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note.com/hiroshi_maruyama
4年前の2019年に、人工知能研究者として私たちがすべきことというブログを書きました。そこで、人工知能の研究者は 正しく伝える 適切に怖がる 見たくないものを、見る という3つのことをしなければならない、と主張しました。 人工知能研究とは、知的とされる人間の活動を機械で模倣することによって、知能とは何かを明らかにしようとする学問です。「知的活動」の代表例として、ゲームをプレイする、数式を解く、専門家の思考過程を模倣する、画像を認識する、などの領域で研究がなされ、機械が人間のパフォーマンスを凌駕できることが次々と示されてきました。当分機械には出来ないだろうと思われていた自然言語を扱う分野でも、ChatGPTの登場によって、使い方によっては人間と拮抗する品質の知的作業を機械が行えることが示されました。このように人間の知能が機械によって相対化されていく先には何があるのでしょうか。 今まで意図的に
(2021年に、一橋ビジネスレビュー誌Vol.69の特集「研究力の危機を乗り越える」に掲載された投稿論文です) 概要学術に対する社会の風当たりが強くなってきている。本稿では、学術と社会の2項対立の構図を指摘し、社会に対する学術の価値が、知識の体系化と合意形成のプロトコルにあることを議論する。その上で、この2項対立を解消する方策を模索する。 1. 学術と社会の関係学問、すなわち科学や工学、あるいは電子工学や経済学のように「学」という名がつくものはすべて、知識を生み出しそれを体系化する、という人間の営みを表す。世の中の理を知りたいという欲求は誰にでもある。趣味として学問を行うのであれば、興味の赴くままに学究を進めることは構わないし、その成果を誰に問われるわけでもない。しかしながら、学術が対価を受け取る職業(Profession)であるのならば、学術は社会の負託に答えなければならない。学術コミュ
2018年5月に、CNETブログに投稿した記事の再掲です。CNETブログは、2023年1月にサービスを終了しました。 (注意:長いです。お時間のある時にどうぞ。) 私は「情報技術が私達の社会にどのような影響を与えるか」という問題に興味を持っています。ここでは、最近進歩が著しい深層学習が、科学の営みにどのように影響を与えるかを考えてみたいと思います。「高次元科学」とでも呼ぶべき新しい方法論が現れつつあるのではないか、と思うのです。 1.深層学習と科学そもそも、この考えに行き着いた背景には、私が統計数理研究所で過ごした5年間がありました。統計数理研究所は大学共同利用機関として、自然科学の様々な研究を推進するための統計的手法を研究しています。ご存知の通り、統計的仮説検定や統計モデリングは、現代の科学における重要な道具立ての一部です。そのような道具立てが、科学の方法論の長い歴史の中でなぜそのような
MIT Technology Reviewに2月に掲載されたRebecca Ackermann氏の表題の記事を読みました。 https://www.technologyreview.com/2023/02/09/1067821/design-thinking-retrospective-what-went-wrong/ 世界を変えるはずだった「デザイン思考」はどこで間違ったのか、という記事です。日本語版もあるのですが、最後まで読むには課金しなければなりません。この記事は、最後まで読む価値があると思うので、英語版で読むことをお勧めします。 デザイン思考は、デザインのような創造的な仕事を1人の天才が行うものから多くの人の協調的な作業に変えた、という意味で画期的な方法論です。シリコンバレーのIDEO社や、スタンフォード大学のdスクールの名前を聞いたことがある人も多いでしょう。よく知られた、ポスト
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