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事実関係はいまだ必ずしも明らかとはいえないが、要するに、夫が第三者提供卵子を用いて人工授精の上、代理母に出産させたが、その出産前に依頼主夫婦が離婚していたため、出生子と依頼主夫婦との養子縁組ができなくなったという。その上第２のニュースによれば、依頼主夫婦のうち妻は、代理母契約に同意していなかったというのである。

この場合、当面解決されるべき子供の養育義務を誰が負うのか？

　経済的にも、事実としても、依頼主の夫が負うのが当然だと思われるが、どうなのか？　仮に代理母契約が無効だとすると、遺伝的な父としての責任は負うのか？
　また、妻も、そもそも第三者提供卵子による出産であるから遺伝的つながりはないし、既に離婚した上、当初から同意していなかったのだとすれば、養育義務を負わないのが当然だと思われるが、仮に離婚していなかったどうか？　また離婚はしていても、当初は同意していたのだとするとどうか？　そして、第三者提供ではないとするとどうなのか？
　代理母自身も責任を負うことがあり得るのか？　仮に代理母が日本人だとすると、代理母と出生した子に親子関係が生じるというのが日本法・判例の立場のようなので、そうすると養育権・義務は当然に発生しそうである。

制度的に、こんな泥沼が起きるから代理母は刑罰をもって禁圧すべきであるという主張もある。

　しかし、たとえ禁止しても、合法とする国がある以上は、そこで実施する日本人が出てくることまでは止められない。代理母依頼者を処罰しても、その子供の存在までも否定することはできないし、そうなると上記のような子供に誰が責任を負うのかという問題はなくならないのである。
　代理母契約は公序良俗違反だから無効、従って子供の親は代理母以外にいないと頑張ることも、では子供はどうなるのかと問われると、子供の存在は無視できない。昨今の出生届を出さないままになっている子供に戸籍を認めるという動向を思い起こしても、子の福祉が優先されることはありうる。

そういうわけで、代理母禁止論というのは問題解決にならないのである。

ちなみに、昨日本屋で見つけた漫画「会いたかった・・・代理母出産への挑戦・・・」

折原みとが描く真実の感動ラブストーリーである。