仮説
ある現象や事物を説明するための理論や説明で、科学研究における証明の対象。
仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/12 03:45 UTC 版)
仮説(かせつ、英: hypothesis)とは、真偽はともかくとして、何らかの現象や法則性を説明するのに役立つ命題[注 1]のこと。仮に設けられた説として仮設とも書く[1]。仮説はその正否を実験的に検証しうるような、具体的に明確な内容を持つものであり、その仮説に反するような新しい実験事実が出てきても、その仮説を工夫してのらりくらりと変えて、いつまでたっても誤りを認めないような説は仮説ではなくドグマである[2][注 2]。天動説から地動説、創造説から進化論などの科学上の認識を大きく変えた理論は、いずれも大胆な仮説を立てることから始まっている[4]。
- ^ 『岩波 哲学・思想事典』p.239 「それ自体の真偽は確かめられていないが、色々な現象を説明したり、法則を導き出したりするために役立つものとして、仮に推論の前提に置かれる命題。」
- ^ たとえばデカルトの渦動説やプリーストリーの熱素説などがそのようなドグマと言える[3]。
- ^ たとえばプリーストリーの熱素説(フロギストン説)では、当初、フロギストンは物質であるから重さがなければならないとされたが、燃焼の際、質量減少が起こることが発見されると、マイナスの重さを持つものと変更された。それはもはや以前に考えられていたフロギストンではないから、本来は仮説を新しく出し直さなければならない[6]。
- ^ これに対する反論として、板倉聖宣はニュートンの万有引力は「大胆な仮説」であり、すべての科学的認識は仮説演繹ではなく仮説実験的に成立するとしている[11]。
- ^ ニュートンは、デカルトの「渦動説」のような宇宙に満ちた微粒子の運動を仮定して天体運動を説明しようとするような試みがすべてうまくいっていないのを見て、私はそのような仮説(ドグマ)は作らないと言ったのであって、ニュートン自身は『光学』で「光の粒子説」を仮説として提出している。これは原理的に実験で検証可能なものであるから仮説である。後世の科学史家は「ニュートンが仮説を否定した」と誤解している[11]。
- ^ 時枝誠記は「言語過程観」と呼んでいた。
- ^ ヴィルヘルム・オストヴァルトやエルンスト・マッハなどが支持。マッハ主義とか経験主義と呼ばれ20世紀初頭に特に欧州大陸で勢力があった。マッハらは感覚で認識できないものを考えるのは非科学的だとして、ボルツマンやマクスウェルの熱現象を分子運動論で考える原子論に反対した。
- ^ 「Descent with modification」(『種の起源』)
- ^ 板倉聖宣 1966a, p. 264.
- ^ 板倉聖宣 1966a, p. 269.
- ^ 板倉聖宣 1966a, pp. 268–269.
- ^ 井藤伸比古 2021.
- ^ a b c 板倉聖宣 1966a, p. 271.
- ^ 板倉聖宣 1966a, p. 270.
- ^ 板倉聖宣 1966a, p. 272.
- ^ 板倉聖宣 1966a, p. 273.
- ^ a b 板倉聖宣 1966b, p. 208.
- ^ 『岩波 哲学・思想事典』p.239
- ^ a b 板倉聖宣 1966b.
- ^ PC Watch 2016.
- ^ WIRED 2009.
「仮説」の例文・使い方・用例・文例
- 次のように3つの仮説をたてることができる
- 実験結果はすべて私の仮説を支持するものとなっている
- 仮説を立てる
- 我々はその理論が仮説として仮定されることを当然のこととしていた。
- 重力量子は仮説上の粒子のままである。
- 宇宙論における多元宇宙論という仮説
- 磁気単極は今のところ仮説上の概念だ。
- 単元発生の仮説は誤った理論だ。
- 教授は仮説に反駁してみせた。
- 仮説検証型アプローチ
- 問題を考える場合には仮説思考を用いることで効率的に解決策を発見できる。
- その有名な投資家は効率的市場仮説を打ち破ってみせると宣言した。
- 未公開企業の企業価値は価値に関するデータがないので、仮説に基づいて決定される。
- 先に説明した仮説に則して考えると
- 大胆な仮説
- 言語が文化と密接に関係しているという彼女の仮説に賛成である。
- 言語が文化と密接に関係しているという彼女の仮説に私は賛成する。
- 言語が文化と密接に関係しているという彼女の仮説に私は賛成である。
- この仮説は学会で話題になっている。
- そこで、我々は次のような仮説を立てました。
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