2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ニートとひきこもり

はじめに、誤りの訂正です。 先日、作家武田泰淳について、「浄土真宗の寺の息子」と書きましたが、これは「浄土宗の」の間違いでした。 法然と親鸞だから、きっとえらい違いだ。なんで間違って覚えてたんだろう? しかし、日本で二番目に武田泰淳のことを書…

ドゥルーズ=ガタリの労働観

かなり以前から、ドゥルーズ=ガタリが書いた『千のプラトー』のなかに書かれている、労働と労働者についてのかんがえ方を整理してここに書きたいと思っていたのだが、なぜか書きそびれてきた。『フリーター漂流』を紹介してるときにも思ったし、「愛国心教…

「自由」競争とは

パリーグのペナントレースはまだ始まったばかりなのでなんともいえないが、やはりチーム間の戦力差がありすぎるみたいだ。開幕前、「楽天は百敗するか?」が予想のポイントになっていたが、ほんとにそんな感じだ。 前から不思議に思ってるのだが、プロ野球と…

『フリーター漂流』イベント報告にふれて

先日大阪で番組『フリーター漂流』を題材としたイベントがあり、その報告と感想をid:ueyamakzkさんが二日にわたってアップされていた。http://d.hatena.ne.jp/ueyamakzk/20050325http://d.hatena.ne.jp/ueyamakzk/20050326#p4 ぼくはこのシンポに参加してい…

『熱球の伝説』

おととい、野村克也をとりあげた番組について書いたが、これは、先週五日間にわたって放送された『プロ野球・新時代へ熱球の伝説』というNHKの番組の五回目だった。 これはなかなか良く出来たスポーツドキュメンタリーで、見た人も多いと思うが、見逃した人…

「自己家畜化」

こんな言葉があるのか、という本を、あるサイトで知ったので紹介。 MAOさんという方が運営されている、こちらのサイトで紹介されてました。 「自己家畜化」。 すごい言葉やな。 ぼくも、色々な理由から、「家畜化」というのが現代のキーワードではないかと考…

『風媒花』その3 完結篇

最近、みなさんからよくコメントやトラックバックを頂き、たいへん励みになっています。 ありがとうございます。 * おとといのエントリーの続き。 峯の悪夢 エロ作家峯は、自分の唸り声で目をさました。それは、峯がつくづく自分というものが厭になるような…

ノムさん

金曜の夜は、サッカーの試合を見ないで「野村克也物語」を見てしまった。 野村は現役の最後は西武ライオンズにいたんだけど、45歳の最後のシーズンの終盤、先発でマスクをかぶっていて、その試合は1試合で9個も盗塁を奪われるぐらいぼろぼろだったんだけ…

『風媒花』その2

『風媒花』紹介の続き。 PD工場での講演 きのう、武田泰淳の「殺」に対する感覚ということを書いた。これは、人間に限らず生き物を殺すということについての感覚の鋭さである。それは生理的なもので、これが武田の倫理観の根底にあると考えられる。もちろん…

『風媒花』その1

先日、新自由主義とグローバル化の関係がよく分からないと書いたら、メールで参考になる本を教えてくれた人があった。感謝したい。 『魂の労働』という本だそうで、題名からして期待できそうだ。著者は渋谷望。ロック評論家じゃないよね? 武田泰淳作『風媒…

ジョン・セイルズの二本

「ニューヨーク論」でレジュメを書かないといけないという友だちがいて、ネタになりそうな本はないかということだったので、カフカの『アメリカ』を勧めた。ニューヨークははじめの部分にしか出てこないのだが、当時の(ヨーロッパから見た)「アメリカ」の姿…

福田・磯崎対談追記 上海・光州・アイコン

先日書いた、福田和也と磯崎新の対談についての、このエントリーに、id:yugi713さんという方が言及してくださってトラックバックを頂いた。建築や美術の分野に関心の深い方で、その観点からあの対談に興味を持たれたとのことなのだが、ぼくとしては対談のな…

『<自己責任>とは何か』を読む

桜井哲夫著『<自己責任>とは何か』(講談社現代新書)。「自己責任」とは何か (講談社現代新書)作者: 桜井哲夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/05メディア: 新書購入: 3人 クリック: 138回この商品を含むブログ (22件) を見る この書名だけを見た人は、…

ETV特集『遺された声』

19日夜、ETV特集『遺された声〜ラジオが伝えた太平洋戦争』を見た。 この番組の一部分は、以前にも見たことがある。再放送か、新しい部分を加えて新たに作ったものだろう。はっきり分からない。 旧満州国で放送された数多くのラジオ番組の録音盤が中国では…

領土・徴兵・徴税

先日、日本はアメリカに資源や食料を依存しているということを書いたが、資源に関しては自国の領土内でかなり自給できる可能性があるそうだ。日本の近海には豊富な海底資源が存在することが分かってきたからだ。最近報じられることの多い日韓の間の領土問題…

生命のナショナリズム

このエントリーは、『竹内好「近代の超克」その1』から『その3』までに続くものです。 竹内ナショナリズムについての批判的仮説 きのうまで書いてきたことから、竹内好が主張するナショナリズムの性格について、さしあたっていくつかの特徴を指摘できるの…

竹内好「近代の超克」その3 ナショナリズムと抵抗

きのう「抵抗」という言葉の解釈に関して書いたが、竹内好自身に関して言えば、この言葉はなんといっても名著『魯迅』の序章に書かれている「そう扎」(漢字を表記できないので、講談社文芸文庫などから出ている実際の文章に当たってください)という中国語と…

竹内好「近代の超克」その2 戦争と生命線

きのうの続き。 最初に余談。 きのう小林秀雄のことに少し触れたが、小林は、戦前から戦後にかけて際立ったカリスマ性を持ち続けた日本の文化人の一人だ。 戦後第一のカリスマ三島由紀夫が代表作『金閣寺』を発表した直後、小林と対談し、たしか次のようなや…

竹内好「近代の超克」その1

竹内好の論文「近代の超克」を再読したので、感想を簡単にメモしておきます。 ぼくの手元にあるのは、筑摩書房の現代思想体系というシリーズの4、「ナショナリズム」という巻である。この巻の編集は吉本隆明。 初版1964年となっているものの第6刷で、…

福田・磯崎対談を読んで

先日、中国の革命家の女性秋瑾の生涯を扱った武田泰淳の小説『秋風秋雨人を愁殺す』について、二度にわたって書いたが、たまたま新しく発売された雑誌に秋瑾や魯迅・周作人のことが話題にされている対談が掲載されていることを知ったので、読んでみた。 文芸…

日本の競馬と資本主義

寒の戻りで、関西では大阪や神戸でも雪が降った。 すき焼きを食べるなら今のうちである。 日曜日に阪神競馬場で行われたフィリーズレビューでは、福永騎手騎乗のラインクラフトが勝ち、2着のデアリングハート、3着のエアメサイアともども、桜花賞の優先出…

馬肉の話

きのう、豚肉と牛肉の話を書いたが、少しその続き。 馬肉については、ぼくは数度しか口にしたことがない。おいしいものだと思う。ただ、昔長野県の牧場(馬の牧場ではありません)で働いていた頃、新鮮な馬刺しをたくさん食べる機会があったのだが、食あたりし…

牛と豚の話

なにか書きたいことがあったのだが、どうも思い出せない。 先日、豚肉料理のことを書いたので、ぼくなりの「食肉文化論」をちょっと書いておきたい。この話は、たぶん大方不正確な思い込みであると思うので、ざっと読んで、本当のところは調べてください。

『殺人の追憶』

以前から見たいと思っていた韓国映画『殺人の追憶』を、ようやく劇場で見ることができた。殺人の追憶 [DVD]出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント発売日: 2004/08/27メディア: DVD購入: 2人 クリック: 28回この商品を含むブログ (109件) を見…

属性と意味づけ・ルール変更

滅多にトラックバックはしないのだが、「記識の外」さんのこちらの記事の内容がたいへん面白かったので、書かれていることを糸口にして自分なりに少しかんがえてみたい。 まず、ここのところ。 そもそもフリーターや派遣労働者などの非正規雇用労働力の存在…

奔馬

5日の記事の中で弥生賞のことを心配したが、ディープインパクトは「春の雪」に負けなかったようだ。ぼくはこの馬を見るのははじめてだったが、中山のコースで外外を回ってねじ伏せたのだから、着差以上に強いのだろう。ストーミーカフェが強敵になると思う…

『東京大空襲』

再放送で、NHKスペシャル『そして下町は消滅した・東京大空襲・60年目の真実』を見た。 想像していた以上に、重い内容であり、すぐれた番組だったとおもう。 東京大空襲は、1945年の3月10日に起こり、約10万人の市民が犠牲になった。今年は、それ…

京都にて

週末から数日、京都近辺で友人たちと遊んでいて、更新できなかった。 北海道の若いお坊さんとか、京都の在日のおねえさんやおにいちゃん(もちろん、ぼくの方が年上です)とか、病気がちな大学院生とか、いずれもぼくにとっては大切な友人たちだ。 どこで遊ん…

『秋風秋雨人を愁殺す』その2 民族と革命

きのうの続き。 はじめに、少し時事的なことに触れたい。 ここで語っている小説のなかには、清朝末期に日本に留学していた人たちによる中国の革命運動の様子が詳しく述べられている。そのなかに、魯迅の弟の周作人が書いていることとして、後でふれる光復会…

春の雪

春雪や チューリップ賞も 大波乱 一番人気だった安藤の馬はスタート直後にかかっていたようだが、このレースは折り合いを欠いた馬は絶対勝てない。メジロドーベルもそれでとんだのだ。 勝った幸四郎の馬は、相当強いと思う。二着に来た池添の馬も末足は目立…