ヒルデガルト・フォン・ビンゲン
これもグッドール「音楽の進化史」で知った人である。
カッシアとは異なり、Wikipedia日本語版にも項目が立てられている。
ヒルデガルト・フォン・ビンゲンまたはビンゲンのヒルデガルト
(独: Hildegard von Bingen, ユリウス暦1098年 - ユリウス暦1179年9月17日)は、中世ドイツのベネディクト会系女子修道院長であり神秘家、作曲家。
概説
神秘家であり、40歳頃に「生ける光の影」(umbra viventis lucis)の幻視体験(visio)をし、女預言者とみなされた。50歳頃、ビンゲンにて自分の女子修道院を作る。自己体験を書と絵に残した。
医学・薬草学に強く、ドイツ薬草学の祖とされる。彼女の薬草学の書は、20世紀の第二次世界大戦時にオーストリアの軍医ヘルツカ(Gottfried Hertzka)により再発見された。才能に恵まれ、神学者、説教者である他、宗教劇の作家、伝記作家、言語学者、詩人であり、また古代ローマ時代以降最初(ギリシア時代に数名が知られる)の女性作曲家とされ、近年グレゴリオ聖歌と並んで頻繁に演奏されCD化されている。神秘主義的な目的のために使われたリングア・イグノタという言語も考案した。中世ヨーロッパ最大の賢女とも言われる。
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カッシアからは約300年あとの人である。
この人のCDもグッドール本を読んですぐに通販で注文した。
こちらはAmazon、すぐ配達された。
実は、最初に買ったCDは、"Vision"というタイトルが付いている。
単純に、良く調べもせず、安いからこれでいいやと思ったのだけれど、このCDはヒルデガルト・フォン・ビンゲンの残した旋律をもとに、アレンジされたもの。リチャード・サウザーという人によるシンセサイザー伴奏で、やけに近代的な感じ。
これはこれでおもしろくて、中世の旋律も十分、現代に通用することが実感される。
しかし、やはり当時の音楽を再現しようしているものも聴いてみたいから、もう1つCD(こちらは8枚セット)を買うことにした。
カッシアからの300年、格別、進化したという感じはしない。
基本は単旋律で、未だ5度音程すら明確ではないみたいに思える。
やはり和声進行というものではなくて、重なる音はドローンと平行音程、オブリガートの類。
「ドローン」(持続低音)は"drone"、ハチなどのブンブンいう音の意。バグパイプの音を思い出せば雰囲気はわかる。
今はやりの無人機の「ドローン」も同じく"drone"で、こちらは雄のミツバチの意だという。辞書によっては別見出し語になっているけど、元は同じだろう。
グッドールの本によると、そもそもオクターヴの発見ということすらすごいこととされている。発見のストーリーとしては、大人の男声に混じって、歌唱隊を継続していくために子供の男声を加えたことからだという。
オクターヴ低い子供の声が混じっても、同じ音として聴こえるという現象の発見である。
ヒルデガルトは、作曲家というより、神秘家、哲学者という方が有名なようだ。
はじめのCDの"Vision"というのも、彼女の神秘的な幻視体験のことを指している。
昨日、"Kassia: Byzantine hymns of the first female composer of the Occident"となっていて、ビザンチンがオチデントか?と書いたけれど、ヒルデガルトは、これはまちがいなくオチデントでしょうな。
それにしても、ヒルデガルトをイメージ検索すると、美しい女性の肖像がヒットする(冒頭写真)。
"Vision"のジャケットもなかなかの美人だが、これは本人を描いたのだろうか?