arret:生活保護打ち切りが違法とされた事例
本日櫻井コートのもう一つの判決は、生活保護受給者に実現不可能な増収を指示し、その不履行を理由に保護を打ち切った処分を違法としたもの。口頭で増収が無理なら事業用車を売れと言ったとしても、口頭では指示にならないとの理由。
上告人は手描き友禅の職人で、月収が平成8年段階で13万円しかなく、事業用自家用車の保有を認められつつ生活保護を受けた。
ところがその後、月収が2万円から6万円程度と低迷したので、車を売るか、月収をあげるかどちらかを迫られた。しかし、書面による指示は月額11万円(必要経費を除く)まで増収を命じるものだった。
その後、増収は叶わず、指示を履行しないとして生活保護の打ち切りとなった。
原審は、口頭で指導した内容、つまり自動車を売るか増収を図るか、いずれかをせよと言ったことが指示の内容になるとして、いずれも行わなかったのを不履行と認めたのだが、最高裁は、指示内容は書面で示されたものに限るとし、つまり増収を端的に命じるという指示が不可能ないし著しく困難な内容だったかどうかを審理せよとして、破棄差し戻したものであった。
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