マイクロバスはガスの中
展望台に戻ったのは午前9時40分。ありゃ、意外と早く登れたの。
ちょうどマイクロバスが来たところだった。すでに団体客が、バス停に並んでいる。慌ててチケット(往復800円)を買いバスに乗り込むと、補助席まで使って残り数名、といった盛況ぶりだった。
定刻通り10時にバスは出た。しかし、走り出してものの数分で、ガスが発生してきた。視界はわずか5mほどしかない。
林道は舗装してあるとは言え狭く、林道を歩く登山者と出会うと、バスは停車してやり過ごさなければならない。少し怖い。
20分ほどで、萬岳荘に着いた。
トレッキングもガスの中
萬岳荘は、比較的新しい山小屋。素泊まりで3000円だそうだ。丸太小屋風の雰囲気のよい山小屋は、霧に包まれて幻想的だ。
荷物を整えていると、とうとう雨が降ってきた。山の天気は変わりやすい、と言うが本当にその通りで、ザッと降ったかと思うと、サッと止む。止んでも、ガスが濃いので太陽は見えない。
富士見台高原まで、霧の中を進む。雨は降っていないが、やや風があり寒い。萬岳荘から最初の15分ほどは、つづら折れの階段が整備された急な上り坂。熊笹の中をゆっくりと登っていく。今日は、霧に包まれて熊笹の原野もよく見えない。


登り始めてしばらく行くと、70代後半と思しきお婆様が、家族に囲まれて座り込んでいた。「あと少しで山小屋だ」と皆で励ましているが、お婆様は「もう少し休ませてくれ」と動かない。みれば普段着にカッパを着た程度の軽装。今日の天気でのトレッキングは、お婆様にはきつかっただろう。
稜線に出ると、途端に風が強くなる。小雨も降り出した。神崎小屋も霧の中だ。寒い。持ってきた防寒着をすべて着込む。
ここから富士見台高原まで、なだらかな上り坂の稜線を15分。比較的歩きやすいが、ところどころガレた場所もあるので注意して歩く。
出会う人々は、ほとんど完璧な登山スタイル。ゴアテックス素材のカラフルな雨具は快適そう。
他方、だいさん夫婦の装備は、完全に平地でのウォーキングスタイル。防寒着の上に、撥水性のウィンドブレーカー、そして簡易リュック。いずれも山メーカーのものではない。正直、ちょっと恥ずかしい。
それでも上(いや、下?)はいるもので、まるで渋谷の交差点からやってきたような、真っ白なダウンのコートとシャネルのバックをぶら下げたお嬢様方とすれ違った。さすがにパンプスは履いていなかったけれど。
富士見高原トレッキングコースは、普段着で登っても全く問題はない。だいさん夫婦も、一昨年の夏に来たときは、チノパン、Tシャツで登った。
しかし、今回の天気は、簡易なものでよいので山装備があったほうが良かった。わずか1時間とは言え、強風、霧、雨、低温にさらされて、結構体力を消耗した。山をなめてはいけない。
30分ほどで富士見台高原に到着。

すると、急に大粒の雨が降ってきた。これは早めに戻らないと大変なことになりそう。証拠写真を他の登山客の方に撮ってもらい、いそいそと下山する。下りは30分もかからずあっという間に萬岳荘に戻ってこれた。
そして土砂降りのヘブンスそのはら萬岳荘についたとたんに土砂降りの雨が降ってきた。幸い、我々はあまり濡れずに済んだ。
ラッキーなことに、ヘブンスそのはらに向かうバスがちょうど停車していた。そのままバスに乗り込み、ヘブンスへ戻った。バスの暖房が嬉しかった。
ヘブンスの展望台に着くと、先程の土砂降りの雨が追いかけてきた。雨雲レーダーを確認すると、この土砂降りもあと10分ほどらしい。しばらく休憩所で雨止みを待つことにした。
気の短い人たちは、土砂降りの中、リフトで帰っていく。良くしたもので、リフト乗り場では簡易カッパを300円で売っている。カッパは飛ぶように売れている。あと10分待てば、止むのになあ。
10分を待たずして土砂降りの雨は止んだ。だいさん夫婦はほとんどぬれずにセンターハウスまで戻ってこれた。日頃の行いが良いらしい。
しかし、トレッキングで汗をかいた体は、リフトの風に当たって、芯まで冷え切ってしまった。時計を見るとちょうど12時。なんでも良いから温かい食べ物が欲しい。
センターハウスのラーメン900円は、許せない価格との味だが、今日は許す。何の工夫もない人口調味料ラーメンがこれほど美味いとは。
帰路午後1時半、ヘブンスそのはらを出発。冷えた体を温めたいので、途中、豊根村の「ゆーらんど豊根」に立ち寄ることにした。
グーグル先生の言いつけどおり、国道153号を南下し、根羽村から津具高原を経由しゆーらんど豊根に向かう。途中、東の空に虹が出ていた。
午後3時、ゆーらんど豊根着。ゆーらんど豊根はこれで2回め。それほど広い温泉ではないが、ぬるっとした泉質と、低めの湯温がだいさんのお気に入り。打たせ湯の圧力も、だいさん好みである。
露天風呂には、アヒル隊長(アヒルのお風呂おもちゃ)たちが大勢で湯船を管理している(笑)。脱衣所がロッカー形式で鍵が掛けられるのも良い

午後4時、ゆーらんど出発。あとはひたすら帰るだけ。
グーグル先生は、浜松市内の国道1号線の渋滞を察知して、三遠南信自動車道の浜松いなさインターをおりたら見知らぬ道を行けという。その指示に素直に従ったのが、トラブルの始まり。
午後6時、腹をすかせたカミさんが、「レストランはないのか?」と、ゴネ始める。あいにく、グーグル先生が指し示す北部遠州の県道沿いにはめぼしい店はない。カミさんは、機嫌をそこねて口をきいてくれなくなった。
しかたなく、家の近くの和食屋で、海鮮丼を奮発したら機嫌が戻った。どうでもいいことだが、静岡のサカナはやはり旨い。
今回学んだこと:腹をすかせた女は、怖い。
どういう、旅のオチだ?
平成29年11月3日(金)~11月4日(土)
総走行距離 約350km
テーマ:旅行、旅、ドライブ - ジャンル:旅行
- 2017/11/10(金) 00:33:18|
- 車中泊と旅
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