くちばしとは? わかりやすく解説

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くち‐ばし【×嘴/×喙】

読み方:くちばし

《「口端(くちばし)」の意》鳥類口の部分突出する上下のあごの骨の表面角質化したもの。えさをとるほか、水飲み、羽の手入れにも使う。食性により形はさまざま。カモノハシウミガメにもみられる

「嘴」に似た言葉

くちばし

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/21 06:51 UTC 版)

鳥類の様々なくちばしの形状
鳥の頭の解説。
5.鼻孔
6.上くちばし
7.下くちばし
8.顎線
13.嘴毛
くちばしの長さの測定
虫を食べる鳥に多くみられる嘴毛(rictal bristle)。

くちばし、喙、觜)とは、鳥類他の採食器官で、上下の顎が突出し、周辺がひと繋がりの角質の板によって硬くなったもの。頭部の他の部分から滑らかに続くものもあるが、鳥類ではその間に区別がある。のような柔軟性がないが、硬いために突くなどする際には効果が大きい。一般には鳥のそれを指す。

概説

食物を食べるための器官としては動物の一つであるが、類には歯が存在しないためにくちばしと舌で口が構成され、加えて前肢には付属肢としての機能を持たないため、くちばしは食物を探して食べる採の他にも、多様な機能を持つ。毛づくろい(グルーミング)、物をつまむ、捕食対象を含む他の動物の殺傷、求愛行為、雛(ひな)に対する給餌などである。そのため、くちばしの形はその鳥の生活と深い繋がりがあり、それによって、くちばしの形も様々な適応を示す。したがって、くちばしの形は鳥の大きな特徴であり、ハシマガリチドリオオハシ科の鳥、ヘラサギの仲間などの鳥は、非常に特殊な形状のくちばしを持っていることからその名が付けられている。また、ハチドリなどにも変わった形のくちばしのものがある。

鳥類以外にも、哺乳類カモノハシ爬虫類の一部に見られ、恐竜にもくちばしを持ったものがいた(後述)。

また、鳥類以外の生物一般においても、先端や開口部が特に突き出している場合に、それを嘴状という例がある。たとえばサヨリダツにおいて上下のあごの先端がそれぞれ単独に突き出したものをクチバシという。タツノオトシゴのように上下合わせて筒のように延びる場合にはという。イルカにもクチバシがあり、これはイルカとクジラの区別点とされることがある。

スゲ属植物では果胞に嘴があるかどうかは重要な特徴とされる。

鳥のくちばしの種類

Generalist/雑食 イエガラス
Insect catching/食虫英語版 コサメビタキ
Grain eating/穀物食 ウソ
Coniferous-seed eating/食松 イスカ。嘴が互い違いになっており、松の実を取り出すのに適す。
Nectar feeding/食蜜 Nectarinia英語版
Fruit eating/食果 サンショクキムネオオハシ果実食動物英語版。固い果物も砕けるように太く長い。
Chiseling キタタキ。木の皮を剥いだり、木の幹を叩いて穴を開けるのに適す。
Dip netting カッショクペリカン。くちばしの下に喉袋を持ち、魚をそこに捕らえられる。
Surface skimming クロハサミアジサシ。水面を飛びながら、嘴を水中に突っ込み小魚をすくう。
Scything ソリハシセイタカシギ
Probing トキハシゲリ
Filter feeding ベニイロフラミンゴ。クシ状になったくちばしで水中の藻をろ過して食す[1]
Aerial fishing ヒメヤマセミ
Pursuit fishing ウミアイサ。嘴は平で鋸歯状の縁をもち、水中の微生物をろ過して食す。
Scavenging/腐肉食 キガシラコンドル英語版
Raptorial/食肉 猛禽類

構造

鳥類のくちばしは、種によってその大きさ、形状にかなりの違いがある。飛行するために重量を少しでも軽減するため、通常は中空もしくは多孔性の骨でできている。くちばしの表面は薄い角質(ケラチン)で覆われており、表面と骨の間には血管神経の通った層がある。ガチョウハクチョウの一部にはくちばしの上にコブがある場合がある。

くちばしには鼻孔と呼ばれる2つの穴があり、それらは呼吸のためにくちばしの内側へと通じている。また、セキセイインコなど一部の鳥には、上嘴の根元に蝋膜(ろうまく)と呼ばれる柔軟な肉質の部分が存在し、鼻孔はそこに開いている。キーウィは、他の鳥と異なりくちばしの先に鼻孔があり、他の鳥より優れた嗅覚を持つ[2]

一部の鳥はくちばしの先が非常に硬く、大きな音を鳴らしたり獲物を殺したりすることなどに使われる。カモなどの鳥はくちばしに神経が通っているため触覚があり、触れたことを感じることができる。くちばしは、使うことで磨耗しても、鳥が生きている限り再生していく。

くちばしは歯とは異なり、咀嚼に使用する鳥はほとんどいない。鳥は食物を丸飲みし、砂嚢ですり潰す。

機能

コウノトリ属の鳥シュバシコウのクラッタリング
  • 卵歯英語版 - 卵生の生物が孵化するときに、自ら卵を割るために備えたくちばしや口周りにある硬い組織。孵化後に退化してなくなる。
  • 体温 - オオハシなどは、くちばしから放熱する機能を持っている[3]
  • 番の絆 - 番となった鳥同士が、くちばしで口づけしあうように叩きあう行動を billing (イギリス英語では nebbing )という。
  • クラッタリング ‐ コウノトリ属などに身らえる行動で、上嘴と下嘴を激しく打ち合わせることで、求愛や威嚇のための音を鳴らす[4]

白亜紀末大量絶滅に前後して、口の形状がからくちばしへ進化していた鳥類は、頭部が軽くなったうえに荒廃した地上に残っていた植物の種子や木の実を割って食べることができたため、歯を持ったままの鳥類や小型恐竜などに比べ生き延びやすかったとの仮説を、日本国立科学博物館標本資料センター・分子生物多様性研究資料センター長の真鍋真が紹介している[5]

鳥類以外のくちばし

鳥類以外でも、突出して硬質な口器にくちばしと呼ばれるものがある。

画像

脚注・出典

  1. ^ ベニイロフラミンゴ”. 福岡市動物園. 2023年10月28日閲覧。
  2. ^ 鳴声をあげるキーウィ”. nakigoe.jp. 天王寺動物園. 2023年10月24日閲覧。
  3. ^ オオハシの巨大なクチバシは体温調節器”. natgeo.nikkeibp.co.jp. 2024年11月18日閲覧。
  4. ^ クラッタリングhttps://kotobank.jp/word/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0 
  5. ^ [サイエンスReport]白亜紀大量絶滅 省エネ型生物 生き残る読売新聞』朝刊2020年1月26日(くらしサイエンス面)オンライン版は会員限定

関連項目

  • 羽毛
  • 鼻口部
  • デビーク英語版 ‐ 群れの順位を決定したり、ストレス解消などでつつきあいをして怪我をさせるため、家畜となった鳥は嘴の先端を除去して怪我しないようにする。

外部リンク


くちばし

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 18:58 UTC 版)

鳥類の体の構造」の記事における「くちばし」の解説

詳細は「くちばし」を参照 チドリ目には、くちばしにヘルプスト小体 (Herbst corpuscle) と呼ばれる器官を持つものがあり、水中での微小な圧力変化検知して泥の中の餌を取ることを可能にしている。また現在生息している鳥類はすべて、頭骨に対して上顎部分が動くようになっているが、特にオウムなどで顕著である。 鳥類では一般に体重比べて脳の重量比率大きい。鳥類複雑な行動は、それを可能にする知能 (Bird intelligence) を保持するだけの脳があるためである。

※この「くちばし」の解説は、「鳥類の体の構造」の解説の一部です。
「くちばし」を含む「鳥類の体の構造」の記事については、「鳥類の体の構造」の概要を参照ください。

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くちばし

出典:『Wiktionary』 (2021/07/15 13:49 UTC 版)

名詞

くちばし

  1. 口の部分上下の顎が突出表面角質化したもの。鳥類全般有しており、哺乳類ではカモノハシイルカ爬虫類ではカメ有している。はし。


語源

翻訳

関連語





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