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朝鮮国家に対するアメリカの「長い戦争」(要旨)

以下は南北朝鮮問題に関するチョスドフスキーの論説の要旨。

America’s “Long War” against the Korean Nation

 侵略者米軍は朝鮮戦争に於てDPRK軍、中国志願人民軍双方に対して原爆の使用を検討していた。日本の焼夷弾爆撃(民間人大量虐殺)を指揮したカーチス・ルメイ将軍はDPRKの78の都市と数千の村を破壊し、無数の民間人を殺害した。この結果DPRKは人口最大30%(800~900万人)を失った。これが「邪悪な共産主義」との戦いの実態だった。

 朝鮮戦争を始めたのはDPRKではなかった。1949年3月のトルーマン大統領の国家安全保障会議覚書8/2は、同6月の韓国軍による北へのゲリラ攻撃への道を開いた。トルーマンは中国の介入を念頭に置き、9発の原爆を空軍の管理下に移して沖縄に輸送することと、沖縄へ原爆に対応するB-29を配備することを承認した。朝鮮半島に於ける核使用の可能性は、トルーマンの歴史的な1950/1130日の記者会見で確認出来る。米国はそれまで「民主主義を広める」為に韓国に大統領を任命し、共産主義者の逮捕・拷問・暗殺等の弾圧を行わせていた。

 韓国の全国的な草の根運動である1987年6月の民主的蜂起は画期的な出来事だったが、ワシントンと連携した腐敗した誠治と企業のネットワークや権威主義体質、軍や諜報部の秘密主義を変えることは出来なかった。2016年のキャンドルライト運動は朴槿恵の弾劾に成功したが、この時も表に出たのは氷山の一角だ。

 韓国の太陽政策は2008年に一旦廃止されたが、文在寅政権の下で太陽政策2.0として復活し、文政権はDPRKとの協力と非軍事化に向けて尽力した。

 韓国軍は(日本の自衛隊も同様だが)紛争が発生した場合、韓国大統領や最高司令官ではなく米国防総省の指揮下に入らなければならない。この米韓連合司令部(CFC。1978年に朴正煕政権が朝鮮国連軍から名称変更)の構造が廃止されなければ、韓国の国家主権は絵に描いた餅。これは1953年の休戦(一時的な停戦)協定が平和条約に置き換わらない限り、完全に機能し続ける。米軍は数え切れない程休戦協定に違反し、核兵器によりDPRKに脅威を与え続け、和平交渉を一貫して拒否して来たが、この目的は韓国での軍事的プレゼンスを維持し、南北朝鮮の正常化と協力のプロセスを棚上げさせること。韓国に配備されている米軍のTHAADミサイルはDPRKのみならず中国やロシアをも標的にしており、DPRKを孤立させることを目的として、南北朝鮮のみならず、中国との間にも政治的分裂が作り出されている。この状態を解消するには包括的な二国間南北平和協定の策定以外に方法は無い。

 米国の新植民地主義は世界各地の国民国家を弱体化させて来たが、統一された朝鮮国家は東アジアに於ける米国の覇権を弱体化させるので、ワシントンは統一に反対している。朝鮮国家はワシントンの干渉を受けず主権を確立し、近隣諸国と貿易関係を確立するだろうが、ワシントンの方では独自に統一案を構想しており、(PNAC/新しいアメリカの世紀計画の「統一後のシナリオ」)、「米軍が北朝鮮の安定作戦に何らかの役割を果たす可能性」を検討している。北に対する核の使用は当然南も巻き込むことになるので、米国と韓国は「同盟国」になることは不可能だ。

 「休戦協定を無効にし、二国間「平和条約」の条件を定める協定への署名を視野に入れた、韓国(ROK)とDPRKの二国間協議の開催。同様にこの合意は米軍のプレゼンスを排除し、28,500人の米軍撤退の為の準備を整えることになる。
 更に、二国間和平交渉に従い、韓国軍を米国の指揮下に置く韓国と米国のOPCON協定は取り消されるべきである。全韓国軍はその後国家としての韓国の指揮下に置かれることになる。
 (略)最優先事項はOPCONを取り消すことだ。」


参考資料:ネオコンの世界支配構想とも言うべきPNACの文書。
REBUILDING AMERICA’S DEFENSES Strategy, Forces and Resources For a New Century
 元の文書は長いので、こちらは要約版。
“Rebuilding America’s Defenses” – A Summary of the PNAC
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川流桃桜

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