US-SpamLaw:ヴァージニアのスパム規制法に州最高裁が違憲判決
asahi.com:米の迷惑メール防止法に違憲判決 「表現の自由侵す」
記事によると、ヘッダ情報を書き換えた迷惑メールを送信したノースカロライナ州在住の男に対し、ヴァージニアのスパム規制法に基づく有罪判決が下されたところ、その男が同州最高裁に上訴して、スパム規制法が連邦憲法に反するとの理由で破棄判決を得た。
判決原文(PDF)も参照。
この判決で注目されるのは、ルーティング情報などが電子メールの送信元を明らかにする手段として必要であることから、その偽造を禁止することは、連邦憲法第一修正で認められた表現の自由としての「匿名による表現行為、特に匿名による政治的・宗教的表現行為をする権利」を侵害するものだとして、例のマッキンタイヤVs.オハイオ選挙委員会事件,514 U.S. 334 (1995).を引用している点である。
日本では、そもそも表現の自由が匿名での表現行為も保障しているかどうかに議論の余地があるので、この判決そのままの論理は必ずしも成り立たない。また政治的・宗教的表現行為が匿名でなされることについて要保護性が高いことは、日本でも同様だと思われるが、だからといって、それがルーティング情報などを偽造した電子メールでなされることを保障するものかどうかも議論の余地がある。
ウェブページでの匿名表現は保護に値すると思われるが、電子メールは別だという論理も大いにあり得るところである。
いわば、公園で行われる集会の自由と公道を占拠して行われるデモ行進とでは、規制の方法も程度も違って然るべきで、表現の自由は同じでも、表現方法により他者の権利・利益との抵触の程度が違うのだから、憲法上の保障の範囲も違って然るべきなのである。
ということで、ヴァージニア州最高裁の判決は注目されるが、疑問は禁じ得ない。
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コメント
メールヘッダを偽造する匿名の卑怯者ということでしょう。スパムは、ほとんど営利的表現の自由が多いという点でもファクタが異なると思います。一方的に送りつけてくるインクルーシブ表現で、XXの騒音連呼と変わらないと言ったら(ry
投稿: ハスカップ | 2008/09/13 20:49