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musashimankun.hatenablog.com
漫画「きっといいことあるさ」「個性があるからいいんだ」② 漫画「きっといいことあるさ」「個性があるからいいんだ」③
漫画「きっと、いいことあるさ」 ◎忍、寺で座禅を組む②
漫画「きっと、いいことあるさ」 ◎ぴーやんの恩返しⅡの2
漫画「きっといいことあるさ」 ◎ぴーやんの恩返しⅠの2
漫画「きっと、いいことあるさ」 ◎「修のお礼」② 漫画「きっと、いいことあるさ」 ◎「修のお礼」③
漫画「きっと、いいことあるさ」 ◎キー坊の夏休みⅢの②
漫画「きっと、いいことあるさ」 ◎キー坊の夏休みⅡ② 漫画「きっと、いいことあるさ」 ◎キー坊の夏休みⅡ③ 「きっといいことあるさ」次回は8月22日の掲載予定です(^_-)-☆
漫画「きっといいことあるさ」次回掲載は8月8日です(^^♪
漫画「きっと、いいことあるさ」◎キー坊の夏休み② 次回掲載は8月15日になります。
漫画「きっと、いいことあるさ」◎強靭って・・②
さあようこそ、のど自慢に ヒゲさんの車で徹たちが「もとずろう温泉旅館」に戻ったのは、その日の午後6時前だった。はなえはそのまま温泉に入り、食事をした後は自分の宿泊部屋に入った。 徹は午後7時から宴会ルームで行われる「もとずろう温泉旅館 のど自慢大会」を見ながら酒を飲むことにした。今回はさすがに参加者も少なく6人ほどだという。コロナウイルスの影響で宿泊客は皆無に等しく、徹とはなえの他は地元の人ばかりだった。宴会ルームには空気清浄機を四方に設置し、ずんいちろ社長はこういう時期だからこそ、皆が元気を出すために開こうと決めたのだ。 「やあやあ、ようこそ」 宴会ルームに徹が入ると、マイクテストをしていた男が声をかけてきた。 「初めてですね。地元の人じゃないね。今日は思い切っきり歌ってさ」 「いやいや、僕は見に来ただけですよ。参加しなくても。見るだけでいいからってヒゲさんに言われました」 「そう。ヒゲ
なんてこたあ、ねえっさ 「のど自慢、大丈夫ですかね」 徹がヒゲさんの顔を見る。 「やるっさ。どんなことがあっても『もとずろう温泉』のずんいちろ社長は、どんな状況になってもやるっさ。この前もあの温泉は完全防備してるから、ウィルスなんか吹き飛ばすって言ってっさ。参加者もずんいちろ社長のこと好きだから、いつも通りやるっさ。なんてこたあ、ねえっさ。フェイトフェイト」 「ファイト、でしょ」 京子がヒゲさんの話に口を挟んだ。 「うん。フェイト?。そう。ファイト、ファイトだよ」 ヒゲさんは言いながら笑った。 「はなえさんは、あまりご無理さならない方が」 京子がはなえの方を向いた。 「私は温泉に入って、食事して寝ます。のど自慢なんかには出ません」 はなえがお茶を飲んだ。 応接室の本棚に並べられた本 「結構、本も多いですね」 徹が応接間の壁際にぎっしり並べられた本を眺めた。壁に本棚が組み込まれていて移動でき
ジョイは綱なしで外に出さねっと 「ただいま」 徹たちが京子と話しているところに、ヒゲさんが帰ってきた。 「おかえりなさい」 京子は笑顔でヒゲさんを迎えた。 「今日は早いわね」 「ああ。お客さん、あんまり待たせちゃいけねっから」 「おかえりなさい」 京子からヒゲさんのことを聞いた徹とはなえは改めて見直すように、ヒゲさんに挨拶した。 「すみません。ジョイだけは毎日、朝晩、外に連れていかねっど。運動不足になるっけ。コーシー、持ってきて。それともお茶がいいですか」 ヒゲさんはテーブルの上の、徹の空になったコーヒーカップを眺めた。 クマとかイノシシも出るさ 「おかわりがいいですか」 京子が二人に聞く。 「いえいえ、もうお構いなく」 徹が頷きながらはなえの方を向いた。 「ええ、もう。いただきましたから」 はなえが頷いた。 「はなえさんはお茶だね。で、こちらはコーシーだね」 ヒゲさんが徹の方を向いた。
自分がどこかに飛んでいる リングのコーナーポストから飛び降り、相手選手のラブレスタ―めがけて身体をぶつけていった筈のヒゲさんの身体は、悲惨にもマットに全身を打った。そこにラブレスタ―の姿はなかったのだ。ヒゲさんはその時・・・・・・。自分がどこかに飛んでいると感じた。 自分がゆっくり空を飛びながら、やがて見えてきたのは霧の中に浮かぶ川だった。その先にどこかで見た記憶のある人たちがいる。にこやかとはいえないが、確かに手を振ってこちらに来るように促している。ヒゲさんはいい気持ちのまま、川を渡りそちらの方向に行こうとした。しかし、どこからか、「まだ、そこはダメだよ」という声が聞こえてきた。 まだ、そこはダメだよ ヒゲさんはその声を無視して再度、その川を渡ろうとした。 「まだ、そこはダメだよ」という声が聞こえたかと思うと、誰かがヒゲさんを地上に戻そうと身体を引っ張った。その瞬間、ヒゲさんは再び激痛を
ジョイと竜乃湖を目指して走る ヒゲさんは夕闇の林の中を「竜乃湖」を目指して走る。後方からジョイがハアハアと息を切らせながらついてくる。前足と後方の足はリズミカルに動く。 ジョイはヒゲさんの走る間隔には慣れている。もうこの坂道を上り降りし始めて2年半が過ぎた。ジョイがヒゲさんに出会ったのは3年前だ。 ヒゲさんはこの地に引っ越してきてからすぐにペットセンターへ行き、ジョイを見つけてきたのだ。ジョイのような大型犬に手綱をつけずに散歩するのは、都会や人の集まる所では決してできることではないが、幼い頃からこの木々がうっそうとする土地で、厳しく訓練してきたジョイなら大丈夫だという自覚がヒゲにはあった。だから、成犬になってもジョイに手綱をつけたことはない。もちろん、ヒゲさんが散歩するコースは人が歩くような場所ではないが。 目の前に現れたある光景 やがて、ヒゲさんとジョイの目の前に「竜乃湖」が現れた。 夕
かつてプロレスラーだった男 徹の目の前には1枚の写真が飾られている。それはリング上に立つ2人のレスラーの姿だった。1人は天源一郎、そして、もう1人はヒゲさんだ。今の風貌とは若いが確かにヒゲさんだと分かる。 「ヒゲさん・・・・レスラーだったのか」 徹はソファーのテーブルの方に降り返った。 「そうなの・・・そういわれてみれば、何となく分かるわ」 はなえがトロフィーが並べてある応接間の周りを何となく見渡した。 「こんなに沢山のトロフィー・・・・凄いわね。ヒゲさん」 はなえが納得するように首を縦に振った。 「おまたせしました」 ヒゲさんの奥さんがコーヒーを運んできた。 「奥さん、お気を遣わずに。お名前は・・・」 はなえが聞いた。 「あら、ごめんなさい。申し遅れました。京子です」 京子がはなえと徹の前に丁寧にコーヒーをゆっくりとテーブルの上に置いた。 学生時代はレスリング部に 「すみません、今日は夜
ジョイというハスキー犬 ヒゲさんは自宅に着くと徹をはなえを先に降りるようにうながし、車を車庫に入れた。 玄関の横には縦横2メートル程の柵が作られ、中には大型犬が寝そべっている。 「ジョイ」とヒゲさんが呼ぶと、尻尾を振りながら犬が柵ごしに駆け上がってこようとした。ヒゲさんは「よしよし」と柵の隙間から犬の頭をなでた。 「ずいぶんと、大きな犬ねえ」 はなえが少し怖そうに言う。 「はい。ジョイです。ハスキー犬ですけ。大丈夫ですよ」 ヒゲさんはうれしそうにジョイの首のあたりをなでながら答えた。 「また、あとでな」 ヒゲさんは言いながら自宅の玄関の方に歩くと戸を開けた。 「帰ったよお」大きな声で言いながら、「さ、どうぞどうぞ」と徹とはなえに家に入るよう勧めた。 「いらっしゃい。こんにちは」 家の中から一人の女性が出てきた。 「今日、『もとずろう温泉』に泊まるお客さんだ。さっき『竜乃湖』に連れてったさ。
龍神様はありがたいから 「竜乃湖」でしばらく立ち話をしながら3人は車に戻った。 ヒゲさんはバックミラーを見ながら、ゆっくりと車をバックしユーターンさせた。 「どうだ、いいとこだっけ」 ヒゲさんが隣に座る徹に聞く。 「ええ。静かでいい所ですね」 「ヒゲさんはここで竜を見たことがあるの?」 後方座席に座るはなえが聞いた。 「うん?・・・・まあ、どうかねえ」 ヒゲさんは言葉を濁すとエンジンをかけた。 ランドクルーザーが重厚感のある音を出しながらゆっくりと動き出した。 「龍神様はありがたいから・・・・龍神様を祀った神社や温泉も日本各地にあるしね。私も家族の健康と安全を拝んできたよ。今日はコロナウイルスを退治してくれるようにね。我々が悪いんだけどさ」 「へええ。はなえさん、詳しいね」 徹が感心したように言う。 のど自慢大会に出っか 「どうする?このまま『もとずろう温泉』に戻っか?それともウチでお茶で
やはり何かがいそうだっ! 徹たちが車から降りると、横幅約100メートル、縦約200メートル程だろうか。大きな湖が目の前に横たわっている。湖の奥の方はうっそうとした林を抜けるように延々と伸びている。入口付近には「竜乃湖」と書かれた看板が立てられ、歴史と注意書きが綴られていた。 確かにしんとした雰囲気で、何かがいそうだと徹は直感した。 「静かな、いい所だねえ」 はなえがポツリと言う。 ヒゲさんが両手を合わせて静かに黙とうする。徹は運転席でヒゲさんが言っていたことは本当だと思った。つられて徹とはなえも両手を合わせた。ヒゲさんが何か独り言を言っている。と、バタバタと水面を叩く激しい音がした。 「鴨だ・・・・・」 ヒゲさんが言う。 「鴨ですか・・・・あれ」 徹は水面すれすれに羽ばたこうとする鳥を見た。 「ここに竜がいたんだね」 はなえが聞いた。 「そう。遠い昔の話だけどさっ。あ、そう、たまに竜が見え
黄色のランドクルーザーでやってきた 髭面男のヒゲさんから「竜之湖」に誘われた徹は、風呂から上がるとはなえにその旨を伝えた。ヒゲさんが自分の車で「もとずろう温泉」まで迎えに来てくれるという。 近くのうどん屋で昼飯をとった徹とはなえは、午後1時に温泉の前でヒゲさんが来るのを待った。 徹がはなえと立ち話をしていると、やがて約束の時間の5分前にヒゲさんの運転する車がやってきた。 黄色のランドクルーザーでヒゲさんらしい車だと徹は思った。「竜之湖」は温泉から徒歩で歩いても大人の足で20分程だというからそう遠くではないが、はなえのことを考えてヒゲさんが車で迎えにきてくれたのだ。外見はクマのような感じがする男だが、外見に似合わず気の利く男だと感心した。 「ま、見るだけでもいいから」 ヒゲさんは車を運転しながら言った。 「へええ、そんな所があるのかい」 後方座席に座ったはなえが、大きな声で言った。しばらく温
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