年末年始「青春18きっぷ」旅(四日目)④   国内最小級のミニ私鉄、紀州鉄道初乗り&完乗

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すべてがこぢんまり

湯浅駅と御坊駅の間も車窓の眺めや木造駅舎など見るべきものがありますが、
そちらについては御坊駅からも戻りの記事にてまとめて。

御坊駅のある御坊市は和歌山県中部、日高地方の中核都市。
御坊の名は、ここに浄土真宗西本願寺派の日高別院が置かれたことに由来しています。
ただ、中核と言っても御坊市の人口は2万2千人程度で、
面積の違いはあれど、南部の中核、田辺市に比べると3分の1程度。
(ちなみに、日高郡の町村+御坊市なら田辺市とだいたい同じ人口)

現在の紀勢線の各駅停車はこの御坊駅でほぼ系統分割されていて、
早朝深夜を除けばほぼどちらの方面も当駅始発。
大阪方面へ直通する快速も御坊駅が最南端。
御坊駅以南については一時間に1本程度運行されていますがその全てが紀伊田辺行き。
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紀伊田辺駅から先は一日9本と少なくなり、
「くろしお」が14本と特急の方が多いという
髙山本線の美濃太田以北のような状況になっています。

御坊駅の駅舎は昭和末期に建て替えられたもの
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JRホームに間借りするようにあるのが紀州鉄道乗り場
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改札口はもとより切符売り場もないのは、いかにもミニ私鉄風情

紀州鉄道は街外れに置かれた御坊駅と御坊市街を結ぶために、
地元有志により1931年に開業。
開業の3年後に日高川駅まで全通。
当初より営業キロが4キロ満たないミニ路線でしたが、
1989年に西御坊駅と日高川駅に区間が廃止になり、
当時の私鉄路線として「日本一短い」鉄道会社となりました。
後に第3セクターの芝山鉄道線が2.2キロで日本一となり、
その座を譲りましたが、芝山鉄道は線内のみ運転でなく京成線に乗り入れているので、
単独(完結)路線ということでは今も紀州鉄道が国内最短です。
※なお、一路線としての日本最短は神戸高速南北線の新開地~湊川の0.4キロ

僅か2・7キロの営業区間に学門・紀伊御坊・市役所前と途中は3駅で、
御坊駅から学門駅の間が1.5キロあり、御坊市街に入ってからの駅間は、
300メートルから600メートルと極めて短い。
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学門駅は駅名の通り学業成就の駅として入場券などを販売していますが、
駅自体は無人駅なので、それらは紀伊御坊駅で販売しているらしい。
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その紀伊御坊駅は唯一の有人駅で留置線・車庫もある。
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ここに休車扱いで留め置かれているのが、国内では最後の2軸台車キテツ2
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車籍は残っていますがほぼ放置状態のようです。
奥に停まっているKR301は
今乗っているKR205とともに、信楽高原鐡道からの譲渡車。
現状はこの2両だけで運行されていますが、この営業距離と本数なら2両で十分。

市役所前駅はその名の通り、御坊市の中心に位置していますが、
一日の利用客は一桁でほぼその役には立っていません。
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御坊駅の先での急カーブ区間での速度がやたら遅いというのあって、
2.7キロの区間ですが、乗車時間は8分と
ちょっと速い自転車レベルで終点西御坊駅に到着。
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これにて和歌山県内の全鉄道路線完全乗車達成です。

車止めの先、少しだけ線路が残っています。
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駅舎は近年再塗装が行われたりと、小さいながら見映えは悪くない
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ちなみに乗ってきた便が12時9分着で、この車両がそのまま折り返しとなるんですが、
その発車時刻が12時57分と、このテの路線にしては終点での停車時間がやたら長い。
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運転手さんはその間、車内は開放したままにして、
駅舎の中にある控室で休息しているようです。
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48分も待ち時間があれば駅周辺をブラブラ。
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・・といってもそのうち半分を駅近くの
国道42号沿いにツタヤのカフェコーナーで過ごしたんで、
日高別院の塀際まで歩いて戻って来ただけ。
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この地方の銘菓、釣鐘饅頭を販売している和菓子店がありますが、
釣鐘饅頭はここだけでなく御坊市・日高郡周辺の複数の和菓子店で販売しているようです。
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なお、釣鐘饅頭は日高別院に関連したものではなく、
日高川町にある道成寺で、ここを舞台にした「安珍・清姫」の鐘に因んだもの。

日高別院界隈は寺内町の趣きも残していますが、
そんな中に何故かファンキーなレコードショップ。
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凄く気になったけど店休日でした。

御坊駅に戻る際に、さきほど紀伊御坊駅でちゃんと撮れなかった、
静態保存されているキハ603を車内から撮影。
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いまはなき、大分交通耶馬渓線から1975年に譲渡された車両で、
2009年に定期運用から外れるまで50年近く走り続けた、
オールドスタイルのディーゼル車両。
運用離脱から10年以上経っていて、しかも屋外保存なのに状態が良いのは嬉しい。

ちなみに、鉄道ファンにはよく知られていることですが、
紀州鉄道の本体は東京に本社を置く不動産会社で、
全国の六ケ所ある紀鉄ホテルを始めリゾート開発を軸にした不動産業がメインで、
鉄道事業自体はずっと赤字続き。それでも廃止にしないのは
鉄道会社を所有しているネームバリュー的な側面があるとのこと。
結果、「何故か生き残っている不思議なローカル私鉄」という、
今や全国的に見てもレアな存在感を放っています。

御坊駅の手前の急カーブを撮っていたら、そこにオーシャンアロー「くろしお」が通り過ぎる
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予想してなかったのでアングル失敗したw
これなくなる前に乗っておきたい。

御坊駅に戻ってきて、すぐの乗り換えで和歌山駅へと戻る
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今度はロングシート車両に当たってしまいました
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次回は和歌山ラーメン食って、阪和線であと一か所駅舎巡り。

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