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10.18
Sun
まだ10年も経っていないのに・・・とうとう・・トリチウム汚染水を・・・

トリチウムは放射性物質です。 放射線を出しながら、その量が減っていき、もとの量の半分になるまで にかかる時間(半減期)は約 12 年です。(12年経ってもたったの半分になるだけです><;)


トリチウムなど含む水 “海洋放出が前提” 国の地元への説明で
NHK 2020年10月16日 20時32分

東京電力 福島第一原子力発電所で増え続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水について、国は15日、福島県内の自治体を訪れ、風評対策を含めた処分方法の説明をしていたことがわかりました。地元の複数の関係者によりますと、海洋への放出が前提での説明だったということです。

福島第一原発では、汚染水を処理したあとに残るトリチウムなどの放射性物質を含む水が、およそ123万トンに上り、経済産業省の小委員会はことし2月、基準以下の濃度に薄めるなどしたうえで、海か大気中に放出する方法が現実的だとする報告書をまとめています。

これに関して経済産業省は15日、福島第一原発が立地する福島県の双葉町や大熊町などに、この水の処分について状況を説明したということです。

地元の複数の関係者によりますと、説明は海洋放出を前提としたもので、トリチウムを薄める濃度や風評被害を抑えるため、官民が参加する会議を早急に設置して、具体的な風評対策を検討することなどが示されました。

国が最終的な方針決定に向けて、これまでに7回開催してきた地元や関係団体から意見を聞く会では、海洋放出に慎重な意見が多く出されていましたが、今後、国は海洋放出の実施を軸に最終的な調整を進めるものと見られます。

福島 いわきの漁業者は…
トリチウムなどを含む水の海洋放出を前提とした説明が行われていたことが明らかになったことについて、漁業者の間では新たな風評が生じることへの懸念が広がっています。

震災のあと、3年前に漁師になったいわき市の佐藤文紀さん(30)は、祖父の代から続く漁師一家の3代目です。

現在は、試験的な漁の中で小型船に乗り、沿岸の魚や貝などの漁を手がけています。

佐藤さんは「原発事故のあと、漁の状況が徐々によくなってきていて、魚の価格も上がっているところだった」としたうえで、「海洋放出ということになれば、また風評が広まって福島の魚は避けようという人が増えてしまうのが心配です。私たちの世代やその次の世代も漁を続けられるような方法を考えてほしい」と話していました。
意見を聞く会 7回にわたり開催
福島第一原子力発電所にたまり続けるトリチウムなどを含む水の処分をめぐり、政府は方針の決定に向けてことし4月から7回にわたって地元自治体や農林水産業者、それに全国の関係団体などから意見を聞く会を開いてきました。

この中では、海や大気への放出を支持する意見もあった一方、風評被害を懸念する漁業関係者や地元住民などから海への放出に反対や慎重な意見も多く出され、このうち、全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は「わが国漁業の将来にとって壊滅的な影響を与えかねない海洋放出は絶対反対である」と述べ、慎重な判断を求めていました。

また、敷地外での保管やコンクリートで固める案など、海か大気に放出する以外の選択肢について、しっかり検討されたか疑問だといった意見も出されていました。

このほか、具体的な風評被害対策を示すよう求める意見や、トリチウムの科学的性質や海外での処分状況などについて、国民の理解が進んでいないといった指摘もありました。
これまでの経緯
福島第一原子力発電所の汚染水を処理したあとには、除去しきれないトリチウムなどの放射性物質を含んだ水が残り、これをどう処分するかについて国は、2013年から7年にわたって検討を続けてきました。

まず、専門家チームによる処分方法の技術的な検討を2年半にわたって行ったあと、社会学者や風評の専門家などを交えた経済産業省の小委員会が、総合的な検討を3年余りかけて行い、おおむね6つの方法について議論を交わしました。

そして、経済産業省の小委員会はことし2月基準以下に薄めるなどして、海に放出する方法と、蒸発させて大気中に放出する方法が前例もあって現実的だとしたうえで、海の方が確実に実施できるとする報告書をまとめました。
その後、政府は、ことし4月から7回にわたって地元自治体や農林水産業者、それに全国の関係団体などから意見を聞く会を開いてきました。

この中では、漁業関係者や地元住民などから風評被害を懸念して海への放出に反対や慎重な意見が出されたほか、具体的な風評被害対策を示すよう求める声や、国民の理解が進んでいないなどの指摘が出されました。
一方で、東京電力は現行の計画では、2022年の夏ごろには敷地内のタンクが満杯になるとの見通しを示していて、福島第一原発が立地する大熊町や双葉町からは、この問題が帰還の妨げになっているとして政府に対し、対応策を早急に決定するよう要望が出されていました。

政府は、こうした意見を検討したうえで、トリチウムを含んだ水の処分の方法について、早期に方針を決める考えを示していました。
トリチウムとは
トリチウムは日本語では「三重水素」と呼ばれる放射性物質で、水素の仲間です。

宇宙から飛んでくる宇宙線などによって自然界でも生成されるため、大気中の水蒸気や雨水、海水、それに水道水にも含まれ、私たちの体内にも微量のトリチウムが存在しています。

トリチウムは、通常の原子力施設でも発生し、各国の基準に基づいて、薄めて海や大気などに放出されています。

水素の仲間で、水の一部として存在するため、水から分離して取り除くのが難しいのが特徴で、福島第一原発の汚染水から多くの放射性物質を除去する装置を使っても取り除くことができません。

国内の原発では、1リットル当たり6万ベクレルという基準以下であることを確認したうえで海に放出していて、海外でも各国で基準を定めて放出しています。

トリチウムが出す放射線はエネルギーが弱く、空気中ではおよそ5ミリしか進みません。

このため、人体への影響は外部からのものよりも体内に取り込んだときのリスクを考慮すべきとされています。

国の小委員会は、体内で一部のトリチウムがタンパク質などの有機物と結合し、濃縮するのではないかといった指摘があることについては、体はDNAを修復する機能を備えていて、動物実験や疫学研究からは、トリチウムが他の放射性物質に比べて、健康影響が大きいという事実は、認められなかったと結論づけています。

またマウスの発がん実験でも、自然界の発生頻度と同程度で原子力発電所周辺でもトリチウムが原因と見られる影響の例は見つかっていないとしています。
専門家「人体への影響 濃度の大小がポイント」
放射性物質の性質に詳しく、国の小委員会の委員をつとめた茨城大学の田内広教授は、人体への影響を考える際、濃度の大小がポイントだと指摘します。

そのうえで田内教授は、「トリチウムが体内に取り込まれてDNAを傷つけるというメカニズムは確かにあるが、DNAには修復する機能があり、紫外線やストレスなどでも壊れては修復しているのが日常。実験で、細胞への影響を見ているが基準以下の低濃度では細胞への影響はこれまで確認されていない」と話していて、低い濃度を適切に管理できていればリスクは低いとしています。
新地町の漁師「議論不足で時期尚早」
福島県新地町の漁師、小野春雄さん(68)は、おととし開かれた国の有識者会議の公聴会に参加し、トリチウムを含む水の海洋放出に反対の声を上げていました。

その後も、漁業関係者などから反対の意見が相次いで上がっているなか、国が海洋放出を前提とした説明をしていることが明らかになったことについて、議論が不足しているのではないかと、疑問と憤りを感じています。

小野さんは「全国的に海洋放出に反対の声が多くあがっているなか、風評対策などの議論も全くしないまま、海洋放出の方針で調整を進めている政府の姿勢は全く理解できない。議論不足で時期尚早だ。これまで漁業者は、9年半以上にわたって努力を積み上げ、ようやく来年4月には本格操業に向かいましょうという話も出てきた。その努力を裏切ろうとしている政府の姿勢には怒りがおさまらない」と話していました




テレビではトリチウムの危険性について具体的な発言は見られません。
しかし、福島原発事故以前にはトリチウムが人体に及ぼす影響について色々な研究がされていました。

トリチウム汚染水を海に流して本当に大丈夫なのでしょうか?
以下↓にトリチウム関連のブログをご紹介します。

ートリチウムが人体に与える影響 放医研実験結果などー

トリチウムの危険性について原子力推進サイトが記載していた

トリチウム海洋放出か!?〜生命体へのトリチウムの影響〜4/20原子力規制委員会文字起こし

トリチウムによる染色体異常~ヒト培養リンパ球での実験結果~

<両棲類と哺乳類のトリチウム取り込み比較>「トリチウム水投与後10日目では脂肪組織に最も多く、 次いで脳、睾丸、肝の順」放射線医学総合研究(内容書き出し)

トリチウム水の魚卵発生に及ぼす影響~「孵化稚魚の眼径は有意に小さい」放射線医学総合研究所資料集(書き出し)

<トリチウムの動向ー動物系>数時間で全身にほぼ一様に拡散分布 /脂肪組織、脳、筋肉に高いトリチウム残留(放射線医学総合研究所資料集書き出し)

<トリチウムの動向ー植物>部位によるトリチウ摂取量の違い/トリチウム水蒸気の葉からの取り込み(放射線医学総合研究所資料集書き出し)

フクシマ原発からの放射能漏洩はトテツモナイ量に! 全く報道されない「トリチウム」の危険性(ダイヤモンド社より)

<福島第一原発>タンクに入っている地上の汚染水〜トリチウムの処分方法「薄めて海洋へ放出or地下深くに注入して地下水として」2015年4/13 NHKラジオ 後半(文字起こし)

トリチウム関係ブログまとめ


comment 1
09.05
Mon

ATOMICA トリチウムの生物影響
<更新年月> 2000年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<概要>
 将来のエネルギー源として計画が進められている核融合(炉)にかかわる環境・生物影響、とくにトリチウムの人体への影響が注目されるトリチウムはトリチウム水(HTO)の形で環境に放出され人体にはきわめて吸収されやすい。また、有機結合型トリチウム(OBT)はトリチウムとは異なった挙動をとることが知られている。動物実験で造血組織を中心に障害を生ずることが明らかにされ、ヒトが長期間摂取した重大事故も発生している。

<本文>
 トリチウムは水素の同位体で、最大エネルギー18.6keVで平均エネルギー5.7keVという非常に低いエネルギーのβ線を放出し物理的半減期は12年である。

大気上層中で宇宙線中の中性子と窒素原子核との衝突によって生成する天然トリチウムが自然界の水循環系に取り組まれているとともに、核実験や原子力施設などから主としてトリチウム水(HTO)の形で環境に放出され、生物体へは比較的簡単に取り込まれる。

ヒトの体重の60~70%は水分で、個人差はあるが、女性よりも男性、老人よりも若者、太った人よりも痩せた人の方が含水量が多い傾向にある。

表1
表1

表1は国際放射線防護委員会(ICRP)がトリチウムの被ばく線量計算のために水分含有量を推定したもので、“体重70kgのヒトの60%(42kg)が水分である”と仮定している。
このうちの56%は細胞内液、20%は間質リンパ球、7%が血しょう中に、残りは細胞外液として存在するものとしている。

飲料水や食物から摂取されたトリチウム水は胃腸管からほぼ完全に吸収される
トリチウム水蒸気を含む空気を呼吸することによって肺に取り込まれ、そのほとんどは血液中に入る
血中のトリチウムは細胞に移行し、24時間以内に体液中にほぼ均等に分布する。

また、トリチウムは皮膚からも吸収される

最近問題になっているのは有機成分として取り込まれた場合の有機結合型のトリチウム(OBT:Organically Bound Tritium)で、一般に排泄が遅く、体内に長く留まる傾向がある

トリチウムは水素と同じ化学的性質を持つため生物体内での主要な化合物である蛋白質、糖、脂肪などの有機物にも結合する。
経口摂取したトリチウム水の生物学的半減期が約10日であるのに対し、有機結合型トリチウムのそれは約30日~45日滞留するとされている。


 トリチウムのβ線による外部被ばくの影響は無視できるが、ヒトに障害が起きるのはトリチウムを体内に取り込んだ場合である。ヒトの場合にはこのような事故例は少ないので、主として動物実験から被ばく量と障害の関係が推定されている。

 放射線の生物学的効果を表す指標をRBE(Relative Biological Effectiveness,生物学的効果比)というが、いろいろな生物学的指標についてのトリチウムβ線のRBEは表2のように示される。基準放射線をγ線とした場合のRBEは1を超える報告が多い。

表2
表2

 血球には赤血球、白血球(好中球、単球、マクロファージ、好酸球、リンパ球など)、血小板がある。
これらはすべて骨髄の造血細胞から作られ、それぞれ機能が異なる。
ヒトの末梢血液をin vitro(生体外)で照射してTリンパの急性障害をしらべた結果、トリチウムの細胞致死効果はγ線より高く、また放射線感受性はいずれの血液細胞もマウスよりヒトの方が高いことが明らかにされている。

 トリチウム被ばくの場合、幹細胞レベルでは変化があっても通常の血液像の変化は小さい。したがって急性障害のモニタリングには幹細胞チェックが重要である。
 トリチウム水を一時に多量摂取することは現実的にはあり得ないが、低濃度のトリチウム水による長期間被ばくの場合を考えねばならない。

 実際に、トリチウムをヒトが長期間摂取した被ばく事故例が1960年代にヨーロッパで起きている。
トリチウムは夜光剤として夜光時計の文字盤に使用されているが、これを製造する二つの施設で事故が発生している。

一つは、トリチウムを7.4年にわたって被ばくした例で280テラベクレル(TBq)のトリチウムと接触し、相当量のトリチウムを体内に取り込んだ事例である。
尿中のトリチウム量から被ばく線量は3~6Svと推定されている。
症状としては全身倦怠、悪心、その後白血球減少、血小板減少が起こり、汎血球減少症が原因で死亡している(表3)。

表3
表3

 もう一つの例も似たような症状の経過をたどり汎血球減少症が原因で死亡している。
臓器中のトリチウム量が体液中よりも6~12倍も高く、体内でトリチウムが有機結合型として存在しているものと推定されている。

 発電所および核燃料再処理施設の稼働によりトリチウムも放出されるが、ブルックヘブン・トリチウム毒性プログラムは低濃度トリチウム水に長期間被ばくする場合の健康影響について示唆を与えてくれる(表4)。

表4
表4

 夜光剤を扱う施設ではラジウムペインターの骨肉腫がよく知られているが、トリチウムの場合はラジウムの場合と明らかに異なることは注目される。
 トリチウムによる発がんに関する報告は多くはないが、X線やγ線との比較によるRBEが求められている(表5)。

表5
表5

これらは動物での発がん実験や培養細胞がん化実験の結果で、トリチウムRBEは1~2の範囲である。
 このほか、遺伝的影響を調べるために染色体異常の誘発、DNA損傷と修復などの細胞生物学的研究や、発生時期、すなわち胞子発生期、器官形成期、胎児期あるいは器官形成期における放射線感受性の研究も行われている。




ATOMICA トリチウムの環境中での挙動
<更新年月> 2004年08月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<概要>
 宇宙線の作用や核実験によって生成された大気中のトリチウムは、降雨などによって地上付近に移行し、空気、水および生体中等に広く分布している。現在わが国(日本)の降水中トリチウム濃度は、ほぼ大気圏内核実験が施行される以前のレベルに戻っているが、大陸性気団に覆われたときにトリチウム濃度の高い雨が降ることがある。一方、大気中トリチウム濃度も減少しているが、降水中トリチウム濃度ほど減少していない。核施設から大気圏または水圏に放出されたトリチウムは、他の放射性核種と同様に大気や水の流れに従って移流と拡散をする。大気中へ放出されたトリチウムは、大気から土壌への沈着、土壌から大気への再放出、土壌中移行、植物への取り込み等の挙動をするが、その特徴は移行速度が比較的速いことである。植物などの生体中では、組織と結合した有機結合型トリチウムが生成される

<本文>
 トリチウムの環境中挙動は、
(1)地球規模での挙動と
(2)局所的に放出された場合の挙動の二つに分けて考える必要がある。

(1)は、天然起源あるいは核実験起源のトリチウムの挙動調査や地球規模での長期間の被ばく線量評価の際に、
(2)は、施設の影響評価等の際に重要となる。

 トリチウムは低エネルギーβ線放出核種(最大エネルギー18.6keV、半減期12.33年)であるため、人への影響を考える場合は体内摂取、すなわち内部被ばくのみを考慮すればよい。

国際放射線防護委員会(ICRP)が提示しているトリチウムの化学形別および年齢別の線量係数(Sv/Bq)、すなわち単位摂取放射能当たりの実効線量を表1に示す。

表1
表1

これによると、吸入および経口摂取のいずれの場合もトリチウム水(HTO)の線量係数は、トリチウムガス(HT)の10000倍となっている。
また、植物等の組織と結合した有機結合型トリチウム(OBT)の線量係数はトリチウム水(HTO)の約2.3倍である。したがって、トリチウムによる被ばく線量を評価する場合にはその化学形も十分考慮する必要がある。

1.地球規模でのトリチウム挙動
 トリチウムは自然界において常に生成されている。その主な生成場所は大気である。トリチウムは、大気上層において宇宙線の陽子や中性子と大気を構成している窒素や酸素との核反応により生成される。この天然起源のトリチウムは、地球全体では生成と壊変が平衡した状態にあり、その存在量は約1.0~1.3EBq(エクサベクレル)(1EBq=1018Bq)と原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が推定している。

地球環境中トリチウムの最大の発生源は、大気圏内核実験、特に1954年以降の水爆実験である。
1963年の大気圏内核実験停止条約締結までに天然起源の200倍程度のトリチウムが放出されたと推定され、その結果として環境中トリチウムレベルは大きく増加した。
1963年以降は核実験起源の大気中トリチウムは物理的崩壊および海水中への移行により、減少傾向を示している。
しかし、海洋との接触が少ない大陸では核実験起源のトリチウムがまだ残っている。

 これらのトリチウムは大気の循環や降雨によって地上付近に移動し、空気、環境水(河川水、地下水、海水等)、植物や動物の生体中等に広く分布している。
わが国において核実験開始前に測定された降水中トリチウム濃度は0.77Bq/lであったが、1960年代の初めには12~180Bq/lまで増加した。
その後、減少し始め、現在はほぼ核実験前のレベルに戻りつつある。

降水中トリチウムレベルが高かった頃には、わが国をはじめ、北半球の各地では降水中トリチウム濃度が春から夏にかけて高くなる現象が見られた。しかし、現在は降水中トリチウム濃度が低いため、季節によるはっきりとしたピークは見られない。むしろ大陸性気団に覆われたときにトリチウム濃度の高い雨が降ることなどが観測されている。

 環境中トリチウム濃度を地域的に見ると、両極から赤道に向かって指数関数的に減少する緯度依存性があることが知られている。これは大気上層でのトリチウム生成率が極地方で大きいことと、成層圏から対流圏へのトリチウムの移行は極地ほど大きく、そして赤道付近では蒸発による希釈が働くためと考えられている。

 大気中でのトリチウムの化学形は、水素ガス状(トリチウムガスHT)、水蒸気状(トリチウム水HTO)、炭化水素状(主にトリチウム化メタンCH3T)等である。
地上付近で測定された大気1m3当たりの各トリチウム濃度の経年変化を図1に示す。

図1
図1

1970年頃にわが国で測定されたトリチウム水濃度は約70mBq/m3であったが、1990年に入ると年平均値は20mBq/m3程度であり、大気中トリチウム水濃度は、降水中トリチウム濃度ほど大きな濃度減少を示していない
これは、雨は大気上層のトリチウムの影響(核実験により成層圏に注入されたトリチウムの対流圏への降下)を大きく受けたのに対し、地表面付近の水蒸気は土壌や植物による地下水の蒸散や表面海水との交換の影響を受けるためと考えられる。
最近の大気中のトリチウム濃度は20mBq/m3程度で変わらないが、環境中の放射能として測定されており、2002年までの全国の環境中トリチウム濃度が文部科学省の環境放射能データベースに記載されている(文献12)。

降水および河川水中のトリチウム濃度の経年変化を図2に示す。

図2
図2

 トリチウム水濃度は、水蒸気量とその比放射能(Bq/l)で決まるため、季節変化を示し、わが国では夏の多湿期は冬の乾燥期より4倍程度高くなる。

2.局所的に放出されたトリチウム挙動
 原子力施設から大気圏または水圏に放出されたトリチウムは、他の放射性核種と同様に大気や水の流れに従って移行および拡散をする。
大気中へ放出されたトリチウムに特徴的な環境中移行は、大気から土壌への沈着、土壌から大気への再放出、土壌中移行、植物への取り込み等である。これらの移行は比較的速いため、事故時のように短時間に放出された場合の解析にはこれらの移行を動的に扱う必要がある。一方、平常運転時のように一定のレベルで放出される場合は平衡状態を仮定することも可能である。環境中でのトリチウムの移行挙動を解析するための計算コード”TRIDOSEE”では、施設から大気中へ放出されたトリチウムについて、推量される放出点から人体への移行経路は図3のように考慮されている。海洋等の水圏へ放出されるトリチウムは、ほとんどトリチウム水であるため水とまったく同じ挙動をする。

図3
図3

 原子力施設から大気へ放出されるトリチウムの化学形は、主にトリチウムガス(HT)とトリチウム水蒸気(HTO)である。大気中での拡散の仕方はトリチウムの化学形には依存せず同じである。しかし、土壌への沈着、植物への取り込み等は化学形によって異なる。また、環境中では種々の要因によりトリチウムの化学形が変化することが知られている。

2.1 沈着
 大気拡散中に土壌に接触したトリチウムの一部は沈着するが、その機構はトリチウム水とトリチウムガスでは異なる。
トリチウム水の沈着機構には、降雨による降水沈着と降雨のない場合の乾燥沈着が考えられる。降水沈着の程度は降水強度に依存する。降水量が多い場合は沈着したトリチウムは土壌への浸透や表面流出によりさらに移動する。トリチウム水の乾燥沈着は、主に地表面における大気中トリチウム水と土壌水との交換反応および凝結によって起こる。凝結は大気中水分量が多く、適当な微風が吹く夜間に起こりやすい。交換反応による乾燥沈着は大気と土壌空隙中のトリチウム水濃度差が駆動力であるため、大気中濃度が土壌中濃度よりも高ければいつでも起こり得る。

 一方、トリチウムガスの土壌沈着は、土壌に接触したトリチウムガスが水素酸化能を有する土壌中微生物によりトリチウム水へ酸化されることによって起こる。沈着したトリチウム水は土壌水と同様な振る舞いをする。これらのトリチウムガスの環境中挙動は室内実験およびフランスやカナダで行われたトリチウムガス野外放出実験によって詳細に調べられている。トリチウム水の線量係数はトリチウムガスに比べて10000倍大きいため、トリチウムガスの大気放出時の被ばく線量は実質上土壌への沈着挙動によって支配される。なお、トリチウムガスの降水沈着は無視できる程度である。

2.2 再放出
 土壌表面層に沈着したトリチウム水は、再び大気中へ放出される。この放出挙動は大気中水分と土壌中トリチウム水との交換反応、蒸発および植物を経由した蒸散によって引き起こされる。このような移行挙動は再放出と呼ばれる
再放出の程度は気象条件、土壌条件、植生に依存する。なお、トリチウムガス放出の場合でも前述のようにトリチウム水へ酸化されるので、沈着後大気へ移行するのはトリチウム水である。大気中水分と土壌中トリチウム水の交換反応および蒸発は、それぞれ、乾燥沈着で述べた交換反応および凝結と逆向きの作用である。

2.3 蒸散
 トリチウム水の植物への移行は、大気中トリチウム水が葉の気孔を介して取り込まれる場合と土壌中トリチウム水が経根吸収により取り込まれる場合がある。
これらの取り込み速度は植物の種類や取り込まれる部位、気象条件等によって異なる。取り込まれたトリチウム水は蒸散により再び大気中へ放出される。葉の場合、大気中トリチウム水濃度は数時間後までにはほぼ平衡状態になる。なお、植物へのトリチウムガスの取り込みは無視できる程度である。
植物中に取り込まれたトリチウム水は、光合成により有機化されると、葉、実および根などの組織中に蓄積される。このように組織と結合したトリチウムは有機結合型トリチウム(OBT:Organically Bound Tritium)と呼ばれる。光合成による有機結合型トリチウムの生成は、植物の種類や成長の段階によって異なる。有機結合型トリチウムには、組織内に存在する自由水(組織自由水)と容易に交換可能な交換型トリチウムと有機物の炭素と強く結合している非交換型トリチウムの2種類がある。

2.4 生物濃縮
 トリチウムの動植物による生物濃縮の可能性、すなわち有機結合型トリチウムの比放射能が同じ生体中の組織自由水中トリチウムの比放射能より高くなる可能性に関しては、トリチウム濃度を注意深く制御した室内実験では観測されておらず、トリチウムの生物濃縮はないことが確認されている。
しかし、実験によっては見かけ上、生物濃縮が見られる場合があった。
この原因として、環境中トリチウムの変動により過去の高濃度時に生成された有機結合型トリチウム濃度と、測定時の組織自由水中トリチウム濃度との間に差が生じたことなどが考えられている。
 なお、一般環境での降水中のトリチウム濃度は、原子力安全研究関係者ばかりでなく、フォールアウトトリチウムを利用した地下水や河川水の水理情報解析のために、土木工学関係者からの問い合わせが多く、そのため需要に応えられるような形式で、整備していく必要がある。




わが国において核実験開始前に測定された降水中トリチウム濃度は0.77Bq/lであったが、1960年代の初めには12~180Bq/lまで増加した。

福島第一原発から未だトリチウムが放出されている。
いったい今現在はどのくらいの降水中トリチウム濃度があるのか?
調べているのだろうか?
知りたい。

文部科学省の環境放射能データベースで検索

調査対象 放射能測定調査(放射能水準調査)  放射能調査(海上保安庁)  放射能調査(水産庁)  放射能調査(気象庁)  放射能調査(防衛省)  食品試料の放射能水準調査  ラドン濃度測定調査  久米島環境調査 
 調査年度 2002年度~2016年度
 調査地域 全国
 調査試料 降下物  全て
 調査核種 H-3 



全国で調べたが、千葉県稲毛区のみ降下物でトリチウムの数値が出てきた。
トリチウム1
   ・
   ・
   ・
トリチウム2


原発事故前と事故後でどのくらいトリチウムの量に変化があるのか?






調査対象 放射能測定調査(放射能水準調査)  放射能調査(海上保安庁)  放射能調査(水産庁)  放射能調査(気象庁)  放射能調査(防衛省)  食品試料の放射能水準調査  ラドン濃度測定調査  久米島環境調査  原子力施設周辺環境放射線モニタリング調査  海洋放射能調査 
 調査年度 2008年度~2016年度
 調査地域 全国
 調査試料 大気浮遊じん・大気  全て
 調査核種 H-3 続きを読む
comment 0
04.26
Tue
原子力規制委員会 定例記者会見(平成28年04月20日)
トリチウムの海洋放出
https://youtu.be/WnvAFvjxtw4?t=34m48s
朝日新聞;
それから、昨日経済産業省のトリチウム水タスクフォースの方で、まだ最終報告は先なんですけれども、一応そのトリチウムの分離記述が実証試験結果で極めて困難だということと、5つの案の中では海洋放出が比較的期間が短く費用も安くできるという検討結果が示されたんですけれども。
これに対してのお受け止めがあればお願いいたします。

4029
田中俊一委員長:
まぁ、受け止めですか。
ごく当たり前のことに落ち着いたと思うんで。
ま、5つの案に対して私は、安全上の問題の評価を是非してほしいと思いますけれども。
あのー、私どもとして「5つの案どれでも大丈夫です」とは申し上げられませんね。
そういう感じ、そういう印象です。


5つの案↓
地層注入、海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設


福島・汚染水
海洋放出が最も短期間で低コスト

毎日新聞2016年4月19日 06時30分(最終更新 4月19日 09時27分)

毎日新聞
汚染水の貯蔵タンクが並ぶ東京電力福島第1原発=本社ヘリから喜屋武真之介撮影

 東京電力福島第1原発事故の放射性汚染水問題について、浄化処理で取り除けない放射性トリチウム(三重水素)の処分方法を検討している経済産業省が、海へ流すことが最も短期間で低コストで処分できるとの試算結果をまとめたことが分かった。19日開催の専門家部会で提示する。同部会は処分方法の決定は見送る方針だが、試算結果が国や東電の判断に影響を与える可能性がある。

 同省は、海洋放出のほか、(1)地下に埋設する(2)水蒸気化する(3)水素ガスに還元して大気放出する−−など五つの処分方法を検討。それぞれについて、トリチウムを含む水の総量を80万トン、1日の処分量を400トンなどと仮定し、処分期間やコストを計算、比較した。

 試算結果はトリチウム濃度によって変動するが、海洋放出は最長7〜8年で処理することができ、最大でも35億〜45億円程度のコストで、五つの中でも最も低かった。一方、地下埋設は最長76年の管理が必要で、コストも高かった。

 汚染水は、汚染水を処理する多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で62種類の放射性物質が除去されるが、トリチウムだけは取り除けない。トリチウムを含む汚染水は敷地内のタンクに貯蔵されて日々増え続けており、同部会で処分方法を検討してきた。【岡田英】





地球環境と生命体への影響を考えればコスト(金)の問題ではないと思うのだけど。
日本では、福島第一原発事故前にはトリチウムが及ぼす健康被害に関しての研究もされていました。


トリチウムが人体に与える影響 放医研実験結果など

トリチウムによる染色体異常~ヒト培養リンパ球での実験結果~

<両棲類と哺乳類のトリチウム取り込み比較>「トリチウム水投与後10日目では脂肪組織に最も多く、 次いで脳、睾丸、肝の順」放射線医学総合研究(内容書き出し)

トリチウム水の魚卵発生に及ぼす影響~「孵化稚魚の眼径は有意に小さい」放射線医学総合研究所資料集(書き出し)

<トリチウムの動向ー動物系>数時間で全身にほぼ一様に拡散分布 /脂肪組織、脳、筋肉に高いトリチウム残留(放射線医学総合研究所資料集書き出し)

<トリチウムの動向ー植物>部位によるトリチウ摂取量の違い/トリチウム水蒸気の葉からの取り込み(放射線医学総合研究所資料集書き出し)

フクシマ原発からの放射能漏洩はトテツモナイ量に! 全く報道されない「トリチウム」の危険性(ダイヤモンド社より)

<福島第一原発>タンクに入っている地上の汚染水〜トリチウムの処分方法「薄めて海洋へ放出or地下深くに注入して地下水として」2015年4/13 NHKラジオ 後半(文字起こし)

トリチウム関係ブログまとめ




経済産業省が考えるトリチウムの捨て方

トリチウム水タスクフォース(第14回)
平成28年4月19日

トリチウム水タスクフォース(第14回)が開催されました。

議事次第(PDF形式:205KB)PDFファイル
3. 議題 :
(1)トリチウム水の取扱いに係る各選択肢(評価ケース)
についての評価について
(2)トリチウム分離技術検証試験事業について
(3)トリチウム水タスクフォース報告書 骨子について

名簿(PDF形式:196KB)PDFファイル
平成28年4月19日時点 トリチウム水タスクフォース

主 査:
山本 一良  名古屋大学 参与・名誉教授、名古屋学芸大学 教授(汚染水処理対策委員会委員)

委員員:
柿内 秀樹  (公財)環境科学技術研究所 環境影響研究部 研究員
高倉 吉久  東北放射線科学センター理事
立崎 英夫  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所 被ばく医療センター センター長
田内 広   茨城大学理学部教授(生物科学領域)
野中 俊吉  協同組合コープふくしま専務理事
森田 貴己  国立研究開発法人水産研究・教育機構 中央水産研究所 海洋・生態系研究センター 放射能調査グループ
山西 敏彦  国立研究開発法人 量子科学研究開発機構 核融合エネルギー研究開発部門 
      六ヶ所核融合研究所 ブランケットシステム研究開発部長
山本 徳洋  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所 所長(汚染水処理対策委員会委員)

規制当局:
今井 俊博  原子力規制庁原子力規制部東京電力福島第一原子力発電所事故対策室長

オブザーバ:
竹葉 友記  水産庁増殖推進部 研究指導課長
村山 綾介  文部科学省研究開発局原子力課 廃炉技術開発企画官
臼井 将人  外務省軍縮不拡散・科学部 国際原子力協力室長
藤原 博次  技術研究組合 国際廃炉研究開発機構 理事
今津 雅紀  原子力損害賠償・廃炉等支援機構 技術グループ審議役
松本 純   東京電力ホールディングス(株)福島第一廃炉推進カンパニー バイスプレジデント
菅野 信志  福島県危機管理部 原子力安全対策課長


資料1 トリチウム水の取扱いに係る各選択肢(評価ケース)についての評価(案)
本資料の位置づけ
 トリチウム水タスクフォース第8回会合において、成立しうる最終的な処分の在り方として、地層注入、海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設の5つの選択肢(前処理(希釈・同位体分離)を含めると11の選択肢)の洗い出しを行った。(参考1、参考2)

 トリチウム水タスクフォース第13回会合(前回会合)において、地層注入、海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設の各選択肢を同様の条件下で比較検討するための条件設定※を行い、これに基づく概念設計の検討を実施した。
(※これらの条件は、比較検討のため便宜的に設定。実際の処分条件を意図するものではない)

 今回、事務局において、各選択肢の評価ケースについて、当該概念設計に基づき、処分に必要な期間、コスト、施設規模、処分に伴う二次廃棄物の発生量、処分に伴う作業員被ばく等の評価結果を整理した。

資料1別紙 各評価ケースの評価結果一覧

資料2 トリチウム分離技術検証試験事業 事業概要報告

資料3 トリチウム分離技術検証試験事業 総括及び評価




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comment 2
01.08
Thu
[概要]
トヨタ自動車が大株主の浜松ホトニクスという一般企業が、
浜名湖のほとりにある研究所でレーザー核融合の研究施設を国から多額の補助金をらって建設。
2015年、今年の2月から稼働を開始するという大変重要な問題です。
一般企業なので、岐阜のD-D核融合研究開発所で平成25年に行われたようなパブリックコメントとか、リスクに関する説明などは一切ありません。
なので情報が非常に少ないのです。
近所に住む人々はこのことを知っているのでしょうか?






浜松ホトニクス、レーザー核融合発電研究のための新レーザー照射棟を竣工
---反応可能性が50倍以上に

日経テクノロジー 2014/11/07 19:57

浜松ホトニクスは2014年11月7日、レーザー核融合発電の基礎研究を行うために、同社の産業開発研究所(浜松市)に建設していたレーザー照射棟が完成したとして竣工式を催した。新しいレーザー照射棟は、現在開発中の大出力レーザーを設置する第1研究棟に隣接している。従来よりも出力の大きなレーザーを用いるのに加え、光学系を改良するなどエネルギー損失を低減する工夫を施した結果、核融合反応の起こる可能性を50倍以上に高めたという。2015年2月に稼働する予定。
佐藤 雅哉=日経ものづくり





世界最強100ジュール級の応用研究に向け、レーザー照射棟が完成
2014/11/06 浜松ホトニクス株式会社
浜松ホトニクスは、レーザー核融合発電を目指す大出カレーザー開発部の拠点である産業開発研究所(浜松市西区)に、世界最強の100ジュール級超高出力半導体レーザー励起高繰り返し全固体大出カレーザーの応用研究に向けて、第1研究棟西側新造成地にレーザー照射棟を建設していましたが、この度完成し、来年2月から稼動を開始します。
ホームページ
来年2月とは、来月のことです。(2015年2月)

レーザ核融合(大出力レーザ応用技術)
1
2
リスクは全く書かずに、いいことばかり書いています。
「太陽の恵みを人間の手で」
太陽を作るという試み、恐ろしいです。

大株主はトヨタ自動車です。
3


浜松市西区ってどこ?
浜松ホトニクス小

浜名湖に面しています。
浜岡原発もすごく近い。(ちょっと上には岐阜の核融合研究所があります・下記地図参照)

浜松ホトニクス 産業開発研究所


もっと大きくしてみると、
大

画像で見てみると、
浜松ホトニクス

浜名湖の水はトリチウムで汚染されることでしょう。
そして、浜名湖のうなぎは確実に汚染されてしまう><。

と…いうか…うなぎだけの問題だろうか


東海地域からの「国家戦略特区」への提案
(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県・名古屋市・静岡市・浜松市)      
【連絡先】 愛知県知事政策局企画課 主幹(企画) 水野達也

※一部抜粋

4)光のグローバル拠点の形成
プロジェクトの内容
光には無限の可能性がありながら、我々はまだ、そのほんの一部しか利用できていない。また、光はあらゆる産業の基盤技術になりうるもので、様々な産業分野の革新的高度化に寄与する。光のグローバル拠点では、世界トップレベルの光の研究者や技術者が集い、光の本質を解明し、光を自在に操るべく基礎・応用研究を行うとともに、人類が望む、人類の生命や文化、産業や環境、社会システムやインフラに必要不可欠な光製品/光技術を次々に開発する。また、光技術を活用したベンチャー・中小企業等が活発に活動し、産学官金が強固に連携して、光のおもしろさ、光の無限の可能性を若い世代に向けて発信し、世界をリードする教育を行う。

想定される実施主体
浜松・東三河地域イノベーション推進協議会への参画機関(産学官金16機関)
静岡県、愛知県、浜松市、豊橋市、静岡大学、豊橋技術科学大学、浜松医科大学、光産業創成大学院大学(※浜松ホトニクスの敷地内にある大学)、浜松商工会議所、豊橋商工会議所、(公財)浜松地域イノベーション推進機構、㈱サイエンス・クリエイト、静岡銀行、浜松信用金庫、遠州信用金庫、豊橋信用金庫)


具体的提案
●地域イノベーション戦略推進地域「浜松・東三河ライフフォトニクスイノベーション」は国際競争力強化地域に指定されており、浜松・東三河地域で行われる様々な技術開発や革新製品を生み出す光関連企業の法人税実効税率を最大で20%台(少なくとも25%まで)へ引き下げ
●「浜松・新ものづくり特区」を含む「浜松・東三河ライフフォトニクスイノベーション」のエリア内における新規設備投資に対する投資税額控除
世界中でだれもが真似のできない未知未踏の技術・製品の技術開発及び標準化活動等への中・長期にわたる積極かつ継続的な支援
●革新技術の実用化・製品化や国際標準化に向けたグローバルな知的財産の出願及び保護方策のさらなる充実
●ベンチャー企業や大学等の革新技術・製品のグローバル展開におけるマーケティング支援及び信用保証制度やエンジェル税制のさらなる充実
●産業技術総合研究所等の国の研究機関の設置


エネルギー

キ モノづくりを支える新たなエネルギーシステムの研究開発に対する重点的な支援
概要
次世代産業を含むモノづくりには、莫大なエネルギーが必要であるが、東日本大震災をきっかけに日本のエネルギー供給は不安定となり、新たなエネルギーシステムの開発が急がれている。
 
現在、研究されているエネルギーのどれもが小電力であり、産業に使用するためにはそこで作られた電力をまとめるような新たなシステムづくりが必要である。
 
また、最先端の技術では、発電所並みの出力が得られて、かつクリーンなエネルギーを作り出すレーザー核融合によるエネルギー供給システムが研究されており、実用化が熱望されているところである。
 
日本の産業の国際競争力の強化や、国内産業の育成のためにも、世界に誇る浜松ホトニクスのレーザー技術等を活用し、こうした新たなエネルギーシステムの開発を加速化させ、災害等に左右されない安定的な電力供給が早期に可能となるよう、新エネルギーシステムの研究開発に対し、集中的な支援を行う。

具体的提案
●国家レベルでの電力問題を解決するレーザー核融合の研究開発と実用化に対し、国の総力を結集して支援する。
 ・必要となる研究開発費の確保と優先的配分
 ・研究開発のために必要となる施設や設備に対する資金的支援の充実
●複数の発電システムをつなぐスマートグリッドの研究開発に対する支援といった、国や国の研究機関などの積極的な関与と、その成果の実用化、普及に対する支援の充実

想定される実施主体
レーザー核融合:浜松ホトニクス株式会社、学校法人光産業創成大学院大学
スマートグリッド:電力、ガス、上下水道、電気通信事業者、道路管理者、高速道路会社など、網としての社会資本を所有する者




原子力規制委員会
放射線障害防止法の対象事業所一覧(平成24年4月1日現在)
この表に出ている浜松ホトニクス

浜松ホトニクス株式会社 PETセンター
434-8601 静岡県浜松市浜北区平口5000

浜松ホトニクス株式会社 豊岡製作所
438-0193 静岡県磐田市下神増314番の5

浜松ホトニクス株式会社 産業開発研究所
431-1202 静岡県浜松市西区呉松町1820番地

浜松ホトニクス株式会社 本社工場
435-8558 静岡県浜松市東区市野町1126番地の1








ーー核融合ーー
たねまきJ「トリチウム・雪・福島講演」小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)2/2
<一部抜粋>

小出:
そのために核融合が出来れば「クリーン」だと言ってきたのですね。
ところがその核融合というのは、実はトリチウムを燃料にするんです。
自然界にあったものの何百倍というようなもののトリチウムを、
毎年毎年、燃料に使うという様な技術が核融合という技術でして、
なんか、皆さんは夢のエネルギー源だと思われているかもしれませんけれども、
そんな事をやったら、もう、地球が放射能まみれになってしまうと私危惧してきました。


千葉:えっ、じゃ核融合をやるためには大量のトリチウムを作らなければいけない訳ですよね。
小出:そうです。それが燃料なんです。
千葉:ええええぇぇぇ!!!
まず、そのトリチウムありきで核融合が行われるということなんですね。

小出:
まずは、てんかする前にはトリチウムを集めておかなければいけませんし、
一度核融合をてんかした後は自分でトリチウムをどんどん、どんどん生み出しながら、
それを燃料にするという、そういうシステムにしなければいけないのですが、
水素というのは閉じ込める事が大変難しいので、多分大量に漏れてくる事になりますし、
核融合という事をやれば、トリチウムが最大の放射能の被ばく源になるだろうと私は思います。

千葉:そうですよね、環境に出たら水と同じだから回収する事は全然出来ないという事なんですものね。

小出:そうです、はい。

藤田:トリチウムというのはかなりの有毒物質であるという事は間違いがないんですよね。

小出:
放射性物質というのは山ほどあるのですけれども、
放射性物質の中の毒性でいうとあまり高くはないのです。
ただし、他の放射性物質は閉じ込める技術がさまざまにあるのですけれども、
トリチウムは水素ですので、水になってしまう。
そうすると、もう、水の中からいくら放射性物質を取り除いて、綺麗にしたつもりでも、
水そのものが、要するにトリチウムで汚れているわけですから、
閉じ込めようがないのです。
ですから、六ヶ所再処理工場というのが、今、動くか動かないかの瀬戸際にあるのですけれども、
トリチウムに関する限りは、全量放出するという事になります。


千葉:うわぁ~




核融合「D-D実験」ってなぁに?岐阜で実験開始!パブリックコメント受付中

(4)トリチウムと中性子の発生量について
1 D-D実験によるトリチウムの年間最大発生量を1.5キュリー以内に抑制するとした理由について
調停委員会の場において、申請人側の
「(受忍量として)中性子及びトリチウムの発生量を計画の10分の1まで下げる。
または、現在の日本原子力研究所での発生量を超えない範囲ということを検討している」との意見を踏まえ、
研究所においてこれを基準として検討することとなり、真摯な検討の結果、以下の工夫により、
日本原子力研究所のJT60並の基準をクリアできると判断し、当初計画を譲歩して受諾しました。
即ち、10キュリーを予定していた最終年の実験を3年間に分けて行えば、
実験結果を入念に解析して解析結果を次年度の実験計画に活かせること、
また、中性重水素粒子入射加熱装置運用の短期集中化を図ること等によって、
当初計画と同等な成果が得られると判断したためです。

トリチウムの年間平均生成量について
調停案に従って、最初の6年間のトリチウムの年間最大発生量は1キュリー、
中性子は2.1×1019個以内で、
残り3年間の年間最大発生量は1.5キュリー、
中性子は3.2×1019個以内となるように実験を行う予定です。

捕集できなかったトリチウムは、水の形態で空気中に放出されるため、排水には含まれない。
捕集されなかったトリチウムは
研究所の管理値 0.0002 Bq/cm3 3ヶ月平均(法令値:0.005 Bq/cm33ヶ月平均)以下であることを確認の上、
排気塔から放出される。

岐阜の核融合研究所の位置
20130125111300cc3s_20150106161839e88.jpg





放射線医学総合研究所資料集より
トリチウムに関しての研究 昭和48年〜
トリチウムによる染色体異常~ヒト培養リンパ球での実験結果~


放射線医学総合研究所資料集より
昭和48年〜昭和52年 トリチウムの植物―動物系における動向
<トリチウムの動向ー植物>
部位によるトリチウ摂取量の違い/トリチウム水蒸気の葉からの取り込み
(放射線医学総合研究所資料集書き出し)


放射線医学総合研究所資料集より
昭和48年〜昭和52年 トリチウムの植物―動物系における動向
<トリチウムの動向ー動物系>
数時間で全身にほぼ一様に拡散分布 /脂肪組織、脳、筋肉に高いトリチウム残留
(放射線医学総合研究所資料集書き出し)



放射線医学総合研究所資料集より
昭和48年〜昭和52年 海産魚の胚発生に及ぼすトリチウム水の影響
トリチウム水の魚卵発生に及ぼす影響~
「孵化稚魚の眼径は有意に小さい」放射線医学総合研究所資料集(書き出し)



放射線医学総合研究所資料集より
昭和48年〜52年 メダカ胚核酸におけるトリチウム代謝
<両棲類と哺乳類のトリチウム取り込み比較>
「トリチウム水投与後10日目では脂肪組織に最も多く、 次いで脳、睾丸、肝の順」
放射線医学総合研究(内容書き出し)




<トリチウムによる健康被害>
西尾正道氏「原発を稼働させるだけで、事故が起こらなくても健康被害となりえる」「被ばく列島」より


<トリチウム>「決定的なのは水の惑星である星をトリチウムで汚してしまえば、 全部がその影響を受けて引きずっていくことになるだろうなということです」小出裕章氏12/13(文字起こし&音声)

トリチウム関係ブログまとめ






続きを読むに↓つづく

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comment 3
11.05
Tue


ラジオフォーラム 小出裕章ジャーナルより一部転記させていただきました。
(少し書き足しました)


湯浅誠:
今日はトリチウム。
汚染水の中でもトリチウムのことをちょっと伺いたいのですが、
先月18日に東京電力は福島第一原発で高濃度汚染水約300トンが漏れた地上タンクの近くにある
地下水観測用井戸からトリチウムが1リットル当たり79万ベクレル検出されたと発表しました。
この値は過去最大値だという事ですが、
79万ベクレル、これはどういう数字だということで理解したらいいですか?

小出:
私のところは京都大学原子炉実験所という研究をしている組織ですが、
そこからたとえば敷地の外に放射性物質を流さざる得なくなった場合には、
いわゆる濃度規制というのを守りながら流すことになります。
トリチウムの場合には、
私の職場から環境に流していいトリチウムの濃度は、1リットル当たりに換算すると6万ベクレルです。
それを超えたものはもう流してはいけないということになっているわけですが、
今回の値は79万ベクレルですから、
環境に流してはいけないという濃度の10を越えているようなものが井戸の中にすでにあるということです。

湯浅:
原発事故以降ですね、いろんな放射性物質の名前が出てきて、一回聞いてもまた忘れちゃうんですけど、
トリチウムという放射性物質の性質というのをもう一度教えていただいてよろしいでしょうか?

小出:
トリチウムという放射性物質は、別名「三重(さんじゅう)水素」と私たちは呼んでいます。
3倍重たい水素と書きます。
天然にある水素はいわゆる普通の水素と2倍重たい「重水素」というのが天然に存在しているのですが、
どちらも放射能を持っていません。
放射線は出さないという水素というのが天然にはあるのですけれども、
この三重水素、トリチウムというものは放射能を持っていて放射線を出すという性質のものです。

それで、ただし、
トリチウムというこの放射性物質が出す放射線はβ(ベータ)線と呼ばれている放射線だけです。
そしてそのβ線のエネルギーが大変低い、数字でいうと18.6キロエレクトロンボルト、という、
β線を出す放射線の中では一番に低い、といってもいいぐらいの低いエネルギーのβ線しか出さないのです。
そのため、生命体に対する危険度は低いです。

ただし、放射線を出していますので、もちろん無害ではありません。
そして、水素というのは環境に出てしまいますと必ず水になってしまいます。
今現在、汚染水というのがあって苦闘しているわけですけども、
汚染水の処理ということをなんとかやろうとしているわけですね。
その処理というのは、
汚染水の中に混じっている放射性物質を水の中から取り出して、水をきれいにしようというのが
実際にやろうとしていることなのですけれども、
トリチウムの場合は水そのものですので、どんなにきれいにしたところでトリチウムだけは除けないのです。
ですから、すでにもう井戸の中に入ってしまっているもの、
あるいはタンクの中に入っているもの、
そんなものもトリチウムに関しては何の手も打てませんので、
いずれにしても全量放出するということになってしまいます。

湯浅:なるほど。

小出:
ただ、地球というのは水の惑星と呼ばれるくらい大量の水がありますので、
ただただ薄まってくれるということを期待するということなのですけれども、
でも水の惑星で生きている私たちは、基本的に水に依存して生きているわけですから、
その水が汚されてしまうということは、生命体にとって大きな脅威になる
と思います。


湯浅:
これはやっぱり他の放射性物質と同じで、自然界にないものを作り出しちゃったわけですから、
人体に対する影響についてもよくわからないことが多いということですか?

小出:
トリチウムに関しても、放射能的にわかってないということがまだありまして、
有機物、例えばタンパク質の構成の一部になってしまった時に、
トリチウムが一体、体内の中にどれくらいの期間残存するのであろうか?とか、
かなり難しい問題がまだ残っていまして、トリチウムの影響も完璧に解明されているわけではありません。




ーーー

●ラジオフォーラムで話している最高79万ベクレルのトリチウム汚染のある地下水は
タンクからの水漏れがあったH4エリア周辺の地下水。



東京電力 2013年11月4日
福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果
(H4エリア周辺)
より
2013110524.jpg



11月3日採取測定結果とこれまでの最高値 (↓クリックすると大きく見る事が出来ます)
2013110525.jpg

E-1エリア 作成グラフ 全ベータとトリチウム (↓クリックすると大きく見る事が出来ます)
2013110522.jpg

2013110523.jpg



ーーー

●おしどりマコさんがもっと重要だと言っている地下水の汚染は護岸エリアの地下水汚染
いままでの最高値
No1-1 トリチウム   63万ベクレル/L (7月8日)
No1   トリチウム   50万ベクレル/L (5月24日、6月7日)
      ストロンチウム 1200ベクレル/L(6月7日)



<メディアが伝えない福島第一原発その2>
「人員計画・地下水の汚染・建屋内のがれき撤去」11/1おしどり・木野龍逸 報道するラジオ(文字起こし)
より

護岸エリアの地下水の汚染

マコ:
護岸の方の海に近いエリアの1号機と2号機のあいだの、
「海からもう数mのあたりでの地下水が、かなり高濃度に汚染されている」という状況の、
「護岸エリアの汚染水の問題」というものがあるんですね。
これはもうものすごく深刻で、測定して気が付いたのが今年の5月の末で、
その時に海から数mのエリアの地下水がもうかなり汚染されていたというのがわかって、
いつから汚染していたのかが分からない
地下水の観測抗を去年の12月に掘って、
その時に「セシウムの値があまり出なかったから大丈夫だ」という判断をしたんですね。
その時にトリチウムはかなりの量が出ていたんですよ。
私はそれを会見でずっと質問してたんですけど、
その時点でトリチウムには注目していなかったので問題にしなかった。

トリチウムはH3という記号のとおり、水にすごく近いので、
水と一緒に早く移動するんですね、地下水と一緒に。
なのでその時になんらか気が付いていればと思うんですけれど、
去年の12月に地下水の観測抗を掘ってから、
「大丈夫だ」という判断をしてしまったので、6カ月間一度も測定をしていなくて、
それで、今年の5月末に測定してみたら、
あら?ビックリいろいろ高濃度のものが出てきました。
「ストロンチウムも高濃度でした」というので、
それで、海に近いエリアの地下水が汚染されているという大問題が出てきたんですね。

で、それを調べると、
2011年の4月に2号機からしょんべん小僧のように水がピューーっと
高濃度の汚染水が海に直接流れ出ていて、
慌てて止めなきゃということが2011年の4月にあったんですけど、
どうもその時に出た高濃度の汚染水が関係しているということで、
つまり、2011年の4月から、汚染水が何らかの形で海へ出続けている可能性があるんですね。
「それは否定できない」と東京電力も言っています。
で、それが本当に重要な問題なんですけれども、
それが汚染水の問題としてまず上がってきて、
それはいったん止めたと、コンクリートとかをあちこちに詰めて
もう漏れていそうな経路を塞ぎましたということになったんですけど、
でも、どうもいろいろ調べるとそのエリアの地下水が汚染されている範囲が広いので、
どうもその「2号機のその当時に出た高濃度の汚染水がどうなったのか?」というのを
今ずっと調べているんですけど、
で、先日の汚染水対策ワーキングという規制委員会でやっている汚染水関連の検討会があるんですけど、
いまだに漏えい元が分からないんです、どこのものか?
漏えい元が1カ所ではなくて、「止めたと思っていてもやっぱりここの値が下がらない」
海の値も下がらないという事で、漏えい元が分からない。
だから漏えい元を探すということと、海に汚染水が直接流れるのを防ぐという、
いま2本立てで、その護岸エリアという海に近い汚染水の対策をしているんですね。
私はこっちの問題がかなり深刻だと思っています。


護岸エリアの地下水汚染

2013年11月4日 東京電力
福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果
より

護岸エリア地下水サンプリング箇所  (↓クリックすると大きく見る事が出来ます)
2013110511.jpg



最高値(護岸地下水) (↓クリックすると大きく見る事が出来ます)
2013110521.jpg








comment 5
10.19
Sat
東京電力の記者会見を聞いていたら、突然東電の左に座っている彼が言った。
先ほどの資料で分析中となっていた10月17日のトリチウムの数値が出ましたのでお知らせいたします。
790,000Bq/L となっています。
私には動揺しているように感じましたが、本人はさらっと、言ったつもりだろう。
東電の尾野さんは「79万ベクレルとなっています」と繰り返し、
その驚き表に出してはいけないかのように平静を装い続けて
「このエリアでは全ベータの数値も急上昇しておりますので、トリチウムの濃度も高くなる」
というような内容の言葉を言った。


この部分の東電の改憲の音声を取り出したので、文字起こしもしてみました。


はい、えーっと、すみません、ご質問を受ける前にですね、
えっとーーー、E-1のですね、えー、トリチウムの値が出て、居る資料を、これからお配りしたいと思います。
えっと、10月17日採取分の、えーー、全ベータでも40万のところですね。
あの、トリチウムの結果がまだ出ていませんでしたので、そちらの結果が出ておりますので、
え、今資料の方をお配りさせていただきたいと思います。
値としては、えー、79万ですかね。
・・・ベクレルパーリッターの方になっています。


尾野:
はい、お手元の方にデータを配布中かと思いますけれども、
え、H1エリア周辺でのE-1。
こちらで、えー、トリチウムの結果が出てございます。
えー、79万ベクレル/リッター・・ということであります。

えーー、先般、の、データでは、えー、
40台でしたか?(正解は20台です)
えーー、ちょっと数字を・・・ねん出しましたけれども、
えー、それに対してかなり大きくなっていると。
いうふうに見てとれます。
ですので、これはま、全ベータが上がっているという事と、トリチウムが上がっているという事
えーーー、これがまぁ、いずれも、あのー、
「相関している」という事かと思います。




79万ベクレル!?

E-1エリアのトリチウム濃度だけはずっとチェックしていたので、
その数値の高さに私は絶句した。

ウソッー!Y(>ω<、)Y
どこまで高くなっちゃうのぉ~~~~??




↓クリックすると大きく見る事が出来ます。
2013101821.jpg

2013年10月18日
福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(H4エリア周辺)

2013101822.jpg




<福島第一・地下水>
ストロンチウム90などが一気に6557倍の40万 Bq/Lに!!!





福島第1原発:
汚染水問題 井戸の地下水79万ベクレル トリチウム過去最大

毎日新聞 2013年10月19日 東京朝刊

東京電力は18日、
福島第1原発で高濃度汚染水約300トンが漏れた地上タンク付近にある地下水観測用井戸から、
放射性物質のトリチウム(三重水素)が1リットル当たり79万ベクレル検出されたと発表した。
10日に測定した同32万ベクレルの約2・5倍で過去最大値。
この井戸からは放射性ストロンチウム90などほかのベータ線を出す放射性物質も、
過去最大値の同40万ベクレルが検出されている。いずれも17日に採取した水を調べた。

観測井戸は、9月上旬に掘られた八つのうちの一つで、
高濃度汚染水が漏れたタンクから北に約20メートル。
井戸の北側には、タンク内の水を出し入れするポンプ設備の配管などがあり、
漏れた水で汚染された土壌を撤去しきれなかった。井戸にはふたがされていた。

トリチウムは、
第1原発の放射性汚染水を浄化する多核種除去装置「ALPS(アルプス)」では除去できない。
東電は濃度上昇の理由について
「汚染土に含まれる放射性物質が台風の雨で移動して地下水に影響した可能性がある」とみている。
汚染土の撤去や汚染地下水のくみ上げなどの対策を検討する。

ほかに、17日に採取したタンク近くの排水溝の水からも、
ストロンチウム90などが1リットル当たり3万4000ベクレル検出されている。

一方、東電によると台風26号の接近に伴い、
タンク周辺のせきの弁を開いて排出した水の総量は2400トンだった。
東電は「せき内の水が排出基準を下回っていることを確認した上で排出した。
環境への影響はまったくない」と説明。
ただし、排出した水に含まれる放射性物質の総量は評価していないという。
タンクに回収した水の総量も約2400トンだった。【須田桃子】




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10.12
Sat
途方にくれる数値が検出され続けています。
(ちなみに、何の根拠もなく原発を動かすために勝手に決めているトリチウム法定基準は60000㏃/L)
9月8日から計測をし始めて、どんどんどんどん濃度が高くなっています(。♋ฺ‸♋ฺ。)ウルウル。

単位は㏃/L
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10.10
Thu
10/7参議院経済産業委員会・汚染水問題に関する閉会中審査 直嶋正行(民主)の質疑

田中俊一 汚染水は薄めて すべて海洋放出すると断言

直嶋:
調査委員会の委員長さんが、その報告書の中で、
トリチウムを含む水については、海に含まれる濃度まで薄めて放出するよう提案されている。
漏えいの恐れのあるタンクで保管するよりも、海に放出する方が環境汚染のリスクが小さい。
こういうふうに主張されているというふうに伝え聞いています。
で、このトリチウムの海への放出も含めてですね、田中規制委員長のご緒言をお伺いしたいんですが。

田中:
お答えいたします。
あの、原子力規制委員会としましては、
いま、現在、各放射性物質によって排出基準というのが決まっておりますので、
これを上回るようなものは放出させないという事でございます。

で、あの~、
もちろんこういったものは環境へ放出するのを出来るだけ小さくするという事は極めて大事なことですので、
そういう方法を出来るだけ行ったうえで、やむを得ない場合には、
排出基準を下回ることを確認したうえで放出するという事を認めていかざるを得ないというふうに思っています。
あのー、トリチウムについても同様の考えだと思います。

直嶋:
これはもう、委員長がハッキリおっしゃったんですから、
海洋に、もちろん規制値以下にしてという事ですが、
放出するのはやむを得ないと、それを認めていく
と、こういうお話ですよね。



廣瀬東京電力社長「関係者のご了解を」
茂木敏充経済産業相「トリチウム水の適当な扱いについて検討」




直嶋:
元原子力規制委員会の方を招へいして今顧問になっていると、こういうご紹介が以前ございました。
それでこの方もやはり、いわゆるスリーマイルと福島の比較をすると、
福島は圧倒的に水の量が多くて、スリーマイルのように乾燥させるのは難しいだろうと、
だからいずれ海に流さざるを得ないとこういう事を、これは報道ですけど、おっしゃっているんですけど、
これはやはりあれですかね?社長。
福島の場合はやはりこの水の問題というのが、非常にやはりそういう意味では厄介だし、
最終的にはいろんな事を考えなきゃいけないと、
こういうふうに見通しておられるというご理解でよろしいでしょうか?


廣瀬(東京電力社長):
はい、あのー、ベイクバレット氏がどこでどういう発言をされたかというのは、
ちょっとつまびらやかには存じ上げませんけれども、
私どもはこれまでどおり、とにかく汚染水問題についてはですね、トリチウムも含めてですが、もちろん。
しっかりとした対応をしていくということで、
えー、夢夢その・・・関係者のご了解をしっかりと持っていかなければいけませんし、
安易に放水など、放出というようなことは考えておりません。


直嶋:
それで大臣にもお伺いしたいんですが、
先ほどお話があったように技術的な公募もされておりますが、
同時に貯蔵技術についても公募されておられます。
しかしまぁ、この先ほどの田中委員長とのやり取りでもお分かり頂けると思うんですが、
なかなかこれ判断が難しいんですけど、
もう、万やむを得ない場合は選択肢として、えーー、海洋へと
もちろん薄めて、あの、基準値以下にしてということですが、
こういうこともあり得るというふうにお考えでしょうか?


茂木(経産省大臣):
確かにこれまで国内外におきまして、あの、希釈した、薄めたトリチウムをですね、
海に放出している例はあるわけであります。
そしてあのー、専門家の意見としてですね、
基準値以下のトリチウム水をですね、海に放出することについて、
問題はあまりない、また避けられない、こういった意見もあります。
あのー、今後我々としては内外の英知を結集して汚染水対策を検討する中で、
トリチウム水の適当な扱いについて検討してまいりたいと思っております。


直嶋:えーまぁ、現状ではそういう事かなと思いますが、大臣のご答弁としては、はい。



ーーー

薄めて海へ捨てたとしても、総量は一緒でしょ?
薄めたって無くなるものじゃない。
トリチウムを大量に環境に出すという事は、
命に一番大切な水を汚すことになる。

私たち人間の体は、
胎児で体重の約90パーセント、
新生児で約75パーセント、
子どもで約70パーセント、
成人では約60~65パーセント、
老人では50~55パーセントが水で満たされています。

体内の水は、大きく細胞内液と細胞外液に分けられます。
細胞内に存在する細胞内液は、体内水分の約3分の2を占めています。
一方、残りの3分の1である細胞外液は、
体内を循環する血液とリンパ液、細胞と細胞の間に存在する細胞間液に分けられます。

血液の半分以上は血漿(けっしょう)という液体です。
そして、血漿のほとんどが水でできています(血漿の水分は91パーセント)。


suntory 水と生命「体内での水分の働き」より)



トリチウムについては調べれば調べる程脅威を感じています。
「薄めればいい」
などと、このようなおじさま方の偏った考え方のみで決めていかれてはたまりません。
他の国も流している。いままで日本だって流してきた。
だからまた流したっていいんだ。
そうじゃないでしょ!

何の根拠もなく安全だと言って、薄めて放出する事は、絶対にしてはいけないことだと思います。







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10.08
Tue

福島第1原発:汚染水問題 汚染水井戸で23万ベクレルを検出
毎日新聞 2013年10月08日 東京夕刊

福島第1原発の地上タンクから高濃度汚染水300トンが漏れた問題で、
東京電力は8日、タンクの北約20メートルの観測用井戸で、
6日に採取した地下水1リットル当たり23万ベクレルの放射性物質トリチウムを検出したと発表した。
300トンが漏れたのが8月19日に発覚し、調査を始めた9月8日以降で最高値
東電によると、トリチウム濃度は先月26日の19万ベクレルをピークに減少傾向が続いていた。
【高橋隆輔】



ーーー



9月8日以降10月6日23万ベクレルまでのトリチウム推移

2013100831





こんな状態だと感覚がマヒしているかもしれないけれど、これは異常な高さです。
国の放出基準値は1リットル当たり6万ベクレル。(水色のライン)
※トリチウムに関しての放出基準は何の根拠もなく決められています。
 それでも6万ベクレル。23万ベクレルはおよそ4倍







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10.06
Sun
放射線医学総合研究所資料集より

昭和48年 メダカ胚核酸におけるトリチウム代謝
生物研究部(上野昭子)

トリチウム水の水生生物への影響を知るための基礎的知見として、
また食物連鎖におけるトリチウムの行動の研究の一環として、
トリチウム水のメダカ胚核酸への取り込みを研究した。

メダカの受精卵を産卵当日より孵化直線まで(9日間)トリチウム水中、25℃で飼育し、、
この卵を蒸留水で4階洗滌(せんじょう)したのち、
KirbyらのPAS-フェノール法を一部修正した方法により高分子核酸を抽出した。
放射能は液体シンチレーションカウンターで測定した。
卵全体へのトリチウムの取り込み量は46.8±5.72×10-10乗Ci/wet eggで、
濃縮係数は約0.60であった。
乾燥卵への取り込み量は生卵の約1%であった。

核酸(DNA+RNA)への取り込み量は、
10,100、および1000μCi/mlのトリチウム水を使用した時、濃度に完全に依存した。
100μCi/mlのトリチウム水中で飼育した卵のDNAへの取り込み量は8.48μCi/gDNAで、
このトリチウムによるベータ線のDNAへの吸収線量はBondらの式により計算すると、
約2.4rad/day/gDNAとなった。
DNAを構成塩基に加水分解し、各々の塩基への取り込み量を調べた結果、
4種類の塩基の全てに取り込まれるが、特にチミンへの取り込み量が多い事が分かった。

また、卵発生の各ステージにおける取り込みを調べたところ、
これらの核酸が合成される時期にトリチウムが取り込まれることが明らかになった。
トリチウム水中に7日間飼育してからトリチウムのない水に卵を移し、
取り込まれたトリチウムの減少速度を調べたところ、
DNAに取り込まれたトリチウムは徐々に減少するが、その速度は非常に緩慢である事が分かった。
(卵化するまでの時間では生物学的半減期に到達しなかった)

研究発表
上野:日本放射線影響学会第15回大会(1973.10)
上野:Radiat.Res.(1974)(in press)



昭和49年 メダカ胚核酸及び蛋白質におけるトリチウム代謝
生物研究部(上野昭子)

(1)前年度、トリチウム水のメダカ胚核酸への取り込みを調べたので、
これに引き続き、今年度は核酸及び蛋白の前駆体である遊離アミノ酸へのトリチウム水の取り込みを測定した。

<方法>
メダカの受精卵を産卵当日より9日間1mCi/mlのトリチウム水中で飼育し、
この卵から開遊離アミノ酸を抽出精製した。
精製したアミノ酸試料は二次元の薄層クロマトグラフィーにより分離し、
各スポットをかきとって0.1規定塩酸で抽出して一部を定量、残りを放射能測定に用いた。

<結果>
トリチウム水は種々のアミノ酸に取り込まれ、その取り込み量はアミノ酸の種類によって大きな差があった。
特にグルタミン酸、アラニン、アルギニン等に取り込み量が多い。
このような取り込み量の差は、
これらのアミノ酸の代謝の途中にトリチウムを取り込みやすい過程があるためか、
または比較的安定な形で取り込まれたものだけが残り、不安定なものは外れてしまうためと推定される。
今後はこの結果を高速液体クロマトグラフィーで確かめ、さらに発生過程での変動なども調べる予定である。

[研究発表]
Akiko M. Ueno:"Incorporation of tritium from tritiated water into nucleic acids of Oryzias 1ati-pes eggs."Radiation Res.59,629-637(1974)



(2)自動液体クロマトグラフ装置
本装置は日本分光製ASC=Ⅱ型で、次の所性能を有する。
1)高性能シリンジ型ポンプ(圧力最高350kg/㎠)を用いているので、
従来の液クロより分離時間が大幅に短縮され、アミノ酸18種を90分で分離できる。
また、移動相の定流量性がよいので、分離能もすぐれている。
2)アミノ酸の検知器に蛍光光度計を用いているので、感度が約2桁向上している。
3)放射性物質の活性を測定するため、分離した試料の一部を分取する事ができる。
4)カラムの種類を簡単に取り換えられるので、応用範囲が広い。



昭和50年 メダカ卵におけるトリチウム代謝
生物研究部(上野昭子、一政祐輔※)※研究生

<目的>
先にメダカ卵のDNA,RNAおよびクロマチンタンパクへのトリチウム水の取り込み量を報告したが、
本年度はこれらの前駆体である卵内遊離アミノ酸および脂質へのトリチウム水の取り込みを研究し、
トリチウム水の水生生物への影響ならびに食物連鎖における
トリチウムの行動を解明するための基礎的知見を提供する、

<経過>
(1)産卵1日目のメダカ卵を材料とし、
①8日間、トリチウム水のみ
②産卵後4日間トリチウム水、その後4日間常水中、
③産卵後4日間常水、その後4日間トリチウム水中
との3条件に従って飼育した。
この飼育卵を水洗後Bligh,Dyer法により卵脂質を抽出、さらに薄層クロマトグラフィで脂質組成を分析し、
各分画の放射能は液体シンチレーション法で求めた。

(2)メダカ卵を1mCi/mlのトリチウム水中、25℃で孵化直前(9日間)および6日間飼育、
卵内アミノ酸はメダカ卵約400個を水洗後、ホモジナイズ処理し、
常法に従って
抽出液をAmberlite IR120によるイオン交換樹脂カラムに吸着、溶出させてアミノ酸試料とした。

<成果>
(!)メダカ卵脂質含量は最大量当たり2.2%で、
中性脂質(主としてトリグリセリド、ステロール、ステロールエステル)80%、
リン脂質(主としてレシチン)20%よりなる。
トリチウム水中の飼育による脂質分画の放射能の総量は少ないが、
その80%はリン脂質分画に特異的に分布する。

卵の飼育条件の差に基づく放射能の濃度や分布に変化は認められなかった。

(2)高速液体クロマトグラフ装置(日本分光ASCⅡ型)を用い、
2カラム法で各アミノ酸を分離し、フルオレスサミン蛍光法により検出する。
標準アミノ酸混合液の分離に成功したので、今後メダカ卵試料についても実施する。




昭和51年 生物卵におけるトリチウムの摂取、代謝に関する研究
一政祐輔(外来研究員)

<目的>
トリチウム水の生体内の挙動を、
貯蔵物質あるいは生体膜の主構成成分として重要な働きを持つ等室との関連で検討する。

<経過>
メダカOryzias latipesの受精卵は産卵後25℃の恒温室内で飼育した。
トリチウム水の卵内挙動をみるために、
トリチウム水での飼育を6日間続けて行う場合と、
始めの3日間をトリチウム水で飼育し、後の3日間を淡水で飼育する場合と、
さらに始めの3日間を淡水で飼育して後の3日間をトリチウム水で飼育した場合を比較して調べた。
なお、トリチウム水の放射能濃度は1mCi/mlのものを使用した。

卵からの糖質の抽出はBligh and Dyer(1959)の方法に準じて行った。
糖質の分画には薄層クロマトグラフィーを用いた。
各資質成分の分解は2規定・水酸化ナトリウム溶液中、封管下で100℃、2時間行ったのち、
まず不ケン化物を石油エーテルで抽出し、次に中和して脂肪酸を抽出した。
薄層クロマト上の放射能はプレートからかきとり、液体シンチレーション法で測定した。

<成果>
1)産卵直後のメダカ卵をトリチウム水を含む水中(1mCi/ml)で飼育すると、
脂質画分へのトリチウムの取り込みは孵化に至るまではほぼ直線的に増加し、
6日後には186dpm/eggに達する。

これは上野(1974)が報告した核酸への取り込み量のほぼ1/3である。
卵の水分含量を70%とし、卵水分中のトリチウム水を外液中と等しいと仮定して
(実際には1~3日目の間は4.2%、6日目では34%)
糖質への取り込み率を計算すると、0.0086%である。

2)糖質の各成分へのトリチウム水からのトリチウムの取り込みを調べると、
リン糖質、特にレシチンへの取り込みが最大であり、
全糖質への取り込み量の約40%に達する(レシチン含量は全糖質の約14%)。
レシチンに取り込まれたトリチウムの87%はグリセロールとコリン画分に、
10が脂肪酸に分布する。
なおレシチンにおけるH/Tは1×10マイナス6乗であり、
上野(1974)のデータ―から計算するとシトシンでは2×10マイナス5乗である。

3)産卵3日目に卵をトリチウム水から普通の水(淡水)に移しても
脂質中のトリチウム活性の低下は極めて遅く、3日後に約10%減少するにすぎない


[研究発表]
一政、秋田:日本放射線影響学会第19回大会 広島(1976.10)



昭和52年 トリチウムの生物に及ぼす影響研究における実験手法の確立
一政祐輔(外来研究員)

<目的>
メダカ卵をトリチウム水で飼育し、
その卵の脂質分画についてトリチウムの取り込みについて得られた知見と実験手法をラットに応用し、
両棲類と哺乳類のトリチウムの取り込み機作の比較に役立てることを目標とした。

<経過>
実験動物と投与については、動物系(1)と同一、
またその分画法は前年度報告のメダカ卵脂質の例と同様なので省略する。

<成果>
1)各組織の脂質に取り込まれた放射能はトリチウム水投与後10日目では脂肪組織に最も多く、
次いで脳、睾丸、肝の順
であり、
それらの減衰は脂肪組織と脳では遅くて半減期はそれぞれ
脂肪組織は80日
脳は33日と213日の2型であり、
一方、肝は6日と24日
睾丸は10日と38日とやや短い半減期であった。

これらの結果は脂肪組織と脳の脂質の一部はいわゆる第3成分の長半減期に属することを示唆する。

2)脂質各成分の放射能の経時変化をみると、
肝と睾丸ではホスホリピド、トクグリセリドへの取り込みが最も高く、
総脂質の放射能の減衰とほぼ並行して減衰した。

脳ではホスホリピドへの取り込みが最高であることは肝や睾丸と同様であるが、
その減衰は両者に比較して遅く、
これが脳におけるトリチウム半減期が著しく大きい原因と思われる。

脂肪組織ではトリグリセリドへの取り込みが最高で他成分への取り込みは
トリグリセリドの1/50以下であった。
トリグリセリドの放射能の減衰が遅い事は脂肪組織の特徴である。

3)脳のホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、セレブロシドに
取り込まれたトリチウムは排出されにくいことが明らかになった。


[研究発表]
一政、武田、秋田:日本放射線影響学会第20回大会 仙台(1977.10)






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10.05
Sat
放射線医学総合研究所資料集より


昭和48年 海産魚の胚発生に及ぼすトリチウム水の影響
環境衛生研究部(市川龍資、須山一兵)

原子力施設から海域中に放出されるトリチウムが
沿岸魚類資源に影響をもたらす可能性について検討するための基礎的情報を得る目的で、
海産魚卵をトリチウム添加海水中で発生させる際の影響の有無の研究に着手した。
今年度はヒラメとクサフグの受精卵を種々の濃度のトリチウム海水中でふ化させたが、
10-3乗から10-2乗Ci/ℓの濃度範囲ではふ化率が対照群と有意な差を示さなかった。
ただし1Ci/ℓおよび10Ci/ℓという高濃度のトリチウム海水中にては、ふ化率の低下が検知され、
特に10Ci/ℓ群のふ化直後の稚魚は対照群稚魚のように活発に遊泳せず
その体形も対照群に比して短小であり、腹部が大きい。
眼の直径の測定結果では10Ci/ℓ群の眼径が対照群のそれの57%の値であった。

しかし、体重は両群でほとんど相違せず、
これは10Ci/ℓの稚魚に卵黄の残存量が大きいためと考えられた。



昭和49年 海水中トリチウムの魚卵発生に及ぼす影響
環境衛生研究部(市川龍資・須山一兵)

今年度は10マイナス3乗Ci/ℓから10Ci/ℓまでの5段階のトリチウム濃度を有する海水中に
クサフグFugu niphobles の受精卵(嚢胚中期)を浸漬し、
水温25℃にて6日間で孵化した。
各群の孵化率は10Ci/ℓのトリチウム濃度の場合だけを除き余り変わらなかった。
各群から30個体ずつ抽出した孵化稚魚の眼径の測定結果では、
同じく10Ci/ℓの群にて有意に小さい
ことが認められた。

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[研究発表]
市川、須山:Effects of Tritiated Water on the Embryonic Development of Two maeine Teleosts.
日本水産学会誌40(8)819-824(1974)



昭和50年 メダカ稚魚の成長に及ぼす水中トリチウムの影響
環境衛生研究部(市川龍資、須山一兵)

環境に放出されるトリチウムの魚類に及ぼす影響を調べる目的で、
トリチウム水中で孵化させたメダカ稚魚の成長を観察した。
受精直後の卵を10マイナス2Ci/ℓと1Ci/ℓの濃度のトリチウム水中に入れ、
25℃で10日間飼育した。
この間に孵化した稚魚を清浄水に移し、その後30日間配合餌料とミジンコ都投餌し飼育した。

その間、毎日死亡魚を数え、また実験終了時点でフォルマリン固定して尾叉長を測定した。
同じ実験を2回繰り返した。

孵化率はコントロールで88%とやや低かった他は、96~98%で差はなかった。
用いた卵数に対する30日間の生存率は2回の平均で、
コントロールの51%に対して両群とも47.5%と幾分低かったが、有意差ではなかった。
尾叉長の平均はコントロールの12.22mmに対して、
10マイナス2乗Ci/ℓ群が11.38mm、
1Ci/ℓ群が11.42mmと僅かながら成長の遅れがみられた。


また受精直後の卵に100,200,500,1000及び2000RのX線を照射し、
孵化後30日間上記の方法で飼育、観察した。

0~1000Rの照射では孵化率は95~98%で影響は見られないが、
2000R照射では16%に落ちた


生存率はコントロールの65%に対して、
100~1000R照射では67~76%で、むしろ高率であったが、
2000R照射群では3%で孵化したものもほとんど育たないことが分かった。


尾叉長の平均はコントロール、12.75mm
100R、12.77mm
200R、12.30mm
500R,11.10mm
1000R,11.88mmで、
500R以上の照射群でやや成長の遅れがみられた。
2000R照射群で最後まで生き残ったのは2尾で、
その尾叉長は14.0mmと13.5mmであった。



昭和51年 トリチウム水の魚卵発生に及ぼす影響
環境衛生研究部(市川竜資、須山一兵)

<目的及び経過>
これまでトリチウム水中での淡水産魚卵および海産魚卵の発生実験を行い、
形態的変化の検出に重点を置いて検討した。
今年度から、トリチウムによる生理的変化の検知を目的とし、
発生中の魚卵の水中からの物質吸収度をトリチウムの濃度別に比較する試みを開始した。

<内容及び成果>
今年度は、予備実験として、カルシウムのメダカ卵への取り込みを45Caをトレーサーとして測定した。
産卵当日のメダカ卵を45Caを10マイナス2乗および1μCi/ml濃度で含む水中で飼育し、
1,2,3,5,7,9日目にサンプリングし、
赤外線ランプ下で乾燥後、GMカウンタでその放射能を測定した。
9日目に検出された放射能の40~60%が24時間で観察され、その後の増加は緩慢であった。

短時間での取り込みをみるために、
飼育開始後5,10,30および60分後にサンプリングし、直ちに測定を行い、
急速かつ直線的な放射能計算値の増加を観察した。

24時間後に検出される放射能計測値の約50%が1時間で観測されたが、
これは急速な表面吸着が起こるためと考えられる。
しかし、9日目に未孵化の卵を洗滌後、清浄水に移し、
その後24時間で孵化した稚魚から9日目の卵と同程度の放射能が計測された事は
単に吸着だけでなく、卵膜を通しての吸収が進行していることを示唆しているものと考えられる。



昭和52年 トリチウム水の魚卵発生に及ぼす影響
環境衛生部(市川竜資、須山一兵)

<目的及び経過>
これまでトリチウム水中での淡水産魚卵および海産魚卵の発生実験を行い、
形態的影響の検出に重点を置いて検討した。
今年度は、トリチウム水中で発生させたメダカ卵の発生初期における染色体異常の頻度を求めた。
また、γ線断続照射したメダカ卵についても染色体異常頻度を求め、両データを比較した。

<内容及び成果>
受精直後のメダカ(Oryzias latipes)卵をトリチウム(0~10Cile)を含む水中で飼育した(25℃)。
処理開始後約8時間で卵を押しつぶし、醋酸オルセインで染色して、染色体異常を観察した。
観察した時のメダカ卵の発生段階は胞胚初期ないし胞胚後期にあった。
染色体異常として細胞分裂後期及び末期にみられる染色体橋の形成をとりあげ、
分裂後、末期にある細胞数に対する割合をもって示した。
また、受精直後のメダカ卵を137Cs(セシウム137)および60Co-r(コバルト60)線源を用いて
8時間連続照射し、
トリチウム水中飼育卵と同様の処理を行い、染色体異常頻度を求めた。
結果を下表にまとめて示す。
2013100119.jpg



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10.04
Fri
放射線医学総合研究所資料集より



昭和48年 トリチウムの植物―動物系における動向
環境衛生研究部(新井清彦、楠田義彦)

原子力施設からの排出トリチウムによる、被ばく線量推定の基礎的資料として、
トリチウムの(発生源→大気→水→植物→動物→人)連鎖中で、
トリチウム水その他のトリチウム化合物の可食植物への同化固定、
ならびにトリチウム標議飼料よりの動物体内での代謝と分布を知る事、
すなわち、トリチウムの食物連鎖を実験室的規模で解明する事を目的として、
ミズワラビを用いたトリチウム水同化実験と、マウスを用いた動物実験とを行った。

(2)動物系
動物実験としては、C57BL系マウスを用い、飲料水や食物よりのトリチウムの挙動を観察した。
マウスに摂取させるトリチウム源としては、
トリチウム水とトリチウム水にて栽培して得られたトリチウム標識化水稲と麦を用いた。
トリチウム投与は2日間行い、以後5,10、20,30日目に頚静脈より採血後臓器試料の採取を行った。
測定はまず、組織の水分を抽出分離し、残りの試料をさらに自動燃焼法にて処理し、
両者のトリチウム濃度分布を調べた。
得られた結果の一部として、尿中のトリチウム濃度変化を示すと、
トリチウム水等よくでは、減衰が非常に早く10日目→20日目の半減期が約5日であるが、
トリチウム標識化米・麦投与区では、減衰が遅く、半減期は約10日と長くなっている。

これは投与されるトリチウム源の化学形の相違により、
マウス体内におけるトリチウムの挙動の異なることを示しており、
トリチウム食物連鎖の研究上重要な問題点を示しているものと考えられる。



49年 トリチウムの植物―動物系における動向
環境衛生研究部(新井清彦、武田洋、楠田義彦)

前年度までの研究により、トリチウム水の植物体内への接種と分布について、
またトリチウム水およびトリチウム標識化餌料の動物体内への移行についての予備実験を行ったが、
これらの結果を基礎としてさらに詳細な研究を進めた。
また植物におけるトリチウムの動向を追求し、同時にトリチウム標識化餌料をうる目的で
「トリチウム用簡易ファイトトロン」を設計した。

トリチウム水飼育のマウスのトリチウム分布
トリチウム水による被爆線量推定の基礎資料をうるために、
C57BL系マウスを用いて、飲料水中にトリチウムを混入し、
2日間吸飲の状態で経口連続投与し、以後経日的に採取し、マウスにおけるトリチウム代謝を追求した。

マウスは16週令、平均体重30gのものを用い、
マウスケージに2~5匹を入れ、固形飼料を与えて飼育し、
給水は2日間0.1mCi/mlのトリチウム水の自由吸飲によった。
平均吸飲量は3.5~4ml/日/匹であった。

以後普通に飼育したが、尿はエーテル麻酔下マイクロピペットにて10μℓを採取し、
定法通り液体シンチレーション法でトリチウム濃度を測定した。
トリチウム水投与後の22日間は排尿水中のトリチウム半減期は2.4±0.2日で、
トリチウム濃度と経過時間との相関は明瞭であった。

22日以降はさらに長い半減期の因子が含まれていることが判明したが、
70日で実験を中断したので、その半減期の正確な値はつかめなかった。

しかし、一般に言われているように12~13日であるとすると、
投与直後の全トリチウム量に対するこの成分の寄与率は1/800であった。

[研究発表]
新井、武田、楠田:「THO飼育マウスのT分布」、日本放射線影響学会(第17回大会)徳島市




50年 トリチウムの植物―動物系における動向
環境衛生研究部(新井清彦、武田洋、楠田義彦)


(2)動物系
<目的>
トリチウムへ低エネルギー、短飛程のβ放射体であるから、生体内での存在部位や化学形態によって
その生物学的影響はかなり異なるものと思われる。
そこで、トリチウム(T)汚染源として、最も可能性のあるトリチウム水(HTO)をラットに投与し、
生体内でのトリチウムの代謝とその体内分布について研究を行った。

<経過>
Wister系ラット(オス)に、体重g当たり0.5μCiのトリチウム水を投与し、
その後30日間経日的に各組織中のトリチウム活性を測定した。
なお、トリチウム活性は、組織中に存在する全トリチウム(組織結合性トリチウム)に分けて測定を行った。

<成果>
経口投与後、数時間でトリチウムは全身にほぼ一様に拡散分布し、
各組織でのトリチウム濃度の僅かの差は、その組織の含水量に比例していることが分かった。

またその排泄パターンは、どの組織も2つの指数関数の和として表され、
第1成分は約2.5日、第2成分は約7.5日の半減期であった。

一方、組織結合性トリチウムは、相対的にその排泄が遅く
各組織において、かなり異なる取り込み及び排泄パターンがみられた。
これは各組織でその組織成分の代謝回転速度に差があるためであろうと考えられる。
この組織結合性トリチウムの量は、全投与量からすれば僅かなものであるが、
一旦組織に結合したトリチウムは一定の部位で長期間の連続的な被ばく線源となるので、
その影響は注目すべきであろう。

今後は、この組織結合性トリチウムが
いかなる有機物へとのようなメカニズムにより取り込まれるかについて研究を進めたい。

<研究発表>
武田、新井、楠田:日本薬学会(96年会)、名古屋市(1976.4)



51年 トリチウムの植物―動物系における動向
環境衛生研究部(楠田義彦、新井清彦、武田洋、稲葉次郎)

(2)動物系
<目的>
トリチウムのラット生体内挙動についての一連の研究において、
これまでに水の形(トリチウム水HTO)で摂取したトリチウムは
大半が約3.5日の生物学的半減期ですみやかに排泄されるが、
その一部は結合性トリチウムの形で相対的に長く生体内にとどまることを明らかにした。


今回はこの結合トリチウムについて各組織間での比較検討を行い、
さらに組織中トリチウムに対する結合性トリチウムの量的関係並びに線量寄与率について研究を行った。
また、トリチウム水の体内挙動における年齢依存性についても調べた。

<経過>
Wistar系ラット(雄。2.5~3.0ヶ月令)に体重gあたり6.0μCiのトリチウム水を経口投与し、
その後経日的に10コの組織を取り出し、組織中全トリチウム濃度と組織結合性トリチウム濃度を測定した。
また年齢依存性の実験には生後1日、10日、25日、60日、120日および300日令のラットを使用し
経日的に尿中トリチウム濃度、5コの組織の組織水分中濃度と組織結合性トリチウム濃度を測定した。


<成果>
組織結合トリチウムは、各組織でかなり異なる取り込み及び排泄様式がみられた。
その濃度は、初期に肝臓や小腸で高く、筋肉や脂肪組織で低い値を示したが、
これは20日前後において逆転し、最終的に高いトリチウム残留がみられたのは
脂肪組織、脳、筋肉であった。


全体的には、取り込みが高い組織ほど排泄は早く、
取り込みが低い組織ほど排泄は遅いという傾向がみられた。

次に、この結合性トリチウムの中で占める割合を経時的に調べると、
1日目には1~5%程度であるが、40日後には60~80%となり、
トリチウム水投与後後期の体内トリチウムは大半が結合性として存在していることが判明した。

また、結合性トリチウムからの全被爆線量に対する寄与率を求めると、
脂肪組織を除けばすべて10%以内であり、線量的にはそれほど大きな値は示さなかった・

トリチウム体内挙動の年齢依存性に関しては、次のような結果を得た。
尿中排泄から推定したトリチウムの生物学的半減期
幼若な動物ほど短く、年齢の増加とともに長くなる。
ただし、哺乳児では例外的に離乳児よりも若干長い生物学的半減期を示した。

また各臓器ともに組織水分中トリチウム濃度に比べて組織結合性トリチウムの相対的濃度が
幼若ラットほどすみやかに高くなることが分かった。
なお、組織中水分含有量は幼若なものほど大きい傾向にあるが、
睾丸では成熟ラットのそれが幼若ラットのそれより遥かに低い値を示した。

[研究発表]
武田、新井、楠田:日本薬学会大96年会、名古屋(1976.4)
武田、新井、楠田:日本放射線影響学会第19回大会 広島(1976.10)
稲葉、西村、武田、楠田、市川:日本放射線影響学会第19回大会 広島(1976.10)
稲葉、西村、武田、楠田、市川:日本保険物理学会第12回大会 東京(1977.2)
新井、武田、楠田:日本放射線影響学会19回大会 広島(1976.10)




52年 トリチウムの植物―動物系における動向


(2)動物系
<目的>
トリチウム水として摂取したトリチウムは、
生体内でその一部が各種の組織構成成分へ同化固定され、結合性トリチウムとなることが知られている。

われわれは、これまでの一連の研究の結果から、組織成分へのトリチウムの取り込み及び排泄が、
その組織の代謝活性度及び代謝回転速度に依存することを示唆した。

特に肝臓のように代謝的に活性な組織では、
初期におけるトリチウムの取り込みは他の組織より相対的に高く、一方、排泄は早いという結果を得た。

今回はトリチウム水から組織成分へのトリチウムの取り込みおよび排泄の機序を解明する目的で、
この肝組織を生化学的に分画し、画分画へのトリチウム分布とその経時変化について調べた。
また、肝組織の特定成分として、
かなりの量を占めるグリコーゲンへのトリチウムの取り込みについても調べた。


<経過>
Wistar系ラット(雄2.5~3.0ヶ月令)に体重ℓ当たり6.0μCiのトリチウム水を経口投与し、
その後経時的に䗪殺し、取り出した肝組織を液体窒素で凍結乾燥後、
Schneider法(変法)にて、冷PCA溶性画分、エタノール、エータル溶性画分、
熱PCA溶性画分、アルカリ溶性画分へ分離し、
各画分中のトリチウム放射活性を、直接あるいは燃焼法で処理した後、
乳化シンチレ―タを加え、液体シンチレーション計測法により測定した。
また、
肝組織から三塩化酢酸抽出法によって抽出精製したグリコーゲン中のトリチウム放射活性も同時に測定した。


<成果>
各画分中における結合性トリチウムの占める割合を求めると、
低分子化合物画分である冷PCA溶性画分は、1日目に65%と、かなり高い値を示した。
しかし50日目には23%へ減少した。
一方その他の画分(高分子化合物画分)では、経時的に増加する傾向がみられ、
特に核酸画分である熱PCA溶性画分は、1日目に3.1%であったものが
50日目には15%へ増加した。
図1には低分子化合物画分と高分子化合物中のトリチウム量の経時変化を示した。
2013100118.jpg

これらの結果から次の3つの可能性が示唆された。
1)トリチウム水から組織結合性トリチウムへの移行が、
  まず低分子化合物で起こり、このトリチウム結合物質が高分子化する。
2)低分子化合物に比べ高分子化合物の方が、相対的にその代謝回転速度が遅い。
3)トリチウムと織成組分との結合が、低分子化合物に比べ高分子化合物の方がより安定である。

また、グリコーゲン結合性トリチウムの比放射能(DPM/mg glycogen)は、
全乾燥試料中トリチウムの比放射能(DPM/mg drytissue)に比べ幾分低く、
蛋白質画分であるアルカリ溶性画分中トリチウムの比放射能(DPM/mgdry protein )とも、
ほとんど差が認められず、
かならずしもグリコーゲンが肝組織のトリチウム残留に寄与しているのではないという結果を得た。

[研究発表]
武田、新井、楠田、清水:日本放射線影響学会第20回大会 仙台(1977.10)





comment 2
10.04
Fri
トリチウム

<トリチウム>
「福島から海に投棄された汚染水が含まれている放射性物質が
雨になって再び陸に戻ってくる可能性はあるんでしょうか?」

<一部抜粋>
小出:
たとえば流されている放射能の中にはトリチウムという名前の放射能があります
それはいわゆる水素なのです
放射能をもった水素なのですがこれも海に流れているはずで
環境に出ると水の形になりますH2Oという形ですね
そういう形になりますので
海水が蒸発して雲になればそれがまた雨になって落ちてくるということですので
もちろん循環して陸にも戻ってきます

「このトリチウムによって汚染された海産物というのは、当然口に入れてはならない」
平智之氏5/13【ペイフォワード環境情報教室】

<一部抜粋>
このトリチウムによって汚染された海産物というのは、当然口に入れてはならないと。
それからもうひとつ、私がさっき申し上げたように
炉から流れてきている結果トリチウムと一緒に金属元素も流れてきているのであれば、
これらは当然体内に蓄積をいたしますから、海産物を含め、
その全ての植物にですね、あるいは水生物に影響を与えます
から、
この事に対してはやっぱり相当国はしっかりと公表をして、国民に知らしめる義務があるんですけれどもね。
一切その事を報道しないですね。
私は大変危険だと思っていますね。


たねまきJ「トリチウム・雪・福島講演」小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)2/2
<一部抜粋>
藤田:トリチウムというのはかなりの有毒物質であるという事は間違いがないんですよね。
小出:
放射性物質というのは山ほどあるのですけれども、
放射性物質の中の毒性でいうとあまり高くはないのです。
ただし、他の放射性物質は閉じ込める技術がさまざまにあるのですけれども、
トリチウムは水素ですので、水になってしまう。
そうすると、もう、水の中からいくら放射性物質を取り除いて、綺麗にしたつもりでも、
水そのものが、要するにトリチウムで汚れているわけですから、
閉じ込めようがないのです。
ですから、六ヶ所再処理工場というのが、今、動くか動かないかの瀬戸際にあるのですけれども、
トリチウムに関する限りは、全量放出するという事になります。

千葉:うわぁ~

「地下水は山から海へ流れると普通は考えるが、ずっと調べてきた人たちの意見はそうじゃない」
広瀬隆氏(文字起こし)

<一部抜粋>
そして、いままで一度も言っていないんですが、
プールされていた放射能の中で、トリチウムというのがあります。
これは水素なんです、放射性の水素なんです。
だから水ですよね。

水素と酸素で水が出来るわけですから、水の中に放射性のトリチウムというものがどんどん入っている。
誰も言っていません。
これはベータ線を出すんでカウンターで誰も測れませんから。
そしてそれを防ぐ事が出来ない


<それは平常時放出量の半分以下>
2011年5月~2013年7月までに出たとされるトリチウムの量は最低で10兆ベクレル。
8/2(東京電力記者会見文字起こし)

尾野:
仮に2011年の5月から今年の7月までの枠で積算を行ったと。
これは保守的な仮定ですが行ったとすると、
10兆ベクレルのオーダーということになります。
これは、福島第一原子力発電所の平常時のトリチウム放出量というものが、
やはり年間で10兆オーダーという事ですので、
ほぼそれと同程度レベルの放出量という事になります。


松井:
そうすると、年間でそうですから、今回は2年以上かかっている訳ですから、
年間の割合ですると半分以下というオーダー?

尾野:そうですね。オーダー感としてはそのようなオーダー感になります。

TBS:トリチウムなんですけど、これ、平時でもこれだけ出ているんですか?

尾野:
通常の発電所の運営の中で、どうしても放出されてしまうものというのがございます、
トリチウムにつきましては法令の上限という事は御座いません


たねまきJ
「福一4号機解体による粉じん・伊方原発再稼働の懸念・六ヶ所村再処理工場から放出される放射能」
小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)7/12

<一部抜粋>
千葉:
六ヶ所再処理工場から放出される放射能の量を調べてみて驚いております。
なんと、年間で大気中にクリプトン85というのが、33京ベクレル。
トリチウム、炭素、ヨウ素、セシウムなどなどが出ていると推定されております。
これらの放出量は生物に対して何の影響もないのでしょうか?

小出:
もちろん影響はあります。
ありますけれども、クリプトン85、炭素14、トリチウムというような放射性物質は、
捕捉しようとするとなかなか手間がかかるというそういう放射性物質でして、
六ヶ所再処理工場はそれらを何の手だても取らずに全量放出するとしています。
ですから大量に出てしまうということになっているのです。
で、今ご指摘がありましたけれども33京ベクレルという量を六ヶ所再処理工場は出すと言っています。


たねまきJ「トリチウム・雪・福島講演」小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)2/2
<一部抜粋>

小出:
そのために核融合が出来れば「クリーン」だと言ってきたのですね。
ところがその核融合というのは、実はトリチウムを燃料にするんです。
自然界にあったものの何百倍というようなもののトリチウムを、
毎年毎年、燃料に使うという様な技術が核融合という技術でして、
なんか、皆さんは夢のエネルギー源だと思われているかもしれませんけれども、
そんな事をやったら、もう、地球が放射能まみれになってしまうと私危惧してきました。


千葉:えっ、じゃ核融合をやるためには大量のトリチウムを作らなければいけない訳ですよね。
小出:そうです。それが燃料なんです。
千葉:ええええぇぇぇ!!!
まず、そのトリチウムありきで核融合が行われるということなんですね。

小出:
まずは、てんかする前にはトリチウムを集めておかなければいけませんし、
一度核融合をてんかした後は自分でトリチウムをどんどん、どんどん生み出しながら、
それを燃料にするという、そういうシステムにしなければいけないのですが、
水素というのは閉じ込める事が大変難しいので、多分大量に漏れてくる事になりますし、
核融合という事をやれば、トリチウムが最大の放射能の被ばく源になるだろうと私は思います。

千葉:そうですよね、環境に出たら水と同じだから回収する事は全然出来ないという事なんですものね。

小出:そうです、はい。

藤田:トリチウムというのはかなりの有毒物質であるという事は間違いがないんですよね。

小出:
放射性物質というのは山ほどあるのですけれども、
放射性物質の中の毒性でいうとあまり高くはないのです。
ただし、他の放射性物質は閉じ込める技術がさまざまにあるのですけれども、
トリチウムは水素ですので、水になってしまう。
そうすると、もう、水の中からいくら放射性物質を取り除いて、綺麗にしたつもりでも、
水そのものが、要するにトリチウムで汚れているわけですから、
閉じ込めようがないのです。
ですから、六ヶ所再処理工場というのが、今、動くか動かないかの瀬戸際にあるのですけれども、
トリチウムに関する限りは、全量放出するという事になります。


千葉:うわぁ~




核融合「D-D実験」ってなぁに?岐阜で実験開始!パブリックコメント受付中

(4)トリチウムと中性子の発生量について
1 D-D実験によるトリチウムの年間最大発生量を1.5キュリー以内に抑制するとした理由について
調停委員会の場において、申請人側の
「(受忍量として)中性子及びトリチウムの発生量を計画の10分の1まで下げる。
または、現在の日本原子力研究所での発生量を超えない範囲ということを検討している」との意見を踏まえ、
研究所においてこれを基準として検討することとなり、真摯な検討の結果、以下の工夫により、
日本原子力研究所のJT60並の基準をクリアできると判断し、当初計画を譲歩して受諾しました。
即ち、10キュリーを予定していた最終年の実験を3年間に分けて行えば、
実験結果を入念に解析して解析結果を次年度の実験計画に活かせること、
また、中性重水素粒子入射加熱装置運用の短期集中化を図ること等によって、
当初計画と同等な成果が得られると判断したためです。

トリチウムの年間平均生成量について
調停案に従って、最初の6年間のトリチウムの年間最大発生量は1キュリー、
中性子は2.1×1019個以内で、
残り3年間の年間最大発生量は1.5キュリー、
中性子は3.2×1019個以内となるように実験を行う予定です。

捕集できなかったトリチウムは、水の形態で空気中に放出されるため、排水には含まれない。
捕集されなかったトリチウムは
研究所の管理値 0.0002 Bq/cm3 3ヶ月平均(法令値:0.005 Bq/cm33ヶ月平均)以下であることを確認の上、
排気塔から放出される。

トリチウムの除去方法 
トリチウムの回収率95% 



坂本龍一が語る環境問題。六ヶ所村(内容書き出し)
その工場からは
普通の原発の一年で出すくらいの放射能が一日で出てきちゃうんです
それを高い煙突、わざわざ高いの作って出しちゃう
それから、青森の沖の海に4Kのパイプを作って海に流しちゃう。太平洋に

でも、結局さ
このぼくたちの地球なんて惑星は
大気は循環しているし水も循環してるから
どこに出したって全部まわっちゃうんだよね



<参考>六ヶ所再処理工場から放出されるトリチウムの量
放出される放射性物質ベクレル/年
2013100511.jpg



東京電力福島第一原子力発電所にあるトリチウムの濃度

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10.04
Fri
放射線医学総合研究所資料集より



昭和48年 トリチウムの植物―動物系における動向
環境衛生研究部(新井清彦、楠田義彦)

原子力施設からの排出トリチウムによる、被ばく線量推定の基礎的資料として、
トリチウムの(発生源→大気→水→植物→動物→人)連鎖中で、
トリチウム水その他のトリチウム化合物の可食植物への同化固定、
ならびにトリチウム標議飼料よりの動物体内での代謝と分布を知る事、
すなわち、トリチウムの食物連鎖を実験室的規模で解明する事を目的として、
ミズワラビを用いたトリチウム水同化実験と、マウスを用いた動物実験とを行った。

(1)植物系
ミズワラビ葉片を用いて、培養トリチウム水よりのトリチウム吸収同化を経時的に測定し、
さらに明暗ふたつの光条件下で比較して、ミズワラビ中のトリチウム濃度分布と光合成条件との関係を追及し、
これらの間に密接な関係がある事を確かめた。
すなわち、明所培養区では、経過した夜間を除いて補正すると、
24時間までは時間に比例してトリチウム濃度が上昇している。
暗所培養区では明所区の1/6位の低濃度ではあるが、分布が認められるのは、
光合成以外にもトリチウムの取り込みがあることを示している。
さらに明所培養後、1時間水道水中にて培養し、測定したものは、
明所培養区と少し異なり、比例的な上昇が示されない。
これは夜間の生活現象により、同化生産物が変化して、異化されにくい物質に変化したため、
水道水に付けた時、流出するトリチウム量が異なったものと考えられる。


昭和49年 トリチウムの植物―動物系における動向
環境衛生研究部(新井清彦、武田洋、楠田義彦)

前年度までの研究により、トリチウム水の植物体内への接種と分布について、
またトリチウム水およびトリチウム標識化餌料の動物体内への移行についての予備実験を行ったが、
これらの結果を基礎としてさらに詳細な研究を進めた。
また植物におけるトリチウムの動向を追求し、同時にトリチウム標識化餌料をうる目的で
「トリチウム用簡易ファイトトロン」を設計した。

トリチウム用簡易ファイトトロン
既記の目的で設計し、RⅠ温室内に設置した。
従来トリチウム水により植物を栽培する場合、太陽光下でトリチウムを使用する施設がなかったので、
植物を材料とする実験が困難であった。

ことに蒸散するトリチウム蒸気の処理に問題があるが、
本装置は冷却凝縮によって一応簡単であるが密開型式をとった。
すなわち本装置は、コイトトロンS102W特殊型を基本とし、
トリチウム水使用に適するよう冷却トラップを付設したもので下記の性能を具備している。

本体は80×10×150(h)cm、北面に50×150cmの扉がある。
温度範囲:10℃~35℃±2℃(昼夜温度切換装置付)、
湿度範囲:55~75±7%(加湿制御付)、
測温体および検出用端子を有し、10mV記録計、
トリチウム用排気冷却トラップ(低温除湿型0.4kW冷凍機使用)を付属する。


昭和50年 トリチウムの植物―動物系における動向
環境衛生研究部(新井清彦、武田洋、楠田義彦)

(1)植物系
<目的>
トリチウム水の植物体内への摂取と分布について調べた結果、
部位によりトリチウム水からのトリチウム摂取量が異なることが判明したので、
今年度は同一組織が生育時期による生理状態の差異により、
トリチウム水からのトリチウム摂取量の差を観察することを目的とした。

<経過>
発芽後13日目と登熟期の水稲を用い、トリチウム用簡易ファイトトロン内にて、
17μCi/mlのトリチウム水で培養し、
以後経時的に試料を採取し、水分と乾燥組織とに分離し、乾燥組織は自動燃焼装置により処理して、
いずれも液体シンチレーション法を用いてトリチウム濃度を測定した。

<成果>
発芽13日後の苗について、トリチウム水投与24時間後の乾燥組織試料中のトリチウム濃度は
茎葉と根部に高く、胚乳は低かったが、
不発芽胚乳とモミガラにはほとんど摂取が見られなかった。

これは生育部に同化生産物が集積される一方、胚乳は生育部に養分を補給中であることを示している。

登熟期の試料においては、
胚乳武運に高濃度のトリチウム分布が見られ、葉部はこれに比べて低濃度であった。
これは同化生産物の蓄積が胚乳に集中していることを示す。

このように同じ水稲の胚乳でも、発芽期と登熟期では生理的状態が異なるので、
トリチウム食物連鎖を考える時、
植物の同じ部位でもその個体が生育時期のいずれの時点にあるかを把握しなければ、
トリチウムの摂取を正しく推定できないと結論できよう。


[研究発表]
新井、武田、楠田:日本放射線影響学会第18回大会 東京工大(1975.10)





昭和51年 トリチウムの植物―動物系における動向

(1)植物系
環境衛生研究部(楠田義彦、新井清彦、武田洋、稲葉次郎)

<目的>
食物連鎖におけるトリチウム(T)の動向を追求する時、
植物体内へのトリチウムの取り込みの主要な形は、トリチウム水(HTO)と考える。
しかし、トリチウム水には液体だけではなく、気体である水蒸気としての行動もある
今年は、水蒸気の形態のトリチウムがどの程度植物体内に摂取されるかを、研究の主目的とし、
同時に前年に引き続いて、生育時期と組織によるトリチウムの摂取量の違いを観察した。

<経過>
発芽後45日間、1/5000アールのワグナーポットに3本ずつ育成した大豆苗を、
トリチウム用簡易ファイトトロン内に2鉢設置した。
その1鉢に、20mCi/500ml/potのトリチウム水を投与培養し、
他方は普通水(HHO)にて培養して、空気中の水蒸気を通してのトリチウムの移行と、
直接トリチウム水を投与した場合とを比較した。
また、同様の実験を時期を変えて3回行い、時期による差を観察した。

経時的に採取した試料は、水分と乾燥組織とに分離し、
乾燥組織は自動燃焼装置により処理して、いずれも液体シンチレーション測定法を用いて、
トリチウム濃度を測定した。

<成果>
発芽後45日目の大豆苗において、
空気中のトリチウム水蒸気を通して、植物体内にトリチウムが吸収同化されることが判明した。

大豆苗を設置したファイトトロン内の、空気中に含まれる水蒸気中の濃度に比べ、
組織水(遊離水)中のトリチウム濃度は、投与1日後で、約3.5/1であった。

これはかなりの量のトリチウムが水蒸気を通じて植物体内に摂取されることを示し、
水蒸気によるトリチウムの吸収同化が、無視し得ないことの知見を得た。


また、時期別・組織別によるトリチウムの摂取量には、
葉部と種子部で違いがみられた。
特に種子部では、光合成同化生産物の転流蓄積期である登熟期において、
はげしいトリチウムの摂取がみられ、その前後においては少ないことが判明した。



昭和52年 トリチウムの植物―動物系における動向
(1)植物系 (新井清彦)

<目的>
植物体内へのトリチウムの取り込みの主要な形はトリチウム水であるが、
トリチウム水水蒸気の形態による摂取量も無視できない

今年は、トリチウム水蒸気の摂取量が、植物及び環境条件の変化に対して、どのように対応するか
空気中湿度と摂取量の関係及び、植物の状態、特に葉中含水量の影響を研究した。

<経過>
発芽後60日間、屋外で1/5000アールポットに、3本ずつ栽培した大豆を、
トリチウム用簡易ファイトトロン(内容積約1700ℓ)内に3鉢ずつ設置し、
その1鉢に10mc/300mlのトリチウム水を投与して、トリチウム水蒸気を発生させた。
栽培条件は、昼温27℃、夜温23℃、自然光線とし、
水分条件を変えた他の2鉢について、水蒸気を経由するトリチウムの摂取量を測定した。

この実験条件で、高湿度(90%以上)と低湿度(50%)の2回おこない、湿度の影響を比較した。

トリチウム発生後一定時間後に試料葉片を採取し、直ちに凍結乾燥法で、組織中の水分を分離捕集し、
親水性シンチレ―タを加え、液体シンチレーション法でトリチウム濃度を測定した。
乾燥試料は自動燃焼法を併用し、同様に測定し、組織結合性トリチウム濃度の値を得た。

<成果>
葉片水分中のトリチウム濃度測定値より、湿度90%以上の加湿状態空気中では、
大豆葉面よりのトリチウム吸収力はかなり強いものが認められた。
特に、鉢内水分を調整して、葉柄が下垂状態になるまで乾燥状態にした大豆は、
湿度90%以上で5時間栽培すると、葉柄の垂下が回復するのが認められた。
これは切り取った葉片による予試験から、大豆葉面による水分吸収力が非常に大きいことが認められたが、
この吸水力の作用が大きな原因と考えられる。

空気中水蒸気のトリチウム濃度に対する大豆葉部水分中のトリチウム濃度の割合が、
標準区の66%に対して乾燥区は72%と高い値が得られたことによっても、
葉面吸水力の大きさが、トリチウム水蒸気摂取量に大きな影響を与えていることが判明した(表1)

2013100117.jpg

自動水耕装置
52年度経費として計上された本装置は、52年度末に完成した。
本装置は、トリチウムを使用する植物系の実験材料となる植物を栽培する装置で、
同時に役立てることも目的とするのが非RI用である。
性能の大要は、5.6坪(3.25m×5.68m)のアルミ温室に
1/2000アール、ワグネルポット20個を配置し、
保持室温は夏期30℃以下、冬期5℃以上である。
目下冬期温度試験を終わり、今後、実用栽培試験と夏期温度試験を行うと同時に、
実験用植物の育成を予定している。

[研究発表]
新井、武田、楠田:日本放射線影響学会第20回大会 仙台(1977.10)





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10.02
Wed
東京電力の多核種除去装置アルプスが万が一役に立ったとしても、
そのまま全部残ってしまうのがトリチウム。

トリチウムは海へ流してもいいのか?
トリチウムは危険じゃないのか?
下記の新聞記事では
産業医科大アイソトープ研究センターの馬田敏幸副センター長(放射線生物学)は
「水素の同位体のトリチウムは全身に分散し、ストロンチウムのように骨に蓄積し残ることはない。
飲み込んだとしても、汗や尿で排出され、10日ごとにその半分が体外に出る」
環境科学技術研究所の久松俊一環境影響研究部長は
「各国でもこれまで大きな健康被害があったという報告はない」
という事で健康に影響はないと結論付けられている。
が・・本当だろうか?
このところ私はトリチウムが気になって仕方がない。


“切り札”ALPS今月下旬に再開 残留トリチウム、健康への影響少
2013.9.22 20:03 [放射能漏れ]

東京電力福島第1原発の汚染水問題で、
“切り札”となる多核種除去装置(ALPS=アルプス)が今月下旬に試験運転を再開する。
たまり続ける汚染水の抜本策としてALPSで処理した水の海洋放出が計画されているが、
放射性物質のトリチウムだけが取り除けず、地元漁業関係者が放出反対を表明している。
実はトリチウムは国内外で日常的に海へ流されており、
専門家は「健康への影響は少なく、必要以上に恐れることはない」と指摘する。(原子力取材班)

 ■1トンで2千万円

汚染水処理に期待されていたALPSは6月の試験運転中に漏水が確認され、
腐食も認められたことから運転を停止。
東電は「再発防止の確認ができた」として運転を再開する。

汚染水は1日約400トン増加し、ALPSで処理した水は海に流さざるをえないが、
地元漁協は「完全に放射性物質を除去できず、流すことは許されない」として一歩も譲らない。

トリチウムの除去は技術的には可能だ。
廃炉中の日本原子力研究開発機構の新型転換炉原型炉「ふげん」(福井県)には
1日30キロのトリチウム水を処理する小型装置があるが、
装置の費用は7億円で、1トンの処理に2千万円が必要だった。

濃度はふげんのトリチウム水の10万分の1だが、
福島第1原発に当てはめ単純計算すると、約10兆円をかけて装置を設置し、
8兆円を超える処理費用がかかることになる。

 ■汗や尿で排出

こうした現状について、富山大の松山政夫・水素同位体科学研究センター長(トリチウム科学)は
「莫大(ばくだい)な費用だけでなく、膨大な時間も必要になる処理は非現実的。
今の時点では、トリチウムの除去はできない」と話す。

トリチウムは三重水素で自然界にも存在し、
放射性セシウムやストロンチウムに比べて、人体への影響は少ない。
産業医科大アイソトープ研究センター馬田敏幸副センター長(放射線生物学)は
水素の同位体のトリチウムは全身に分散し、ストロンチウムのように骨に蓄積し残ることはない。
飲み込んだとしても、汗や尿で排出され、10日ごとにその半分が体外に出る
」と説明する。

 ■「健康被害なし」

国内ではこれまで、トリチウムを海に放出してきた。
各原発では、原子炉施設保安規定で「放出管理基準値」を独自に規定。
年間の放出量による一般公衆への影響が年間0・001ミリシーベルト未満に抑えるようにしている。

青森県六ケ所村の核燃料再処理工場では平成20年、再処理試験で出た1300テラベクレル
(テラは1兆、管理基準は1万8千テラベクレル)のトリチウムを海に放出。
希釈のため、沖合3キロまで放水口を離すなど工夫をこらした。

これに対し、福島第1原発のトリチウムの総量は、
再処理工場の半分以下である500テラベクレルと推計されている。

六ケ所村の管理基準を準用すれば、10日間で放出できる計算だ。

海外でもフランスのラ・アーグ再処理工場では年間9950テラベクレル、
英国のセラフィールド再処理工場では1390テラベクレルといった海などへの放出実績がある。

環境科学技術研究所久松俊一環境影響研究部長は
各国でもこれまで大きな健康被害があったという報告はない」と話している。

 ■トリチウム 三重水素と表記される。
あらゆる場所に存在し、雨水には1リットル当たりおよそ1ベクレルの濃度で含まれる。
放射線を放つ能力が半分になる半減期は12年
発する放射線はベータ線で、人の皮膚を貫通するエネルギーはない。
国の放出基準値は1リットル当たり6万ベクレル


ーー追記ーー

ここから先の一部分に関して、朝日新聞より
2013101316



この部分の内容は繋がりがありますので、
元記事のリンク↓
トリチウムは低濃度でも染色体異常起こす!!


ーー追記ここまでーー

ーー

この記事の研究結果がどこかにないか探してみることにした。
放射線医学総合研究所資料集を調べてみると、
トリチウムに関しての研究は昭和48年から始まっている。
上記新聞記事の中井斌氏の研究部分を見つけたので、
その部分を書き出してみた。


昭和48年
トリチウムによる染色体異常の線量効果の研究
遺伝研究部(堀雅明、中井斌)

トリチウムの内部被ばくに基づく遺伝的障害、特に人体細胞での染色体異常について、
その線量効果を知ることを目的とする。
本年度はその基礎として、
正常人の末梢血培養法及び第一分裂中期の染色体標本の作成方法を確立するとともに、
リンパ球の細胞分裂周期を知る一指標として、培養後の分裂指数を調べた。
その結果、リンパ球はPHA(2%)処理後40時間より第一分裂に入り、
その頻度は48時間で最高であった。
今後は正常人の末梢血をトリチウム水で培養前(Go)
及び培養後の異なった時期(G1期及びS期)に処理して、
染色体異常に対するトリチウム水の線量効果およびその細胞分裂周期との関係を研究するとともに、
γ線の外部照射による効果との比較検討を行う予定である。

昭和49年
トリチウムによる染色体異常の線量効果の研究
遺伝研究部(堀雅明、中井斌)

トリチウムの内部被ばくによる遺伝的効果、特に低レベルの効果を定量的に明らかにする目的で、
ヒトの培養リンパ球にとり込まれたトリチウムの効果を染色体異常を指標として分離し、
トリチウム水(THO)およびトリチウムーチミジン(3H-TdR)によって誘発される
染色体異常の型とその濃度効果を比較検討した。

培養された末梢血リンパ球と種々の濃度(10マイナス6乗μCi/10の8乗μCi/ml)で48時間処理して、
その第一分裂中期の染色体について染色体異常を解析した。

濃度のトリチウム水はトリチウムーチミジンと同様に染色体異常を誘発し、細胞分裂を阻害する。
トリチウムによって誘発される染色体異常は主として染色分体系の切断で、
その他に染色体切断、染色分体組替え、染色体組換えなどが観察された。

染色体異常の出現頻度は低濃度(10マイナス2乗μCi/ml以下)では
対照区も有意な差は認められなかったが、
高濃度では次のような濃度効果曲線を示した。

トリチウムーチミジンの場合、10マイナス2乗mCi/ml以上の濃度でY=1.03Dの0.63乗であった。
Y=細胞切断数
D=濃度、μCi/ml

トリチウム水の場合には二相性が認められ、それぞれの濃度効果曲線は
Y=0.10Dの0.14乗(10のマイナス2乗μCi/ml~5μCi/ml)、
Y=0.03Dの0.80乗(5μCi/ml以上)であった。
後者の曲線はトリチウムーチミジンの場合と同様に、one hit曲線で
トリチウムによる染色体DNAの切断を示している。
しかし、トリチウム水の染色体異常誘発効果はトリチウムーチミジンに比較して100倍程度低い。

トリチウム水の場合に得られた二相性の濃度効果曲線の機構としては次のような説明が可能である。
第一の高濃度域での効果曲線はトリチウムーチミジンの効果と同一の勾配であることなどから、
染色体DNAに取り込まれたトリチウムによる障害と考えられる。

第二の低濃度域での効果曲線については2通りの説明が考えられる
1)トリチウム水の場合、核内あるいは細胞質内に存在したフリーのトリチウムによっても障害を受ける可能性
2)細胞の修復能力がこの濃度域では障害とバランスされる。

これらの可能性を明らかにするため、今後、他種のトリチウム化合物を用いた同様の研究とともに
γ線などの微量外部照射の効果を比較検討する予定である。

[研究発表]
堀、中井:「トリチウム水によるヒト培養リンパ球における染色体異常」
日本放射線影響学会(第17回大会)徳島市(1974.10)





昭和50年
32ページ
低線量放射線による染色体異常の線量効果の研究
遺伝研究部(堀雅明、森谷純子、中井斌)

トリチウムの内部被ばくによる遺伝効果、特に低レベルの効果を定量的に明らかにする目的で
ヒトの培養リンパ球に対する種々のトリチウム標識物質の効果を染色体異常を指標として分析し、
誘発される染色体異常の型とその濃度効果を比較検討した。
前年度までの研究により、トリチウム水が主として染色分体型の異常を誘発し、
その濃度効果関係が二相性
(低濃度領域でY=0.09Dの0.12乗、高濃度域でY=0.02Dの0.95乗;
Y=細胞当たりの染色分体切断数、D=トリチウム濃度、μCi/ml)
を示すことを明らかにした。

今年度は高分子生合性のトリチウムー標識前駆物質
(トリチウムーチミジン、トリチウムーウリジン、トリチウムーロイシン)
の効果について比較検討した(第4表)

2013100115.jpg

トリチウム(³H)によって誘発される染色体異常はいずれの場合にも主として染色体分体型の切断であるが、
トリチウム水³Hーチミジンの場合に比較して有意に高い頻度で観察された。

この事は全3種の³Hー標識物質の場合にはG₀-G₂期を含めた全細胞周期を通して、
染色体DNAが損傷を受けたことを示している。
³Hーチミジンを用いた低濃度域での定量的分析によって、
³Hーチミジンの場合にもトリチウム水の場合と同様に
細胞0.1個の染色分体切断を誘発する³H濃度のところで折れ曲がる二相性の濃度効果関係
(低濃度でY=0.13Dの0.12乗、高濃度域でY=1.17Dの0.70乗)
を示すことが明らかになった(第8図)。
2013100116.jpg
濃度効果関係の二相性は染色体異常がDNA標的サイズあたりの損傷(DNA鎖切断)の数の蓄積と、
細胞自体の有する修復機能とのバランスの結果として生じることを示すものと考える。
この現象がトリチウムの内部被ばく(とくに連続照射)に特有のものであるかどうかを確かめるために、
今後ベータ線などの微量外部照射(急および緩照射)の効果と比較検討する予定である。

[研究発表]
堀、中井:日本放射線影響学会第18回大会 東京(1975.10)






昭和51年 
17ページ
低レベル放射線の人体に対する危険度の推定に関する研究
概況(18ページ)
また、前年までの人の末梢血を用いたトリチウムの内部照射の研究から、
その線量効果は線量域で折れ曲がる二相性を有することが明らかにされた。
本年はγ線の外部照射による比較研究を行い、その線量効果は二相性を示さないことがほぼ明らかとなった。
この結果は二相性の線量効果がトリチウム特有のものであることが示唆されるが、
一方緩照射に基づく修復の関与の可能性も残っており、今後の解明が望まれる。

25ページ
低線量放射線による染色体異常の線量効果の研究
遺伝研究部(堀雅明、森谷順子、中井斌)

トリチウムの内部被ばくによる遺伝的危険度を明らかにする目的で、
ヒトの培養リンパ球に誘発される染色体異常についての定量的研究を行っている。
前年度までの研究成果によって、トリチウム水は主として染色分体型の異常を誘発し、
その濃度効果が二相性を有することを明らかにした。
特に低濃度の領域において、誘発効果が約1/10ヒットに相当するゆるい勾配を示すことは、
一般的に低レベルの放射線の遺伝的危険度と遺伝効果の機構を考察する上で重要な問題を提起する。
今年度はこの現象がトリチウムの内部照射(急及び緩照射)の効果について研究を行った(第7図)
2013100114.jpg
(1)急照射:G₁期の照射では染色体系の異常が誘発され
その頻度はY=1.38D+5.81D²にしたがって増加し、染色分体型の異常は対照区と変わらない。
S期の照射(S期75%、G₂期25%)では染色分体型の異常は増加しない。

(2)緩照射:全細胞周期を通じての48時間連続照射では、
染色体系、染色分体型の双方の異常が誘発され、
染色分体型の異常は25R以上で線量にしたがって増加する。

以上の結果は、γ線の外部照射の急及び緩照射のいずれによっても、
15R以上の線量範囲においては
トリチウムの内部照射にみられた染色分体接続頻度の二相性は認められなかった。
このことはトリチウムの実験で示された二相性が、
トリチウム特有の遺伝損傷に基づく現象であることを一面示唆するが、
なおS期緩照射の修復に基づく可能性も残されており、この両者の可能性について今後十分の検討を加えたい。

[研究発表]
堀、中井:日本放射線影響学会第19回大会 広島(1976.10)


ーー



昭和52年、53年は
「トリチウム(低線量放射線)による染色体異常の線量効果の研究」は見つけられなかったので、
昭和50年までの書き出しです。
新聞記事になっているのは昭和49年の部分。

東京電力福島げ第一原子力発電所からは相変わらず高濃度のトリチウムが計測され続けている。

福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果
福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(H4エリア周辺)
2013100120.jpg

台風の大雨で流された後、少し数値が減ったが、すぐに戻り、今は高い水中を維持したままです。






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