生死不明の100歳以上
以前に、戸籍上死亡扱いされていないため、生きているものと記録されている人がたくさんいるということで話題になっていた。
この問題、解決したわけではないが、とりあえずあまりに古いものは、死亡したものとして処理するようである。
この中国新聞の記事は、広島市内だけでこんなにたくさんいたということである。
もっとも、原爆被爆者で身元不明となった方々や、明治期の移民が多いためというのが市の説明である。
昨年6月に広島市の戸籍を電算化してリストアップが可能になり、上記の数字が算出されたということであり、全国的には2010年に234,354人の所在不明の100歳以上が判明したということであった。
この問題は、出生届と死亡届がきちんとなされることを前提にした戸籍の不完全性を示すものであって、そのまま高齢者の孤立死や孤独死の存在を示したり、無縁社会の問題に直結するものではないと、一応はいえよう。
しかし、少なくとも家族や地域社会に囲まれて生活していれば、生死不明とはならないのであるから、無関係ではない。
戦争や大災害などの場合を除けば、所在不明高齢者の問題は身寄りのない高齢者の問題でもある。
非婚社会、すなわち生涯独身のままでいる人の割合が増えていけば、また兄弟の数も平均的に少なくなっていけば、身寄りのないお年寄りが増大するのは当然の帰結である。それを支えるのは、地域社会しかない。地域社会といっても必ずしも近隣住民という意味ではなく、もちろん近隣住民相互の助け合いも重要だが、地域に根ざした市民団体の役割も重要だ。
民主党政権とともに葬り去られそうな言葉だが、いわゆる「新しい公共」は、その内容においてますます重要なものとなるだろう。
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