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現実のノーム・チョムスキー(要点と補足)

ヴァネッサ・ビーリィ氏の記事の要点(予備知識の無い方向けに若干補足した)。名著『マニュファクチャリング・コンセント』の共著者である著名な反体制派知識人であるノーム・チョムスキー氏は、実際の発言を見てみると、寧ろ「合意の捏造」に加担し帝国のプロパガンダを拡散する体制派知識人としか思えないことも多い場合も多いことを指摘している。私はチョムスキーの反体制派としての業績を尊敬しているし、「彼はこんなことも言っているから彼の言うことは全部ダメだ」みたいなキャンセル文化には与したくないのだが、改めて振り返ってみると、確かに言行不一致が酷い様に思う。以下に挙げるのはその具体例。チョムスキーは所謂「陰謀論」に括られてしまう様なテーマやフェイクニュースについては、公式の嘘を支持する傾向が強い様だ。
The Real Noam Chomsky

 ・チョムスキーはイスラエルの指導部を時々批判してはいるが、最終的にイスラエルの好戦的なアパルトヘイト国家の存在を支持している。

 • チョムスキーはパレスチナの人権や主権を守る為にイスラエルに対して経済的・政治的な圧力を掛ける世界的な非暴力キャンペーンであるBDS(ボイコット、投資引き揚げ、制裁)運動に反対している。

 • チョムスキーは旧ユーゴスラヴィア連邦に対する米国/NATO攻撃を支持した(爆撃の口実とされた人道危機は捏造されたものだ)。

 • チョムスキーは西側の軍事介入がリビアでのジェノサイドを防ぐ唯一の方法であると述べ、「飛行禁止区域」とそれに続くリビアの破壊を唱導した(ここでもまた爆撃の口実とされた人道危機は捏造されたものだ)。

 ・チョムスキーは度々シリアのアサド大統領を非道な独裁者と呼んで彼を強制排除する必要性を訴えており、違法な米軍の駐留を支持している(この「独裁者」はアラブ世界では最も民衆の支持の高い政治指導者で、正当な選挙の結果大統領に就任した。アサド政権打倒のみを掲げる「穏健な反体制派」の中身はアル=カイダやISIS等の西側が支援するテロリストだ)。

 ・チョムスキーは、米国主導のウクライナでのクーデターを支持した(その結果ウクライナはナチの天下になった)。

 ・チョムスキーは2008年、2012年、2016年、2020年に戦犯の大統領候補(オバマ、ヒラリー、バイデン)を公然と支持した。

 • チョムスキーは9.11に関するブッシュ政権による公式の説明に完全に同意しており、この歴史的事件の真犯人が誰かなど「誰が気にしますか?」とバカにしている。

 • チョムスキーは軍事産業複合体やCIAと密接な関係を持つエリート主義の大学であるMITで学者としてのキャリアを積み、そこで働いている。

 • チョムスキーは自分のことをを「アナルコ・サンディカリスト」と定義しているが、連邦準備制度の存在を擁護しており、彼が嘆いている米国と第三世界の貧困の拡散に対してFRBが果たしている役割を批判していない(従って彼の影響を受けた殆どの左派活動家達は、民間の銀行カルテルが果たしている役割に気付いていない)。

 • チョムスキーは、パレスチナ人ディアスポラが帰還する権利(国際法で定められた基本的人権)に反対している。

 ・チョムスキーはワクチン非接種者を社会から隔離するよう呼び掛け、その道徳的意義が理解出来ない人々がそれによって飢えることになることには関心を払わなかった(COVID-19ワクチンや隔離は無論感染抑止の点から言えば逆効果でしかない)。

 ・チョムスキーはパンデミックの最中に「メディケア・フォー・オール」の重要性を軽視し、それは追求はしても決して達成出来ない「キャンディー」に喩えた。



 多くの人がチョムスキーのことを「統制された反対派(controlled opposition)」「左派の門番(left gatekeeper)」と呼ぶのは理由の無いことではない。彼は「合意の捏造」を批判するその口で「合意の捏造」の手口を磨き上げることで名声を積み上げて来た、と云うのがビーリィ氏の主張で、COVID-19ワクチンの件に関しては「本格的なファシストに転向した」と酷評している。私からも2点付け加えるなら、チョムスキー氏は気候変動を最重要の問題と位置付けて緑の帝国主義者達のプロパガンダを鸚鵡返しにし、気候変動「対策」が齎す経済的ジェノサイドについては全く無関心。更にウクライナ紛争については、フェイクニュースや偏向報道満載の米帝の大手メディアの報道について「ウクライナでのロシアの犯罪を報道する上で非常に信頼出来る仕事をしています」と、一寸空いた口が塞がらなくなる様なことを言っている。彼のメディアリテラリーは一体何処へ吹き飛んでしまったのかと不思議に思う。
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川流桃桜

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