Netで学ぶマイナンバー等々
ネット上にはいい加減な情報ときちんとした情報とが混在しているので、全く鵜呑みにはできない世界だが、そんな中でもこれは良いと専門家のみんながイチ押しする情報がある。
マイナンバーに関しては、これ。
【保存版】マイナンバーはどれくらい危険なのか? 11の疑問を“中の人”が徹底解説
登場するのは内閣官房政府CIO補佐官 楠正憲氏である。
解説の中身は直接上記記事を見て欲しいが、要点は以下のとおり。
・マイナンバーの割当と、マイナンバー通知カードによる割り当てられた番号の通知の話から始まるが、マイナンバー通知カードの受取を拒否して、番号を勤務先に伝えないなどの「抵抗」について、余り意味がないという。
# 意味がないという意味は余りはっきりしないが、要は、マイナンバーの割当自体はされているので、自分に番号を割り当てるなという意味での抵抗にはならないということなのであろう。
## この「抵抗」は、例えば住所はプライバシーだからと、年末調整書類とか確定申告とかに住所欄を空欄のままにして出すようなものかな?
もしそれやったらどうなるかな?
・その番号はどのような場面で、誰に伝えなければならず、伝えることができる範囲はどこまでか、受け取った側はそれをどう管理しなければならないのか。
ここでは、個人番号の取得と利用の範囲、行政庁の利用と民間企業の取得(利用ではない)、行政庁同士の連携場面での利用の仕方、それぞれについて濫用のリスクや漏えいのリスクを低減するための制度と仕組みが解説されている。
# マイナンバーと個人番号という言葉が混在して使われるので、分からなくなるが、両者は、この両者こそは同じものなのであろう。わかりやすさのための愛称が分かりにくさにつながっている。
## 加えて、色々な場面の話でそれぞれに異なるポイントが出てくるので、迷子になりやすい。それでもこの記事の整理は簡明といえる。
・マイナンバーが他人に使われるおそれについて、他人がなりすましに使うメリットが乏しいということと、不正取得の罰則が厳しいことでリスクが押さえられているという。その他、符号を使うことなどの安全策も触れられている。
# マイナンバーに抵抗感を持つ方も、何を問題にしたいのかを整理しきれていないところがあって、それに対して大丈夫ですという側とスレ違いになりやすい感がある。漏えいすること自体が問題なのか、流通することか、他人の番号を取得した側がなりすましをするのが怖いのか、なりすましされるとして、税務申告内容が覗かれるのが怖いのか、それとも例えば銀行口座送金やクレジットを濫用されるのが怖いのか、番号をテコにプライバシーが集積されて行くのが嫌なのか、さらにそれを活用(悪用)されるのが怖いのか、その他。どこまでがマイナンバーに関係するリスクなのかも分からなくなってきそうだ。
## これらに対しての制度的な対応も多面的だが、対策の相手が多様で明確にしにくいことから、話が分かりにくいまま終わりになる感が否めない。また、これは記事のまとめ方の問題だろうが、「副業を禁止している勤務先に住民税の額などから、副業が知られてしまう」という問題提起に対して「マイナンバー制度の有無に関係なく、税務署には副業を知られている可能性が高い」というところで話が終わっているので、結局疑問には答えられていないところもある。
・申請により取得できるマイナンバーカードの機能として公的個人認証と、それを必要とするマイナポータルについても、明快な説明がある。特にマイナンバー自体と公的個人認証との混同は、マイナンバーの漏えいが「なりすまし」につながるという誤解の主因とも言えそうである。
# 「個人番号カードは、キャッシュカードのように普段も持ち歩いてほしい。そうすることで紛失したことがすぐに分かる」という部分は、うーむ、そうなのかと首をひねる。
ともあれ、正確な内容は上記の記事をご覧頂きたい。
また、スッキリ分かる! マイナンバー制度を支える4つの仕組みの方も、参考になるサイトである。
より詳しくは、以下の文献参照のこと。
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