東日本大震災:福島第1原発事故 除染土、不適正処理か
環境省、元請け調査へ
毎日新聞 2013年01月05日 東京朝刊
東京電力福島第1原発事故を受けて国が直轄で行っている除染で、
除去土壌や枝葉が川に捨てられるなど不適正に処理されているとの指摘があり、
環境省は4日、実態調査に乗り出した。
事実ならば、放射性物質汚染対処特別措置法に抵触する可能性がある。
指摘があったのは、福島県田村市、楢葉町、飯舘村の3市町村の除染現場。
環境省の除染ガイドラインでは、除染で発生した放射性廃棄物は
飛散防止のため、袋詰めなどの措置を取るよう求め、特措法で不法投棄を禁じている。
しかし、一部の請負業者が、落ち葉などを川や崖下に捨てた疑いがあるとの指摘があり、
環境省は来週中にも元請けゼネコンの現場責任者を環境省福島環境再生事務所(福島市)に呼び、
事実関係を確認することにした。
国は、旧警戒区域と旧計画的避難区域(11市町村)を除染特別地域に指定し、
直轄で除染を行うことになっている。
指摘のあった3市町村のほかに、川内村を加えた4市町村の除染作業を
ゼネコンの共同企業体(JV)に発注。本格的な除染作業が始まっている。
除染方法について、環境省は元請けゼネコンとの契約時に、
特措法や除染ガイドラインなどの規定に沿って実施するよう文書で求めている。
また、環境省は、再生事務所の職員に現場を巡回させ、
適正に行われているかをチェックしてきたとしている。
除染後の廃棄物などを不法投棄した場合、5年以下の懲役か1000万円以下の罰金が科される。
【藤野基文】
4日未明に朝日新聞が報じた直後に環境省は動きました。
メディアは簡単に政治を動かせるのだと強く感じた出来事でした。
http://www.asahi.com/national/update/0104/TKY201301040001.html?tr=pc
<取材動画よりその音声を文字起こし>
飯館村の郵便局近くの放射線量。
高圧水で除染している。
洗浄後の水は排水溝から川へ流れる。
放射線量は最大2.9マイクロシーベルト/hを記録。
除染に使った熊手やチリトリを川で洗浄。
元作業員に話を聞いた。
「ここから熊手でこうおろしてきて」
「おろしてきて川に流すんです」
「くまででこうやるみたいな感じですかね?」
「あのへんで班長が『早く流さんか』、ここら辺の川に来るとなんか胸が痛いですね」
「土のように濁るような感じで流したんで」
「ここに残っていた草木を全部監督が『上げるのがめんどくさいので捨てろ』という指示で
その周辺に作業員が投げ捨てました」
「本来なら袋に入れて、全部トムバックで」
「トムバックってあの黒い?」
「はい、汚染物として処理しなければいけないんですけど、面倒くさいし、時間もかかるし」
「こういう事は日常的に行われているんですか?」
「日常茶飯事です」
「地元の人がこれを知ったらどう思いますかね?」
「地元に人はこれは多分憤られると思いますね、
自分がその逆の立場だったら『ふざけんな!』ってなりますね」
ーーー
1月7日報道ステーション
放射性物質の除染作業に当たって、衝撃的な事実が明らかになってきています。
こちらの写真をご覧ください。
これは除染の作業員なんですけれども、分かりますでしょうか?
この足元の落ち葉をですね、足で川に向かって蹴り出しているんです。
この落ち葉は除染されるために汚染された落ち葉で、
それを川にそっくりそのまま流してしまっているんですね。
このようないわゆる手抜き除染、環境省は今日から実態調査に乗り出しました。
川に直接投棄
手抜き除染次々と・・・
50代の男性作業員は、去年秋、福島県田村市で除染作業に携わった。
除染作業に従事した男性(56)
(2012年)10月の半ばぐらいから、12月の20日ぐらいまで約2カ月間ですね。
“草刈り”の後にそれを集める“集積”ですね、
で、その後にそれを“運搬”する。そういう流れですね。
汚染されている草木ですね。
ま、それを一部川に流すとかですね、
一部ですけれども、そういう事をやったのは、まぁね、事実は事実ですね、はい。
また別の作業員は朝日新聞の取材に対し、現場で詳しいい状況を語った。
作業員:
あの辺で(班長さんが)「早く流さんか」と、
3分の1ぐらいで“土の色で濁る位”の感じの勢いで流した。
この作業員によると、手抜き除染が行われたのは去年11月中旬の頃、
場所は福島県田村市の山中だ。
汚染場所で回収した草木を現場責任者の指示でそのまま川に流したという。
さらに別の現場でも。
福島県楢葉町
作業員:
ここに残っていた草木を全部監督が、
「もう上げるのは面倒くさいので捨てろ」っていう指示で、
その周辺に作業員が投げ捨てました。
Q:こういう事は日常的に行われているんですか?
作業員:日常茶飯事です。
手抜き除染は不法投棄のみにとどまらなかった。
水による高圧洗浄や作業後の片づけでも行われていたのだ。
福島県内で行われてきた手抜き除染の実態。
この写真は田村市で撮影されたものだ。
汚染された落ち葉の塊を足で川に蹴り出す作業員。
この時は一度では落とせなかったため、落ち葉が川に流されるようになるまで何度も蹴っていた。
また、水による高圧洗浄作業でも、
飯館村の郵便局の駐車場を水で高圧洗浄する作業員。
環境省が設けた作業ルールでは、洗浄に使った水は回収することになっている。
しかし、この現場では水は垂れ流され、このまま側溝から川まで達していた。
手元の線量計の数値は一気に跳ね上がり、
最大で1時間当たり2.8マイクロシーベルトを示した。
作業に使った長靴やくまでの泥を川で洗う作業員の姿も。
この事実に今も仮設住宅の暮らすことを余儀なくされている住民は。
福島・田村市(午後6時過ぎ)
住民:
本当に意味が無くなっちゃうね、
除染する意味がないね、川に流されたら。
住民:
我々の期待を裏切ったというか、
安心した形ではやっぱり帰れるとは…言えないんじゃないかな。
福島第一原発の事故による土壌や建物などの汚染。
福島県内の11市町村にまたがる地域は、国が除染を進める特別除染地域になっている。
田村市内では今日も作業が行われた。
本来ならばこのように削り取った土は全て袋に入れて回収する。
福島・田村市(午後3時)
その後仮置き場に運び、汚染が広がらないよう管理しなければならない。
国が負担する除染費用はおよそ1兆700億円にのぼる巨額プロジェクトだ。
何故手抜き除染が横行しているのか?
実際に支持された作業員は現場でこう説明を受けた。
除染作業に従事した男性(56):
通常はきちっとやっていました。
ところが工期が迫ってくるに従ってですね、上の上とかですね、
「仕方がないんだ」と。
「もう間に合わない」
「やっちゃいけない事なんだけども致し方ない」と、こんな感じで(上から言われた)すね。
「こんなことやってお金をもらっていいのかなぁ」っていうふうにですね、思っていた。
この作業員を派遣した会社は5次下請けだった。
実際の除染作業には多くの下請け会社が入っている。
中には元請けの現場監督が指示していたケースもあるという。
手抜き除染の報道を受け、除染作業を管理する福島環境再生事務所は元請けのゼネコン責任者を呼び、
聞き取り調査を行った。
午後8時
福島県環境再生事務所 大村卓所長:
排水について回収できなかったという事例が2件ございました。
場所で言いますとですね、楢葉町の件と、飯館村の件が、えー、それはありました。
調査が不足しているというようなところについてはですね、
調査を指示をいたしました。
実は建物や道路から20m以内で除染を行う本格除染を始めた去年夏以降、
福島環境再生事務所には住民からの苦情が相次いでいた。
そういった声は何故生かされなかったのか?
Q:こういった除染作業についての苦情が実際あったみたいですが、それにどう対応したのか?
大村卓所長:
え、ま、今日のですね、このブリーフ(会見)についてはですね、
あのぉー、…えー、今日呼んだ、呼んでお話をさせていただいた事についての、
ま、ブリーフ(会見)という事なので、
え、あの、必ずしもそう網羅的にですね、
その苦情が、どういう苦情があってどう分析をしたという事は今はやってはおりません!
環境省は今日、「除染適正化推進本部」を設置した。
石原伸晃環境大臣:
不適切なものがあればですね、再発防止していかなければなりませんので、
来週中には省としてもですね、「適正化プログラム」みたいなものをしっかりと示せるように。
スタジオーー
古舘:本当に福島の人は、さらにショックですね、こういう事があると。
三浦:
そうですね。
住民の方にとっては元の生活に戻るための安全管理の話ですし、
これは税金を使っているわけですから、とんでもない事なんですよね。
で、除染というのは残念ながらまだ時間がかかりそうで、
今は住居周辺をやっていますけれども、
ならば今やはりきちっとしたね、管理、監視体制をね、作らないといけないですよね。
で、まァ、私たちはずっと今日経済の話をしてきましたけれども、
株価はアベノミクスの期待で震災前に戻ったと。
しかし今現場で暮らしている方の暮らしがどうかというと、そう簡単にはいかない訳ですよね。
大変なことは今も続いています。
さらにいうと除染というのは、やっぱりこれからね、どこまでやるのか?と。
コストもリスクも含めて、難しい問題で、住民にもいろんな意見があるんですね。
そういう大事な議論をしなければいけない時ですから、
やっぱり除染が手抜きであればね、そういう前提が全部狂ってしまう訳なんですよ。
そこはきっちりと監視してやるような体制をつくって欲しいですね。
古舘:
「山の除染をどうするか」ある意味正直に訴えかける事も勇気をもって必要でしょうし、
そして山から雨や風などによって流れてくるものに対して、ふもと方向に広がっている町に関しては、
「どこまで徹底してやれるか」という問題もあるでしょうし、
こういう事が怒ると必ず、下請け孫請けひ孫請け、
そういう小さいところがやり玉にあがって、上はすりぬけていくっていうケースがあるんで、
許される事じゃないんですね。
三浦:そうですね、お金出して業者任せじゃダメなんですね。
古舘:丸投げはダメですね。
ーーー
最後に古舘さんも言っていたけれど、除染作業も原発作業員と同じ構造で、
1次2次3次・・・・と、下へ行けばいくほど日当は安くなり、待遇も悪くなるんだろうなと思います。
こういう構造自体をまず変えていかなければ、責任を持った仕事という事は望めないのではないか?
また、福島県環境再生事務所 大村卓所長は
「排水について回収できなかったという事例が2件ございました」
と、彼曰くブリーフの中でおっしゃっていますが、
この2件は証拠を握られている2件だけなのでは?と思います。
「環境省が設けた作業ルールでは、洗浄に使った水は回収することになっている」ということですが、
高圧洗浄で洗い流した水を回収している現場を
動画やニュースなどの映像で私は今まで見た事がありません。
本当に、水の回収という事は可能なのでしょうか?
作業ルールを守ってやっている場所はあるんでしょうか?
高圧洗浄の場合は殆どが排水溝から川へそのまま流れて行っているのだろうという事は、
最初から誰もが思っていた事なのだと思います。
アベノミクス(この言葉大嫌い)で、「景気が良くなる」「株価が上がった」と、
どのテレビ局もとても嬉しそうです。
安倍総理の話を聞いていると、これからの兆単位の予算はゼネコン関係にながれ、
何十年も昔の状態に戻ったような気がします。
ゼネコンにお金が流れれば、貧富の差はますます大きくなると私は思います。
そして除染作業員の実態についてですが、
7日未明に福島県川内村・除染作業員の宿舎で火事がありました。
16歳の青年が除染作業をしているようですが・・・これって、法的にいいのでしょうか?
続きを読むに火事の記事と7日朝のモーニングバード
除染作業員の宿舎で火事 3人けが
NHK 1月7日 19時4分
7日未明、福島県川内村で、
放射性物質の除染作業などにあたる作業員の2階建ての宿舎が全焼し、男性3人が骨折などのけがをした火事で、
火元は1階の倉庫と分かり警察と消防が火事の原因をさらに詳しく調べています。
7日午前1時40分ごろ福島県川内村上川内にある除染作業などに当たる作業員の宿舎から火が出て、
木造2階建ての建物、およそ950平方メートルが全焼しました。
警察や消防によりますと出火当時、宿舎には作業員の男性7人がいて全員が逃げましたが
その際、2階から飛び降りて3人がけがをし、
このうち43歳の男性と16歳の少年が手や足の骨を折る重傷です。
警察と消防が火事の原因を調べていますが、
現場検証の結果、火元は宿舎1階の倉庫だったことが分かりました。
警察などは、倉庫に火の気があったかどうかなど火事の原因をさらに詳しく調べています。
川内村によりますと、全焼した宿舎は縫製会社の建物として昭和58年に建てられ、
震災時には使われていなかったため、
除染作業などを進めている新潟県の会社が作業員の宿舎として去年の5月ごろから使っていたということです。
ーーー
この焼け残った柱?を見ると、想像するに、とても寒そうな簡単に燃えそうな建物に感じます。
1月7日(月曜日)のモーニングバードでは、「手抜き除染」に関して独自の取材をして放送していました。
国が直轄で除染を行う地域ではなく、
「田村市が行う除染作業にも手抜き作業が行われていた」ということを独自調査をしています。
こちらの内容も見ると唖然とする事ばかりです。
“手抜き除染”横行 カメラが見た実態 投稿者 tvpickup
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コメント
郡山市内の某教育関係機関で働いてました。一昨年の秋に敷地内を保護者と教員で除染しましたが、高圧洗浄機で吹き飛ばした汚泥も汚水も、そのまま垂れ流しでしたよ。側溝に溜まった高線量の汚泥はその後、あろうことか歩道沿いに埋められてました。
まあ、この程度のことは日常茶飯事に行われています。特段驚くようなことではないですね。
まあ、この程度のことは日常茶飯事に行われています。特段驚くようなことではないですね。
| 2013.01.08 23:25 | 編集