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アメリカ帝国:史上最悪の殺人マシン(要点)

ジェレミー・クズマロフ氏の記事の要点。ちょこちょこ翻案した。「日本と云う国は人類史上最悪の戦争マシンの一部として機能している」と云う程度のことは、中高の教科書程度からでも読み取ることが出来ることだと私は思うのだけれども、何故だか一般的な知識として知っている筈のことと、目の前の現実を繋げて考えられない日本人の方が圧倒的多数派の様だ。なのでここでは単なる歴史的一般常識として、アメリカ帝国は他国に偉そうに説教する資格など1ミリグラムも持ち合わせていない国であることを示す諸事実を再確認してみる。念を押しておくけれども、これらは大昔に終わった話ではなく、今でも続いているバリバリ現在進行形の話だ。こうした計算には様々なやり方が有るので、ここに挙げられた数字は飽く迄一例だと考えるべきだろう。
U.S. Empire Named Most Murderous Killing Machine In History
U.S. Empire: Most Murderous Killing Machine in History



 2022年9月、ワシントンDCに新しい反共博物館が開館した。この博物館は、共産主義イデオロギーの犠牲者とされる1億人の被った苦境に焦点を当てている。

 1億と云う数字の出所は、1997年にハーヴァード大から出版された『共産主義黒書』。まぁこれは資本主義国では定期的に出現するデマ本の一種で、「ウクライナのホロドモール」の様に、既にはっきりと嘘(と云う表現に抵抗を覚えるのであれば、「事実に基付いていない」とか言い換えても構わない)だと判明している様々な虚偽情報がどっさり含まれている(そんなキワモノ本を一流名門校から出版する辺り、米国の知的エスタブリッシュメントの反共主義の業の深さが窺い知れる)。

 まぁこの種の情報は今だに冷戦期の洗脳が解けていない人向け(残念ながら日本人は殆どがそうだ)なのだが、逆のことをやってみたらどうなるだろう。米国の資本主義やら民主主義やらのイデオロギーの犠牲者を数え上げれば、その犠牲者は1億を遙かに超えることだろう。
  
 そう云う計算をやってみた本が2023年に出版された。デヴィッド・マイケル・スミス氏の『終わり無きホロコースト:アメリカ帝国史に於ける大量死』と云うのがそれだ。この本の推定に拠れば、アメリカ帝国は、これまで3億人近くの人々に死に対して責任が有るか、または責任を共有している。

 スミスは、「この終わりの無きホロコーストによる殆ど考えられない程の人命の損失は、間違い無くこの国を例外的なものにしているが、それは擁護論者の意図とは著しく異なるものだ」と書いている。アメリカ帝国の暴力性と殺戮能力は、人類史上並外れている。



先住民族のホロコースト

 アメリカ大陸はジェノサイドによって獲得された。それは誰でも知っている(筈の)歴史上の事実だ。

 スミス氏は、欧州諸国が北米大陸を植民地化する過程に於けるホロコーストで、1,300万人の先住民が殺害されたと推定している。

 ロクサーヌ・ダンバー・オルティスの『米国先住民族の歴史』に拠れば、西半球の先住民族は白人が到来する以前に偉大な文明を築き上げていた。科学、農業、技術、哲学、制度が複雑に発展し、人間関係は欧州よりも平等だった。
 
 だが、ヨーロッパ人の富と支配への欲望は、大量の死と破壊を齎すことになった。

 一例を挙げれば1636〜37年のマサチューセッツ州のピクォート戦争で、ピューリタンの入植者達は先住民の同盟者を募って「荒野戦(wilderness warfare)」に従事する最初のレンジャー部隊を結成した。「植民地当局は先住民の男性、女性、子供の頭皮皮に報奨金を支払い始めた。」よく「頭の皮を剝ぐインディアン」のミームが語られるが、この野蛮な慣習を始めたのは白人の方だ。



アフリカ系アメリカ人のホロコースト

 先住民人口が減少した為、植民者達はアフリカから労働力を輸入し始めた。

 最初に約2,500万人のアフリカ人が捕らえられたが、奴隷船に乗せられて下船するまでに、推定1,250万人が死亡した。更に推定2,000万人のアフリカ人が奴隷襲撃で死亡しており、奴隷貿易によって死亡したアフリカ人の合計は、3,250万人に上る。

 更に無事に北米に辿り着いたとしても、更に多くの人々が病気や奴隷所有者による殴打、或いは自殺によって死亡した。中間航路を生き残った人々の70%近くが、10年半後にはもう生きていなかったと推定される。

 全体として、4,150万人が奴隷制度の所為で死亡した可能性が有る。

 南北戦争後の復興時には、解放奴隷はリンチや、黒人法に従って刑務所で死亡した。白人暴徒達による数々の虐殺事件も有名だ。

 最近の例では、2000〜2014年には、人種差別的な警察と刑事司法制度、そして「ゲットー」の劣悪な生活環境により、黒人の間で推定100万人の超過死亡が発生した。



労働者のホロコースト

 アメリカ先住民と黒人の他、資本家階級に未曾有の富を齎した様々な国からの膨大な数の労働者達が、過酷な搾取を経験している。

 1880〜1900年には毎年約35,000人の労働者が業務中に死亡している。議会が労働者の権利を保護する基本的な規制を拒否した為、この20年間だけで70万人が死亡した。

 「金ピカ時代」には、米国は「産業屠殺場」と化した。労働者達の抗議は暴力的に弾圧された。

 米国政府は反労働者暴力の大波を認可し、デモを主導した世界産業労働組合(IWW)の指導者達は拷問やリンチを受けた。

 全体として、米国内外で米国企業に勤めている労働者推定1,350万人が、疾病や病気、或いは反労働者の虐殺で死亡した。



植民地戦争からグローバルなホロコーストへ

 アメリカ帝国は19世紀後半までに大陸を確保した後、ハワイの君主制を打倒し、プエルトリコ、キューバ、フィリピン等の海外植民地を広めてアジア太平洋への足掛かりを作った。

 或るアナリストが「アメリカ初のヴェトナム」と呼んだスペイン-アメリカ-フィリピン戦争に際し、最大100万人のフィリピン人が殺害された。

 第二、第三のヴェトナムはニカラグアとハイチだった。米軍は、米国の経済的利益による国の乗っ取りに抵抗する何百人もの原住民を虐殺した。

 米国は、第一次世界大戦の未曾有のグローバルなホロコーストに対しても共同責任を負っている。米国は英国とフランスに決定的な融資を行い、帝国の対抗馬であるドイツを倒す為に軍を派遣した。

 戦争が終わると、ウィルソン政権はソヴィエト・ロシアを打倒する為に反革命勢力と結託して軍を派遣した。ボリシェヴィキが勝利すると、ウィルソン政権とハーディング政権はポーランドの軍国主義者達によるソ連侵攻を支援した。

 1930年代、米国は共産主義への対抗勢力としてファシスト独裁政権(ムッソリーニ、フランコ、ヒトラー)を支持した。そしてこれにより、米国は第二次世界大戦の勃発に対しても責任を負っている。

 米国はまた東南アジアに於ける日本帝国の勢力拡大を阻止すべく、南シナ海で大規模な海軍増強を行い、中国侵略を続ける日本に対して石油の禁輸措置を行って真珠湾攻撃を誘発したことで、太平洋戦争にも責任を負っている。米軍はまた東京への焼夷弾爆撃と、数日間で20万以上が殺害された、広島と長崎への2つの原爆投下も行った。

 1775年から、大英帝国に代わって世界の中心的大国となることに成功した1945年までの間に、米国は推計1億2,700万人の死者を出した。



パクス・アメリカーナのホロコースト

 第二次世界大戦が終わってから僅か5年後、米国は朝鮮半島で再び戦争を起こし、10万人以上の自国民を虐殺した南の傀儡政府を支援し、北の人口の約1/10を殺害した爆撃作戦を行った。更に、米軍は様々な虐殺を犯した。

 Gook(アジア系人の蔑称)に対する同様の更に大規模な虐殺が、ヴェトナムでも繰り返された。

 1965年、CIAはインドネシアでクーデターを支援し、その結果、CIAが提供したリストに基付いて、数百万人の「共産主義者」が殺害された。このブラックリストの作成には、当時東ジャワで人類学者として働いていた、バラク・オバマの母親であるアン・ダナムも協力していたと言われている。

 CIAはまたフィリピンで左翼反政府勢力を倒す為の虐殺を支援し、南米では残忍なコンドル作戦を支援した。後者は、CIAがブラックリストを作成し、地元警察と協力して反体制派を逮捕または誘拐・拷問・殺害する、ヴェトナムのフェニックス計画をモデルにしたものだ。



殺戮の宴は続く

 冷戦時代の反共十字軍の殺戮の宴は冷戦が終わってからも続けられた。1990年代には「人道的介入」の名の下で、バルカン半島、イラク、中央アフリカ等で殺戮が続けられた。「グローバルな対テロ戦争」に於ては、米軍は無人ドローン等の新たな殺戮技術を完成させた。

 9.11のテロ攻撃への報復として何百万人ものイスラム教徒が殺害されたが、このテロの犯人は今日に至るまで完全には明らかになっていない。

 「リベラル」なバラク・オバマ大統領時代にも、米国はイスラム諸国7ヵ国を爆撃し、アフガニスタンでの駐留を拡大し、アフリカに多くの軍事基地を新たに設立し、ラテンアメリカの幾つかの国でレジームチェンジ作戦を画策した。

 また帝国主義の追求に伴い、ここ10年での銃乱射事件の蔓延の様なブローバックが多発している。

 現在、米国は歴史上最も暴力的な社会のひとつであり、殺人や警察による殺害、投獄率は不気味な程に高く、右翼民兵組織やテロリストの脅威に直面している。



終わりは見えない

 奴隷制度とアメリカ先住民に対するジェノサイドを除けば、アメリカ帝国に関連した終わり無きホロコーストは、高校や大学の授業でさえ殆ど議論されない。関連する学術文献は豊富に有るが、一般には余り知られていない。

 これは米国の公衆が、左派イデオロギーを悪魔化し、「アメリカのやり方(American way.)」を正当化しようとするプロパガンダと、悪しき歴史修正主義(共産主義犠牲者博物館が宣伝している様な)を着実に吸収して来たからだ。

 より多くの人々が真実を知れば、アメリカ帝国主義に対する強力な抵抗運動が発展するかもしれない(20世紀初頭の反帝国主義同盟の様な前例も有る)。

 だがそうなるまでには、大惨事は繰り返されるだろう。そしてその優位性が侵食されるにつれ、米国の支配層は恐らく「手負いの獣」の様に振る舞い、可能な限り多くの富と権力を維持する為に、米国民を含む世界中の人々に対して新たな凶悪犯罪を犯すことだろう。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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