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2009/07/17

decision:暴力団事務所の使用差し止め

将来使用されるおそれがあるということを理由に、現在は使用を止めていても使用差し止めと執行官保管の仮処分が認められた抗告審決定である。

asahi.com:道仁会の本部事務所も使用禁止に 福岡高裁

決定は、平成21年7月15日付ということだ。

消費者団体訴訟でも、不当な条項の使用差し止めとか不当な勧誘方法の差し止めを求めると、相手方が「もう使用していない」という抗弁(?)を出すことがある。
これで敗訴してしまうと、何らの既判力・執行力もなく、同じ条項・勧誘方法が繰り返されれば、また新たに判断しなければならない。これでは訴訟を提起し、主張立証を準備して追行する努力は無駄となるし、その審理に費やした裁判所のリソースも無駄となる。

暴力団組事務所の場合は、使用差し止めを執行しておく現実の必要性があるため、いわば保全の必要性が高いという事情がある。これに対して消費者団体訴訟の場合はそこまでの必要性が認められないという見解もあるだろう。
しかし、逆に、ある条項やある勧誘方法が、訴訟前は堂々と行われている場合に、それが不当かどうかを裁判所が判断し、個別的なケースについては差し止めをしておくことが、当該事業者の将来の行動の自由を保障することにもなり、また他の事業者の適正な消費者取引を促進することにもなる。
このような訴訟機能を重視するならば、差し止め判決は既に使用を止めているという抗弁で簡単に棄却とするのではなく、当否を判断し、不当と評価できるものについては差し止めを命じておく必要があるのだ。

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