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2011/12/10

Book:自白の信用性

布川事件:「自白有罪例」として引用 司法研修所教材

法曹会が出している司法研修所編『自白の信用性』のなかに、布川事件が「自白が信用できる例」として取り上げられているそうだ。

記事によれば、次のようなものという。

教材本では布川事件について、捜査段階の「自白」に不合理な点があるものの、「凶行直後あるいは凶行時の興奮、狼狽(ろうばい)の心理状態」「少しでも罪責を軽減しようと、ある事実を秘匿したり、ことさら虚偽を混じえて供述」などの理由から生じ、「一応の説明がつく」と記述している。そのうえで「自白全体の信用性に影響しない」と述べ、元被告を犯人扱いしている。再審無罪が確定した今年6月以降も改訂の動きはなかった。

これに対して布川事件の弁護団が、最高裁宛に訂正を申し入れ、最高裁は検討中としているそうだ。

しかし、この部分は実に貴重であり、闇に葬るべきではないと思う。

自白の信用性判断が、従来、いかにいい加減で、かつ恣意的というか非科学的・直感的で、後知恵の理屈に基づいて構成されていたかを示す好個の教材というべきだ。
結局のところ、被告人が有罪であるとの結論があれば、不自然な供述や不合理な供述は「狼狽の心理状態」だの「少しでも罪責を軽くしようと虚偽をいう」などの理由で、常に「一応の説明はつく」のである。逆に言うと、そうした説明はすべて、どうとでも言える類であり、決め手とは成り得ないのだということを、このケース、その他の冤罪ケースから学び取ってもらいたいものである。

なお、冤罪を防止したいと本気で考えるなら、裁判官にはすべからく次の本を読んでもらいたいものである。著者は、最高裁調査官も勤めた元裁判官である。

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