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スロバキア首相はウクライナ紛争に対してプラグマティックな姿勢を取っている(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2024/01/09に発表されたスロバキアのロベルト・フィツォ首相によるウクライナ紛争についての論説の解説。
The Slovak Prime Minister Has A Pragmatic Approach Towards The Ukrainian Conflict



 2023/10/07のスロバキアの選挙に米国は介入したが、結局、ウクライナ紛争に反対しているロベルト・フィツォ候補が首相に選ばれるのを止めることは出来なかった

 その彼が2024/01/09、ウクライナ紛争に関して興味深いプラグマティックな論説を発表した。

 彼は先ず、この紛争を長引かせている原因として、「ウクライナに於ける西洋の西側の完全に失敗した対ロシア戦略を擁護する今日のリベラルな扇動主義」を非難した。そしてそのルーツは、キエフによる少数派ロシア人への迫害と、米国によるウクライナ支配だと非難した。


 同時に彼はロシアの特別軍事作戦を非難し、隣国としてそれを望んでいないことを再確認しつつも、2022年3月の時点で進められていた和平交渉を妨害したことで、西洋をも非難した。彼等は「ロシアが軍事力に訴えた」ことを、経済的・軍事的手段によって「ロシアを跪かせるチャンスであると誤って評価」した。彼等は歴史から何も学んでいないからだ。

 その結果、「ロシアは占領地を軍事的に完全に支配した。そしてロシア兵の士気が低下し、巨大な人的損失を被っていると扇動的な手法で国際社会に信じさせようとする試みは、希望的観測に基付いた空虚な扇動であることが益々明らかになっている。ウクライナは意味の有る軍事的反攻を行う能力は何ひとつ持っていない。ウクライナは西洋諸国からの財政援助に完全に依存する様になったが、これは今後数年間でウクライナ人に予期せぬ結果を齎すことになるだろう。」

 「ウクライナ大統領の立場は揺らいでいる一方で、ロシア大統領は政治的支持を増やし強めている。ロシア経済もロシア通貨も崩壊せず、対ロシア制裁はこの巨大な国の国内自給率を高め、ロシアのエネルギー大手は、中国とインドへの記録的な納入量を報告している。」

 彼はまたウクライナの評判の高い内部関係者達が腐敗の悪化を認めていることを指摘しており、これはキエフの大義を更に傷付けるものだ。

 フィツォは西洋諸国が、無駄であるにも関わらずウクライナに武器と資金を注ぎ込み続けるだろうと予測している。指導者達は「採用された戦略の誤りを公然と認める」ことが出来ないからだ。この傲慢さは、西洋諸国が最終的にこの紛争の凍結を決定するまでに、交渉の立場を更に悪化させることになる為、これはウクライナにとっても悪いことだ。

 彼はスラブ人同士が戦うのを止めることを願って論説を結んだが、これはハンガリーのヴィクトル・オルバン首相がこの紛争を「スラブ兄弟戦争」と表現した際に述べたことと同じだ。彼等はEU諸国に対し、平和を促進し、ロシアとの関係を改善するよう訴えている。

 フィツォは首相として自分の役割を果たすことを約束し、次の様に誓った。

 「人間の基本的な正義を侵害し、最終的に多大な害を齎すであろう、愚かなリベラルで進歩的なデマゴギーに、私はもう従わない。」




 フィツォの記事が重要なのは、それがヨーロッパの指導者によるウクライナ紛争についてのプラグマティックな見解を明確に表現しているからだ。これはハンガリーのオルバンが過去2年近くやって来たことと同じだ。

 ポーランドの保守ナショナリスト政府は2023/10/15の政府で瓦解し、リベラル・グローバリストが政権を握って憲法危機を引き起こしている為、ハンガリーとスロバキアは現在、中東欧に於けるこの主権パラダイムの最後の砦となっている。従って、和平交渉の早期再開に向けた草の根の支持を集めようとする上で、両国が協力して自分達のプラグマティックな姿勢を広めることが極めて重要だ。

 米国に支配されているEUのエリート層は当分の間、これに抵抗し続けるだろう。だが、イタリアはウクライナ支援と「交渉による解決努力」を結び付けた。ハンガリーとスロバキアの取り組みに触発された人々の世論に後押しされて他の主要諸国がイタリアの先例に倣った場合、潮目は変わるかも知れない。
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川流桃桜

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