justice:冤罪死刑の脅威
落合ブログで紹介されている本をまず読んでみたい。
90年に栃木県足利市で起こった幼女誘拐殺人事件の真相を追う。導入されたばかりのDNA鑑定の不備を指摘、驚くべき精緻さで事件の冤罪性を浮き彫りにした傑作。
その上で、同様のDNA鑑定を決め手として、否認しているのに有罪となり、死刑が執行されてしまったケースに思いをはせてみる。
これも落合ブログ経由
読売online:足利事件と同じDNA鑑定法、飯塚事件再審請求へ
この事件が冤罪なのかどうかは知らないが、次のような経過を見ると、うーむ、これで死刑に処せられてしまったということに脅威を感ぜざるを得ない。
久間元死刑囚は92年2月、小学1年の女児2人(いずれも当時7歳)を車で連れ去り、殺害して山中に遺棄した疑いで94年9月に逮捕された。犯行を直接裏付ける物証はなく、遺体周辺から採取された血痕のDNA鑑定が一致したことが逮捕につながった。
飯塚事件の鑑定法は足利事件と同じく、DNAの配列の一部だけを目で見るなどして調べる「MCT118型検査法」を採用。弁護側は「鑑定は不正確」として無罪を主張したが、最高裁は鑑定結果の信用性を認めた。
世に冤罪を訴える事件は多い。
そのすべてが本当に冤罪かというと、そうではないだろうと思うが、その中には無実の罪で服役していたり、処刑されたりした事件が確かにあることを、改めて突きつけられている。
数年前にアメリカでDNA鑑定によって過去の冤罪が裏付けられたという事件がいくつも明らかになって日本でも話題となったが、対岸の火事ではなくなったわけだ。
それにしても、人を死刑にした時の唯一の決め手であるDNA鑑定試料を後に残さないというのは酷い話である。追証不可能にすることで誰が利益を得るのか?
死刑ではないが、個人的にこれは冤罪可能性が高いのではと思っている事件が、いわゆる筋弛緩剤殺人事件の守大助さん。
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