Bankruptcy:シェアハウス運営会社の倒産
ついこの間、晴れ着レンタル・販売の会社が事実上倒産したばかりだが、今度はシェアハウス運営会社の倒産がニュースとなっている。
支払停止というのがどのような意味かを確認するには、以下のような倒産法入門書で十分である。
もともと倒産法というのが法律問題のるつぼとも呼ばれる領域なので、民事商事の実体法も、訴訟法や執行法といった手続法、さらには刑事法までも関係する、それらの一定の理解を前提とする内容である上、経営や会計の知識も税法の知識も必要となるので、「入門」という概念で一般向けということにはならないのだが、ともかくも入門書として定評ある二冊だ。
で、シェアハウスの運営会社の倒産で特徴的なことは、この企業の立ち位置が二面市場を相手にしているということである。
一方の顧客には家主となるオーナーがいて、他方の顧客には入居者がいる。こうした二面市場の特徴を有する企業はもちろんいろいろなものがあるが、ネット上でプラットフォームを提供する企業などが近い。
また、シェアリングエコノミーの呼び声が高まる現在、このシェアハウス事業というのも興味深い業態である。
シェアハウスと一口で言っても、普通の賃貸借と変わらないものから民泊と変わらないものまで多様である。
賃貸借なら賃貸借なりの倒産法上の特則があり、その適用の有無が気になる。
またオーナーとこのシェアハウス事業者との契約関係も、サブリースのような関係なのか、賃貸借管理にとどまるのかというあたりが気になる。
ということで、オーナーの保護も入居者の保護も、仮に倒産となったら実体関係がどうなのかによっていろいろな場合が想定されうるという点で、興味深い。
記事には「契約は同社が物件を一括して借り上げて各部屋を学生らに賃貸し、所有者には毎月保証した賃借料を支払う仕組み。」とあるので、そのまま読めばサブリースかとも思えるが、その法的評価は微妙であろう。注文主と元請けと下請けの関係にも似ているし、オーナーが自分の所有物件に入居している賃借人からの賃料を確保できるのかどうか、一筋縄ではいかないかもしれない。
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