jugement:「なりすましは名誉毀損」で発信者情報開示
すでに落合ブログでも紹介されているが、
福岡地判平成20年9月30日
インターネット掲示板で自分に成り済まして書き込みをされ名誉を傷つけられたとして、福岡市の女性がプロバイダー(接続業者)のソネットエンタテインメント(東京)に発信者情報の開示などを求めた訴訟の判決で、福岡地裁は30日、住所、氏名の開示を命じた。
報道されている内容は、自分の子供が有名私立に合格したとの書き込みを勝手にされたというもので、裁判所は「閲覧者に女性が信用性のない人物との印象を与え、社会的評価を低下させたことは明らかだ」と指摘、「プロバイダー責任法により、発信者情報の開示義務がある」となった。
これについては落合先生の見解が参考になるが、ここでは別の件。
ソネットが被告となっているので、当然東京かとおもいきや、原告住所地である福岡に継続し、判決がされている。
従来の見解では、被告住所地の普通裁判籍にしか管轄がなく、不法行為地や義務履行地としての原告住所地には管轄権がないとされていた。
ところが、福岡での訴えが移送もされずに判決されたということは、義務履行地管轄を認めたか、あるいは応訴管轄が生じたか。
いずれにしても、発信者情報開示請求訴訟の管轄が原告住所地にもありうるとなった先例として記憶されるべきであろう。
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コメント
この事件判決文は入手されたでしょうか?
なりすましの発信者情報開示は、本人でないことの証明しろと言われると大変難しい(立証責任転化説の問題でもありますが)ので非常に興味をもって見ています。
投稿: Toshimitsu Dan | 2008/10/21 08:57