限などで低迷する中国経済にあって、EC大手、ピンドゥオドゥオの好業績が目立っている。同社の2022年7~9月の第3四半期決算は、売上高355億元(1元20円換算で約7100億円)と前年同期比65.1%増を記録。純利益124億470
中国で、個人間の競争を強めるばかりの従来の働き方を見直して、ゆとりある生活を実現し、国民の幸福感を高めようという動きが目立ってきた。いわば中国版「働き方改革」が始まっている。 社会は豊かになり、教育水準は大きく向上、スマートフォン時代の到来で情報の流通は飛躍的に増えた。商品やサービスに対する人々の要求は高くなる一方。市場は同質化、均質化が進み、競争は激しくなるばかりだ。しかし、必死で働いても給料は上がらない。労働時間ばかりが伸びていく。そんな状況にコロナ禍が追い打ちをかけた。 働く人々の間では将来への不安と閉塞感が強い。このあたりでそろそろ軌道修正して、働き方を見直さなければならない。そんな意識が広がっている。政府も「共同富裕」の実現を目指して、格差の是正に本腰を入れている。 ※資料画像。本文の内容とは関係ありません 成長の鈍化によって大きな転換点を迎えている中国で、中国版「働き方改革」は
トップ 連載 次世代中国 田中 信彦 中国発EC「Shein(シーイン)」は「究極のビジネス」か? 「売れる商品」を特定し、速く、安くつくる仕組み 次世代中国 一歩先の大市場を読む 中国発EC「Shein(シーイン)」は「究極のビジネス」か? 「売れる商品」を特定し、速く、安くつくる仕組み カジュアルウェアや雑貨などを中心とした中国発のECアプリ「Shein(シーイン)」が米国市場などを中心に爆発的な成長を遂げている。 ファッション性の高い商品を驚異的な低価格で販売。すでに米国ではアプリのダウンロー ド数でAmazonを上回り、Z世代(1990年代中盤~2000年代生まれ)のデジタルネイティブの間で圧倒的な知名度と使用率を誇る。推定時価総額は1000億米ドルを超えた。 その成長のカギは2つだ。①AIを駆使し、世界で「売れる商品」をローコストで迅速に特定する、②その特定した商品を多品種少量、
次世代中国 一歩先の大市場を読む 方向転換する中国の自動運転 「クルマ単体」から道路、社会と一体化した「車路協同」へ 自動運転技術の進化にともない、中国の政府や企業が自動運転に取り組む方向性の変化が明確になってきた。一言でいえば、クルマ単体での自立した自動運転の実現を目指す姿勢から、「道路の智能化」を加速し、クルマと道路が一体となった「車路協同」路線への転換である。 その背景には、米国を中心に広がってきた「クルマ単体」での完全な自動運転の実現を目指す動きが、なかなか商業化のメドが見えないという状況がある。その点、道路を中心とした社会インフラの整備は、中国の政治体制、メーカーと政府の協力関係など、自国の強みを活かしやすい。早期の社会実装による効果が大きく、営利化が見込めるとの読みがある。 さらに言えば、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)ですべてのモノが情報ネ
田中 信彦 氏 ブライトンヒューマン(BRH)パートナー。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科(MBA)講師(非常勤)。前リクルート ワークス研究所客員研究員 1983年早稲田大学政治経済学部卒。新聞社を経て、90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング活動に従事。(株)リクルート中国プロジェクト、ファーストリテイリング中国事業などに参画。上海と東京を拠点に大手企業等のコンサルタント、アドバイザーとして活躍している。近著に「スッキリ中国論 スジの日本、量の中国」(日経BP社)。 自社開発の新型バッテリーをテスラに供給 ロイター通信(日本語版)は6月8日、上海発の記事で「中国の電気自動車(EV)大手BYD(比亜迪)は、米同業テスラに“間もなく”バッテリーを供給する準備を進めている。廉玉波・執行副総裁が8日公開された国営メディアとのインタビューで明らかにした」と伝
中国で最近、iPhone13が爆発的に売れている。今年第一四半期(2022年1~3月)には、中国のスマートフォン(以下スマホ)売上高のトップに躍り出た。iPhoneは以前から人気はあったが、それはあくまで高級機種としての評価であり、スマホ全体の売上高で首位に立つのは初めてだ。 iPhoneは世界的な人気商品だから中国で売れても不思議はないと言えばそうだが、少し考えてみると、これは興味深い現象である。 スマホは中国が世界に誇る「看板産業」の一つであり、販売台数で中国製は世界No.1だ。その多くが中国国内で造られている。にもかかわらず、自国では、最も売れるのが米国生まれのiPhone13だという。これはなぜか。まして昨今、中国の政権党や政府は、「国産品愛用」を声高に唱えてきたのではなかったか。 そこには複雑な要因があるが、根底には、中国の製造業をめぐる構造的な課題が横たわっている。今回はこんな
ロシアのウクライナ侵攻で、ロシアとヨーロッパをつなぐ天然ガスパイプラインの存在が注目されている。バルト海経由でロシアとドイツを結ぶ新たな天然ガスパイプライン網「ノルドストリーム2」が凍結されたことは世界に衝撃を与えた。 一方、地理的にユーラシア大陸の反対側に位置する中国は、世界一の天然ガス輸入国である。ロシアの東シベリアとは天然ガスパイプラインでつながり、天然ガスの輸入量は着実に増大している。従来、ヨーロッパに送られていた天然ガスを中国が代わりに輸入し、「漁夫の利」を得るのではないかとの見方もある。 現実のところはどうなのか。中国の天然ガス確保の構図はどのような状況になっているのか。今回はそのあたりの事情を考えてみたい。 田中 信彦 氏 ブライトンヒューマン(BRH)パートナー。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科(MBA)講師(非常勤)。前リクルート ワークス研究所客員研究員 19
小池 良次 氏 商業無人飛行機システム/情報通信システムを専門とするリサーチャーおよびコンサルタント。在米約30年、現在サンフランシスコ郊外在住。情報通信ネットワーク産業協会にて米国情報通信に関する研究会を主催。 商業無人飛行機システムのコンサルティング会社Aerial Innovation LLC最高経営責任者 国際大学グローコム・シニアーフェロー 情報通信総合研究所上席リサーチャー 一般公開飛行を狙うJoby Aviation社 22年1月、Joby Aviation社は、FCC(連邦通信委員会)にサンフランシスコ湾岸部での試験飛行にともなう電波利用申請を行った。S4の飛行経路はゴールデンゲート橋、アルカトラズ島、ベイブリッチなどの観光ポイントを望む飛行(2ルート)で、実現すれば広く一般市民の眼に触れる公開飛行となる。 2024年からロサンゼルス市、マイアミ市、ニューヨーク市、サンフラ
人名を検索すると遭遇する「あの人検索 SPYSEE」。2000年代からWEBに触れている方であれば、覚えている方も多いだろう。検索した人物と、関連性の高い人物をネットワーク図で表示する2008年にスタートしたサービスだ。当時注目されていたセマンティック・ウェブ技術を活用し、「知識グラフ(ナレッジグラフ)」のかたちで人物関係を表現した先進的な取り組みだった。本サービスは終了し、いったんは下火となったかに見えるこの知識グラフだが、いま再び注目されようとしているという。 SPYSEEの開発に関わった筑波大学准教授 岡 瑞起氏は、ウェブサイエンスや人工生命の研究で数々の成果を挙げる気鋭の研究者だ。産学連携にも積極的に取り組み、さまざまなサービスを生み出している。知識グラフには、今後どのような可能性があり得るのか。かつて大学で交流のあったNECの研究者 星野 綾子が詳しく話を聞いた。 組織の「空気」
田中 信彦 氏 ブライトンヒューマン(BRH)パートナー。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科(MBA)講師(非常勤)。前リクルート ワークス研究所客員研究員 1983年早稲田大学政治経済学部卒。新聞社を経て、90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング活動に従事。(株)リクルート中国プロジェクト、ファーストリテイリング中国事業などに参画。上海と東京を拠点に大手企業等のコンサルタント、アドバイザーとして活躍している。近著に「スッキリ中国論 スジの日本、量の中国」(日経BP社)。 150の教室を閉鎖、8万組の机と椅子を農村に寄付 中国で今年7月、政府が出した突然の「宿題、学習塾禁止令」(「双減」政策)によって、教育関連の民営企業が存亡の危機に追い込まれている。 最大手の新東方(新東方教育科技集団)は11月初め、校外補習(学習塾)を展開していた全国1500ヵ所を閉
田中 信彦 氏 ブライトンヒューマン(BRH)パートナー。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科(MBA)講師(非常勤)。前リクルート ワークス研究所客員研究員 1983年早稲田大学政治経済学部卒。新聞社を経て、90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング活動に従事。(株)リクルート中国プロジェクト、ファーストリテイリング中国事業などに参画。上海と東京を拠点に大手企業等のコンサルタント、アドバイザーとして活躍している。近著に「スッキリ中国論 スジの日本、量の中国」(日経BP社)。 新型コロナ感染症が世界的に沈静化の傾向を見せ始めたことで、中国政府が堅持している「ゼロコロナ政策」の今後に注目が集まっている。 周知のように、中国は「国内に新型コロナウイルスの存在を許さない(零容認=ゼロコロナ)」方針を掲げ、その実現のための厳格な措置を実行している。その政策は、おおむ
田中 信彦 氏 ブライトンヒューマン(BRH)パートナー。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科(MBA)講師(非常勤)。前リクルート ワークス研究所客員研究員 1983年早稲田大学政治経済学部卒。新聞社を経て、90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング活動に従事。(株)リクルート中国プロジェクト、ファーストリテイリング中国事業などに参画。上海と東京を拠点に大手企業等のコンサルタント、アドバイザーとして活躍している。近著に「スッキリ中国論 スジの日本、量の中国」(日経BP社)。 身の丈を知って満足する時代 中国で7月、政府が出した事実上の「宿題、学習塾禁止令」が波紋を呼んでいる。小中学生を対象に、小学校1~2年生に対しては宿題を禁止、他の学年でも宿題の量を厳しく制限するほか、学習塾も新規開設および営利目的の活動は禁止、非営利団体としてのボランティア活動しか認め
フリマアプリの利用が中国でも急速に伸びている。 中国には以前から中古車をはじめ、スマートフォン(以下スマホ)やパソコンなどの情報機器、ブランドもののバッグや服などの商品を扱うリサイクルのビジネスは存在した。しかし売り手の開示する情報が十分でなく、しかも中身が信用できるか疑わしい状況(「レモン市場」と呼ばれる。後述)がネックとなり、中国の中古品のビジネスは、成長はしつつも、そのスピードは遅かった。 しかし、ここへ来て個人対個人の取引を主軸に据えたフリマアプリが、年間に日本円で数兆円の取扱高に拡大、人々の日常的なツールになるまでに成長してきた。そこには中国社会の大きな変化がある。フリマアプリの成長の背景には何があるのか。中国は「レモン市場」から脱却できるのか。今回はそんなことを考えてみたい。 対前年比42%の伸び 中国の中古品のインターネット取引の市場は急速に拡大している。統計によると、202
田中 信彦 氏 ブライトンヒューマン(BRH)パートナー。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科(MBA)講師(非常勤)。前リクルート ワークス研究所客員研究員 1983年早稲田大学政治経済学部卒。新聞社を経て、90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング活動に従事。(株)リクルート中国プロジェクト、ファーストリテイリング中国事業などに参画。上海と東京を拠点に大手企業等のコンサルタント、アドバイザーとして活躍している。近著に「スッキリ中国論 スジの日本、量の中国」(日経BP社)。 出生数は対前年比18%の減少 中国国家統計局は5月11日、2020年に実施した中国版国勢調査「全国人口普査」(10年ごとに実施)の結果を発表した。それによると、2020年の出生数は1200万人で、前年の1465万人から18%の大幅減。総人口(台湾、香港、マカオは含まず)は14億1178
近年、中国でも花見の習慣が急速に広まりつつある。 もちろん中国にも花を愛でる習慣は古くからあったが、春の花見という行事として定着してきたのは、長くみても今世紀に入って以降、多くはこの10年ほどのことである。 その背景には社会の富裕化があり、スマホ社会の到来がある。そしてより直接的なきっかけとして日本の影響がある。サクラという本来は野生の植物を日本は自国風にアレンジして改めて海外に送り出した。中国は日本を通じて桜の意味を再発見したと言ってもいい 今回は桜の花をめぐる昨今のできごとから中国社会の変化について考えてみたい。 「クラウド花見」を7億5000万人が視聴 統計によると、花見など桜に関連する中国の行楽客はのべ3億4000万人(2019年)に達し、関連の消費支出は600億元(1元は約17円)を超えた。旅行以外にも「さくらフレーバーのコーヒー」とか「さくら味のソフトクリーム」など食品や菓子な
次世代中国 一歩先の大市場を読む 中国版GPS「北斗」の完成で加速する「万物互聯」(IoE) 激変する「中国的統治」のしくみ すべてのモノやヒトがインターネットにつながる時代を見据え、精度の高い位置情報の重要性が高まっている。この面で昨今、中国の進化ぶりが著しい。 中国版GPSとも称される「北斗」衛星測位システムの完成で、高度な位置情報を活用したさまざまなサービスが各地で続々と立ち上がり始めた。IoT(Internet of Things=モノのインターネット、中国語で「物聯網」)の時代から、IoE (Internet of Everything=すべてのインターネット、同「万物互聯」)へと向けた動きが加速している。 この新たなインフラによって政府の社会管理をはじめ民間企業、個人の業務効率は飛躍的に上がるだろう。さらに言えば、国の統治の仕組みそのものの根幹が激変する可能性もある。今回はそう
アリババグループ傘下のアント・グループ(以下「アント」と記述)が香港と上海で計画していた新規株式上場(IPO)が延期になった。調達額予定額は円換算で約3兆6000億円と史上最高とされていただけに、その波紋は大きい。 延期の理由をめぐっては、アントの実質的な経営権を握るジャック・マー(馬雲、以下敬称略)が10月24日、上海市での金融関連フォーラムで当局の金融政策を批判する内容のスピーチをしたことが指導部の怒りをかったとか、11月2日に金融当局が公表したオンライン小口融資の新規制案の内容が、アントの今後の経営環境に重大な影響を及ぼすと考えられたことなど、さまざまな要因が語られている。中国の政治的な内部対立の余波――といった見方もある。 これだけの大きな出来事だから背景は複雑であるに違いなく、さまざまな憶測を呼ぶのは当然だろう。しかし、今回の事件が衝撃的なあまり、「上場延期」のみがクローズアップ
日本の軽自動車に相当するコンセプトのK-Carが中国で急激に売れ始めている。しかし日本との大きな違いは、それがすべて電気自動車であるということだ。 その背景には、 社会意識の成熟で「クルマは社会的身分の象徴」という概念が崩れ始めた 中国政府の「新エネルギー車」政策(電気自動車はその中核)の変化 社会の富裕化で一家の「2台目需要」が出始めた デリバリーの成長で電動バイクや電動三輪車の置き換え需要が出てきた といった要因がある。 中国政府が2012年から展開している「新エネルギー車」の普及政策は必ずしも期待通りの成果を挙げているとは言えない。日本国内にも「電気自動車の時代はまだまだ先」といった見方は依然としてある。しかし変化の姿は必ずしも政府の目論見通りではなかったとしても、庶民の視点から見れば「移動手段の電動化」は着実に進んでいる。政府もその実態に押され、新エネルギー車政策を軌道修正せざるを
「デジタル人民元」の議論が中国で盛り上がりを見せている。 中国人民銀行(中央銀行)は広東省・深圳や北京の「副首都」として開発が進む雄安新区、江蘇省・蘇州、四川省・成都の4都市に、2022年の北京冬季五輪会場予定地を加えた、いわゆる「4+1」でデジタル通貨の実用化に向けた試験運用を開始している。世界で最初に中央銀行が正式にデジタル通貨を発行するのは中国ではないかとの見方が強い。 しかし、中国ではAlipay(支付宝)やWeChatPay(微信支付)などに代表される民間のデジタル支払いシステムが広く普及しており、多くの地域で事実上、現金を使わない生活が実現している現状がある。すでに現金がほとんど使われない社会で、いまさら通貨のデジタル化と言われてもピンと来ない――というのが多くの中国人の実感だろう。 中国社会にとってデジタル人民元とは何なのか、どのような狙いでデジタル通貨は構想されているのか。
米国政府が最近、一部の中国企業に対する排除の姿勢を一段と強く打ち出したことで、改めて中国企業の政治との関係に注目が集まっている。 中国は社会主義の「一党専政」で、憲法に「党(中国共産党)の指導」が明確に規定されている国だ。そして、国有企業はもちろん、民営企業であっても会社の中に党組織(党委員会、党支部)の設置が法律で事実上、求められており、会社のトップやそれに準じる地位の人物がその責任者を務めているのが普通だ。これは外資系企業も例外ではない。 これは中国社会では日常茶飯の「普通のこと」である。しかし問題は、中国では普通であっても、その他の国では全然、当たり前ではないことだ。 この問題は突き詰めると、「民営」とは言うものの、中国の民営企業は本当に経営者に最終的な決定権があるのか――という問題に行き着く。実を言えば、この問題に対して中国国内でも、明確な答えは出ていない。そのことが海外から見た中
インターネットを活用したフリーランスとしての働き方が広く普及してきています。日本国内でも、「ギグエコノミー」という言葉を耳にすることが多くなりました。しかし、実際にその意味を理解している人は、少ないのではないでしょうか。 この記事では、ギグエコノミーの意味や特徴、メリット、現時点の課題などを解説します。ぜひ、ご自身のビジネスや働き方を考える際の参考にしてください。 ギグエコノミーとは働き方の概念 ギグエコノミーの「ギグ」とは、音楽業界で活躍するアーティストなどが行う、その場限りの単発ライブを指す言葉として使われていました。そこから転じて、インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方のことを「ギグエコノミー」と称するようになりました。また、このスタイルで働く人たちを、「ギグワーカー」と呼ぶこともあります。 ネットやITの発達は、かつて主流だった会社に所属して長期的に働くワークスタイルにも
最近、中国で「帰雁経済」という言葉が聞かれるようになった。「帰雁」とは文字通り雁の群が海を渡って故郷に帰るように、人々が都会を離れて故郷に帰り始めた様子を表わした言葉だ。 大都市の生活コストが上昇する一方、農村部の富裕化、都市化が進み、これまで都会に出て働いていた人たちが故郷やその周辺の都市に戻る現象は、この10年ほど、次第に顕著になりつつあった。今回のコロナ禍で、都会の生活に不安を感じる人が増え、その動きが加速しつつある。日本でも私が子供の頃、「出稼ぎ」という言葉は日常的に使われていたが、経済成長とともに、いつしか死語になった。中国もそういう時代が来たように見える。 過去40年間の「改革開放」の時代、都市部と農村部の経済格差、人々の所得格差は中国経済成長の原動力のひとつだった。しかし、そのような時代は終わり、逆に格差の縮小、つまり内陸部、農村部の発展を国の成長の原動力にする時代になる。経
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