料理店などというものは忖度(そんたく)のかたまりです。 たとえば「辛口の日本酒をください」と言われたとします。料理店では頻繁にあります。 ご注文の方の希望する辛口ってどんな辛口を意味するのか? 淡麗? アミノ酸度の高さと濃厚さを持った辛さ? 甘みと酸のバランス? その方の最初のビールの飲むスピードはどうであったか、年齢は?、想像できるお酒の履歴は?、料理との予算の兼ね合いは? どういうお酒が辛口と認識され、どのレベルをコストと味のバランスがいいと感じるのか? そもそも「辛口を」とおっしゃる日本酒の認識度はどれほどのもの? もちろん「ご予算は?」とか「どんな辛口をご希望で?」とかは伺いません。 ご来店なさったとき、さらに言えば予約の電話を伺ったときから「辛口を」と発せられるまでを丹念に観察し、このお客様の嗜好を考えて、瞬時に「では○○はいかがでしょうか?」と召し上がっていただく。 「相手の心