燃え上がれ 愛のレジスタンス 今日取り上げるのはモレッティの『遠読』である。この本は、文学作品ではなく、批評分野の人文書である。このため、いつものスタイルではなく、要約を主体とした形式でまとめている。『遠読』を「遠読」したい人のためのメモといってもよいかもしれない。この文章の最後に、私が見たところの若干の感想も付している。 この本には、10本の論文が収録されているが、この種の本の読解の定跡に従い、本論に入る前にあとがきを読んだ。このため、この記事でも冒頭にあとがきの要約をつけている。 いずれの論文も、本書の形式に収録される際、原著者の手による前書きと後注とが付加されている。初出後に付加されたこれらの手段を用いて、著者による自己批判かあるいは自己弁護がされている箇所も多い。 概ねどれも独立して読むことができる。私のオススメは、2番目、3番目、そして9番目の論文だ。もう一つ入れるなら7番目だろ