畿内とは? わかりやすく解説

き‐ない【畿内】

読み方:きない

《「畿」は王城から500四方の地の意》

【一】皇居に近い地。

【二】京都に近い国々山城大和河内・和泉摂津の5か国。五畿内。きだい。

畿内の画像
畿内の5か国

畿内 (きない)

旧国名では「山城やましろ]」「大和[やまと]」「河内[かわち]」「和泉[いずみ]」「摂津[せっつ]」の5国のことです。今の大阪奈良・京都の一部にあたります。


畿内

読み方:キダイ(kidai), キナイ(kinai)

古代の都の近郊にある行政の中心地域。


畿内

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/10 15:41 UTC 版)

畿内(きない、きだい、うちつくに)では、日本と古代中国での用法について記述する。


中国の畿内

古代中国では、天子の居城(都)から500(約202キロメートル代の1里 = 約405メートル)以内の範囲。天子が直轄した。畿甸(きでん)とも。

日本の畿内

日本 > 近畿地方 > 畿内
令制国一覧 > 畿内
畿内
畿内5国

日本では、畿内とは以下の5である。近現代の行政区分では奈良県の全域、京都府の南部、大阪府の大部分、兵庫県の南東部に当たる。なお畿内という地域概念は現在でも存在し地方分権などの行政区分や観光などの産業分野でしばし取り上げられる。

五畿五畿内とも呼ばれる。ただし、757年に和泉国が河内国より分離される前は、四畿四畿内といった。中国とも称される[1]

1869年明治2年)の東京奠都まで、歴代の首都)は、主にこの地方に置かれた。

畿内国

646年大化2年)に発せられた改新の詔には、「およそ畿内とは、東は名墾(名張)の横河より以来(こちら側)、南は紀伊の兄山より以来、西は赤石(明石)の櫛淵[2]より以来、北は近江の狭狭波(さざなみ)の合坂山(逢坂山)より以来を、畿内国とす」[3]という畿内の範囲に関する記述がある。ここにいう「畿内」はのちの4、5国をさす畿内ではなく、大和を中心に四囲を示した「畿内国」として定めたと考えられる[独自研究?]。このように、畿内の範囲は646年(大化2年)当時皇居が置かれていた難波宮(現在の大阪市)、また、それ以前に難波高津宮、より古くから大王の宮殿の多くが置かれた奈良盆地を基準に決められたと考えられる。

中央集権制の下で、貴族朝廷の許可もなく、畿内の外に出る事は律令法によって禁じられていたが、794年に山城国の畿内北東端にあたる平安京遷都されて以後は、平安京から山一つ越えただけの近江国や丹波国へ出る事が禁じられ、平安京から数日かかる和泉や大和南部の方が規制が緩いという矛盾が生じていたという。更に奈良時代の一時期、近江国の紫香楽宮に都が置かれていた時期があるが、その時期に畿内の概念が変更された形跡が確認できないため(前述の法規との矛盾をどう解決していたかは不明)、早い時期より畿内の根拠として大和朝廷(ヤマト王権)を構成する豪族層の居住地域あるいは朝廷の中核を構成する貴族や官僚の出身地域とする位置づけがなされ、実際の都(京)の所在地との関係性は考慮されなくなったとする見方もある[4]

なお、江戸幕府の法令で重追放を受けた場合の立入禁止地域には近江・丹波は含まれていなかったが、京都で事件を起こした者に対してのみは例外的にこの両国と河内国も含むこととされている。

変遷

畿内令制国の変遷
名称の変更に限るもので、令制国間の郡・郷の移動に関しては記載していない。
古代国
令制国前身)
 
 
大宝律令制定
701年
 
 
824年-明治
 
 
明治時代
 
 
現在の都道府県
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
倭国
 
 
 
大倭国
 
 
 
 
 
大養徳国
738年-747年
 
大倭国
(747年-757年
 
大和国
(757年-)
 
 
 
 
 
 
 
 
大和国
 
 
 
大和国
 
 
奈良県(全域)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
闘鶏国
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
葛城国
 
 
 
 
 
 
芳野監
716年-738年
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
山背国
(山代国)
 
 
 
山背国
7世紀-)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
山城国
794年-)
 
 
山城国
 
 
 
山城国
 
 
京都府(南部)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
凡河内国
 
 
 
河内国
7世紀-)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
河内職
769年-770年
 
河内国
(770年-)
 
 
 
河内国
 
 
 
河内国
 
 
大阪府(東部)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
和泉監
716年-740年
 
 
 
 
 
和泉国
757年-)
 
 
 
 
 
 
 
 
和泉国
 
 
 
和泉国
 
 
大阪府(南西部)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
摂津職
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
摂津国
793年-)
 
 
摂津国
 
 
 
摂津国
 
 
大阪府(北中部)、兵庫県(南東部)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

類似の地域名

天下
古代から[5]中世近世にかけての呼称[6]
上方
江戸時代以降の呼称。本来京都(あるいは京都の方向)を指すが、大阪を含む広い範囲をも指す。
上方舞上方落語など、近世以降の上方文化に関わってよく用いられる。
京阪神
京都市大阪市神戸市およびその周辺。
近畿
畿内を含む府県とその隣接県。通常、大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・三重県・和歌山県・滋賀県の2府5県を指す。
畿央
近畿の中央部。首都機能移転候補地である三重・畿央地域などと用いられる。
関西
中世以降に使用が確認できる呼称。
「関西」の呼称が史料上最初に確認できるのは中世前期の史書『吾妻鏡』で[7]、古代の三関鈴鹿関不破関愛発関、のち鈴鹿関・不破関・逢坂関)より西側の地域を表す表現として使用される[8]。その後、時代が下って明治維新による東京奠都が行われた近代以降、メディアによる地域区分として使用され、定着していった[9]。「近畿」と違い行政区分ではないためその範囲は曖昧であり、中国四国九州地方を含む場合もある[10]
近畿」または「京阪神」と同じ範囲を指して用いられることが多いが、西日本を広く指す場合もある。

「京阪神」は経済用語や俗称としての色が濃いのに対して、「畿内」は歴史地理学用語としての色が濃い。

邪馬台国の所在地について、九州説に対峙する説は、「畿内説」と呼ばれる。この説で実際に所在地とされているのは、主に大和の奈良盆地である。

脚注

  1. ^ 畿内は大阪・奈良・京都・兵庫いずれも実際に都があった地域を差すので、東京周辺県に過ぎない首都圏は、近畿の方が近い。

出典

  1. ^ Yahoo!辞書 - 大辞林
  2. ^ 現在の神戸市須磨区一の谷から垂水区塩屋町付近と考えられている。この辺の海岸が櫛目のように出入りしていることから付けられたと推測できる。福島好和「大和王権の進出と展開 3内なる国と外なる国」 今井修平・小林基伸・鈴木正幸・野田泰三・福島好和・三浦俊明・元木泰雄『兵庫県の歴史』山川出版社 2004年8月 65ページ
  3. ^ 日本書紀』孝徳天皇2年正月の甲子(きのえね)の朔(ついたちのひ)の条にあることから、一般に甲子の詔といい、「其の一(はじめに)に曰(のたま)はく、…」で始まり、「其の四に曰はく、…」まであり、「畿内国」については其の二の後段にある。校注者坂本太郎・家永三郎・井上光貞・大野晋『日本書紀』(四)[全5冊] 岩波書店 2002年9版 256-260ページ
  4. ^ 市川理恵『王朝時代の実像2 京職と支配 平安京の行政と住民』(臨川書店、2021年) ISBN 978-4-653-04702-5 P120.
  5. ^ 河上麻由子「日本古代の「天下」と都城」『都城制研究』第14巻、奈良女子大学 大和・紀伊半島学研究所 古代学・聖地学研究センター、2020年、101頁、NAID 120007153296 
  6. ^ 神田千里、「織田信長」(ちくま新書1093)、p.117、筑摩書房、2014年。
  7. ^ 松尾理也 「<研究ノート>『大阪時事新報』の頒布領域からみる「関西」 --占領期GHQ資料から」 『京都メディア史研究年報』5 京都大学大学院教育学研究科メディア文化論研究室、2019年4月、68頁。
  8. ^ 松尾、2019年、68‐69頁。
  9. ^ 松尾理也 「<研究ノート>全国紙発祥の地・大阪のメディア出身議員 --京都・神戸地区との比較から--」 『京都メディア史研究年報』3 京都大学大学院教育学研究科メディア文化論研究室、2017年4月、119‐120頁。
  10. ^ 松尾、2019年、69頁。

関連項目


畿内

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 03:42 UTC 版)

令制国一覧」の記事における「畿内」の解説

大和国 やまと(和州716年頃 - 738年頃。大和国 芳野監 よしののげん 山城国 やましろ山州城州雍州河内国 かわち/かはち(河州和泉国 いずみ/いづみ(泉州) - 716年和泉監いずみのげん)として河内国より分立740年河内国併合されるも、757年に再分立摂津国 せっつ(摂州

※この「畿内」の解説は、「令制国一覧」の解説の一部です。
「畿内」を含む「令制国一覧」の記事については、「令制国一覧」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「畿内」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「畿内」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

','','','','','','','','','','','','','','','','','',''];function getDictCodeItems(a){return dictCodeList[a]};

すべての辞書の索引

「畿内」の関連用語

1
100% |||||

2
100% |||||


4
100% |||||

5
94% |||||

6
94% |||||

7
94% |||||

8
94% |||||

9
76% |||||


畿内のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable(){return sideRankTable};

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



畿内のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
防府市教育委員会防府市教育委員会
Copyright 2025,Hofu Virtual Site Museum,Japan
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの畿内 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの令制国一覧 (改訂履歴)、近代以前の日本の都市人口統計 (改訂履歴)、新田 (改訂履歴)、郡寺 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS