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無職で毎日暇なのをいいことに、去る9月17日から21日まで、4泊5日の日程で「カナザワ映画祭2010 世界怪談大会」へと参加してきました。 出発当日はあいにくの雨。しかも飛行機の予約の関係で中標津→千歳→小松と飛ぶ最短距離ではなく、中標津→千歳→羽田→小松という遠回りに。 実は飛行機に乗るのも北海道から出て内地へ渡るのも15年ぶり*1。そのころに比べれば、ネットで予約してバーコードひとつで搭乗手続きの完了する現在は夢のようですな。 中標津からは、このちっさいプロペラ機で飛びます。揺れたよー。 千歳行きのフライトは初めて乗ったけど、着陸するときにいちいち苫小牧沖の海上まで旋回するんですね。そのまま本州まで飛べばいいのに…と思いました。 千歳で昼食を取って、羽田の長い長い搭乗フロアを端から端まで踏破し、さらに小松空港行きのフライトが予定より30分以上遅れたため、現地に到着したのは夕方の5時近く
夏帆写真集 Breeze with きな子 (Angel works) 作者: 山本絢子出版社/メーカー: SDP発売日: 2010/08/04メディア: 大型本購入: 1人 クリック: 51回この商品を含むブログ (2件) を見る“子役と動物には勝てない”という映画・テレビ界の法則に忠実に沿って作られた映画で、もちろん動物はタイトルロールのきな子役のラブラドール(一躍人気者になってイベントに引っ張り出されてるシーンの微妙に死んだ表情が絶妙)をはじめとする芸達者な犬たち。そして子役のほうは「プロゴルファー花」で加藤ローサの妹役だった大野百花が可愛げのないクソ生意気な幼女を演じていて、これが大変によかったです。 監督・脚本ともにテレビ畑の人ということで不安もあったものの、同じ犬でも訓練士によって能力が発揮できなくなることをワンカットの長回しで見せる丁寧さや、必要以上に感動を押し付けず、常にウ
先日「インセプション」についてかなり辛辣なエントリを書いたのですが、そのあとネット上でさまざまな感想や解釈を読むうちに、ふとある考えが浮かんだので、自分なりにまとめてみたいと思います。 (以下、結末まで完全にネタバレしていますので、ご注意ください!) 映画のラストシーン、危険な任務を成功させた主人公は無事に故国の土を踏み、ついに子供たちの暮らす家を訪ねます。いよいよ再会を果たす直前、彼がふと自分のトーテムである独楽を取り出して机の上で回してみると、なぜか現実世界では回らないはずの独楽が鮮やかに回り出します。 これは単純に解釈すると、主人公がまだ夢の世界にいることを暗示しているように思えますよね。自分もそうなのかと思っていました。 でも、こちらのまとめエントリで紹介されていた、2ちゃんねるでの“この映画は主人公の自己セラピー"説を読むうちに、ある考えが浮かんだのですよ。 インセプション感想・
7/20追記・以下の感想を書いたあとで、さらに考えたことについて追加のエントリを書きました。そちらも併せてお読みください。 まず最初に言っておくと、この映画のアイディアとビジュアルは大変に素晴らしい! テレビをつけっぱなしにして寝ていると聞こえてくる音が夢の内容に影響したり、ものすごい長い夢を見ているつもりが実はほんの数分寝落ちしているだけだったという、誰にもありそうな経験を巧みに作品世界内のルールに織り込みつつ、さらに普通の人なら思いついてもまずやらないような奇想天外なヴィジョンを、ものすごく大真面目に手間をかけて映像化している。これは凄いです。クライマックスの(文字通りの意味での)三段落ちも見事。 しかもそこに、他人の夢に潜入してアイディアを盗んだり、またはある考えを植えつけ(インセプション)るプロの犯罪者集団という、一種の強奪映画の要素を加えることによって、よりスリリングな物語になる
さっそく見てきました。 前作で「俺、アイアンマン!」と世界に宣言した我らがトニー・スターク社長。今回も派手なライフスタイルは相変わらずで、冒頭から個人単位で万博を開催したり、政府の公聴会でアイアンマン・スーツは破壊兵器だと息巻く議員を煙に巻いたりとやりたい放題。ここで出てくる北朝鮮やイラン製のパチもんアイアンマンの記録映像がまた素晴らしくて、つい「ロボコップ2」の試作ロボコップを思い出しました。 しかしその一方、胸のアーク・リアクターの不調から余命いくばくもないことを知り、ついに社長業とアイアンマン業をそれぞれ引き継ぐ2代目を選ぶことに… 2代目アイアンマンを襲名するグウィネス・パルトロウ(ウソです)。 と、柄にもなくあれこれ悩むスタークを叱咤激励するのはもちろんこの人。説教は俺に任せろー! そんなスタークの苦労をよそに、勝手に彼をライバル視して絡んでくる兵器会社の社長、ジャスティン・ハマ
ご無沙汰しております。みなさまお元気でしょうか。 昨年の2月14日、バレンタインデーに思いがけないかたちでチョコをいただき、またそのことをダイアリーで発表したところ、おかげさまで好評をいただきました。 ドキュメント 写真で見る2.14 - 続・Cinema, the Jury 映画が掟だ! はてな死闘編 ところが今年の2月14日には予想だにしないアクシデントが起こってしまい、その内容をここで公表すべきかどうか大いに迷ったのですが、思い切って記事にすることにしました。 ※ 以下のエントリには流血等の刺激の強い写真が含まれていることをご了承ください。 去年はいつのまにか玄関先にチョコが置かれていたので、今年こそは本人の姿を確認しようと、寒いのをガマンして朝から家の前で張り込んでいたところ、 いきなりどこからか矢が飛んできて、太股にぶっ刺さりました。 幸いなことに矢は大腿骨や動脈を逸れており、大
今年は調子に乗って、空中キャンプさんの“2009年の映画をふりかえる”アンケートにも初参加したいと思います。と言っても、今年は映画館で2本しか見てないんですけどね! 1. 名前(id、もしくはテキトーな名前)/性別 cinemathejury(id:cimenathejury)/独身ニート男子(36才)。最近は昆布先生と呼ばれています。なぜだ。 2. 2009年に劇場公開された映画でよかったものを3つ教えてください 「グラン・トリノ」/「アンダーカヴァー」/「チェンジリング」 3. 2で選んだ映画のなかで、印象に残っている場面をひとつ教えてください 「グラン・トリノ」で主人公が贈られる電話機のボタンのデカさ。 4. 今年いちばんよかったなと思う役者さんは誰ですか ランダ大佐ことクリストフ・ヴァルツもとてもよかったのですが、ここは「グラン・トリノ」のアーニー・ハーを推します。仮に100人の男
去る12月6日、東京は大田区・蒲田にて第9回文学フリマが開催されました。いつも読ませていただいているはてなダイヤラーの方々も同人誌を出品されるとのことで、自分も遊びに行きたいなーと考えてはいたものの、なにしろ諸般の事情により北海道を出るのは困難な身の上。すっかりあきらめていたところに大阪在住のプーチンさん(仮称)という方から「今度の文学フリマに行くので、もし欲しい本があったら送ります! 追伸:うち、あんな小娘の女優には負けへんから!」というありがたいメールをいただいたので、ご好意に甘えさせていだだくことにしました。でも追伸部分の意味がよくわからない…。 で、2日後にはもう届きました!早っ! 今回購入してもらったのは、侍功夫さん(id:samurai_kung_fu)主催の映画批評誌「Bootleg」、MKさん(id:Geheimagent)主催の文芸誌「UMA-SHIKA」第2号、人喰いポ
もう期限ギリギリだけど、今年も「男の魂に火をつけろ」さんのベストテン企画に参加する!今回のテーマは「映画ゼロ年代ベストテン」だ! というわけで2000年〜2009年までに公開された映画の中から、お気に入りの10本を選んでみました。でも正直、最近の映画ってあまり見てないので重要な作品がボロボロ抜けてると思いますよ! (なお、特に順位はつけず、並びは公開年度の順としました) チャーリーズ・エンジェル(2000年米 マックG監督) チャーリーズ・エンジェル コレクターズ・エディション [DVD]posted with amazlet at 09.12.01ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2007-05-30) 売り上げランキング: 17957 Amazon.co.jp で詳細を見るDVDを買ってから1ヶ月くらいのあいだ、毎晩繰り返し見てた。そのくらい好き。正直3人の主演女優にはあまりセ
(第1回 http://d.hatena.ne.jp/cinemathejury/20090726/p1) 言葉どおりに少年は翌日の朝、1台のリヤカーを引いて現れた。その荷台にはいくつもの絵の具の缶やバケツ、それから長い梯子が積まれていた。 短くなった髪の裾を自分で切りそろえたチロは、通りすがる男たちに声をかけるのも忘れて、じっと少年の作業を見守っていた。 まず少年はローラーを使って、パチンコ店跡の灰色の壁を真っ白に塗り替えはじめた。広い壁面をくまなく塗りつぶすために、少年は早朝から日の暮れるまでの間、何度も長い脚立を昇り降りし、もうひとつの脚立の上にペンキの入ったバケツを載せる動作をひとりで繰り返していた。 翌日も少年は同じ仕事を反復し続けた。チロは黙ってその様子を見ていたが、やがて少年の元へと歩み寄ると、無言のままにバケツの上げ下ろしや、新しいペンキを補充する作業を手伝いはじめた。少年
タランティーノの新作を見てきました。 映画は全部で5つのパートに分かれていて、それぞれが章立てになっているおなじみのスタイルなのですが、ヒロインのユダヤ人・ショシャナを見舞う悲劇をセルジオ・レオーネ風の重厚なタッチで描く第1章「その昔…ナチ占領下のフランスで」では、“ユダヤ・ハンター”の異名を持つドイツ軍将校ランダ大佐が一見穏やかな物腰を保ちつつ、ユダヤ人一家を匿う農夫を言葉巧みに追い込んで隠れ場所を自白させます。続く第2章「名誉なき野郎ども」では、ユダヤ人特殊部隊“イングロリアス・バスターズ”の活躍(とそれに激怒するヒトラー)が描かれますが、ブラッド・ピット扮する隊長のアルド中尉は捕虜にしたドイツ兵に仲間の居場所を尋ね、答えを拒否すると部下のイーライ・ロス(登場シーンで噴き出しそうになった)に愛用のバットでがっつり撲殺させます。 ランダ大佐とアルド中尉、このふたりの軍人がそれぞれ敵に裏切
「はてなパーカー欲しい!」かって?くれるならもらうよ、グレーのやつ。 それはともかく、今日は春国岱へ行ってきました。寒かったヨー。 奇跡の島 春国岱の自然(根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター) 大きな地図で見る エゾシカとかオオハクチョウとかタンチョウヅルとかいっぱいいたんですが、携帯から撮影なのでことごとく失敗。
ウォッチメン コレクターズBOX [DVD]posted with amazlet at 09.09.12パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2009-09-11) 売り上げランキング: 179 Amazon.co.jp で詳細を見る
ちょっと前のはなしですが、予告どおり、弟子屈町で行われた「たぶん日本一早い新そば祭り」へと行ってきました。 実はこの日の朝ラジオで言っていたのですが「今年は某町に先に新そば祭りを行われてしまった」とのこと。 「確かにお前は早い…だが日本じゃあ二番目だ!」 すみません、特にオチはないです。 会場のJA摩周に着いたのは開場時間を少し過ぎたくらいでしたが、すでにそば販売のコーナーには長蛇の列が。 そば打ち名人による実演も行われています。 こういう包丁見ると「インフェルノ」の肉屋のおじさんを思い出す…猫をいじめるな! 自分も以前そば打ちに挑戦したことありますが、そのあと二日間くらい自分で打ったそばを朝晩食べ続けました。 結局並ぶのが億劫で、そば打ち名人じゃない店のそばを食べました。 こちらでは摩周そば粉を使ったガレットを焼いています。材料はすべて地元産品。 具はチーズと豚肉でした。割り箸だと食べに
みなさんこんばんは。世界陸上の見出しで“やり投げ村上”が“やり逃げ村上”に見えてしかたのないcinemathejuryです。投げろよムロフシー。 さて、私事で恐縮ですが、わたくしこのたび実生活において大きな出来事がありましたので、この場を借りてご報告させていただきたいと思います。 えー、8月23日で貝殻島海域における昆布漁が終了しましたので、本日よりまた無職に戻りました。 短い間でしたが、応援いただいてありがとうございました。明日からは心機一転、見聞を広げるために旅人になりたいと思っています。 とりあえず旅人活動「TAKE NO ACTION 2009」の一環として、手始めに来る8月29日に弟子屈町にて行われる「たぶん日本で一番早い新そば祭り」、翌30日には中標津町図書館「第24回青空本の広場」の古本市、そして9月4日には標茶町図書館の古本市へお邪魔する予定です。当日に同伴してくれる女性も
明け方、昆布先生は夢を見た。 彼が砂浜を歩いていると遠くで呼ぶ声がする。見れば、波打ち際で秋帆が笑いながら手招きをしていた。しかし急いで駆け寄ってみるとそこには誰もおらず、ただ冷たい潮風が海の彼方から吹きつけているだけだった。 と、いきなり足元を洗う波の中から何かが踝のあたりにからみつき、強い力で彼を海中へと引きずり込もうとした。見るとそれは、誰のものともつかない人間の手であった。 昆布先生の体は引っ張られるまま、うつ伏せに浅瀬から深みの方向へと引き込まれていき、彼は必死にもがいて何か手がかりになるものを探したが、指先に触れるものは海水と柔らかい砂の感触のみであった。だがやがて、その手が何か固いものをつかんだ…ようやく水面に顔を上げてみると、それは海中に立ってこちらを見下ろしている秋帆の足首であった。昆布先生は必死に助けを求めようとしたが何故か声が出ない。秋帆はその姿をじっと観察していたが
この一週間、漁が出ていません。 ラーメン屋に行くと必ずチャーハン食べてます。 「W/ステップファーザー」がいつの間にか500円DVDで出ていました。 「オトメン」に登場する制服は「セブンティーン」がプロデュースしてるんですよ。知ってました? 某所で顔出ししたら各方面から大反響でした(画像はイメージです)。 サンミュージックとエイベックス。危機管理という面では対照的な2社ですが、正直いちばん脇が甘いのはスターダストだと思います。しっかり!
あれから十数年が経ったいま、もうひとびとの口の端に上ることはなくなってしまったが、千葉島の歓楽街のひとつである馬頭銀座の入り口には、かつて毎日のようにひとりの少女が立っていたものだった。年のころは十四、五歳だったろうか、いつもお下げにした黒い髪に白いワンピース、そして肩からは小さなポシェットをかけて、朝から晩までアーケードのはしっこにひとりぽつねんと佇んでいた。彼女がそこに立つ目的と言えばただひとつ、馬頭銀座に出入りする男たちにかたっぱしから声をかけることだった。どんな相手にでも決まって一言だけ、「コウビサセロ」というのがその少女が唯一発する言葉であった。 当時の馬頭銀座といえば、職にあぶれた労務者たちが昼間から密造酒で酔いどれたり、背中に色鮮やかな刺青を背負った暴力団の男たちが猫の額ほどの縄張りを巡って流血騒ぎを起こしたりと、堅気の人間は滅多に近づくことのない一種の無法地帯というべき場所
そう、彼女の名は秋帆である。春でも冬でも、ましてや夏でもない。それこそが昆布先生が自身の一生を捧げると誓った女優の名前であった。 1991年6月30日東京都生まれ。かに座。左利き。身長は164cmで、これは奇しくも昆布先生の背丈と一致する。趣味は読書と買い物。嫌いな食べ物はトマト。 小学5年生のときにスカウトされて子役モデルとしてデビューした秋帆の姿を昆布先生がはじめて目にしたのは、当時毎月欠かさず購読していた小学生向けファッション誌「プチレモン」の誌上であった。ほとんど天使といってもいいその容姿に魂を揺さぶられるような衝撃を受けた彼は、それからまるで取りつかれたように彼女を追いかけ続けた。 そして秋帆が中学1年のとき、美少女アイドルの登竜門である「三越のリハウス」のCMに起用されたことと、蒼崎みやい、堀木珠希といった人気女優を生んだBS−yのテレビドラマ「ケータイ知事」シリーズに抜擢され
気が遠くなりそうなほどの焦燥感に身を焼かれながら、やっとの思いで時刻が2時30分を回ったころ、町内放送用のスピーカーがガリガリと音を立てるのが窓の外から聞こえた。『…東港地区のみなさんにお知らせします…本日午後3時、町営保養所前の特設会場にて映画「昆布少女」ロケ隊の歓迎イベントを開催いたしますので、みなさんの参加をお願いいたします。繰り返します…』 昆布先生が旧小学校の保養所へと駆けつけたときには、すでにグラウンド跡の広場は驚くほどの人の群れで埋め尽くされていた。これほどの人数が東港地区に集まるのはおそらくこの町史上初のことであろう。どうやら道東一円から噂を聞きつけた見物客が大挙して押し寄せたらしく、海岸の道路には他市のナンバープレートをつけた違法駐車の車両が列を成していた。赤色灯を回したパトカーがさかんに車両の移動を呼びかけているが、あまり効果はないように見える。もっとも日本を代表するス
「あの女優の名前はなんといったかな」 伊藤雄之助似の親方が不意に顔を上げ、のんびりした口調でつぶやいた。 「え、なに?」応えたのは親方の妻のほうだった。昆布先生はその質問に聞こえないふりをしていたが、朝からしばらくは収まっていた胸の鼓動がふたたび高鳴り始めるのを感じた。 いま昆布先生がいるのは、雇い主である漁師の親方の番屋だった。親方といっても実際に働いているのは本人とその妻と昆布先生の3人だけで、今日は全員で朝から番屋の床の上に座り込み、干して切断された長切昆布を出荷前に1級から4級までの等級に分けるべく、一本一本肉眼でチェックしているところだった。 「あの女優の名前はなんといったかな」親方はふたたび繰り返した。「そら、今日東京から来る女優の名前だよ。顔はテレビで見たことはあるんだが、どうも思い出せない。なにか季節の名がついていたような気がしたが」 「え、そうだったかしら」 「春…」親方
7月の青空と海の色はようやく季節に相応しい色を見せ、この小さな港町にも道東特有の遅い夏が訪れようとしていた。朝の澄んだ空気はまだほんの少しだけ冷たさを残していたが、そんなことは気にも留めないがごとく風を切って自転車を飛ばし、町中を駆け抜けるひとりの男がいた。 いま彼が乗っているのはブリヂストンの通学用自転車で、商品名をアルベルトという。わざわざ隣町のサイクルショップまで出向いて手に入れたものだ。とうの昔に学校は卒業していたし、地元のホームセンターでももっと安い自転車は買えたが、男にとってそのアルベルトには価格以上の価値があった。購入するときに店主と交渉した結果、アルベルトの宣伝用のぼりと業務用のカタログを譲ってもらうことに成功したのだ。現在、のぼりはジップロックに真空状態で封入され、カタログは専用のクリアファイルに収められて、どちらも彼の部屋で厳重に保管されている。クリアファイルの中には、
北海道の道東地方から南東へ数百キロを隔てた太平洋の海底に、はるかカムチャツカ半島から千島列島に沿って北海道沿岸へと至る巨大な地球の裂け目がぽっかりと口を開けて横たわっている。千島海溝と呼ばれるその裂け目の最深部は深度9000メートル以上にも達し、そこには太陽の光がまったく届かない未知なる暗黒の世界が果てしなく広がる。しかしその永遠の暗闇の中でさえ生態系は存在し、生物たちは過酷な環境下で生き延びるために独自の進化を遂げていた。 この大いなる深淵が創り出された原因は、地球の表面を覆う強固だが不安定な、プレートと呼ばれる地殻の層どうしが衝突したせいだった。北海道を載せている陸側プレートの下に太平洋プレートがもぐり込み、ふたつの巨大な岩盤が擦れ合う狭間で、長い年月をかけてゆっくりと海溝は深さを増していった。 そしていまなお、これらのプレートは動き続けている。 その年の春。陸地ではようやく雪が消えた
id:kinutさんからバトンが届きました…と思ったらid:pootiさんからも!バトン初体験だというのに、いきなり美女二人に相手していただけるなんてすごい幸運。でも体力が続くかどうかちょっと心配です。 今住んでる都道府県は?(伏せ可) 北海道の道東地方に住んでいます。地図上では日本の最東端。マクドナルドもケンタッキーもローソンもない田舎ですが(モスバーガーはあります。セブンイレブンは去年ようやく出店)、夏は涼しくて冬は降雪が少ないのはありがたいです。 港町なので、子どものころは鮭とか花咲ガニは店頭で買うものではなく、よそ様からもらうものだと思っていました。あと名物といえば、エスカロップとかオランダせんべいとか昆布とか。 土地柄ロシア人の姿も目立ちますが、特に小さい子どもはみんな人形のように可愛らしいです。大人になるにつれてものすごく体型が変化しますけど。 基本的に他所から来た人間を歓迎す
誕生日おめでとう。これからもよろしく。
ぼくが小学校低学年だったころの正月といえば、町にはまだコンビニもゲオもツタヤもなかったし、どんな店だってデパートだって三が日が終わるまでシャッターは閉まったまま、というのが当たり前の話だった。だから元旦の昼間の楽しみは、ときどき家に年始のあいさつにやってくる親戚の人からお年玉をもらうことと、ひたすらテレビで正月番組を見ることくらいしかなかったものだ。 あれはたぶん3時か4時くらいだったと思うが、家族そろってテレビの前に座っていると、番組と番組のあい間に不思議な映像が流れはじめた。不意に真っ暗な画面に「このフィルムはわたしがオカルトを支持していることを表すものではない」という字幕が浮かび、次に黒人の男の子と女の子が深夜にデートをしている姿が映し出される。と、満月の光を浴びた男の子が苦しみだし、見る見るうちに顔面が変形して狼男へと変身していくではないか!まるで前にTVジョッキーの映画紹介コーナ
相変わらずアマゾンでは手に入らないキープの500円DVD“GRANADA INTERNATIONAL MOVIES”に10タイトルが追加されて、マイケル・ウィナーの「リベンジャー」にウェス・クレイブンの「ジェシカ/超次元からの侵略」、ロイ・ウォード・ベイカーの英国製西部劇「黒い狼 ローン・ウルフの決闘」とかまたまた渋いタイトルが並ぶなか、今回一番気になったのが1989年にマイケル・マンが監督したこのテレビムービー。6年後にアル・パチーノとロバート・デ・ニーロ主演で「ヒート」としてセルフリメイクされたことでも有名な作品。 キャラクターやストーリーはほぼ一緒ながら、3時間の長尺だった「ヒート」に対しこちらは半分の約90分(マイケル・マンいわく「テレビ版は映画用脚本の4割程度」)しかないので、実業家ヴァン・ザントとの小競り合いや強盗一味の家族ドラマ、最後の空港での一騎打ちなどが割愛されているもの
ホット・ファズ~俺たちスーパーポリスメン!~ [DVD] 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン発売日: 2008/12/04メディア: DVD購入: 14人 クリック: 53回この商品を含むブログ (113件) を見る 輸入盤DVDは持ってるけど、WOWOWのハイビジョン放送で再視聴。今回見直して気づいた小ネタ。 受付の警官が双子だったというギャグで、よくよく見ると二人の髪型が違うだけでなく、読んでいる本がイアン・バンクスの「共鳴」とイアン・M・バンクスの「The State of the Art」(同一作家のペンネーム)。 共鳴 (ハヤカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫) 作者: イアンバンクス,Iain Banks,広瀬順弘出版社/メーカー: The Mysterious Press発売日: 1996/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見るThe
いよーぅ、みんな元気かい?久しぶりにcinemathejuryがお送りするあなたのための時間だぞう(←若本規夫の声で)。 最近はどうしているかというと、毎朝4時にその日の漁の終了時刻が携帯メールで届くので、その時間にあわせて出勤。トラックに満載されてくる昆布を干場いっぱいに伸ばして干して、それをたたんで棒にかけたのを乾燥小屋まで運んだりしてる有意義な毎日を送ってるよ…だいたい夕方4時には帰ってくるので、それから夕食を食べて、Wassrの投稿を眺めて力なく笑ったり、ヤフオクで中古のアダルトDVDを大量に買い込んだり、偽チロタンのアイディアを練ったりしてる間にすぐ寝る時間になってしまうので、すっかりはてブもアンテナの巡回も携帯から眺めるだけで終わってるねえ…。 天気悪い日は休みなんだけど、それはそれで図書館の古本市に行って角川文庫の「完訳 聊斎志異」とか実孫の出口京太郎が書いた「巨人 出口王仁
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