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2009/09/03

arret:殺害予告は警察に対する業務妨害

以前から驚きの法適用だと思っていたが、控訴審でも認められた。

東京高判平成21年3月12日判決全文PDF

土浦駅で無差別殺人をすると掲示板に書き込んだ馬鹿の事件である。

最近の最高裁判例において,「強制力を行使する権力的公務」が本罪にいう業務に当たらないとされているのは,暴行・脅迫に至らない程度の威力や偽計による妨害行為は強制力によって排除し得るからなのである。本件のように,警察に対して犯罪予告の虚偽通報がなされた場合(インターネット掲示板を通じての間接的通報も直接的110番通報と同視できる。),警察においては,直ちにその虚偽であることを看破できない限りは,これに対応する徒労の出動・警戒を余儀なくさせられるのであり,その結果として,虚偽通報さえなければ遂行されたはずの本来の警察の公務(業務)が妨害される(遂行が困難ならしめられる)のである。妨害された本来の警察の公務の中に,仮に逮捕状による逮捕等の強制力を付与された権力的公務が含まれていたとしても,その強制力は,本件のような虚偽通報による妨害行為に対して行使し得る段階にはなく,このような妨害行為を排除する働きを有しないのである。したがって,本件において,妨害された警察の公務(業務)は,強制力を付与された権力的なものを含めて,その全体が,本罪による保護の対象になると解するのが相当である。

いたずらにすぎないではないかというのに対しては、次のように判示している。

被告人は,不特定多数の者が閲覧するインターネット上の掲示板に無差別殺人という重大な犯罪を実行する趣旨と解される書き込みをしたものであること,このように重大な犯罪の予告である以上,それが警察に通報され,警察が相応の対応を余儀なくされることが予見できることなどに照らして,被告人の本件行為はその違法性が高く悪戯などではなく偽計による本罪に該当するものと解される。

そういうわけで、掲示板への犯罪予告は、本当にやる気がなくても、また予告対象に対する犯罪が成立しなくても、その警戒にかり出された人々に対する偽計業務妨害になるというわけである。

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コメント

あえて深読みですが。
最近、警察が十分な活動をしなかったがために犯罪を未然に防止できなかったとして、犯罪被害者の都道府県に対する損害賠償請求を認める判決がしばしばされることを意識したかなぁというのは、やっぱり深読みしすぎですかね。(^^);

投稿: えだ | 2009/09/08 20:14

いわゆる穿った見方という奴ですね。

でも、全然無関係な話ではなさそうに思いました。
判決に影響があったかどうかは別にして、警察の制度設計に関わる要素というか。

投稿: 町村 | 2009/09/09 07:53

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