2013/07/21
暑くなると食べたくなる料理があります。その1つが「Steak tartare(タルタルステーキ)」。
タタール人に由来した名前なわけなのですが、この料理はどの国が本場なのだろう? 「Steak tartare」をキーワードにしてレシピの動画を検索してみたら、英語版ばかりがトップに並んできたので放棄しました! つまり、フランス語だと思っていたのだけれど、これは英語だった?...
フランスのレストランでは時々出会う料理です。日本では食べたことがないような...。
好きな料理ではありますが、年に1回食べることがあるかなという程度。ところが、この夏になってから、たて続けに2回も味わう機会がありました。
◆ 馬肉のタルタルステーキ
友人たちと旅行して自炊できる民宿に泊まったとき、馬肉のタルタルステーキを作ってくれた人がいました。
少し前、馬肉のタルタルステーキが美味しいのだと話していたので、それを私たちに味わわせてくれようと思いついたのでした。
1人分250グラムだったかな。たっぷりとした量でした。
作ったのは、野菜もチーズもデザートも食べないのが普通で、肉ばかり食べるという特殊人物。生肉に入れたのは、チャイブとパセリ、それに少し卵黄、塩コショウを混ぜ込んだだけ、というレシピだったと思います。
私は、もっと何かスパイスをきかせて欲しかったですが、確かに馬肉そのものの味は賞味できました。肉は柔らかくて、まろやかで、牛肉とは全く違う...。
◆ 日本人は馬肉をよく食べる?
馬肉のタルタルステーキを作ってくれた友人によると、馬肉は生で食べるのが一番美味しいとのこと。「日本でも馬刺し」というのがあるから、生がおいしいのだろうと思う」、と私。
と言っても、熊本の名物が馬刺しだと聞いてから何度も熊本に行ったのに食べていなかったので、東京で1回食べたことがあるだけの私。
熊本出身の友達が、評判のもつ鍋屋さんに連れていってくれたとき、お品書きに馬刺しもあったので私は注文しました。
かなりのお値段なのに、ほんの少ししかでてきませんでした。しかも、冷凍の肉だと分かるので、そんなに美味しいとは思わなかった。友達は「馬刺しが食べたかったのなら、別の店に連れていったのに...」と不満げ。
今回食べた馬肉のタルタルステーキは、馬肉の微妙な味を初めて堪能する機会になりました。私はゲテモノは色々食べるのですが、なぜか馬肉には抵抗を感じました。 馬肉のタルタルステーキは美味しかったけれど、また食べるために努力しようとは思わない。
しかも、ヒレ肉だけではなくて、色々な部分が売られていました。
馬刺しにも、霜降りとかがあるのですね。フランスには牛肉でも霜降りがないから、桜肉にも当然ない...。
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◆ フランスで売られている馬肉
肉屋で、たまに馬肉も売られているのを見かける程度です。売っているのは、ヒレ肉など上質部分だけのように感じています。 他の部分はどうするのだろう?...
馬肉専門の肉屋には、フランスでは呼び名があります。boucherie(肉屋)にchevaline(馬のchevalから来た単語)を付けるのです。
馬肉が特別扱いされているというわけではなくて、豚肉専門の肉屋はcharcuterie。肉食文化の国なので、何の肉を扱っているかによって店の呼び名を作っているのでしょう。
だいぶ前のフランスでは、馬肉専門の店を見ていたのですが、今でも存続しているのかな? ...
調べてみたら、しっかりと存続していました。ブルゴーニュ地方最大の都市であるディジョンの朝市には1軒ある、という新聞記事が出てきました。臓物専門店だと思っていたところが、それかな?...
以前はディジョン市には8軒の馬肉専門店があったのに、今ではその1軒だけ、しかも県内唯一の存在なのだそう。その店の人は、少しデリケートな商売だと言っています。子どもたちは、学校で両親が馬肉を売っているとは言いたがらないのだそう。
フランスでは、可愛いウサギやハトまで食べてしまうのですから、馬の肉にこだわるというのも変だという気がします。でも、フランスでは乗馬する子も多いので、そうなるかな?...
ヴィクトール・ユーゴーが亡命先で、食事に招待された家に行く途中で見たニワトリがいたのですが、出される料理がそれだと知ったとき、「私は知っている家畜は食べない」と食べるのを拒否した逸話があったっけ...。
◆ 食品の品質と偽造の問題
日本でユッケ集団食中毒事件が話題になったのは、2011年の春でしたっけ? 日本人は魚を生で食べる習慣があるので無防備だったのかもしれない。
フランスの友人に、九州のお家でご馳走になった鹿肉の刺身が素晴らしく美味しかった、と話したら顔をしかめられました。野生動物の生肉を食べるなんて、フランス人には自殺行為に見えたらしい。
フランスでは、生肉を使うタルタルステーキやカルパッチョを食べるときは、かなり食材に注意します。私も、魚で刺身は作ってしまうものの、タルタルステーキは自分で作ろうとは思わないし、信頼できるレストランでないと注文する気もしません。
フランスでは、今年の初めから春にかけて、食品偽装が問題になっていました。
2013年2月、フィンダス社(フランスの大手冷凍食品メーカー)のビーフ・ラザニアに馬肉が使われていた、とイギリスから告発を受けたのが発端だったようと思います。
イギリスやアイルランドでは、馬肉を食べさせられるのは非常にショッキングなことなのだそう。それはお気の毒だけれど、冷凍食品なんて、どうせまともなものでは作られていないと思うので私は買いません。
その後、世界中に店舗を持つスェーデン家具イケアのレストランで出される料理が大きな話題になりました。ミートボールなどに馬肉が使われていたというのに続いて、チョコレート・タルト(日本ではアーモンドケーキと呼んだ)に糞便が入っていた(日本では大腸菌入りと表現された)というのは、友人仲間で毎日のように聞く笑い話の種になりました。チョコレートは、考えてみればウンチに似ているので、イケアで食べたことがなくても想像できてしまうので面白いのでした。
ところで、友人がこれはと選んで買った馬肉で作ってくれたタルタルステーキは、肉そのものは柔らかくて美味しいと思ったのですが、なんとなく物足りなかったのでした。タルタルステーキとは、もっと色々な調味料などを入れて作るものだと思う。それを確認する機会がすぐにやってきました。
レストランで出されて美味しかった牛肉のタルタルステーキのことを次回に書きます。
ブログ内リンク:
★ 暑いときに食べたくなるタブレ 2012/07/02
★ 暑いときは、さっぱりしたフロマージュ・ブランが嬉しい 2006/07/22
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
外部リンク:
☆ Dijon : « Mangez local, mangez du cheval » - BP 2013/01/12
☆ 馬肉混入問題
☆ イケア、ミートボールに続き他商品も回収 馬肉混入問題で - AFP 2013/02/28
☆ イケアのアーモンドケーキから大腸菌群、23か国で提供中止 - AFP 2013/03/06
☆ matière fécale入りチョコレートケーキ
☆ フランスニュースダイジェスト: レストランに「自家製」ラベル
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