イラスト著作権侵害の責任追及、その後
イラスト無断転載のまとめサイトに賠償金命じる判決「全ての絵描きの希望」と賞賛
Twitterでは、“ナイス判決ですね”
“無断転載の裁判事例を作ってくださるのはマジでありがたい…全ての絵描きの希望になる”
“すばらしい!どんどん続いて欲しい!”と賞賛の声が相次いでいる。
この事件については、先日の東京弁護士会でやったサイバー判例回顧2017-18でも紹介した判決が含まれている。
東京地判平成30年6月7日裁判所WEB(平成29(ワ)39658号)
その経緯を原告本人が語った記事は、サイバー判例回顧のときにも紹介した。
イラスト無断転載、まとめサイトに30万円の賠償命じる判決 「VIPPER速報」「ガールズVIPまとめ」など訴えた注目裁判が決着
詳しいことはこの記事を読んでいただくとして、要するに多数の侵害サイトに対して訴えを提起したことで、規模の経済によりコストに見合うリターンを得られたということである。
しかし、上記の記事の最後の方は、ちょっと注意が必要な部分がある。
“無断転載サイトを訴訟から賠償金回収まで代行してくれ、手数料は一切かからないドイツのサービス。全世界140カ国対象で、日本語サイトもある”(原文ママ)と、訴訟代行サービスを紹介するツイートもあった。
これは、日本で弁護士以外の者がやれば非弁サイトということになる。この書込みを鵜呑みにするならば、ドイツの誰かが日本向けに訴訟代行サービスをやるとなれば、文字通りの非弁行為となる。仮にこのサイトが日本国内では弁護士に依頼するとなると、非弁提携ということになろう。
しかし、日本で弁護士さんがこうしたサイトを立ち上げるなら、非弁にはならない。でもこれって弁護士さんがホームページを開いてお客さんを募るのとどう違うのか、よく分からない。
上記記事の内容に即して、多数のイラスト著作権侵害に悩む作者たちの権利行使をサポートすることを弁護士以外の者がやるには、消費者裁判手続特例法とかサービサー法のような特別立法が必要である。
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