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2009/07/05

juge:裁判員にメモとるな

唖然とするしかない。

落合ブログで取り上げられていた記事「裁判員「メモなし」で本当に大丈夫?

「メモを取らないでください」。裁判員裁判の法廷では、裁判長がそんな注意を裁判員に促すことになりそうだ。「見て聞いて分かる裁判」のはずだからメモは不要というのがその理由。

裁判員による裁判を適正なものにしたいつもりが少しでもあるのかどうか、全く疑問だ。

大体、情報の伝達には、送り手の方も聴覚と視覚に訴えることが効果的で、受け手の方も視覚と聴覚を通じて情報を受け取るが、送り手の場合と異なり受け手は受け取った情報を記憶しなければならない。その記憶は、受け手にとって重要と判断する部分をピックアップするという、メリハリのある記憶である必要がある。
その点で、書面なりビデオなりで総体としての記録が与えられたとしても、そのどこが重要かは、まさに重要だと判断した(感じた)時の記憶に頼らなければならないのである。

公判がどれほど長く続き、どれほどの情報が与えられるかは知らないが、学生が教科書を持っていてもなおノートをとる必要があるように、1時間か2時間程度の情報伝達でもその中の重要な部分をピックアップするためにはノートをとることが必須である。

こんなことは学生生活を過ごしたことがあれば、また社会生活でも人の話を聞くなど情報を入手して活用するような仕事をしたことがあれば、当然のことのはずだが、なぜそれが裁判官様たちには分からないのか?

刑事裁判で裁判員に求められているのは、映画を見た後で「面白かった」とか「つまらなかった」とかの感想を言う程度のことだと、裁判官たちは思ってるのだろうか?

あるいは、判断に必要な情報はすべて裁判官が評議の場で提供するので、素人はただ黙って投票すればよいと、そういう発想なんだろうか?

それとも裁判官様ともなれば、一切の予習をすることなく公判に臨み、分厚い記録をじっくり読み返す時間的ゆとりは与えられずに、もちろんメモも手控えもとることなく、ただ聞いているだけで適確な判断ができるというのかな。
ま、何も考えずに求刑の数字に8を掛けるだけという裁判官も秋田地裁には存在するみたいだ(→証拠)が、みんながそんなもんだとは信じたくないのである。

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法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

>判断に必要な情報はすべて裁判官が評議の場で提供
>するので、素人はただ黙って投票すればよいと、そ
>ういう発想なんだろうか?

これのような気がします。
メモをとるなど,なまじ真面目に取り組まれると,裁判官がコントロールできなくて困る。
ビデオにしても「見たい」という要望が出ると「見ても良いですけれど,時間がかかりますよ」とかいって事実上封じるような気もしますし。

投稿: h | 2009/07/06 14:07

最悪ですな。

投稿: 町村 | 2009/07/07 08:59

「受け身での抵抗」をやらせたら,司法官僚は天下一品ですね。

投稿: h | 2009/07/07 15:01

    >メモをとるなど,なまじ真面目に取り組まれると,裁判官が
    >コントロールできなくて困る。
    >ビデオにしても「見たい」という要望が出ると
    >「見ても良いですけれど,時間がかかりますよ」とかいって
    >事実上封じるような気もしますし。

まあ背景にはそういうのは大きいとは思いますが、それだけでこんなことにはならないと思いたいです。

だいぶ前から「分からない・・・」と思っていたのが、国会も含めて速記官の廃止です。

で、わたしは親指シフターだったりするので、速記ではなくてディクテーションで問題無いと思っているのですが、それもほとんどやらない、というか開発しない。
リソースはあるのですが、誰もどこも使わないからアップデートしないんですわ。

そうこそうしていたら、裁判所は速記録をテープ起こしで作ってきますが、これの品質保証がまるでダメ。
ま、証言なんてのはキチンと文章化するのはとても大変なんですけどね。

そうして出てきているのが「音声文字化ソフト」ですよ。

裁判所版は大金を突っ込んで「開発」したことになっていますが、うまく行くとはちょっと思えない。

わたしは音声入力には40年ぐらい興味を持っていて、ViaVoiceが商品化されたときに真っ先に買ったモノです。
その後も、大枚叩いて買い続けましたが、結局初期版から画期的に性能が向上したとは言いがたいです。

だから裁判所版もうまく行くとは思えないのだけど、ここまでの道筋を改めて振り返ってみると

  速記 → テープ起こし → 音声合成

なわけです。
うまく行かないから速記に戻そうという話は、国会も含めて出てきていない。

一方で、ディクテーションも最近では声が掛からない。というか知らない人が多い。

なんか、速記=古い=脱却=進歩 といった図式に毒されているのではないのか?

その毒が「書類にしなくても分かる」であり、その証拠として「メモを取るのは時代遅れ」といった展開になっているのではないだろうか?

もちろん現実問題として「裁判官の意見の賛否を問う」にしてしまえば、現場も混乱無い、というのは結果として出てきますね。

投稿: 酔うぞ | 2009/07/07 21:10

そういえば,ViaVoiceは10.5で止まって動きがないですね…。
ニコラは表参道の某所が唯一の命綱ですし。
というつぶやきも,KB211で入力していたりするのです(笑)。

投稿: h | 2009/07/08 00:59

 音声認識ソフトは,特定の発言者が音声ホルマントを登録する設計から始まりました(今は少し違う)。
 いずれにしろ,方言や極端な口語俗語や主語目的語省略形が出たらお手上げです。
 法務検察は音声入力ワープロソフトの開発入札を8年前に断念していました。それで潰れたソフト屋も(以下略。

投稿: キメイラ | 2009/07/08 14:39

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