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2022年06月06日

携帯コンプレッサー 「 マキポン 」 の作り方(Makitaバッテリー + ポンプ )

マキポン

充電式エアブラシ携帯エアガン


写真はマキタ18Vバッテリーで0.5口径のエアブラシを吹ける、電源内蔵の携帯コンプレッサー
マキポン(と僕は呼ぶ)です。 Makitaバッテリー + ポンプ から名付けました。

かれこれ2年近く前に試作して、それから工事現場の小規模な塗装に使い続けています。(僕は「補修屋」という職人です)

電源の無い場所でも使えて、軽くて持ち運びが便利、どこでもお手軽に塗装環境が整います。


今回はこの「マキポン」の作り方を公開しちゃいます。


◆携帯コンプレッサー開発経緯


だいぶ昔から、持ち運べる塗装システムのアイデアは考えてました。

携帯コンプレッサー 「 マキポン 」 の作り方(Makitaバッテリー + ポンプ )携帯コンプレッサー 「 マキポン 」 の作り方(Makitaバッテリー + ポンプ )
◆リンク:エアーダスターで塗装用エアブラシを吹く!
◆写真:電動エアガンの7.2Vコンプレッサー。

↑ この2016年に書いたブログ記事のコメント欄に、サバイバルゲームの電動エアガンのコンプレッサーを使ってスプレーガンを吹いてる人がヒントを書いてくれました。

その後、僕もいくつかユニットを買って実験してみましたが、振動と騒音の問題を解決できる頑丈なケースを作れず失敗に終わってます。


充電式エアブラシ近年になって出てきた充電式のエアブラシは画期的で、Twitterで見かけてすぐAliExpressで中国から取り寄せて仕事で使い始めました。
◆Twitter:モバイル-エアブラシを実戦投入‥‥


このモバイル-エアブラシ、あまりに使い勝手が良いので、もう少し大きなエアブラシを吹けないか考えてみました。

写真の充電式エアブラシは0.3口径。
もともとはネイル用などの小面積を吹くための物で、小型でお手軽に使えます。

これがもっと大きな0.5口径ならば、数十センチ四方を塗ることができて、より実用的ではないか。

そこでいろいろ実験してみました。


流れでマキタ18Vバッテリーを100Vに昇圧して、L7下位互換の日東工器リニアコンプレッサーAC0410を実戦で使うテストもしています。こちらでも0.5口径のガンが吹けます。

携帯コンプレッサー 「 マキポン 」 の作り方(Makitaバッテリー + ポンプ )携帯コンプレッサー 「 マキポン 」 の作り方(Makitaバッテリー + ポンプ )

◆Twitter:マキタ18Vバッテリーを100Vに昇圧してコンプレッサーを使う (スレッド)




◆各種ポンプのテストと初期型マキポン


携帯コンプレッサー 「 マキポン 」 の作り方(Makitaバッテリー + ポンプ )

まずは、リチウム電池で動くもの、12Vや24Vのいろんなサイズの電動ポンプを買い集め、0.5口径のエアブラシでテストしてみました。

エアブラシの口径が大きくなると、必要なエアも大量に必要となり、思った以上に出力の大きなモーターが必要です。

AC100VコンプレッサーとDC12Vポンプの比較それでも、普段使っている100Vのコンプレッサーに比べると遥かに小さいわけで、携帯コンプレッサーへの期待が膨らみます。

写真のAC100VコンプレッサーとDCポンプ、ほぼ同じように使えるって、信じられます!?
直流モーターのトルク恐るべし!


携帯コンプレッサー 「 マキポン 」 の作り方(Makitaバッテリー + ポンプ )写真は最初に作ったマキポン試作品。
◆Twitter:今日の大きな現場でマキポン持って‥‥

ポンプをオン/オフ・スイッチでマキタ・バッテリーに繋いだだけです。
現場に持ち込むと意外と実用できて、まわりの他業種の職人たちも集まってきて注目を浴びてましたw。

0.5口径のエアブラシで電源の無い屋外で塗装できるのは、かなり画期的な事なんです。

でも、少しエアが弱いかなぁ。


◆PWM制御


マキポン試作品は24Vのポンプを使っていました。

マキタのバッテリーは公称18Vなので、24Vのポンプでは能力をフルに発揮できませんし、かと言って12Vポンプでは中のコイルが焼けてしまいます。
18Vのモーターが有れば無駄がないのに‥。

モーターのコイル巻き直しも考えましたが、作業が面倒な割に結果が不確実そうなので諦めました。



ふと思いついたのが「PWM」という電子回路。

内部で高速にスイッチをオンオフして出力をコントロールする回路です。
これを使えば、18Vのバッテリーで12V用のモーターが回せるのではないか?
試しにマキポンに組み込んでみると、(擬似的に?)電圧を自由に変えられる事がわかりました。



◆安全装置としての開放弁


よっしゃ、早速マキポンの作り方をブログで公開しよう!

そう思ったのですが、エアコンプレッサーのような高圧空気を使う道具には安全装置が必須です。

試作型マキポン初期型はポンプとエアブラシをホースで直結していました。
そのため塗装が終わったら、すぐにスイッチを切らないと、圧力でホースが破裂したりジョイントが吹っ飛ぶ事が有ったのです。
そのままネットで公開するには後々のトラブルが心配です。

写真は圧力で裂けたゴムホース。パーンと大きな音がしました。
◆Twitter:電源の無いモックアップのショールームで‥‥


通常の市販コンプレッサーには内部が高圧になり過ぎないよう安全装置が付いてます。

対策をいろいろ考えてみました。




圧力弁一つは、電動コンプレッサーに付いてる電気式の圧力弁。
◆リンク:コンプレッサーの圧力スイッチの修理! (1,中国から部品を個人輸入 編)

圧力が高まるとモーターのスイッチをオンオフするパーツです。
今回のような小型のマキポンにはちょっと不向きでしょうか。


バネ式の圧力弁次に電動コンプレッサーの圧力弁が壊れた時に作ったバネ式の安全弁。

◆Twitter:シンプルだけど、自作ブローオフバルブは‥‥
※ ✕ブローオフ ○ウエストゲートと読み替えて下さい

欠点は、使っていく内に内部にゴミが溜まり、やがて詰まって壊れる点。
この方式だとトラブった際に内部の高圧空気で部品が飛散しちゃいます。


マキポンの圧力弁

もっとシンプルで、壊れるときに被害が無い仕組みは無いか?
と考えて作ったのがチューブ式の開放弁です。

自転車のタイヤバルブと同じ構造なので簡単で安くて信頼性も有りそうです。

写真のような簡単に自作できるパーツで、今回のものは0.15Mpaで圧力を抜き、口径0.5mmのエアブラシを0.13Mpaで吹けます。(新品時)




以上のような経緯で試作を繰り返し、仕事で実際に1年以上使って問題無さそうなので、やっと公開に至ったという次第。
0.5口径のエアブラシなら、普通に10~20cm四方、シンナーを工夫すれば30cm四方をテラテラ光沢に塗ることが可能です。

片手で持ち運べて、どこでも簡単に塗装できるマキポン。 仕事に使ってますが実に便利です。




続く:携帯コンプレッサー 「 マキポン 」 の作り方 - その2






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