penal:冤罪被害者の矛先
被告人の作為により、罪に陥れられた被害者の言葉は重い。
「全く身に覚えのないことで逮捕され、取調官から『周りの状況は真っ黒で君だけが否認している』と言われて、もうだめかと思った。精神的な負担が大きく、今もなかなか頭から離れない。戻れるなら事件の前に戻ってやり直したい」と、誤認逮捕された苦しみや影響を述べました。
この証言を証拠申請したのは、どちらの側かというのがちょっと興味ある。
まさか、誤認逮捕した側の検察が、ヌケヌケと、その被害者を片山さんの悪情状立証のために呼んできたのではないだろうなぁと思いつつ、しかし弁護側が呼ぶわけないしと。
「犯行予告を書き込むなどしたことも卑劣だが、他人に成り済ましたことで二重にたちが悪い。逮捕されたあとも自分も誤認逮捕された被害者のふりをして否認を続け、反省の色が見られない。何人もの人生を変えた責任をきちんと取ってほしい」と訴えました。
「何人もの人生を変えた責任をきちんと取ってほしい」と訴えかける方向は、被告人席に対してだけではなく、検察官席に対しても向けられるべきことである。
そしてそのことを真剣に受け止めるなら、取調べ過程の適正化のためのビデオ録画を全件徹底することは、むしろ率先してやるべきことだ。ところが、あの法制審部会の結論をみるに、「被害者のふりをして否認を続け、反省の色が見られない」という批判が向けられてもやむを得ないのではあるまいか?
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