SSRIが○○mgから○○mgに増量された後から自殺念慮が強まりODをした女性がいた。ODをした記憶はないということだった。 

入院後からの病状しか分からないので、これまでの経過は診ていないのではあるが、解離性障害のようにも思えたが、SSRIの有害事象のようにも思えたのだった。その後、力価が低い他のSSRI○○mgに変更し、今では落ち着いてはいるのだが、本当にうつ病だったのか、それとも別の病状だったのか、はたまたSSRIの有害事象だったのかは、私には未だに良く分からないのであった(ご本人には、SSRIの有害事象であった可能性があります、力価が低いSSRIの方が安全でしょうと説明はしてある)。 

彼女に言わせれば、夫は私の「うつ」を全く理解していない、うつ病だとは思っていないのだという。それが、かなりのストレスになっており、うつ症状を度々急激に強める原因になっているとのことであった(状況にかなり影響されて変化するような病状ではある)。 

もし、解離性障害であるならば、SSRIなどの薬物療法よりも、環境調整の方が重要であり効果的となろう。場合によっては薬物療法は不要となろう。SSRIを内服し続ける必要はないのかもしれないのである。

その患者様は退院後は通院先を変更して私の外来に通院することになったのだが、ある日、やっぱり私は「うつ病」でしたと、突然、光トポグラフィー検査の結果を持ってきたので ある。紹介状は一切書いてはいなので、ネットで自分で調べて某大学で予約したらしい。そんな早くに予約がよく取れたものだと驚いたが、当院に入院する前からどうやら予約をしていたようだ。

検査結果は、NIRS判読、「うつ病の波形に該当する」とあった。 


NIRS












↑の光トポグラフィー検査のNIRSの解説では、波形を見ると、(1)健常の場合と、(2)それ以外(健常ではない)の、ただの2パターンのみにしか区別できないようにしか私には思えないのであった。はたして、うつ病や統合失調症や双極性障害といった、いろんなパターンにNIRSの波形で鑑別できるのであろうか。

しかし、提示されたNIRSの波形をよく見ると、ピークは小さく、ほぼなだらかなまま。しかし、後半部で少しだけ明らかに上昇している。 

見方を変えると、「双極性障害のうつ」のパターンや「統合失調症」のパターンにも見えなくもないのである。(うーん、これだけでうつ病と診断できるのであろうか??) 

SSRIを内服しているために、NIRSの結果が既に修飾されているのだろうか。 NIRSはまだ大学病院レベルでしか実施できない検査であり、当院では参考データとしての扱いに留めておくことにしておいた。

しかし、本人に言わせれば、夫は、その後、NIRSの波形を見て私の妻は「うつ病」だと理解してくれるようになり、文句を言わなくなって良かったというのであった。高い検査だったが、受けて良かったということであった。 

医師のムンテラよりも、NIRSの波形の方が説得力があるんだなと、感心した次第である。(今度から、理解が低い家族の場合はNIRSを依頼するのもいいかも)

そこでNIRSの値段を調べてみた。 

東大病院でもやってるようだが、希望者が殺到しているようでパンクしているようだ。 


入院して検査を受けると7万円である。それでもパンク状態のようだ。

(H25年の3月からは再開しますとあるが、きっと予約が再び殺到してパンクするのだろうな)