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今年の「かわいい」
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行頭禁則の範囲には、規則ごとの考え方の違いがよく現れる。手元にある1975年以降に出された15冊の組版規則書で、どのように行頭禁則の範囲を規定しているのか、すこし詳しく調べてみた。 行頭禁則の違いを表にしてみよう 以下に掲げるのは、「日本語組版処理の要件(日本語版)」(以下、要件)の文字クラスを基準として、1975年以降に出された組版規則書にある行頭禁則の対象と比較した表である。 「要件」を基準とした理由は、参照が比較的容易であり、また禁則の対象が最も多いからだ(見て分かるようにJIS X 4051より多い)。「要件」が定める文字クラスの内容については項目名の各カラムを、そして各書の規定内容についてはページ数の各カラムをクリックすれば確認いただける。 書名 刊年 編者・著者/版元 掲載ページ ⓐ句点類・読点類 ⓑ終り括弧類 ⓒハイフン類 ⓓ区切り約物 ⓔ中点類 ⓕ繰り返し記号 ⓖ長音記号
昨年8月に開催された文字の学校主催「シンポジウム 電子書籍の組版を考える」での発表全文が公開されています。 電子書籍の御利益というと、真っ先に浮かぶのがリフロー表示ですが、リフローしても見やすい画面表示(組版)を確保するには、まずそのための組版ルールが必要の筈です。本来はこれほど衆知を集めるべきテーマはないと思うのですが、残念なことにこれを正面から取り上げたのは、この半年も前に開かれた上記のシンポジウムが希少例というのが現実です。 その貴重なシンポジウムの内容が、ようやく公開されました。 シンポジウム電子書籍の組版を考える じつは、このシンポジウムのレポート原稿をずっと書いているのですが、なかなか完成できずにいます。上記のページは、その原稿用に作成した音声起こしが元になっています(もちろん、発表者の皆さんがチェックを入れているので、そのままではありません)。 ここで示されている考察は、リフ
先日公開したエントリ『「強い禁則」は主流か?――『日本語組版処理の要件』へのフィードバック』を W3C Japanese Layout Task Force に送ったところ、メンバーである小林敏さんから以下のような回答をいただきました。なお、回答は11月21日付です。 小書きの仮名と音引きの行頭禁則文字からの削除を求めていますが,結論は,特に変更の必要はないだろう,というのが私の考えです. また,小形さんは“複数の禁則処理のモードを規定する方法も考えられるが、その場合はデフォルトを「弱い禁則」とすべきだろう。”と述べています.しかし,このことに関連していうと,附属書Cでは,複数の処理法があることを説明しており,また,小書きの仮名と音引きの行頭禁則文字から外す方法をデフォルトとしています. そして,基本的には,JIS X 4051の記載を尊重して,この要項は書かれています.JIS X 405
概要 『日本語組版処理の要件』(以下、『要件』と略)では、3.1.7 行頭禁則において、その対象として小書きの仮名と長音記号を含めている。しかし、ある公立図書館に架蔵する近代小説を抽出調査したところ、そうした強い禁則を採用した書籍はごく少数に止まることが分かった。『要件』のこの部分は日本語組版の実態に即しておらず、改めた方がよいと考える。 『日本語組版処理の要件』における行頭禁則の規定 公的な性格が強い『要件』 『要件』は日本語組版の概説文書である。ウェブの標準化団体W3Cの技術ノートとして公開されており、英語のものが正式版で日本語版は単なる翻訳という位置づけだ(ただし、筆者の英語能力ゆえに本稿では日本語版を対象とさせていただく)。 日本には以前から組版規格としてJIS X 4051:2004『日本語文書の組版方法』があったが、これは総ページが200をこえる膨大な文書であり、日本語を話さな
4月30日のエントリのつづき。じつは、前のを書き終わった時点でメタデータの入力は終わっていた、というよりそう思っていた。しかし定め無きこの世で、確かなことなど一つもない。大きな問題発覚。 それは、今回の我々が発行しようという電子書籍が逐次刊行物、要するに雑誌の創刊第1号だということ。 書籍とは一度限りの物だ。重版はするかもしれないが、これは基本的に同じ内容を印刷するもの。続編がある場合は続とか第2巻等がつくだけでなく、書名が変わる場合もある。ただし著者が変わることは、まずない。 一方で逐次刊行物は誌名は変わらないのが基本。毎号内容が違うものを、定期・不定期の違いはあれど、終わりを定めず継続して刊行する。さらに第○号など順序を示す表示がなされる。もちろん著者(というより執筆者)だって同じと限らない。このように書籍とは根本から形態が違うので、書誌の記述だって変わるだろうとは素人でも察しがつく。
去年の第5回ワークショップ:文字―「現実」から見た改定常用漢字表―を電子書籍にまとめるべく、去年の秋から延々と作業を続けてききました。それも最後、ようやく校正が終わり、さあパブリッシュ、と思ったらまだもう一つ壁があった。メタデータの入力。これがこんなに大変だなんて。 この問題、まだよく知られていないようだし、また自分でもうまくできたか自信がない。よって、ここに自分のやったことを簡単にまとめ、講評を乞う次第であります。 ここでの前提は以下の通り。 EPUB2によって電子書籍を作る。 EPUB2のオーサリングにはSigilを使用する。 その上でメタデータとはなにかというと、書名、著者名、発行日などの書誌情報のこと。「データについてのデータ」なので「メタ」がつくわけ。その書かれ方の善し悪し、適不適が内容に関わるわけではない。しかし、だからといってテキトーで良い訳がない。 書誌データは出版者が記述
以下から読めます。 絵文字を「符号」として処理する難しさ〜日本のモバイルウェブのカオスぶり -INTERNET Watch 絵文字を「語」として処理する難しさ〜定義通りとは限らない、絵文字の意味 -INTERNET Watch 絵文字を「語」として処理する難しさ〜「ビール」と「飲み会」見分ける技術 -INTERNET Watch 言語には規範と記述の側面があるわけですが、昨年から今年春にかけてお手伝いした絵文字のUnicode収録は規範、そして今回の絵文字の意味検索は記述の方向からの仕事といえるでしょう。規格からは窺い知ることのできない、絵文字の摩訶不思議な実態を知ることができました。よろしければ読んでみてください。
8月11日、東洋大学白山キャンパスにて以下のような催しがあります。 第5回ワークショップ:文字―「現実」から見た改定常用漢字表― 主催者は文字研究会。ぼくは企画責任者を務めさせていただきました。内容は以下の通りです。 趣旨説明(小形克宏) 第1部 「漢字調査」から考える 文化庁の出現頻度数調査から改定常用漢字を考える(仮)(漢字文献情報処理研究会) ウェブ上における使用実態統計から改定常用漢字を考える(萩原正人/バイドゥ プロダクト事業部) 第2部 「現場」から考える 国語教育の現場から改定常用漢字表を考える(前川孝志/都立若葉総合高校) 新聞表記と常用漢字改定(比留間直和/朝日新聞 東京本社校閲センター) 改定常用漢字表で情報システムはどうなるのだろう?(関口正裕/富士通) 第3部 みんなで考える(パネルディスカッション) 今回の催しを考えるにあたって最初に考えたことは、よくある政策の悪
7月7日、文科省庁舎にて標記の会議が開催されました。既にいくつかの報道がなされています。 新常用漢字 学校対応検討へ(NHK) 常用漢字追加で文科省会議 中高での扱い、秋に結論(共同通信) 鬱・彙、書き方教えますか?専門家会議発足(読売新聞) 漢字の「鬱」や「彙」、どう教える? 文科省、教科書や入試の扱い検討(日本経済新聞) この会議が立ち上げられた理由は、改定常用漢字表(PDF)にある次の文言に明らかです。 (前略)改定常用漢字表の趣旨を学校教育においてどのように具体化するかについては,これまでどおり教育上の適切な措置にゆだねる。(答申 p.(16)) つまり、学校教育への適用方法についてここでは言及しないので別途文科省で審議してね、ということ。そこで「適切な措置」を講ずるために立ち上げられたのが、この「常用漢字表改定に伴う学校教育上の対応に関する専門家会議」というわけです。 メンバーは
ご無沙汰しています。ふと振り返れば、今月初めての更新ですか。改定常用漢字表の方はというと、5月19日の第44回国語分科会をへて、6月7日に開催された第51回文化審議会総会にて何事もなく承認、文部科学省の坂田事務次官(川端文科相代理)に手渡されました。 ぼくが初めて傍聴したのが、たしか2006年の第7回漢字小委員会だったのではないかと思います。あれから4年、これほど長く傍聴を続けた審議会は初めてで、個人的にも感慨深いものがあります。 さて、その答申ですが、現在以下でダウンロードできます。 文化審議会「改定常用漢字表(答申)」について(PDF, 2.25MB) ところで答申の公開が始まったのは、たぶん総会の3日後、6月10日午後のことだと思います(この日の深夜、答申の公開を知らせたぼくのツィート)。 ところが、なぜかすぐに公開は中止されます。これが再開されたのが、おそらく6月15日午後のこと(
23日、文部科学庁舎にて第42回漢字小委員会が開催、改定常用漢字表の答申案が承認された。 2005年からつづけられてきた漢字小委員会での審議はこの日で終了。今後は上位組織である国語分科会での承認を経て、いよいよ文化審議会による答申へとすすむ(6月10日開催予定)*1。 この日の配布資料を小熊さんが公開してくれている。 第42回漢字小委員会配布資料(2010年4月23日)(zip, 29.3MB) ここで承認されたのは素案であり、本表の使用フォントがまだ最終版ではない。またこの日結論が出なかった以下の点も、漢字ワーキンググループによる最終的な調整にゆだねられた。 「(付)字体についての解説」の「第2 明朝体と筆写の楷書との関係について」で手偏の撥ねる/撥ねないを掲載するかどうか。 「Ⅱ 漢字表」のうち「2 本表」備考欄での「*」に付加した参照先ページ数は、現在「第2 明朝体と筆写の楷書との関
なんて書いている端から追記してますが、少なくとも以下の記事は議事を正確に反映したものとは言えない。書いた記者は何回も議場で見かけているから素人ではないはずだが、これはむしろ誤報に近い。 「碍」の常用漢字見送り 「玻」「鷹」も 文化審小委 なんとか時間をみつけて正確なことを書きたいが、とにかく資料4を読んでください。そうすれば、 「碍」について、戦前は障害も障碍も「妨げ」の意味で使われていた。戦後、「碍」が当用漢字にも常用漢字にもならなかったため、障害という表記が定着。 などという刈り込みすぎた単純な話でないことは分かるはずです。この日の氏原主任国語調査官の説明では、「しかるべき機関がしかるべく結論を出し、社会的に「碍」を使った表記が望ましいということになれば、常用漢字表もこれを追加する」と明言していました。別に文化庁や漢字小委員会の肩を持つつもりはさらさらないが、なぜこれを書かない、産経新
配付された資料は以下の通りです。 第41回漢字小委員会配布資料(PDF, 10MB) 遅れて到着したため、ぼくは今日の議事のうち後半1時間ほどしか傍聴できませんでした。また申し訳ないのですが、本日多忙につき、すぐに詳しい議事の報告ができません。資料2「「改定常用漢字表」に関する試案(字種・音訓等)の修正(案)」にあるとおりに修正が了承されたとだけ書いておきます。 後ほど、時間があるようなら資料4「要望の多かった「玻・碍・鷹」の扱いについて」について追記できると思います。しかし資料3「常用漢字表に関する意識調査 速報値」に関しては傍聴していなかったので報告できません。もしよろしければ、議場にいた小熊さんから簡単にコメントしていただけるとうれしいのですが、いかがでしょう。 なんて書いている端から追記してますが、少なくとも以下の記事は議事を正確に反映したものとは言えない。書いた記者は何回も議場で
ちょっと前のエントリで絵文字の典拠となるマンガのコマを募集しました。 「お願い:この絵文字に似たマンガのコマを送ってください」 そこでの応募作を使わせていただいた提案書が、WG 2のサイトで公開されています。 Rational for Proposal of N3778 (N3806) 提案書では、絵文字「ふっ(冷笑)」について応募してくださった西岡さんの「あずまんが大王 1年生」と、永崎さんの「鋼の錬金術師」の2本を使わせていただきました。お二人には厚く感謝申し上げます。 上記エントリでは絵文字「勝ち誇り」についても募集したのですが、よくよく考えてみますと、この絵文字で問題なのはマッピングであって文字のデザインではないことから、掲載は見送りました。 とは言え、皆さんに送っていただいた作品、およびエントリへのコメントにより、この絵文字のデザインの問題点が認識できました。応募作を見るとすべて
本日午前10時から漢字小委員会が文部科学庁舎にて開催されました。主な論点は以下のとおり。 4月13日、同23日に開催、同26日を予備日とする開催スケジュールの提示。なお、国語分科会は5月中旬開催の予定。 この日は答申案のうち、「基本的な考え方」「表の見方」の修正案について審議。 情報機器との関連で注目されるのは「字体についての解説」が変更されたこと。 「第1 明朝体のデザインについて」に関して 「3 点画の性質について」の「(1) 点か、棒(画)かに関する例」に「蔑」を追加。 同「3」に(8)として「その他」新設。ここに「次、姿」のデザイン差を掲載 「4」として「特定の字に適用されるデザイン差」を新設。ここに「叱、茨、牙、韓」の例を掲載 なお、「叱」に関しては注釈として「(1)「叱」と「𠮟」は本来別字とされるが、この2字の使用実態から見て、異体の関係にある同字と認められる」の一文を追加。
本日、文科省にて開催された第43回国語分科会の傍聴に行ってまいりました。 審議はいつも午前10時から12時までみっちり2時間かかるのですが、今日は午前11時30分から始まって12時20分には終了。1時間足らずという短いものでした。 このことからも分かるとおり、この日は2月に委員の任期が切れたのを受け*1、新たな期の開始とともに分科会長を選任*2、下部組織である日本語教育小委員会と漢字小委員会を発足させることのみが目的でした*3。なお、委員は前期から変更ありません。 さて、審議後に氏原主任国語調査官はこれまで改定常用漢字表の制定を秋頃としていたところを、年末までずれこむ見通しであることを明らかにしました。 もともと前回の漢字小委員会の時点では、2月終わりには改定常用漢字表の審議を再開し、最終答申を4〜5月に想定していました。ところが国語分科会の開催にあたって委員の日程が合わず、今日までずれこ
ただ今、ISO/IEC 10646の追補草案として審議中のFPDAM8への修正提案を作成中です。以前このグログでもご報告したように、去年10月に開かれた東京会議でも修正提案を提出したのですが、そこで直しきれなかったものを、再度修正するよう促すものです。 今回の修正提案でも、われわれが提案する絵文字のデザインの根拠としてマンガ表現を提示しようと思うのですが、これはというマンガを探し当てるのは想像以上に時間がかかるものです。 そこでお願い。以下の絵文字のソースとして提示できるマンガのコマをお送りいただけないでしょうか。 要するに、上記の絵文字によく似たマンガのコマを送ってほしいのです。左側の「勝ち誇り」は鼻息を吹き出して勝ち誇っている様子を描いたもの。右側は、目を細め片頬をゆがめて「フッ」と冷笑している様子。 いずれもごくありふれたマンガ表現ですが、いざ似たコマを探そうとすると、そう簡単なこと
本日午後2時から開催された漢字小委員会は、パブリックコメント審議の2回目、いよいよ字体の問題が取り上げられました。他にもさまざまなことが話題になりましたが、今日は短くこのことだけを書き留めます。 この問題について、詳細は以下をご参照ください。 新常用漢字表が迫るUnicode移行、「シフトJIS」では対応不可能(安岡孝一、日経コンピュータ) 【改定常用漢字表試案への意見】テンプレート(安岡孝一、yasuokaの日記) 改定常用漢字表試案への意見(拙稿) 要するに、改定常用漢字表で追加される196字種のうち、JIS X 0213のみに収録されている「𠮟、頰、剝、塡」が、JIS X 0208にしか対応していない携帯電話等との間で文字化けを発生させるという問題です(安岡さんはもう少し広くこの問題を考えていますが、それは上記をお読みください)。 冒頭、氏原主任国語調査官から、改定常用漢字表で「
本日午前10時から、文部科学省庁舎にて第38回漢字小委員会が開催されました。議題は、去年末に実施された第2次パブリックコメントで寄せられた意見の審議です。なお、配布資料は小熊さんのページから入手可能です。 全体的な流れについて 寄せられた意見は、全部で272通。事務局の手によって以下の4種に分類されました。 基本的な意見(40件) 字種の追加・削除(244件) 音訓の追加・削除(19件) 字体(67件) その他(27件) カッコ内の数字が272を越えるのは、1通の中に複数の意見がふくまれるためです。例えば10字の追加を要望した場合、これは10件の意見とカウントされます。 この日審議されたのは上記のうち1と2で、次回1月29日に予定される第39回で3以降が審議されます。これらをうけて漢字ワーキンググループが新たな原案を作成、これを2月〜3月に3回程度をかけて審議し、4月に予定される国語分科会
さきほど、つぶやいたこと。 まず「電子書籍が普及した未来」を、シンプルに「個人が自分や友人の作品を、簡単に市場にのせられるようになる未来」と定義してみる。それは、どんな未来なのだろう? それは今まで出版社が持っていたノウハウ、コネクション、企画力が、ゼロに等しいほど減殺され、個人と同じスタートラインに立たされることを意味するだろう。今日の著者が明日のライバルになる。だって、著者がそのまま一つの出版社になってしまうようなものだから。既成の出版社は今以上に苦しくなる。 一方で、すでに読者をつかんでいる、あるいはつかむ能力を持っている個人にとっては、この上なく望ましい未来であるはずだ。 従来、編集者が果たしてきた役割を一言でまとめれば「最初の読者」となる。しかし電子書籍を出す個人にとって、その役割を果すのは市場の反応だ。ネットはそれを加速させる。著者は市場の反応をみて改訂したり次作を出せばよい。
ときどき私的な席で「どんな仕事をしてるんです?」と聞かれます。「フリーライターです」と答えるとたいていは納得してくれますが、なかには「で、どんなものを書いてるんです?」と突っ込んでくる人もおられる。 すると、はたと考え込んでしまいます。もちろん自分がどんなことを書いているかは分かっている。同時に、それがすごく面白いと思っているから原稿に書いているわけです。でも、その面白さを専門外の人にも分かりやすく説明するって、案外むずかしいものです。もっとも、それをすることは自分の足下を見つめ直すことになるのかもしれません。 1989年の印刷文字 ぼくの専門は符号化文字です。文字コードとかフォントとか、符号化文字に関わる全般。このブログでこのところ集中的に取り上げている常用漢字表の改定も、そうした視点から見ています。では、その符号化文字とはなにか? もう20年以上も前、1989年だったと思います。手塚治
以下は昨日締め切られたパブリックコメントへの応募原稿です。 はてな記法に従い整形したのと、送信後に発見した明白な間違いである文末の中線部以外は送信したそのものです。項目だけを以下に抜き出します。 〔総合〕漢字表の名称を『公共漢字表』にせよ 〔字体〕「頬、填、剥、叱」は携帯電話で文字化けを起こす 〔字種〕「諜」の削除に疑問あり 〔字種〕「楷」の収録を支持するが、「錮」は削除せよ 〔総合〕読み書き能力調査をしていない件 〔総合〕〈手書き自体が大切な文化である〉の妥当性について 〔総合〕「表の見方」の混乱について [総合]「*」の文字は「1 明朝体のデザインについて」が適用可能なのか? 〔総合〕引用符として< >を使ってはいけない 最後の3項目は、はじめて公開しますが、その他は公開ずみ。ただし最終的に様々に手を入れてあります。 なお、試案は以下から入手可能です。 『「改定常用漢字表」に関する試案
パブコメ応募を考えている皆さん、頑張ってますか〜? その後、修整したり加えたりしたものを公開します。「頬、填、剥、叱」については、前回のエントリにあるような符号化文字云々はバッサリ削りました。今さら根幹部分に文句を言っても仕方ない。これは「頬、填、剥、叱」に変更がなかった際の原稿用にとっておくことにします。 また、前回のパブコメ審議では字種、音訓、字体、総合という分類をおこなったと記憶しますので、見出しにこれを掲げました。見出しそのものも、なるべく内容が端的に分かるようにしました。 前回から、あまり内容の変わってない「諜」への疑問、読み書き能力調査の件は省略しました。12月19日のエントリをご参照ください。 下記以外に、「表の見方」の書き方が混乱している件(都道府県名漢字、「*」の示し方)、それに「<>」ではなく「〈〉」を使うべきことを書こうと思っているのですが、最後までいくかなあ。 DT
前のエントリでいただいたコメントを受けて、パブリックコメントの応募原稿のうちJIS文字コード関連の部分を書き直してみました。 後半はほとんど変えていませんが、前半で改定常用漢字表が見落としている本質的なものを指摘できたように感じています。コメントをいただいた方々に御礼申しあげます。 ここで取り上げている問題は、改定常用漢字表という国の主要な文字政策が実施されれば、かならず発生する混乱です。それが分かっていながら、手をこまねいて座視するのは適切とは思えません。 ぜひ、一人でも多くの人がこの問題を指摘してくださるようお願いいたします。 「「改定常用漢字表」に関する試案」に対する意見募集について 字種・字体 (1) 「頬、填、剥、叱」について 以下、JIS X 0208例示字体を「頬A、填A、剥A、叱A」、改定常用漢字表にある通用字体を「頬B、填B、剥B、叱B」、一括して呼ぶ場合は前者を「A字体
以下は、パブコメへの応募用に書いたものです。まだ3分の2くらい。残りも順次公開していきます。もしも誤りがあったらご指摘ください。 改定常用漢字表試案への意見 漢字表の名称について 『国語分科会漢字小委員会における審議について』(2008年国語分科会了承)では、「今後更に検討すべき課題等」のひとつとして、「「常用漢字表の定義」及び「新漢字表の名称」の問題」を挙げ、以下のように述べている。 また、常用漢字という名称でありながら「常用性(≒出現頻度)」以外の要素で選定されている漢字が入っている一方、「常用性」が認められながらも選定されていない漢字がある。この点は現行の「常用漢字」の性格をあいまいにしているところである(後略)(p.7) この一文は真正面から本質的な問いを投げかけたもので好感が持てたが、結局あたらしい名称には生かされなかったことを、いかにも残念に思っている。『改定常用漢字表』という
このところご無沙汰でしたが、ブログを書かないうちにたまったご報告をしておきます。 INTERNET Watchで原稿を掲載 この2週間ばかり書いていた原稿が掲載されました。3回連載の第1回です。 「改定常用漢字表」では、「鬱」などの「打つ漢字」も追加へ(“情報化時代”に追いつけるか? 審議が進む「新常用漢字表(仮)」) 上記が第1回で、明日木曜日の第2回は文字コードの問題、そして金曜日掲載の第3回は舞台裏も紹介しつつ第2次試案の詳細について説明します。 本当はこの連載、2回で終わるつもりだったんですが、安岡さんが書いた記事『新常用漢字表が迫るUnicode移行、「シフトJIS」では対応不可能』を読むうちに、文字コードの部分がどんどん膨れ、仕方ないので第2回として独立させることになりました。先行者として安岡さんにはお礼を言わなければなりません。 今回の連載では、なるべく大づかみに改定常用漢字
山本太郎さんのウェブページに以下のような記事が公開されました。 絵文字の議論は、これでいいのだろうか。 「うーん困ったなぁ」というのが最初の印象。絵文字の件については、じつは山本さんにいささかの恩義があるのです。まあそれはともかく、このような議論を提起していただいたことはありがたい限り。なるべく正面からお答えしようと思います。 何に対して「勝った」のか? 前掲記事中の、以下のご指摘。 審議をした結果、修正提案が受け入れられたことが「勝った」ことに、なぜなるのだろうか。もし「勝った」人がいるなら「負けた」人がいるはずなのだが、一体誰が負けたというのか。それが、不明なのだ。 この「勝った」という認識は、誰かからの攻撃に対抗して修正提案を通すことで反撃し「勝った」ということなのだろうか。しかし、そんな攻撃的な意図を持つ主体とは、一体誰だったのか。GoogleやAppleといった、原提案者のことを
本日、午前10時より文科省庁舎にて第42回国語分科会が開催、ここで正式に「改定常用漢字表」が承認されました。これをうけて文化庁は2回目のパブリックコメントを今月中に開始することを発表しました。 パブリックコメントは、1ヵ月間受け付けられ、そこで寄せられたコメントは、来年1月15日に開催される漢字小委員会で審議されます。試案はそこでの修正をへたのち、春に最終答申となり、秋に正式に告示される予定です。 当日配布された資料は、小熊さんのページから入手可能です。ここにはパブリックコメントの対象になる「「改定常用漢字表」に関する試案(案)」もふくまれています。 その内容自体は、以前のエントリで報告した通り、10月23日開催の漢字小委員会での決定を、試案として1冊にまとめた内容、つまり現行の常用漢字表1.945字から5字を削除、196字を追加するものです。したがって、詳細はこのエントリをご参照ください
ここ数回、ISO/IEC 10646の追補8(Amd8)として審議中だった絵文字に対し、ぼくもふくめた5人が提出した修正案(N3711)にについてご報告してきました。 正確にはまだ最終決着とは言えない段階なのですが、ひとまずここまでの総括をしたいと思います。 WG2東京会議の審議結果について われわれの文書については、絵文字を一括して審議した分科会「Emoji Ad-Hoc meeting」で取り上げられ、その結果は「Emoji Ad-Hoc Meeting Report」の第17条(p.4)に明記されました。 17. In reference to documents N3711, N3713: The Ad-hoc agreed on a basic goal that names and glyphs for Emoji symbols in the UCS should refle
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