DV定額給付金に対する仮差押え認められる
時事:定額給付金を仮差し押さえ=DV被害女性の訴え認める−大阪高裁
配偶者暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)を受け離婚調停中の大阪府内の女性が、夫を相手に慰謝料の一部として定額給付金計4万4000円の仮差し押さえを申し立てたのに対し、大阪高裁が大阪市に夫への支給を禁止する決定をしたことが26日、分かった。決定は25日付。 塩月秀平裁判長は「給付金を世帯主だけのものとして仮差し押さえ対象から除外する根拠はない」と述べ、請求を却下した大阪家裁決定を取り消した。
毎日JPの方が正確に書かれている。
定額給付金について、1審決定は相続や譲渡、差し押さえができない「一身専属的権利」と判断したが、高裁決定は「一身専属的権利として仮差し押さえの対象から除外する根拠はない」とした。
DVの被害を受けた配偶者がシェルターなどに逃げ込んでいる場合に、残されたDV加害者が世帯主だった場合は、その者に家族全部の給付金が振り込まれることになる。これは不当だとして、色々対策が考えられたが、結局支給しないことはできず、いくつかの自治体でDV被害者に独自に給付金相当額を支給するということになっていた。
毎日jp:追跡・発掘:DV被害者に独自給付金 県内4市町が支給 /山梨
このため、県内では甲府、笛吹、甲斐、富士河口湖の4市町が自らの予算で手当を支給することを決めた。
笛吹市は住民登録なしに市内で生活するDV被害者に対し、2月1日以前に公的機関に被害を相談した証明があれば、定額給付金や子育て応援特別手当と同額を支給する。6月定例市議会でこの事業費88万円を含む補正予算案が可決されたことを受け、17日から申請を受け付けている。
こうしたやり方は、美しいが、暴力加害者に不当な利得を得させて税金で尻ぬぐいするという問題は残る。
そこで、被害者が慰藉料請求権を根拠に仮差押えするという挙に出たわけだが、DV被害者が仮差押えできるのであれば、他の債権者、金貸しなども(仮)差押えができるということになる。それはそれで、問題が生じるのである。でもまあ、定額給付金などはASOのばらまき行政で一場の夢に過ぎないのだから、どうなっても良いかもしれない。というか他の事例にどう波及するかなんて、考えるだけ馬鹿馬鹿しい。
DV被害者の生活支援に立ち戻ると、被害者に対する住居支援や生活保護費支給の迅速な実行はいうまでもないが、それでは十分でない。
DV被害者の慰藉料などの損害賠償請求権は、特段の保護が必要であるが、やたらと税金をつぎ込めばよいというものではない。そこで、DV被害者が加害者に対して有する損害賠償請求権を国や自治体が買い取って、国や自治体のイニシアティブで加害者から取り立ててはどうか?
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