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2012/08/12

nuk:原発3つのシナリオと核燃料サイクル

締め切りギリギリになってしまったエネルギー政策のパブコメ作成にあたって、国家戦略室のページには様々な資料が掲載されていて、これらを勉強してから意見を言え、ということになっている。

全部に目を通すのは難しいが、幾つかには目を通した。その中で目に止まったのが、次の資料だ。

核燃料サイクル政策の選択肢についてpdf
既に報道もされていたので、なんとなくは知っていたが、改めて読んでみると、2030年段階の3つのシナリオにあわせて、核燃料サイクル事業の在り方が提言されている。

この検討が始まった時点では、いまより原発依存を増大させるというシナリオもまだ生きていて、つまり4つのシナリオそれぞれに対する核燃料サイクルの在り方が検討されたが、エネルギー・環境会議が6月8日に中間的整理で3つのシナリオに絞った後、原子力委員会としては以下のように考えている。

2030年時点での原子力発電比率を0%にする政策を採る場合には、「全量直接処分」政策を採用するのが適切である。

2030年時点で原子力発電比率を概ね15%程度まで下げる場合には、「再処理・直接処分併存」政策を採用するのが適切である。

2030年時点での原子力発電比率を概ね20~25%程度とする場合には、「全量再処理」のメリットは選択肢2よりも大きくなり「全量再処理」政策が有力である。ただし、そのメリットは、「再処理・直接処分併存」政策でも享受可能と考えられる。一方、将来の不確実性に対する柔軟性を確保することを重視するのであれば、「再処理・直接処分併存」政策を選択することが有力である。

そして高速増殖炉の開発についても、ゼロ政策の場合は開発をやめて成果の取りまとめに入るが、15%シナリオの場合は5年程度のもんじゅ運転を行なって本格開発につなげること、20〜25%シナリオの場合はもんじゅを10年程度動かすと共に、本格開発にもつなげることが提言されているる

つまり、将来の原発依存をゼロとする選択肢をとらない限り、核燃料サイクル事業は従来通りの推進がよろしいと言っているわけである。
これでは、ゼロシナリオ以外を選ぶ訳にはいかないではないか。
世界各国がとっくに開発を諦め、安全性や経済性でダメが出されている高速増殖炉に、その実験段階のくせに巨額の予算が延々とつぎ込まれ、しかも対処が困難な事故に見舞われてはそのリカバリーにのみ労力をとられるという賽の河原の石積みのような「もんじゅ」に、まだまだ諦めないで予算をつぎ込むというのが原子力委員会の提言なのだとすれば、原子力ムラの面目躍如といったところだろう。

そのような提言に乗るような方針に、賛成はできない。

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