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今年3月にBBCがジャニー喜多川による性加害を報道したが,ようやく日本のマスコミでもこの件が大々的に取り上げられるようになった.大手企業もCMを打ち切りはじめているみたいだし,帝国の終焉も近いのだろうか. ところで,最近ヴェロニク・モティエ『14歳から考えたい セクシュアリティ』という本を読んだのだが,この本の5章に小児性愛についての興味深い記述がある.ここは個人的にかなり驚いた箇所なので,メモも兼ねて引用しておきたい. 他の性的少数者は別の組織を作りました。そのひとつで、おそらく意見が大きく分かれるだろうと思われるのが、1970年代からオランダ、アメリカ、イギリスなど数々の国で生まれた小児性愛者の利益団体です。 小児性愛者の運動はとくにオランダで盛んで、1972年に『性と子ども(Sex met kinderen)』がオランダ性改革協会(NVSH)という立派な組織の支援で出版されています。
人類学者の講演を聴く機会があったのだが、それで、未開社会の婚姻規則の話はやはりちょっと面白そうだという気がしてきて、その後自分で少し調べてみた。とりあえず、昔読んだことのある橋爪大三郎『はじめての構造主義』を家の本棚からひっぱりだして、関連する箇所を再読。補足しつつ、適当にまとめてみる。なお、ページ数は橋爪の本。 アボリジニのカリエラ族は、次のような婚姻規則を持っている。この部族には、A1, A2, B1, B2という4種類の婚姻クラスがある。A1の男女はB2の男女としか結婚できず、A2の男女はB1の男女としか結婚できない。A/Bは母系の半族をあらわし(双分組織)、1/2は居住集団をあらわす。A1の父親とB2の母親の子供はB1の婚姻クラスに属し、A2の父親とB1の母親の子供はB2のクラスに属する。B2の父親とA1の母親の子供はA2のクラスに属し、B1の父親とA2の母親の子供はA1に属する。
山形浩生のブログ「経済のトリセツ」で、彼のamazonレビューがまとめて掲載されていたので、軽く読みふけってしまった。その中で、グレゴリー・クラーク『10万年の世界経済史』のレビューに追記がなされているのに気付いた*1。以前の彼のレビューはかなり本書に対して否定的で、 肝心の産業革命については、ずいぶん分析も薄いうえ、出てきた答えは実は何ら目新しくない。そして最後は「わからん」という とバッサリ切り捨てていた。しかし、今回の追記だと、 2017年のいまにして思えば、このレビューは本当に読みが浅かった。この本は最終的に、産業革命はほぼ遺伝要因である、と主張する本。生産性があがったのも、生産性の高い階級が子だくさんだったから、という。 と書かれている。こちらの新しい感想は私自身の読後感とも一致しているので、一安心したところだ。実際、この本の冒頭1章を読むだけでも、そういうアイデアがほのめかされ
俺は自分が貧乏人の生まれで、貧乏人の立場から見て、「弱者の味方リベラル様」の意見が全く役に立たず、むしろ弱者の敵になってる事実に怒ってるだけのアカウントなんですよ。たまたま受けてるのは、俺と同じような意見が世界的に表面化してるからでしょう。うまく言語化できてる方だと思ってます 昨日、アルファツイッタラーのeternalwind氏(@juns76)のアカウントが凍結された。 eternalwindさんはeternalじゃないのね・・・ - Togetterまとめ 氏はネット上でも有名なミソジニスト・人種差別主義者だった。氏の汚言症は最近になればなるほど悪化の一途をたどっており、ツイッター上で彼から罵倒されたことのある人々は、今回の凍結に胸をなでおろしているか、快哉を叫んでいるだろう。 とはいえ、上のまとめをみれば分かるように、彼の凍死を残念がっている人がいるのも事実である。もちろん、そういう
仲正昌樹はゲーデルの定理についてこんなことを書いている。 「不完全性定理」というのは、「現代思想」の文脈に合わせて簡略化して言うと、いかなる無矛盾な体系においても、その体系自体の中では証明も否定もできない論理式=命題が存在する、ということである。もっと崩して言うと、「この体系には矛盾がない」という”命題”を証明しようとしたら、まず「体系」とは何で、「矛盾しない」とはどういうことか、、といったルールをきちんと規定したうえで、その体系の「内部」で、その通りになっているか検証してみなければならないが、その初期設定自体が正しいか否かは、体系の「内部」で証明することはできない、ということである*1。 一文目は第一不完全性に関わる話だが、二文目ではいつのまにか第二不完全性のような話にすり替わっている。また、「いかなる無矛盾な体系においても」は強すぎで、一階の実数論のように無矛盾で完全な理論は普通にある
形而上学者ウィトゲンシュタイン―論理・独我論・倫理 作者: 細川亮一 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2002/02 メディア: 単行本 クリック: 10回 この商品を含むブログ (2件) を見る ハイデガーの研究者による、一風変わったウィトゲンシュタインの研究書である*1。主な検討対象は『論考』だが、中期あたりまでの一次資料も活用している。伝記も広く活用しているため、ウィトゲンシュタインの個人史に関心のある読者は、うまく整理されていると感じるだろう。 本書が打ち出すテーゼは「ウィトゲンシュタインは形而上学者である」というもので、著者はウィトゲンシュタインがアリストテレス、アウグスティヌス、ボエティウスなどといった過去の形而上学者たちの思考を受け継いでいることを示すことで、このテーゼを論証しようとする。多くの古典が参照されているので、哲学史に関心のある読者はウィトゲンシュタインにつ
訳が分かっていないのに、「ポモはダメ!」と言いたがる残念な人達 仲正昌樹【第22回】 – 月刊極北 この文章の中で、仲正氏は「念のために言っておくと、私はいろんなところでフーコーやデリダを参考にしているが、「ポモ」を信仰しているわけではない」と断っているが、普通に読めばこの文章は、読みもしないでポストモダン思想家たちを批判するのは筋違いだとしてポストモダン思想を擁護している、といってよいと思う。さて、この文章の中で私が注目したいのはソーカル事件についての彼のコメントである。 ポストモダン思想が“敗れた”と信じている人たちの多くは、「ソーカル事件」に言及する。ただし、ソーカル事件がどういうものだったかちゃんと理解している人は少ない。「何かすごい事件があって、ポモの欺瞞が暴露されたらしい」、という程度の幼稚な“理解”しかしていない輩が多い。この事件の概要をごく簡単に述べておくと、ポストモダン系
存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて 作者: 東浩紀出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1998/10/01メディア: 単行本購入: 17人 クリック: 173回この商品を含むブログ (184件) を見る この本はゲーデルに不用意に言及していることもあって、ソーカル事件以降に熱を帯びた現代思想叩きにおいて標的になった。しかし、実のところ、ゲーデルに言及している箇所を別にしても、この本は言語哲学に関する話題をやや問題のある手つきで扱っていると思われる。 以下では、『存在論的、郵便的』からラッセルとウィトゲンシュタインとクリプキについて論じている箇所を取り上げてコメントしていく。ページ数は『存在論的、郵便的』に対応している。かなり細かい論点もあるが、それでもいくつかの論点には実質的な中身があると思う。 ラッセル 後者[=ラッセル]は1905年の有名な論文において、固有名の確定記述への還元
大澤真幸とは? 大澤真幸氏は1958年生まれの社会学者。東京大学で博士号を取得、千葉大学を経て、1997年に京都大学の助教授、2007年に教授に昇格。しかし、2009年にセクハラ疑惑で辞職した。最近は、大澤が個人的に編集している思想誌『Thinking O』を中心に活動している。 オフィシャルサイト:大澤真幸オフィシャルサイト – THINKING「O」主宰 大澤には、教授時代から多くの著書・編著がある。新聞、雑誌、視点・論点のようなテレビ番組にも登場し、気鋭の学者として数十年にわたって活動してきた。大澤に関するマスメディアの評価は概して高く、高度に抽象的な論理と、現代社会の諸現象を巧みな手腕とバランスで扱っていると言われる。彼の著作の帯などには「スリリング」な論考、といった言葉がおどる。 評価 大澤に対する知識人たちの評価はマチマチである。 哲学者による評価 中世哲学の研究者である山内志
最近、浅田彰が國分功一郎を雑誌でボロクソに叩いていた、という話をツイッター上で見かけた。調べてみると、こういう感じのことを言ったらしい。 京大の人文研にいる、東浩紀の同級生でディドロ研究者の王寺賢太が、國分を呼んでスピノザ論を聞いたことがあるんです。僕は昔から、先行研究を踏まえた手堅い優等生研究ってのは好きじゃなかったんだけど、國分は、驚くべきことに、ドゥルーズやネグリのみならず、古典的なスピノザ研究の蓄積についてもほとんど言及せず、ひたすら「僕のスピノザ」を大声で得々と語るわけ-腐っても人文研の研究会で。思わず「あなた、バカって言われない?」と聞いちゃった*1 こういう感じの批判(非難?)って、なんか既視感がある気がしてたら、東浩紀が平野啓一郎を少し似たような感じで叩いている箇所を見つけた(『郵便的不安たち#』p.57)。先行研究を踏まえていない、とか何とか。もう10年以上前の文献だが…
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