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yigarashi.hatenablog.com
EMになってかれこれ1年半ほど経過しました。仕事でほとんどコードを書かなくなってからは1年くらいが経ちます。代わりに組織やヒトのマネジメントが主務になっています。情報収集をしてチームの軌道修正をしたり、メンバーの活躍や成長を助けたり、組織の成果を大きくするための変化を企画したりといった具合です。何かを考えておく、文書にまとめるという仕事が日々大量に襲ってきます。それらを効率よくこなす訓練をしていくと、日々の仕事の不確実性はどんどん下がっていきます。この件は30分で結論を出す!この企画書は1時間でまとめきる!それを見積り通りやれるようになっていきます。パフォーマンスを出す上で、仕事に不確実性はないし許容できないというマインドが強くなるのを感じます。 そんな暮らしの中で、月に1件くらい開発タスクをやることがあります。チームの負荷を下げるためメインラインではない保守運用を巻き取ることにしているの
リーダー、マネージャーをはじめとして多くの人が仕事を任せる側になることがあるでしょう。それ自体は経験資源を配りながら自分の余裕を作り出せるもので、普遍的な良い取り組みです。委譲のレベルや立て付けをしっかりと決めて積極的にやっていくべきです。しかし、そうして仕事を任せた時にいつも全てが上手くいくとは限りません。時には支援的な動きを超えて介入が必要になることもあるでしょう。 この介入というのが、圧倒的にコミュニケーションが失敗しやすいポイントです。ここのコミュニケーションで失敗したことがないマネージャーはいないのではと思うくらいです。自分も失敗したことがあります。自分のメンティーも同様の経験をして会話をしたことがあります。頻出シチュエーションとして、いつでも引用できるように情報をまとめようと思います。 なぜ丁寧さが必要か 丁寧さが必要な理由は大きく4つ思い付きます。 任されていた側の自尊心を深
技術的負債をうまくマネジメントすることは重要です。なぜなら、持続可能な長期的な利益の確保こそが競争戦略における目標であり、技術的負債への対応力はその目標に近づくための重要な組織能力だからです。EMとして組織の成果の最大化を目指す上で避けては通れない課題です。また技術的負債への対応は、単に技術的な課題ではなくそれらを包含するプロダクトの課題です。どうやって解決するかだけでなく、なぜ、いつ、どのくらいやるべきかを、事業責任者などのステークホルダーと合意して初めて対応を進めることができます。こうした課題に対しては、多職種をつなぐメンタルモデルの構築、方向付け、ファシリテーションといったソフトスキルが必要になってきます。EMはエンジニアリングの視点とそうしたスキルを併せ持つことが期待される存在で、技術的負債への対応においても重要な役割を担うと考えています。本記事では、技術的負債をマネジメントする方
不確実性の高いプロダクト開発や、継続的な価値提供を行なっているサービスにおいては、フロー効率を重視するのが良いとされている。ある価値が早く顧客に届く方が、早くフィードバックを得られるとか、顧客が享受する価値の総量が大きくなるとか、様々な方向からメリットは説明され尽くしている。それには同意する。 開発プロセスの文脈でもフロー効率を重視するためのプラクティスは一般的だと思う。スクラムの言葉に従えば、スプリントゴールはなるべくシンプルにひとつにしようとか、ひとつのプロダクトバックログアイテムを複数人で片付けようとか、そういった話である。チームの付加価値生産性を最大化するために、こうしたやり方を採用するのは素朴には理にかなっていると思う。しかし最近、メンバーの育成や評価に対する責任が大きくなってきて、その立場から改めてこれらのプラクティスを考えると、手放しに最高とは言い切れないなと葛藤している。
EMキャリアの近況報告シリーズです。2024/4にEM of EMsになったので、現在の働き方やそこに至るキャリア戦略について書きます。これまでの様子は以下です。 エンジニアリングマネージャーを目指す若者の戦略 EMキャリアを切り拓く「最強の現場リーダー」という働き方 エンジニアリングマネージャーの最初の学び - このロールは何なのか 事業を深く理解しOODAループを回しまくる最近の自分のEM像に至るまで 現在の働き方 私が所属する株式会社はてなでは、いくつかの事業からなる事業本部を組織しています。自分はこの事業本部付きのEMにあたります。事業責任者と横並びになる形で、エンジニアリングで本部全体に貢献する責任を負っています。EM of EMsとは言ったものの、実はまだ各事業にEMはいなくて難しいところなのですが、大半のマネジメント能力が完結している各事業を外から支援する形なので、抽象度とし
「真摯な質問」は対話の基礎を成す重要な要素です。「組織を変える5つの対話(p.41)」では、真摯な質問の特徴を次のように挙げています。 本当に答えを知りたい。 答えを聞いて驚くことがあってもそれは当然である。 答えに応じて自分の考えや行動を変えることをいとわない。 つまり純粋に新しい情報を求める意図のみで行われる質問のことです。裏表のない創造的な対話が相手の自律性を引き出します。マネージャーとして同僚の力を引き出すための強力な武器であると考えています。本書では続けて、真摯ではない質問についても述べています。 それとは対照的に、真摯ではない質問は何か新しいことを学ぶよりも自分の主張をするために使われます。本当は意見の表明であるのを隠していたり、自分の思い通りの結論に相手を導こうとしていたりするのです。 しかし、こうした質問が悪意から来るとは限りません。自分が望んだ結果を得ようと無意識に発せら
わたしは現在、新規事業チームのEMをやっています。その仕事の中でユーザーインタビューが自分の得意技になりつつあり、思わぬ形でEMとしてのバリューを高めることができています。「XXもやるYY」というのはエンジニア界隈で良くある売り文句ですが、「ユーザーインタビューもやるEM」はあまり観測しないように思ったので、そのバリューについて書いてみようと思います。 ユーザーインタビューが得意技になるまで ユーザーインタビューはUXリサーチにおける代表的な手法です。特にこの記事では、ユーザーの状況や課題を掘り下げるための半構造化インタビューを指すことにします。「1日の仕事の流れを教えてください」といった大まかな台本を用意しつつも、会話の中で得られた情報から「それが大変なのはなぜですか?」などと、自分たちの仮説検証に資する方向に柔軟に話を進めて情報収集するアクティビティです。 特にプロダクトの初期段階の不
はじめに これまで自分のEMとしてのキャリアや考え方の変化について書き留めてきました。 エンジニアリングマネージャーを目指す若者の戦略 EMキャリアを切り拓く「最強の現場リーダー」という働き方 エンジニアリングマネージャーの最初の学び - このロールは何なのか 前回の記事からおよそ8ヶ月。当時は想像もしなかった様々な経験をし、またひと回り成長できたと感じられるタイミングが来たので、内省を深める意味でも自分の近況をアウトプットしてみたいと思います。 EM"完全に理解した" ここ半年ほどはとても苦しい期間でした。いわゆる"完全に理解した"(ダニング=クルーガー効果における最初の山)を越えたのか、何をやってもしっくりこない、うまくできている気がしないという感覚に苛まれました。EMは組織の成果を最大化するためにあらゆることをするエンジニア、そして主要な手札は一般的なマネージャー論や、広木大地さんが
プロダクト開発のアンチパターン プロダクトオーナー(PO)が仕様案を持ってリファインメントや計画に臨み、エンジニアが実現可能性や曖昧さの観点からダメ出しをして手戻りが起こる……スクラムやデュアルトラックアジャイルを志向する組織においては、一度は目にする光景だろうと思います。しかしこれは、以下のふたつの理由からひどいアンチパターンであると言えます。 ひとつには、仕様案を持って臨むPO側の精神的な負担があまりにも大きいやり方だからです。ちゃんとした仕事をしているPOならば、そもそも仕様案なんていう細かいところにたどり着くまでに、とてつもない量の不確実性を捌いてボロボロになっているのです。プロダクトのミッション、戦略、プロダクトゴール、ユーザーの課題、仮説検証の設計、MVPの特定、そういった大上段からのヘビーな分解を繰り返して、ようやくたどり着くのが具体的な仕様案なわけで、それを実装が難しいとか
OpenTelemetryについての情報を見聞きする頻度がどんどん上がっており、各種サーバー監視サービスやクラウドでも対応が進んでいることから、そろそろ自分の引き出しに入れたいと感じました。概要を自分で説明できるくらいを目指してざっくり学んだログを自分用に残します。 OpenTelemetryとは opentelemetry.io 公式トップページにある以下が全てを物語っているとは思います。メトリック、ログ、トレースはお馴染みのObservability三銃士ですね。 OpenTelemetry is a collection of APIs, SDKs, and tools. Use it to instrument, generate, collect, and export telemetry data (metrics, logs, and traces) to help you
パスワードレスな認証方式である「パスキー」が急速に普及しています。OS、ブラウザ、パスワード管理ツール、サービス提供者のどれもが整いつつあり、ついに本当にパスワードが必要ない世界がやってきたことを感じます。この記事では、本腰を入れてパスキーを使い始めて快適になるまでの様子をまとめます。技術的な厳密さ・網羅性には踏み込まず、いちユーザーとしての入門記事という位置付けです。 パスキーとは パスキー - Wikipedia 認証、セキュリティに関しては門外漢なので、Wikipediaのリンクを置いておきます。私よりはWikipediaのほうが信用に足るでしょう。 そこから辿れるホワイトペーパー:マルチデバイス対応FIDO認証資格情報を読むと、多少ストーリーもわかります。FIDO2というデバイスに格納された秘密鍵に依存したパスワードレス認証の仕様に、暗号鍵(と訳されていますが秘密鍵のことで良い……
最近エンジニア採用に関わる機会が増えました。エンジニアリングマネージャーとして、採用プロセス全体を機能させチームを組成する能力を獲得したいと考えており、その足掛かりとして面接官の役割を積極的にアサインしてもらっています。それなりの件数をこなして学ぶ土台ができてきた感触があるので、このあたりでエンジニア採用の全体像を学ぼうと考えました。 採用に関する書籍は数多くあり、どれを自分の教科書とするか迷いましたが、以前見つけてブックマークしていたITエンジニア採用入門がよさそうに見えました。自分が関わる採用市場とかなり近い文脈で、具体的な情報がエンジニアの目線から簡潔にまとめられています。全体像を学びたい自分にうってつけの資料です。これが無料で読めるのは本当にありがたいことで著者の方には頭が上がりません。 主要な学び EVPとアトラクト ITエンジニアの採用は競争が激しく、採用プロセス全体を通して「
2023/6/16付の人事異動で正式にエンジニアリングマネージャー(以下EM)になりました。2021/8に「エンジニアリングマネージャーを目指す若者の戦略」という記事を書いて明確にEMを目指し始め、2022/12には「EMキャリアを切り拓く「最強の現場リーダー」という働き方」という記事でEMに近づく様子を書きました。さらにそこから半年余り、ついに会社からも正式にEMと呼ばれることになりました。実際には3ヶ月ほど前から強くEMを志向した動きにはなっていましたが、やはり正式な職位は特別なもので、キャリアにおける重要な実績をひとつ解除したと感じています。 これほどEMというロールを志向し色々とやってきたのですから、EMとしての振る舞いもさぞスムーズに立ち上がるかと思いきや、実際にEMとして動くのは非常に難しいことでした。書籍やブログ記事を読んで頭で理解したEMという働き方と、自分がチームでEMと
自分のチームでスクラムからカンバンへ移行する機運が高まっており、本格的な取り組みに向けてザッと勉強したのでまとめる。 カンバンとは カンバンとはトヨタ生産方式に由来するソフトウェア開発手法(ないし、より広く適用可能なプロジェクト管理手法)のことである。ソフトウェア開発の文脈では「スクラム」や「エクストリームプログラミング」と同じ箱に入っている言葉と捉えると良い。具体的には以下のような手法である。 ボードにバリューストリームを表現しそこに仕事の状況を可視化する 「TODO」「DOING」「DONE」などのレーンがありアイテムが並んでいるものを想像すると良い。カンバンという手法を離れて、そういったボードだけで「カンバン」と呼んで使っている現場も多くあるだろうし、「スプリントボード」といった名前で運用している現場もあるだろう。とにかく、よく使われているあのボードを想像すれば良い レーンごとに置け
最近テックリードのロールを手放し、働き方がEMに近づいた。折に触れてEMになりたいと言ってきたが、だからと言って最初からうまくできるわけもなく、ここ1ヶ月くらいは悶々としながら過ごしている。特に今回困ったのは、自分の現在地がぼんやりしていて漠然と据わりが悪い感触に苛まれている点だ。もう少し課題や方向性を精緻にして、自信を持って前進できる環境をつくりたい。その一環としてマイスキルマップを作ってみたので紹介する。 マイスキルマップへ至る思考 自分が大事にしている心構えのひとつに「練習していないことはできない」というのがある。十を知るには十を聞き、繰り返し実践することでしか一人前にはなれないという、ごくごく当たり前のことだ。この心構えでひとつひとつ丁寧にやっていくのが、ここ5、6年の自分の強みだと思っている。 しかしこの心構えを維持するのは簡単ではない。何かができるようになると、自分の能力のイメ
ソフトウェアエンジニアとして安定した成果を出したいと思っている人は多いでしょう。妥当な方針を危なげなく定め、素早く的確に実装し、滞りなく仕事を片付けていきたいものです。しかし、いつでもそのように成果を出せるようになるのは簡単ではありません。言語、ミドルウェア、クラウド、アーキテクチャと、身につけるべき知識が無限に並んでおり、それら全てに習熟する日は永遠に来ないとすら思えてきます。 にもかかわらず、この記事を読むみなさんの同僚には、安定して成果を出せるエンジニアが相当数いるだろうとも思います。これは一体どういうトリックなのでしょう。彼ら彼女らは全てを勉強しているのでしょうか。もちろんそれに近い研鑽を積んでいる人もいるでしょうが、多くの人はそこまでしていないと予想します。少なくとも僕はそこまでやっていませんが、技術面でもそこそこバリューを出して、テックリードを1年勤め上げました。この記事では、
先日のRSGT2023で以下の発表がありました。「自分がそれほどプロダクト開発に興味がないことに気づく」は自分自身にも心当たりがありますし、プロダクト開発チームのリアルを言語化した発表だと思いました。この発表では、そうした言語化を受けてどうするのかについては深く触れられておらず、回答は聴衆に委ねられていることから、さらに議論を広げてみようと思います。 実際問題、真に興味を持つのは大変 現代のプロダクトマネジメントは、ひとつの深遠な専門領域になっていると思います。「本が1冊書ける」なんてレベルではありません。何百冊、何千冊と書ける世界です。そうした専門知識を組み合わせ、市場とユーザーとプロダクトを徹底的に分析し、データに基づいて仮説検証を繰り返し、それを自分のプロダクトに接続する方法を捻り出して、ようやく少し尤もらしい方向に近づきます。とても過酷な領域です。 ここにエンジニアが越境して興味を
ソフトウェア開発で、より早くより多く価値を届けたいと考えた時、エンジニアの増員は有力な選択肢です。もちろん、人月の神話などで語られるように、人を増やしただけ線形に生産力が向上するというシンプルな世界ではありません。それでも多くの現場でエンジニアの増員が行われます。自分のチームでも、とりあえずエンジニアを増員すれば、いくつかの問題が解決してくれるような気もします。雑談ベースでメンターなどにこういう話を出してみるわけですが、改めて「なぜエンジニアを増員したいのか」と問われると、これが意外と広がりのある議論であることがわかってきました。本記事では、エンジニアを増員するロジックについて、自分が思考を広げられた範囲で書いてみます。 作り切りの場合は明快 まずエンジニア増員のロジックを素朴に立てられるのは作り切りの場合です。ある程度の規模のものを丸々作り切らないといけないケースです。締め切りがあること
このエントリはEngineering Manager Advent Calendar 202213日目の記事です。 まえがき このエントリは、以下のPodcastで話した内容を掘り下げて整理したものです。Podcastの方では本エントリで触れていないチームの具体的な様子等についても話しているので、ぜひ合わせてお楽しみください! はじめに 以前、エンジニアリングマネージャーを目指す若者の戦略というエントリを書きました。その時点でのエンジニアリングマネージャー(以下EM)というロールへの理解や、実際にEMを目指していくための戦略を整理したものです。 素晴らしいことに、このエントリの投稿からおよそ1年3ヶ月たった今も戦略は機能しており、ロールへの理解を深めつつキャリアを前進させることが出来ています。本エントリでは、EMというロールへの理解の変化や、EMを志向する過程で目指している「最強の現場リー
この記事ははてなエンジニア Advent Calendar 20227日目の記事です。 昨日は id:utgwkk さんでした。 さて、今日はスクラムの話です。スクラムの導入とリードは自分のキャリアにおける重要な仕事のひとつで、気づけば3年ほどスクラムと取っ組み合ってきました。ここ1年くらいで、ようやく安定してテンポ良く開発が回るようになって、大仕事に一区切りついたような気持ちでいます。そうして少し肩の力が抜けた結果、最近はスクラムというフレームワークから一歩引いた位置に自分の目線が移動しつつある気がしています。自分の考えのスナップショットを取るには絶好のタイミングと思われるので、スクラムについての学びや、自分のスクラムに対する目線をまとめてみようと思います。 スクラム導入のキモ まずは、自分が経験したり見聞きした様子から、スクラム導入のキモだと思う点を2つほど書いてみます。どちらも越えが
仕事ができるエンジニアはだいたい段取りがうまい。達成したいゴールがあるときに、AとBとCをやる必要があって、Bはわからないことが多いから先にやろうとか、AとCは並行してできるからCを誰かにお願いしようとか、とにかく目標を達成するための道のりをうまく計画できる人が多い。こういう作業をそつなくこなせるかが、ジュニアと一人前を区別する重要な指標のひとつと言える。そしてこの段取りをうまくできない人に対して、細かい計画を立ててあげて指示をするのがマイクロマネジメントだと思う。 スクラムにおけるスプリントプランニングは、この段取りをチームでやると思うとよく腹落ちする。達成したいゴールとしていくつかのプロダクトバックログアイテムを置いて、その達成に必要な作業を半日から1日で終わるサイズのタスクにみんなで分解して、不明点を一緒に洗い出して、どういう順番でやっていくか計画を立てる。まさに段取りだ。これがスク
プロダクトの非機能的な改善をビジネスの中でどのように進めるかは、多くのチームが頭を悩ませる課題であると思います。本記事では私が最近考えていることをまとめてみようと思います。主に自社プロダクトの継続開発を想定した議論をします。 前提 まず非機能改善について議論する上で、重要な前提がふたつあると思っています。 ひとつは、我々は常に共通の目標を持っているということです。プロダクトのミッションや期の目標のことです。ビジネスサイドの人もエンジニアも、そうした目標を達成するためにそこにいることに違いはありません。機能開発も非機能的な改善も、見ている時間軸が多少違うことはあれど、この目標を達成するための手段です。それらが一見対立するように見えるのは影響を与える指標が違うからです。 もうひとつは、非機能改善に「やらない」という選択肢はないということです。システムにはデフォルトで滅びる方向に力が加わっていま
やむを得ず、User Agent文字列を使って特定のブラウザ向けにJavaScriptの処理を分岐する必要が生まれてしまったので、調査・検討のログを記事にまとめます。 基本的にはバッドプラクティスである ユーザーエージェント文字列を用いたブラウザーの判定 - HTTP | MDN まずはMDNがドキュメントを公開しているので読みましょう。要点は以下です。 基本的にUser Agent文字列に基づいて処理を出し分けるのはバッドプラクティス 多くのケースではUser Agent文字列を使うよりも良い手段がある 例えば特定の機能の実装状況に基づく分岐を行いたければそれを直接検出する それでもやむを得ない場合、User Agent文字列からブラウザ名、レンダリングエンジン、バージョン、OS、端末といった情報を取得することができる ただし各ブラウザのUser Agent文字列は嘘をついていることもあ
ソフトウェアエンジニアとして働き始めて以来、ずっとソフトウェアデリバリーのパフォーマンスに興味を持って、さまざまな改善活動をしてきた。当初はスクラムを中心としたプロセスの改善に注力したが、最近はチームの成熟に伴って技術的なプラクティスに興味が移りつつある。より広い視点からデリバリーについて考えるのは非常に楽しい仕事だ。 デリバリーのパフォーマンスを改善していくには、定量指標として確立されたFour Keysを計測し改善するのが業界標準となりつつある。恥ずかしながら、私はこれまでこのFour Keysが腹落ちせず、積極的に計測してこなかった。しかし、多方面に興味が向いて知識や経験が蓄積するにつれて、猛烈にFour Keysの重要性が腹落ちしてきた。この記事では、現時点における自分のFour Keysに関する理解と解釈を整理してみようと思う。 Four Keysとは Four Keysの妥当性
スキルマップとは スキルマップは、チームで使っている技術を各メンバーがどのくらい習得しているかを集計したものです。スプレッドシートで表を書いてメンテナンスしているチームが多いのではないかと思います。このアクティビティのメリットは以下のようなものがあります。 チームで属人化している領域を可視化できる チームが使っている技術を一覧する機会になる 各メンバーの能力開発の資料になる スキルマップはいまつかっている技術を一覧するのが一般的ですが、今回はそこに未来の話も混ぜてみているという話です。 問題意識 こうした発想に至る問題意識は大きく分けてふたつあります。 ひとつは、いま使っている技術だけを見ていると、メンバーのスキルビルドの道筋が難しいことが挙げられます。特に長く運用されているサービスでは、どうしても技術の新陳代謝のスピードに限界があり、スキルマップに一世代前の技術が並んでしまうことが多いと
近年のアジャイルムーブメントにおいて「職能横断チーム」は当たり前の概念になっています。ユーザーに価値を届けるのに必要なあらゆる機能をチームが備え自律的にコントロールすることで、リードタイムを短縮するとともに、イノベーションが起こりやすい環境を作ることができます。しかしながら、7〜8人を超える大きめの集団になってくると、開発の効率を著しく下げるアンチパターンを踏んでしまうことがあります。 「職能横断チーム」の実践におけるアンチパターン そのアンチパターンとは「いつも全員一緒」です。バックエンドエンジニアだろうとアプリエンジニアだろうと、デザイナーだろうとプランナーだろうと関係なくとにかく全員です。サイロ化のカウンターとしての「職能横断チーム」に囚われ過ぎてしまって、チーム内に部分集合を作ることを極端に避けてしまっている状態です。その結果、10人もいる会を開いて細かい相談で時間が伸びたり、そも
タイトルの議論はよく見られるもので、スクラムコーチの間ですら(一見すると)意見が分かれることがあるようです。自分は「安定させる」派だったのですが、CSPO研修を受講したチームのPOが「上げる」派のコーチングを受けてきて、改めてチームとしてどういうスタンスを取るか考える機会を得ました。結論から言ってしまうと、そもそもこれは二項対立ではなく、「上げる」派の人も「(安定させた上で)上げる」と言っているだけで、単に目指している高さが違うだけだろうと解釈しました。その上で、チームの現状に合わせて適切な目標設定をすれば良いと考えました。以下でもう少し掘り下げてみます。 大前提 まずソフトウェア開発の大前提として、開発チームには常にベロシティを下げる方向に様々な力がかかっています。これは「変化」と呼ばれて恐れられ、プロダクトや開発チームに次々と襲い掛かります。例えば以下のようなものです。 市場が求めるも
僕にはリーダーシップがわからない。 しかし無策で取り組むべきでないことだけはわかる。 ということで、自分の周囲で共通言語としてよく参照されている「エラスティックリーダーシップ」を読むことにした。自分は新米リーダーとして困りをたくさん抱えているのだが、そこから脱出するための知見が山のように書いてあった。適用しやすいシンプルな枠組みや考え方が提示されていて、最高のリーダー、そして最高のチームを目指して頑張ろうという気になった。初版は2017年5月で今さら感もあるが、学んだことや考えたことを整理してみる。 エラスティックリーダーシップモデル ここが本書の中心であり一番有名なところだと思う。チームにはサバイバルモード、学習モード、自己組織化モードの3種類があり、それぞれでリーダーは異なるリーダーシップを発揮するべきというもの。具体的には、サバイバルモードであれば指揮統制でチームが学習する余裕を生み
リソースを集中させるのは難しい プロダクト作りにおいては、一番効果が高いところにリソースを集中しリードタイムを縮めるのが良いとされています。スクラムをやっているなら、ただひとつのプロダクトゴールが掲げられていて、そのためのプロダクトバックログアイテムに取り組む割合が高いほどゴールに早く辿り着くことが期待できます。しかしこれを実践するのは非常に難しいです。ステークホルダからの依頼、並行プロジェクト、障害対応などなど、チームが重要な目標に向かうのを阻む障害物が無数にあります。プロダクトバックログ Deep Dive | Ryuzee.comにおいても、「スプリントゴール直結のプロダクトバックログアイテムとそれ以外(上述)のプロダクトバックログアイテムの比率を7:3程度にすることも多い」と述べられていて、集中しきれないのは避けられないことではあると思います。 少しでも集中するために こうした難し
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