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地球のマントルで発見された謎の構造物:未知の物質とその起源に迫る

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 地球の深部で発見された「沈没した大陸」のような謎の構造物が、科学者たちを困惑させている。最新の研究によると、太平洋西部の地下奥深く、地球の核を包むマントル内にプレートの残骸のようなものが存在しているという。

 この発見は、これまでの理論「プレートテクトニクス」をくつがえすものだ。周囲にはプレートが沈み込む「沈み込み帯」がないので、従来の理論では説明することができないのだ。

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 確かなことは不明だが、もしかしたら40億年も前からずっと存在する古代の物質である可能性もあるという。

地球内部を探る鍵は「地震波」

 スイス、チューリッヒ工科大学をはじめとする地球物理学者チームが発見したのは、太平洋西部の地下奥深く、地球の核を包むマントル内にあるプレートの痕跡だ。

 地球の地下奥深くを見ることは誰にもできない。マントルまで掘り進めてそこにある岩石を採取することもできないし、その温度や圧力を直接測定することも不可能だ。

 では、これまでの地球の内部についての知識はどうやってもたらされたのか? 地震波が重要なカギを握っている。

 地震によって発生した波(地震波)は、地球内部を伝わって震源地から四方八方に広がる。

 このとき、ただ地下を通過するだけでなく、屈折したり、反射したりとさまざまな振る舞いを見せる。また地下にある物質の密度や硬さによって、地震波が伝わる速さも違ってくる。

 こうした地震波の振る舞いを分析することで、地球の内部がどのような構造で、どのような物質によってできているのか間接的に推測することができるのだ。

 これは、医師が超音波で体内の臓器や血管を探る方法に似ている。

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想定外の場所で見つかったプレートの痕跡

 これまで、地震波を手がかりに、これまで地球のマントル内に沈み込んだプレートの位置が特定されてきた。

 そうした地下のプレートの位置は、大抵の場合、事前の予想通りのところにある。地表でプレートとプレートが衝突すると、片方がもう片方の下に潜り込んで、だんだんと地下へ沈み込んでいく。

 こうした場所を「沈み込み帯」というが、地下のプレートはその下にあるのが普通だ。

 ところが今回、最新の高解像度モデルを使った研究では、予想もしない場所で沈み込んだプレートの痕跡が発見された。

 この研究で新しいのは、1種類の地震波だけではなく、あらゆる地震波で地球の内部を調べたところだ。

 分析に必要になる膨大な計算は、スイス国立スーパーコンピューターセンターのスパコン「Piz Daint」によって行われた。

 それらの領域は、沈み込んだプレートの痕跡のように見えるが、沈み込み帯からは遠く離れた大洋の下や大陸内部に位置している。地質学的な証拠もなく、過去の地質時代にそこに沈み込み帯が存在した可能性もほとんどない。

 それがどのような力学による影響なのか、そこにどのような物質があるのか、現在のプレート理論ではうまく説明することができないのだ。

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最新のモデルによって、下部マントルのあり得ないところでプレートの痕跡が発見された。なぜそこにプレートがあるのか、現在のプレート理論ではうまく説明することができない/Image: Sebastian Noe / ETH Zurich

発見された異常領域の正体は?

 従来の説では、そこには過去2億年のうちに沈み込んだ冷たいプレートの物質だけがあるとされてきた。現時点で研究チームは、これらの構造の正確な材料や形成過程は不明としながらも、2つの説をあげている。

古代のシリカに富んだ古代物質
40億年前のマントル形成時から存在し、対流運動にもかかわらず生き延びた古代の物質である可能性

鉄に富んだ岩石の蓄積
長い年月をかけてマントル内の対流運動によって形成された物質

 いずれにせよ、地球内部は研究者の探究心を満たすことができる謎に満ちた場所であるということは間違いない。

 この研究は『Scientific Reports』(2024年11月4日付)に掲載された。

References: Sunken worlds under the Pacific? | ETH Zurich / A Lost World Beneath the Pacific Ocean? Mysterious Structures Discovered Deep Within Earth’s Mantle

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この記事へのコメント、12件

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  1. センター・オブ・ジ・アースは実在するのか?
    興味深いな

  2. 月が出来た時に空に飛ばすに押し込まれたとこが漂流したとか?

    1. 私も思いました。 あとはジャイアントインパクトの時のぶつかった星の融けのこりとか。 科学って今までの説では説明できないところからアレコレ考えてパラダイムシフトとかが起こってきたので、こういうのも期待ですね

  3. 画像だけ見ると、ほとんどが海の下みたいに見える。
    …関係ないか。

    1. 地球の7割が海。3割が陸
      ただ「沈み込んだプレートの痕跡」からすると関係はあるかも?

  4. >この発見は、これまでの理論「プレートテクトニクス」をくつがえすものだ

    プレートテクトニクスを覆すと言うより、
    プレートテクトニクスだけでは不十分だった部分を
    補完するみたいな発見なんじゃなかろうか。

  5. 赤い部分が高温で流動的な部分で青い部分が低温で固い部分なんだね
    東日本大震災では
    震源付近の赤い部分に青い部分の塊が滑り落ちて大きな地震になったらしいね
    こういうのがゴロゴロしてるんだね、なんなんだろう・・・

  6. 深海にも行けないのに先を調べてどうするねん
    探求心ってヤツか…

  7. 技術が発達すれば、いつか分かる時が来るものなのかな?

  8. 40億年前から生き延びてきた古代の物質?
    マントルの温度は1000(表層)~6000度(深層)だそうなので、なんらかの固体物質があるのかもね。

  9. ん地上人に気づかれたか、でもどうってことはないな

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