「ワンナイトルール事件」 序文
- 2019/05/19
- 23:18
本記事は、2019春ゲームマーケット 5/25(土) S-10 「タルトゲームズ」さんから販売される、『ボードゲーム・スタディーズ』の紹介、第2日目です。
なお、下記リンクの予約・通販申し込み期限は5/22(水)とのことですので、どうぞお早めにご利用下さいませ。
まず、軽く本書『ボードゲーム・スタディーズ』の全体の構成について触れておきます(本来、一発目の昨日の記事で先に触れておくべきだったような気もしますが…)。
本書は、カズマさんと私とでそれぞれ何本かの記事を執筆し、これをまとめたものとなっています。最終的に、カズマさんは新作記事を4本、私は2本執筆し、掲載されております。私の記事2本のうちの1つが昨日紹介した「システムとは何か」です。で、もう1つは「ワンナイトルール事件」と題しまして、例の出来事を題材に、先のメイン記事「システムとは何か」の導入としても、またはそこで呈示した概念の具体的活用例としても読めるような議論を展開しております。「システムとは何か」の先に読んでも後に読んでも、それぞれ意味のある記事になってますので、先の記事に興味をひかれた方にも是非読んでみていただきたいと思っております。
ということで本日は、昨日に引き続き、私担当分のもう一つの記事「ワンナイトルール事件」の冒頭の節をまずは転載致します。
この導入に続き、記事では以下のような節立ての下、議論を展開しています。
なお、下記リンクの予約・通販申し込み期限は5/22(水)とのことですので、どうぞお早めにご利用下さいませ。
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— カズマ/Kazuma@GM春 土-S10 (@_kazuma0221) 2019年4月21日
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まず、軽く本書『ボードゲーム・スタディーズ』の全体の構成について触れておきます(本来、一発目の昨日の記事で先に触れておくべきだったような気もしますが…)。
本書は、カズマさんと私とでそれぞれ何本かの記事を執筆し、これをまとめたものとなっています。最終的に、カズマさんは新作記事を4本、私は2本執筆し、掲載されております。私の記事2本のうちの1つが昨日紹介した「システムとは何か」です。で、もう1つは「ワンナイトルール事件」と題しまして、例の出来事を題材に、先のメイン記事「システムとは何か」の導入としても、またはそこで呈示した概念の具体的活用例としても読めるような議論を展開しております。「システムとは何か」の先に読んでも後に読んでも、それぞれ意味のある記事になってますので、先の記事に興味をひかれた方にも是非読んでみていただきたいと思っております。
ということで本日は、昨日に引き続き、私担当分のもう一つの記事「ワンナイトルール事件」の冒頭の節をまずは転載致します。
ワンナイトルール事件~我々はそこに如何なる問題を見出していたのか?
はじめに
2018年11月、秋のゲームマーケットにある企業が出品した某人狼ゲームが、ボードゲーム愛好家達の間にある騒動を引き起こした。有名タイトル『ワンナイト人狼』のパクリ(剽窃)と思われる、某人狼ゲームに付属のバリエーションルールの名称(それは当初「ワンナイトルール」と呼ばれた)を、当該企業が商標登録出願しているというのである。一時、ボードゲーム界隈はこの話題で持ちきりだった。少なくとも、そう言っても過言ではないほど多くの人の関心を集めた。しかし、2019年現在、この事件について語る者は皆無である。当該企業が「ワンナイトルール」の中味を公開したことで、「『ワンナイト人狼』のあからさまなパクリだ」と当該企業を糾弾する声は鳴りを潜め、また、当該企業が「ワンナイトルール」という標章の商標登録出願を取り下げたことで事態は一気に沈静化していった。今では、両当事者とも当の事件に関して何ら発信することもなくなり、敢えてこの話題を再び取り上げようなどというボードゲーム愛好家ももちろんいない。この現状を見る限り、一面においては確かに、事件は終わった、問題は解決したのだ、と言えるかもしれない。だが、当の炎上事件を見ていた私は、未だ釈然としない何かを感じている。おそらく、決して少なくはない数のボードゲーム愛好家諸氏が、どこかで私と同じ気持ちを味わっているのではないだろうか。確かに、事件は終結した。だが、この炎上事件が我々に投げかけた問題は何ら解決されないまま、否、むしろそれどころか、それが如何なる問題であったのかすら明確な言葉にされないままであることによって、我々の心の奥底でむくむくとその影が広がり続けているのではないか、と私には思われるのである。
本論考は、このワンナイトルール事件について、我々が当初の告発の中に何を感じ、いかなる問題を見出していたのかを明らかにしようとするものである。
はじめに
2018年11月、秋のゲームマーケットにある企業が出品した某人狼ゲームが、ボードゲーム愛好家達の間にある騒動を引き起こした。有名タイトル『ワンナイト人狼』のパクリ(剽窃)と思われる、某人狼ゲームに付属のバリエーションルールの名称(それは当初「ワンナイトルール」と呼ばれた)を、当該企業が商標登録出願しているというのである。一時、ボードゲーム界隈はこの話題で持ちきりだった。少なくとも、そう言っても過言ではないほど多くの人の関心を集めた。しかし、2019年現在、この事件について語る者は皆無である。当該企業が「ワンナイトルール」の中味を公開したことで、「『ワンナイト人狼』のあからさまなパクリだ」と当該企業を糾弾する声は鳴りを潜め、また、当該企業が「ワンナイトルール」という標章の商標登録出願を取り下げたことで事態は一気に沈静化していった。今では、両当事者とも当の事件に関して何ら発信することもなくなり、敢えてこの話題を再び取り上げようなどというボードゲーム愛好家ももちろんいない。この現状を見る限り、一面においては確かに、事件は終わった、問題は解決したのだ、と言えるかもしれない。だが、当の炎上事件を見ていた私は、未だ釈然としない何かを感じている。おそらく、決して少なくはない数のボードゲーム愛好家諸氏が、どこかで私と同じ気持ちを味わっているのではないだろうか。確かに、事件は終結した。だが、この炎上事件が我々に投げかけた問題は何ら解決されないまま、否、むしろそれどころか、それが如何なる問題であったのかすら明確な言葉にされないままであることによって、我々の心の奥底でむくむくとその影が広がり続けているのではないか、と私には思われるのである。
本論考は、このワンナイトルール事件について、我々が当初の告発の中に何を感じ、いかなる問題を見出していたのかを明らかにしようとするものである。
この導入に続き、記事では以下のような節立ての下、議論を展開しています。
- 出来事
- パクリの定義
- ワンナイトルール事件が我々に投げかけた問題――ゲーム作品を同定するのに重要な点とは何なのか?
- 記号システムとしてのゲーム作品
- システムを表象する記号システムとしてのゲーム作品