2018年09月07日
エッチングで 「 焼き 」 刻印を作ってみた ( DAISOオキシドール/クエン酸 )
DAISOのオキシドールとクエン酸を使い、格安・簡単にエッチングができるという裏技があります。
もともとは電子工作ネタで、プリント基板を自作する人々の間で伝わって来た手法のようです。
プリント基板は銅をエッチングして作りますが、同じ溶液でアルミニウムも溶かせる事に気が付きました。
今回はDAISOのアレコレを活用して、たった数百円で 「 アルミ製の刻印 」 を自作してみます。
▲左:アルミ板を切り分け。下側のアルミ平板は、なぜかエッチングできず失敗。 / 右:切り分けたアルミと銅板。
今回はホームセンターで購入した1.5mm厚のアルミ板を切り分けて使いました。
他に銅板や、アルミ平板も試しています。
銅板は切り分けが大変なのと、今回の用途だとアルミで十分なため、テストのみです。(テストの2枚は残念ながら失敗‥)
また、細長いアルミ平板(2mm×15mm×1000mm)は、表面のアルマイトを剥がしても、今回はエッチングできませんでした。アルミは材質により耐薬品性が異なるようです。
面倒でも、普通のアルミ板を切り分けて使ったほうが良さそうです。
※参考記事:アルミ板の切り方
エッチングは金属を腐食させて溶かす工程です。
なので腐食させたくない部分は、事前にマスキングをしておきます。
プリント基板の場合、マスキング専用の転写シールやマジックペンなども使えますが「裏技」ではレーザープリンターやコピー機から印刷した紙から 「 トナーだけを再転写 」 して利用するのが一般(?)的です。
▲トナー文字の再転写方法。 左:アセトン式/右:アイロン式
トナー再転写には何通りか方法が有って、ひとつがアセトン(薬品)でトナーを溶かして転写する方法。もう一つがアイロンの熱によるトナー転写です。
今回はアセトン式で何度も試行錯誤し、最終的にアイロンによる熱式の転写で成功しました。
2番めのアイロン式でも何度か失敗しましたが、ふと自宅のNECプリンターが低温トナーを使うタイプだった事に気づき、アイロンの温度を思い切って低めにしたら、転写トナーがアルミにバッチリ密着しました。
トナーは温度が高いとまったく転写できませんし、低い温度だと剥がれやすくなるようです。メーカーによってトナーの溶解温度も違うし、アイロンの温度もそれぞれなので、各自の環境でいろいろ実験してみる必要が有ります。
▲お勧めの転写用紙、DAISOの「夕日の光沢紙」。 / 右:完全にトナーが転写できるとペラっと紙が剥がせます。
なお、印刷用の紙は何種類か試しましたが、(このワザでは)有名なDAISOの夕日パッケージのA4インクジェット用紙が、アセトン式/アイロン式のどちらでも使いやすかったです。
(アセトンが乾く時に収縮しすぎない/熱転写後トナーの剥がれが良い)
うまくアイロンでトナー転写できると、水に濡らして紙を擦り取らなくても、ペリっとキレイに剥がれました
ちなみにアセトン式はDAISOやセリア等100均のネイルリムーバーが利用できます。
(純アセトンだと薄めないと揮発が早過ぎてトナーを溶かせません。 ネイルリムーバーの濃度は丁度よい感じです。)
注:ネイルリムーバーはどのタイプも香料が強いので、匂いに弱い人は気分が悪くなるかも‥。
アセトン式は手軽で簡単ですが、そのぶん密着が弱く、今回のように深いエッチングには向かないようです。
なお、プリント基板だと銅箔が18um~程度と薄く、短時間でエッチングできるため、アセトン式でも成功率が高いでしょう。
※um:マイクロメートル(ミクロン)。ミリメートルの1000分の18。 / 今回は約0.5mmをエッチング。ミリメートルの1000分の500。
さて今回のメイン、エッチングの話。
使うのはオキシドールとクエン酸、どちらもDAISOで買える100円商品です。
分量はプラスチック容器に
・小さじ4のクエン酸
・普通の塩を小さじ1
・それを溶かせる程度のオキシドール。
これだけです。
▲左:エッチングの反応で熱がでて沸騰した状態。 / 右:時々、かたむけて素材の状態をチェック!
エッチングの作業場所は、風呂場か洗面所が良いでしょう。
腐食の反応が始まると、熱が発生して沸き立つ場合が有ります。
場所によってはトレーやビニールで汚れ防止の養生をしたほうが良さそうです。
ステンレスのシンクだと、吹きこぼれがシミになる可能性が有るので注意。
後は時々様子を見ながら、しばらく放置しておきます。
最初はタイマーを使って10分~程度待って、後は数分毎にチェックした方が良いです。
ここで、僕は多くの失敗をしました。
アセトン式では、途中でトナーが剥がれて、全て失敗。
アイロン転写でも時間を置きすぎて文字の部分まで腐食してしまったり‥。
★失敗例
▲左:時間が経ちすぎによるトナー剥がれ。 / 中:エッチングのしすぎ。 / 右:失敗の数々w
最後は付きっきりで観察して、丁度よいタイミングで引き上げ、ブラシで徹底的に洗浄。
(洗いが不十分だと、後で粉を吹いて腐食して行きます)
エッチング刻印の完成です!
今回、刻印を作った目的は、自分の工具へのスタンプです。
工事現場ではいろんな人が同じような工具を持ち歩いているので、うっかり取り違えが起きる可能性が有ります。
悪気が無い場合、社名と電話番号シールでも貼っておけば、帰ってくる可能性が高くなります。
で、どうせなら刻印しようと思ったわけ。
さて、自作のエッチング刻印。
まずは火であぶってプラスチックに押し付けてみると‥。
良い感じにプラが溶けて押印できました。
ただ、火で毎回あぶって押すのは危ないし均一に熱が掛けられないので何か加熱の仕組みが必要です。
加熱の方法として、このブログで何度もお世話になっているPTCヒーターを、今回も使うことにしました。
DAISOグルーガンに使われている「 PTCヒーター 」。 165℃の固定式で、温度が低い時は大電流が流れてスグに熱くなり、165℃になると節電になる賢いヒーター。 このブログで何度か工作に使用しています。
⇒ 100円ヒーターで、足用アンカ(ホットボード)を作ってみた!
⇒ お仕事用、低温電気コテを作ってみた。 (2015年初工作)
⇒ 全長39mm! 「 世界最小のアイロン 」 の作り方!!
PTCヒーターと厚紙をコの字断面のアルミ材や木片を組み合わせてハンコとして使える形状にします。
刻印部分は、電子工作用の固まる放熱シリコーンで接着。
▲左:固まる放熱シリコーン、アルミ剤、プリント基板や厚紙などを組み合わせ。 / 右:DAISOのバッテリーへ、試しに刻印。
▲左:工具に熱したエッチング刻印を押し付けて焼印! / 右:工具とバッテリーに焼いた刻印。
▲仕事が職人なので、たくさんの工具を使います。 数年前から、持ち歩き用はMakitaの18Vバッテリー式に統一しました。
というわけで、思いつきから始まった工具への刻印計画は、無事に目的を達成できました!
自分の屋号の入った工具は、職人としてチョット誇らしいかもですw
今回の技は、例えば封筒に蝋をたらして封蝋(ふうろう)印するようなシチュエーションにも使えます。
自作の刻印や焼印、工作してみると、たのしーかもしれませんよ。
※参考サイト
トナー転写でプリント基板をつくる!
トナー転写プリント基板の製作実例
アイロン転写基板,トナー転写基板の作り方 | AkiRacing.com
コンビニと100均材料でプリント基板作成 アセトン転写
制作メモ:慣れれば30分。普段使いの基板づくり
なお、今回の内容も事前にTwitterにて連載していました。 ブログよりリアルタイムに反応が分かるので面白いです。
もともとは電子工作ネタで、プリント基板を自作する人々の間で伝わって来た手法のようです。
プリント基板は銅をエッチングして作りますが、同じ溶液でアルミニウムも溶かせる事に気が付きました。
今回はDAISOのアレコレを活用して、たった数百円で 「 アルミ製の刻印 」 を自作してみます。
材料の金属について
▲左:アルミ板を切り分け。下側のアルミ平板は、なぜかエッチングできず失敗。 / 右:切り分けたアルミと銅板。
今回はホームセンターで購入した1.5mm厚のアルミ板を切り分けて使いました。
他に銅板や、アルミ平板も試しています。
銅板は切り分けが大変なのと、今回の用途だとアルミで十分なため、テストのみです。(テストの2枚は残念ながら失敗‥)
また、細長いアルミ平板(2mm×15mm×1000mm)は、表面のアルマイトを剥がしても、今回はエッチングできませんでした。アルミは材質により耐薬品性が異なるようです。
面倒でも、普通のアルミ板を切り分けて使ったほうが良さそうです。
※参考記事:アルミ板の切り方
腐食部以外のマスキング方法(トナー再転写)
エッチングは金属を腐食させて溶かす工程です。
なので腐食させたくない部分は、事前にマスキングをしておきます。
プリント基板の場合、マスキング専用の転写シールやマジックペンなども使えますが「裏技」ではレーザープリンターやコピー機から印刷した紙から 「 トナーだけを再転写 」 して利用するのが一般(?)的です。
▲トナー文字の再転写方法。 左:アセトン式/右:アイロン式
トナー再転写には何通りか方法が有って、ひとつがアセトン(薬品)でトナーを溶かして転写する方法。もう一つがアイロンの熱によるトナー転写です。
今回はアセトン式で何度も試行錯誤し、最終的にアイロンによる熱式の転写で成功しました。
2番めのアイロン式でも何度か失敗しましたが、ふと自宅のNECプリンターが低温トナーを使うタイプだった事に気づき、アイロンの温度を思い切って低めにしたら、転写トナーがアルミにバッチリ密着しました。
トナーは温度が高いとまったく転写できませんし、低い温度だと剥がれやすくなるようです。メーカーによってトナーの溶解温度も違うし、アイロンの温度もそれぞれなので、各自の環境でいろいろ実験してみる必要が有ります。
▲お勧めの転写用紙、DAISOの「夕日の光沢紙」。 / 右:完全にトナーが転写できるとペラっと紙が剥がせます。
なお、印刷用の紙は何種類か試しましたが、(このワザでは)有名なDAISOの夕日パッケージのA4インクジェット用紙が、アセトン式/アイロン式のどちらでも使いやすかったです。
(アセトンが乾く時に収縮しすぎない/熱転写後トナーの剥がれが良い)
うまくアイロンでトナー転写できると、水に濡らして紙を擦り取らなくても、ペリっとキレイに剥がれました
ちなみにアセトン式はDAISOやセリア等100均のネイルリムーバーが利用できます。
(純アセトンだと薄めないと揮発が早過ぎてトナーを溶かせません。 ネイルリムーバーの濃度は丁度よい感じです。)
注:ネイルリムーバーはどのタイプも香料が強いので、匂いに弱い人は気分が悪くなるかも‥。
アセトン式は手軽で簡単ですが、そのぶん密着が弱く、今回のように深いエッチングには向かないようです。
なお、プリント基板だと銅箔が18um~程度と薄く、短時間でエッチングできるため、アセトン式でも成功率が高いでしょう。
※um:マイクロメートル(ミクロン)。ミリメートルの1000分の18。 / 今回は約0.5mmをエッチング。ミリメートルの1000分の500。
エッチング
さて今回のメイン、エッチングの話。
使うのはオキシドールとクエン酸、どちらもDAISOで買える100円商品です。
分量はプラスチック容器に
・小さじ4のクエン酸
・普通の塩を小さじ1
・それを溶かせる程度のオキシドール。
これだけです。
▲左:エッチングの反応で熱がでて沸騰した状態。 / 右:時々、かたむけて素材の状態をチェック!
エッチングの作業場所は、風呂場か洗面所が良いでしょう。
腐食の反応が始まると、熱が発生して沸き立つ場合が有ります。
場所によってはトレーやビニールで汚れ防止の養生をしたほうが良さそうです。
ステンレスのシンクだと、吹きこぼれがシミになる可能性が有るので注意。
後は時々様子を見ながら、しばらく放置しておきます。
最初はタイマーを使って10分~程度待って、後は数分毎にチェックした方が良いです。
ここで、僕は多くの失敗をしました。
アセトン式では、途中でトナーが剥がれて、全て失敗。
アイロン転写でも時間を置きすぎて文字の部分まで腐食してしまったり‥。
★失敗例
▲左:時間が経ちすぎによるトナー剥がれ。 / 中:エッチングのしすぎ。 / 右:失敗の数々w
最後は付きっきりで観察して、丁度よいタイミングで引き上げ、ブラシで徹底的に洗浄。
(洗いが不十分だと、後で粉を吹いて腐食して行きます)
エッチング刻印の完成です!
加熱して刻印してみる
今回、刻印を作った目的は、自分の工具へのスタンプです。
工事現場ではいろんな人が同じような工具を持ち歩いているので、うっかり取り違えが起きる可能性が有ります。
悪気が無い場合、社名と電話番号シールでも貼っておけば、帰ってくる可能性が高くなります。
で、どうせなら刻印しようと思ったわけ。
さて、自作のエッチング刻印。
まずは火であぶってプラスチックに押し付けてみると‥。
良い感じにプラが溶けて押印できました。
ただ、火で毎回あぶって押すのは危ないし均一に熱が掛けられないので何か加熱の仕組みが必要です。
加熱方法 → PTCヒーター
加熱の方法として、このブログで何度もお世話になっているPTCヒーターを、今回も使うことにしました。
DAISOグルーガンに使われている「 PTCヒーター 」。 165℃の固定式で、温度が低い時は大電流が流れてスグに熱くなり、165℃になると節電になる賢いヒーター。 このブログで何度か工作に使用しています。
⇒ 100円ヒーターで、足用アンカ(ホットボード)を作ってみた!
⇒ お仕事用、低温電気コテを作ってみた。 (2015年初工作)
⇒ 全長39mm! 「 世界最小のアイロン 」 の作り方!!
PTCヒーターと厚紙をコの字断面のアルミ材や木片を組み合わせてハンコとして使える形状にします。
刻印部分は、電子工作用の固まる放熱シリコーンで接着。
▲左:固まる放熱シリコーン、アルミ剤、プリント基板や厚紙などを組み合わせ。 / 右:DAISOのバッテリーへ、試しに刻印。
刻印の目的達成!!
▲左:工具に熱したエッチング刻印を押し付けて焼印! / 右:工具とバッテリーに焼いた刻印。
▲仕事が職人なので、たくさんの工具を使います。 数年前から、持ち歩き用はMakitaの18Vバッテリー式に統一しました。
というわけで、思いつきから始まった工具への刻印計画は、無事に目的を達成できました!
自分の屋号の入った工具は、職人としてチョット誇らしいかもですw
今回の技は、例えば封筒に蝋をたらして封蝋(ふうろう)印するようなシチュエーションにも使えます。
自作の刻印や焼印、工作してみると、たのしーかもしれませんよ。
※参考サイト
トナー転写でプリント基板をつくる!
トナー転写プリント基板の製作実例
アイロン転写基板,トナー転写基板の作り方 | AkiRacing.com
コンビニと100均材料でプリント基板作成 アセトン転写
制作メモ:慣れれば30分。普段使いの基板づくり
なお、今回の内容も事前にTwitterにて連載していました。 ブログよりリアルタイムに反応が分かるので面白いです。
試行錯誤していたトナー転写が成功。アイロンではなくアセトン式の変形? pic.twitter.com/jWnP1IZD3P
— 作る人 (@IGU58) 2018年5月19日
Posted by IGU at 19:55│Comments(1)
│加工方法
この記事へのコメント
アルミフラットバーもエッチング表面の導通チェックをすると良いかもしれません。
Posted by えべす屋 at 2018年09月20日 15:04
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