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今年の「#文学」
note.com/misatookaneya
「サゴヤシというヤシの澱粉を練って作る透明の団子を主食にしている人たちが、世界にはいます」 高校の地理の授業でその話を聞いてから、ずっと気になっていた。そのサゴヤシの国は、パプアニューギニアという。 ヤシが主食ってどういうこと?米や小麦じゃなくて? どんな味がするのだろう? どうやってヤシから澱粉がとれるのだろう? 疑問は膨らむ一方、パプアニューギニアのつてはなかなか出会えず。また女性が一人で旅するには極めて難しい国だとも聞いており、長年行きたい国リストの一番上に居続けていた。 機会が訪れたのは、東京のトークイベントでのこと。最後のQ&Aで行きたい国を質問されて「パプアニューギニアです」と答えたのをきっかけに縁を繋いでくださった方がいて、文化人類学者新本万里子氏の調査に同行する形で訪問が叶った。 サゴヤシ団子!首都ポートモレスビーから国内便で東セピック州のウェワクという街に飛び、そこからガ
きっかけは、「日本の野菜は水っぽい」という外国在住経験のある方々の言葉だった。ウズベキスタン出身の方は「日本に来て料理時間が半分で済むからとっても助かるけれど味が弱い」と語り、フランスに住んでいた知人は「フランスの料理を日本の野菜で同じように作ると形がなくなる」と言う。 水っぽいとみずみずしいは紙一重だからと自分に言い聞かせながらも、やっぱり悔しい。それに親世代以上の方から「昔の野菜はもっと力強かった」とか言われると、その時代を知らないだけに、弱々しい時代を自分は生きているのだろうかと漠然と不安に駆られる。 実はこの野菜の味問題は、著書「世界の食卓から社会が見える」で一章を割いて考察して、「気候条件・土壌・栽培方法・品種」が寄与しているというところまではわかった。 (酸性土壌がどうとか日本は過剰施肥になりがちだからえぐみが残りやすいとか、そういう話を知りたい方はよかったら読んでください。)
ユダヤ教の食戒律に適う食事を、コーシャという。イスラム教のハラルと同じように、食べてよいとされるものだ。一見不思議なルールもあるのだが、生物学の視点を借りて考察してみると、生き延びるための知恵が詰まっていて案外よくできている。 出典:「世界の食卓から社会が見える(大和書房)」そのルールの一つ「食用にしてよい動物は、蹄が分かれた反芻動物のみ」について、一応は理解した気でいたのだがすっきりしないことが残っていた。 改めて動物学の知見を借りて考えてみたら、驚くほど合理的にできているのではと思えてしまったので、興奮してこの記事を書いている。 言うまでもなく、完璧な考察ではなく一つの見方に過ぎないのですが、別の視点は大歓迎です。 宗教的観点からの説明そもそも旧約聖書に書かれたものなので、その理屈について明確な答えはわかっていない。一応確からしいと言われているのは、下記の説明らしい。 これまでで一番蓋
ジャイナ教は、世界一厳しい菜食を貫く宗教とも言われる。はじめて知ったときは「どうしてジャガイモがだめなの??」などとさっぱり分からなかったが、現地家庭に滞在して知るうちに、けっこう科学的で筋が通ったものであることと、一方で大きな矛盾も抱えていることがわかってきた。教わったり調べたことを元に、ジャイナ教の食をまとめたい。 ジャイナ教って?ジャイナ教(ジャイナきょう、サンスクリット語: जैन、英: Jainism)は、マハーヴィーラ(ヴァルダマーナ、前6世紀-前5世紀)を祖師と仰ぎ、特にアヒンサー(不害)の禁戒を厳守するなど徹底した苦行・禁欲主義をもって知られるインドの宗教。「ジナ教」とも呼ばれる。仏教と異なりインド以外の地にはほとんど伝わらなかったが、その国内に深く根を下ろして、およそ2500年の長い期間にわたりインド文化の諸方面に影響を与え続け、今日もなおわずかだが無視できない信徒数を保
西インドを訪れ、複数のジャイナ教家庭で2週間を過ごした。ジャイナ教は徹底した不殺生を貫く宗教で、食の禁止事項が多い。しかし窮屈というばかりでなく生き延びるための知恵が集約されていて、なかなか科学的だ。 はじめはよくできているなと感心することばかりだった。しかし、徐々に素晴らしいだけでない、どろっとした部分も見えてきて、この世の現実に呆然とした。 カースト制との絡みから綴りたい。 カースト制とはヒンドゥー教における身分制度のこと。生まれを意味する「ヴァルナ」と職業集団を意味する「ジャーティー」からなる。私たち日本人が社会科の授業で習うのはヴァルナの方で、バラモン・クシャトリア・ヴァイシャ・シュードラの4つの身分とダリット(不可触民)に分けられる。 出典:Yahoo! ニュース。これはヴァルナの方。これがカーストだと思っていたのだが、現地に行ってみると、もっと広い意味で「社会グループ/コミュニ
「メキシコはアボカドの大生産国なのに、最近アボカドがどんどん値上がりしていて...」 そう教えてくれたのは、メキシコ州に住むルーシー母さん。旦那さんが買ってきた小粒のアボカドに眉を顰める。 アボカドは食卓で料理をおいしくする「薬味」ルーシー母さんは、夫と20歳前後の娘息子と4人で暮らしている。 この日の昼食は、大粒のとうもろこしに豚の頭などを煮込む「ポソレ」。ルーシー母さんはこの料理は大量に作る方がおいしいと考えていて、とうもろこし4キロと頭1つというスケールだ。 この料理の仕上がりに欠かせないのがアボカド。料理自体はシンプルな塩味で、そこにアボカド・シラントロ・玉ねぎみじん・ライム・オレガノ・豚皮を揚げたチチャロン・サルサ...などを各人が加えて好みの味に仕上げるのがメキシコ流。トッピングというよりも、薬味の感覚に近い。 スープの時にはアボカドとライム、屋台のタコスにはワカモレやサルサや
3月8日はサバの日。その日に向けて、「世界ではサバをどうやって食べてるの?」と知人に尋ねられ、そういえばどうなんだろうと思って調べてみました。サバは傷みが早いこともあって、私が台所探検で訪れるような地域ではなかなか出会わないんです。 日本では塩焼きにすることの多いサバですが、調べてみると世界には、その特性とおいしさを活かした本当に多様な楽しみ方がありました。 そもそもサバって?① スズキ目サバ科、主にサバ属の魚の総称。サバ科の仲間には、サワラ・カツオ・マグロなどがいるので、これらの魚の親戚とも言える。 ② 英語ではMackerel(マカレル)。 ③ 鮮度が落ちるのが早いので、食用として流通させるには保存がとても重要。缶詰加工の技術や冷蔵インフラが普及する19世紀以前は、塩蔵や燻製にしていた。イギリスでは生で食べていたためしょっちゅう腐っていたらしく、フランスでは大量の塩で塩漬けにすることで
オランダに引っ越しました 世界の台所探検家の仕事を続けながら、大学生として文化人類学を勉強します。 急に決めてバタバタと準備をし、ほとんどの方に直接ご挨拶できなかったので、ここに不義理のお詫びを兼ねて報告を書くことにしました。 なぜ引っ越した?今は日本語で執筆や講演をしていますが、もっと広い世界に向けて英語で発信していきたい、というのが一番の理由です。加えて、文化人類学的なフィールドワークをしているけれど文化人類学を学んだことがなく、学術的な知識と物の見方を強化したいという思いがずっとあったので、大
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