2022年06月10日
携帯コンプレッサー 「 マキポン 」 の作り方 - その2
「 マキポン 」とは、Makita18Vバッテリーで0.5mmガンを吹ける自作可能な充電式コンプレッサーの愛称です。
詳細は前の記事「携帯コンプレッサー 「 マキポン 」 の作り方(Makitaバッテリー + ポンプ )」を参照。
今回の記事は、前からの続き、マキポンの各部品と作り方の解説のページです。
手先の器用な人なら、これを読めばマキポンを作れるように書いてます。
ただし各種パーツの入手先については‥。 ショップや商品への直リンクを貼ると、なにかトラブルが有った時、僕に問い合わせする人が出てくる恐れがあるので記さないでおきます。 モノづくり全般ですが、パーツや工具の入手、加工方法もスキルの内です。
作り方は記事にしますが購入や工作、使用は自己責任でお願いしますね。 ※以下、同。
◆エアポンプ
エアポンプはAliExpressで取り寄せました。
写真のスペックや外観を参考に各自で探してみて下さい。(いくつか商品を見てるとサジェストに似た品が出て来るので、そこにも注目!)
◆AliExpress:ミニ真空高圧ポンプで検索
何件も同類のポンプを扱っているショップが見つかると思いますが、店により多少の送料や価格が違います。なるべく購入者が多い店から買うのがトラブルを避けるコツです。
発注後は沖縄まで40日程度で到着しました。
※iPhoneアプリだと日本円で買えてVプリカも使えます。
※アリエクでの購入のコツは上記コンプレッサーの圧力スイッチの修理! (1,中国から部品を個人輸入 編)に少し書いてます。
ちな、新品のモーターはブラシが馴染むまで中で火花が散ります。 最初はビックリするけど、そういう物です。
◆Twitter:新品のDCモーターはカーボン端子が削れて‥‥
◆圧力弁について
簡単に自作できる、僕オリジナルの圧力弁の作り方です。
ホース用三叉の分岐の一つを火で炙って閉じて、胴部に穴を開け、上からシリコンチューブを被せて針金で縛ります。
プラスチックを溶かすのはちょっと難しいので、先に何度か練習した方が良いです。
写真のように、山が溶けないようテープで覆って、同じ材質のポリプロピレンを切って詰め、燃やしながら溶かしていきます。
この仕組みで、内部圧力が高まるとシリコンチューブを押しのけて空気が漏れ出し、圧力を一定以下に保ってくれるレギュレータが作れます。
▲シリコンチューブは内径6mm、三叉はそれに合うサイズです。 穴あけは2~3mm。 濡らしたシリコンチューブをねじ込んで根本を針金で縛ります。 本体への接続は耐圧チューブを使用して針金かホースバンドで固定します。
◆ケースについて
初期型はブックカバーをフレームに使っていました。
これではかっこ悪いのと、万が一の時に塗料を床にこぼさないために「バット型」の液体を溜められるケースを考えました。
丁度よいサイズだったのがセリアなどで買えるキッチン整理用のケース。
これにマキタのバッテリーとエアポンプがピッタリ入ります。
おふざけでマキポンのステッカーを作って貼っておきました。
◆取っ手について
仕事で使う際、立ったり座ったり移動が多いため、取っ手によいしょっと力をかけても大丈夫なよう頑丈な金具を選びました。
ホームセンターで目についた金具です。
なんか重そうに見えますが、これでも強度が不足がちな感じです。
金具同士は、片側にタップでネジを切って、ビスで締結しています。
◆PWM回路
秋月電子で250円で購入した部品を使いました。
これ、2022年現在、廃盤のようです。
似たような品はネットを探すと入手できるので、定格に注意して選びましょう。
ただし秋月電子なら「5Aまでのモーターをコントロールできる」と書いてあれば文面の通りですが、中華パーツだと5Aのモーターをコントロールできる「チップ」を使っている、という意味に変わるので注意が必要です。最低でも倍以上の定格を見た方が無難です。
(10個~程度の予備パーツが有るので、マキポンをキット化するする予定。告知はTwitterにて。)
◆バッテリー・フォルダー
モノタロウでマキタ用のバッテリーフォルダーが売っているので、これを流用します。
(違う品番でいくつか出てます)
最初は手作りも考えましたが、電極の銅板を切ったり半田付けは、とても面倒です‥。
バッテリーフォルダーは少し削って、pwmのパーツを接着しておきます。
◆スイッチ
12V-45Wのモーターを回すので、スイッチには4A程度(オン時にはもっと多くの突入電流)が流れます。スイッチは10Aクラスを使いましょう。
AUTOBACSに行ったら、車載パーツ用のスイッチでちょうど良いのが有りました。
◆電圧計
マキタバッテリーの18Vを12Vに降下させて使うため、電圧をチェックするための電圧計が必要です。
バッテリーは充電したては20V以上あり、使う内に18V以下まで電圧が下がって行くので、出力が12VになるようPWM回路をときどき補正するために使います。
電圧で出力をコントロールできるので、例えばエアブラシのうがい(メンテナンス)の際は、8V程度まで電圧を下げるとエアが少なくなって塗料が飛び散らず掃除が楽です。
この電圧計はAliExpressで購入しました。 自作のステーでバッテリーフォルダーに付けてます。
◆振動吸収式の脚部
コンプレッサーは振動するので、取っ手の金属部が床に擦れてキズが付く可能性が有ります。
そのため足としてゲル状の耐震マットを使いました。
100均の防振粘着マットを瞬間接着剤で5ミリの発泡塩ビに貼り付け、マキポンのケースには両面テープでとり付け。
ネトネトする表面には艷消しの缶スプレーを吹いておくと地面に張り付きません。
◆エアブラシ・フォルダー
最近の僕はPS-290という0.5口径のエアブラシをメインに使っています。
(以前は中華エアテックス0.5口径を愛用。吐出が多く、すぐ詰まるけどメンテが楽で使いやすいガンでした。)
人によってお気に入りのガンは違うと思います。
写真でPS-290専用フォルダーの作り方を載せておきます。自分のガン用に工夫してみて下さいね。
▲100均の単三電池を単二に変換するアダプターの内側を少し削るとPS-290に合います。
もしくは100均の単三懐中電灯を切ったヤツも良い感じです。(低頭ネジを使わないとガンに干渉します)
金具はホームセンターで買える、写真のような一般的な物で組み立ててます。
◆各種・部品加工
▲写真:取っ手の金具はボール盤で穴あけしてタップでネジを切って組み立ててます。 / スイッチは穴あけ加工したアルミステーを自作して取り付け。
▲写真:取っ手側の金具にタップでネジを切って、ビスでケースを取り付け。 / ポンプは両面テープで貼り付けた上で、アルミのバンドでケースにネジ止めしています。
▲写真:電圧計は型を作って樹脂で複製したもの。地味に手間がかかってます。 / コード類は圧着端子でスイッチやポンプに接続。専用工具が必要ですが、個人で作るならはんだ付けでも良いでしょう。
こー書いていくと、いくつか専用工具が必要ですね。
組み立てキットを出す際は、各部品は加工しておく必要が有りそうです。
ちなみに、今回のと同じような部品を集めて、マキポンをショップが作って市販するのは自由とします。
(可能ならマキポンの名称を使ってもらえると嬉しいです)
こういう便利な工具は、Makitaさんとか大きなメーカーが出してくれると良いのですが‥。
最後に、マキポンの寿命、耐久性について。
いつも粉塵の中で塗装してるので、かなり悪い条件での運用となります。
週に何回か使う頻度で、1年ちょっとでポンプの圧縮が抜けて寿命となりました。
ポンプを交換したら元通りに使えるので、半年程度で予備のポンプに交換していった方が良いかも知れません。
これから作る人は、工夫してエアクリーナーの取り付け方法を考えてみることをお勧めします。
同じく、シリコンチューブを使用したレギュレータも、だんだん開く圧力が低くなって行きます。これも時々チューブの交換が必要です。
○寿命に気がついた時のTwitter記事
普通のACコンプレッサーでも、だいたい1年くらいで不調で買い替えになるし、マキポンの方が便利なので、僕は完全に乗り換えました。(1年くらい両方のコンプレッサーを車に積んでましたが、ACコンプレッサーは一度も使ってません)
▲写真:普通のAC100Vコンプレッサーと、電源内蔵モバイルコンプレッサー「マキポン」の比較
というわけで、2回に渡って連載したマキポンの作り方。
だいたいの作り方のイメージは湧きましたでしょうか?
この延長で、ポンプの数を増やしていくと、さらに大きなガンで塗装できたりします。
そのへんの話も、いずれまた。
Posted by IGU at 17:00│Comments(0)
│加工方法
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